『アーク ザ ラッド』初代と『2』は1本のゲームだった!? SCEトークステージリポート【闘会議2015】

2015年1月31日~2月1日、千葉・幕張メッセにて開催された、ゲーム実況とゲーム大会の祭典“闘会議2015”。2日目の“SCE JAPAN スタジオチャンネル”出張版で行われた『アーク ザ ラッド』トークイベントの模様をお届けする。

●『アーク ザ ラッド』シリーズにとどまらない裏話が山盛り!

 2015年1月31日~2月1日、千葉・幕張メッセにて開催された、ゲーム実況とゲーム大会の祭典“闘会議2015”。ソニー・コンピュータエンタテインメントブースでは、“SCE JAPAN スタジオチャンネル”出張版が、2日間にわたって展開された。ここでは、2日目に行われた『アーク ザ ラッド』トークイベントの詳細をリポートする。

 本イベントのゲストとして、当時のプロデューサーで現ラルクスの赤川良二氏、SCEの宣伝担当で当時を知っている西島卓氏が登場。『アーク ザ ラッド』シリーズの開発秘話をたっぷり語ってくれたのだ。

▲ゲストとして登場した、西島卓氏(左)と赤川良二氏(右)。

 最初のトークテーマは開発の経緯について。初代『アーク ザ ラッド』は、プレイステーションがデビューした約半年後の1995年6月30日に発売された。なぜ本作が開発されたかと言えば、「簡単に言うと、初代プレイステーションを発売するとき、RPGがないとマズイ」と、しごく単純明快な理由だったことを語る赤川氏。ちなみに当時プロデューサーは3人おり、山内一典氏はレースゲームを制作、もうひとりが『ジャンピングフラッシュ! アロハ男爵ファンキー大作戦の巻』を手がけていたため、ならばRPGは自分がやろう、ということで赤川氏が担当することになったという。

 『アーク ザ ラッド』の独自性について、赤川氏は「新しいハードなので、新しいことができること。たとえばキャラクターがしゃべったり、いまではおなじみとなったCGムービーを採用した。メディアもCD-ROMとなったため、音楽も豪華にできるようになり、T-SQUAREの安藤まさひろさんに作曲をお願いしてロンドンで生のオーケストラを収録したり。ちょっと調子に乗っていた(笑)」と当時を振り返る。メインテーマはロンドンのロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラが演奏しており、これらの新要素が話題となって“新世代RPG”が認知されていったそうだ。

 西島氏は「じつは私は1997年入社で、担当していたのは『ワイルドアームズ』なんです。SCEが出したRPGでミリオンヒットとなったのは『アーク ザ ラッド』だけで、大きな壁であり目標でした。個人的には入社前に遊んでいたという立場で、すごく期待していたけれどちょっとボリューム不足かな? という感想でした。終わりかたも続編をほのめかすような斬新なスタイルで、赤川さんは相当苦労して開発していたのでは?」と当時を振り返っていた。

 その物議をかもし出した終わりかただが、この結末に至った経緯について、赤川氏は「じつは初代と『2』は1本の作品として作っていたんですよ」と衝撃発言。「ゲーム制作というのは遅れるもので……、なんとしてでもプレイステーション発売から半年以内に出したいという流れから、完成しているところまでを切り取って『1』として発売したんです」と、なんだか聞いてはいけないような真相を明かしてくれたのだ。

 ただ、転んでもただでは起きないのが赤川氏。「せっかくメモリーカードがあるのだから、初代で鍛えたキャラクターを『2』で引き継げたらおもしろいのではないか」とアイデアを思いつき、実現に至ったそうだ。

 そして話題は本作のパッケージイラストへ。このイラストを担当した国末竜一氏は、もともとはドット絵を描くドッターだったそうだ。それが開発中にイラストを描いてきて、イラストとCGの中間のような斬新なテイストだったため、パッケージイラストを担当する流れになったそうだ。

▲懐かしいシリーズ3作のパッケージ。イラストを担当したのは、最初はドッターだった国末竜一氏。写真右のふたりは、本番組のMCを終日担当した、女優の結さんとSCEの北尾氏。

▲『アーク ザ ラッド』の実演プレイも行われた。「自分で言うのもアレだけど、まだ古びていないね」と赤川氏。

 シリーズが続くなかで、『ワイルドアームズ』をはじめほかのRPGも出てきたが、それらのタイトルについては「RPGの表現はいろいろあると思う。たとえば『アーク ザ ラッド』のキャラクターはドット絵を採用していて、我々は3Dポリゴンでキャラクターを再現するのはまだ早いと思っていた。だが『ファイナルファンタジーVII』がそれを採用し、その後のRPGを変えてしまった。RPGが劇的に変化したきっかけは『アーク ザ ラッド』で、決定づけたのが『FF VII』だと思う」と語る赤川氏。

 またゲームのプレイ時間についても触れられた。「当時、RPGは長時間遊べるものという暗黙の了解があった。だが『アーク ザ ラッド』は15時間ぐらいでクリアーできてしまい、まだインターネットは普及していないにもかかわらず“短いRPG”、“ダメだ”と相当言われた」(赤川氏)と当時の評価についてコメント。「サクサク遊べるものを作ったつもりだったが、世の中的には物足りないという評価だった。悔しかったので、続編の『2』は100時間遊んでもクリアーできないものにした」(赤川氏)と開発秘話を語る。

 また、赤川氏が手がけたほかのタイトルについても触れられた。キャラクターデザインにマンガ家の桂正和氏を採用した『LOVE&DESTROY』、主題歌をEnyaのお姉さんが担当したアドベンチャーゲームの『ブック・オブ・ウォーターマークス』、硬派すぎる登山ゲーム『蒼天の白き神の座 ~GREAT PEAK~』などが紹介された。『蒼天の白き神の座 ~GREAT PEAK~』は知る人ぞ知る名作ゲームとして有名で、赤川氏もかなり思い入れがあるようだ。「当時はパスワードを入力するインターネットランキングを行っていたが、10000メートルの山をたったひとり、無酸素で攻略するユーザーが現れるなど、信じられないようなプレイをする人がかなり多かった。本作を作って、いちばんすごいのはユーザーだ、と実感した」(赤川氏)と当時の思い出を語ってくれた。

▲赤川氏が手がけた『アーク ザ ラッド』シリーズ以外のタイトルについても触れられた。

▲番組のラストに、恒例となる色紙の執筆が行われた。赤川氏は超レアな『アーク ザ ラッド』のテレホンカードつき!

 ぶっちゃけすぎる裏話がこれでもか、と飛び出した内容の濃いイベントであった。『アーク ザ ラッド』シリーズはゲームアーカイブスで配信されているため、気になった人はこの機会にプレイしてみてはいかがだろうか。またコアな人気を誇る『蒼天の白き神の座 ~GREAT PEAK~』だが、じつはさまざまな大人の事情で、ゲームアーカイブスでは配信されていない。西島氏は「ゲームアーカイブス化が難航して久しいのですが、せひ発売したいと思っているので、ほんのり期待していただければ」とゲームアーカイブス化への道が閉ざされてはいないことを明らかにした。『アーク ザ ラッド』を遊びつつ、いつか配信されるその日を待つのも、オツかもしれない。


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