『ワイルドアームズ』音楽担当・なるけみちこ氏が生演奏でアノ曲を披露、新作にも言及!?【闘会議2015】

2015年1月31日~2月1日、千葉・幕張メッセにて開催中の“闘会議2015”。ゲーム実況ストリートのソニーコンピュータエンタテインメントブースでは、“SCE JAPAN スタジオチャンネル”出張版として、『ワイルドアームズ』の音楽に迫る生放送が行われた。

●口笛が印象的な代表曲『荒野の果てへ』の誕生秘話も

 “闘会議2015”のソニーコンピュータエンタテインメント(SCE)ブースでは、“SCE JAPAN スタジオチャンネル”の出張生放送を企画。クリエイターをゲストに呼び、プレイステーションで発売されたSCEの人気タイトルを紹介する番組を、2日間ぶっ通しで配信している。
 1日目には、1996年に第1作目が発売された“荒野と口笛のRPG”『ワイルドアームズ』シリーズについての放送が注目を集めた。ゲストは、音楽を担当したなるけみちこ氏と、SCEの“もとみ”こと本村健太郎プロデューサー。MCは、『ワイルドアームズ』の音楽が大好きという女優の結さんと、SCE PR担当の北尾泰大氏が務めた。


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 放送は、なるけ氏がゲストということで、『ワイルドアームズ』の音楽にフォーカスした構成に。まずは結さんが「このステージに欠かせない曲」と、シリーズを代表する曲荒野の果てへ』9を紹介。1作目のオープニングムービーで使用されているのをはじめ、シリーズ作品にさまざまなアレンジバージョンが登場した、口笛が印象的な曲だ。なるけ氏は「この曲は、ゲームデザイナーの金子(彰史)くんから、“とにかく口笛で”“マカロニウェスタンを意識した曲で”と言われて作りまして。一発で通りましたね」と明かした。


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▲本村健太郎プロデューサー(写真左)となるけみちこ氏。

▲MCの結さんと北尾泰大氏。

 ちなみに、なるけ氏と金子氏は、『ワイルドアームズ』以前からタッグを組んでいたという。なるけ氏は以前、日本テレネットというゲーム会社に所属していたが、そこへ後輩として入社してきたのが金子氏だったのだそうだ。なるけ氏は、「(『ワイルドアームズ』では)金子くんと私の共通の趣味である、特撮とかロボットアニメとかの話をしながら、“あの作品のあのときのあの曲”なんて感じで、お互いの考えをすり合わせていきました。たとえば、私が小学校にあがったばかりくらいのときに好きだった『バビル2世』というアニメなんかは、すごく意識してます」と、1作目の曲作りについて振り返った。

 続いて、本村プロデューサーが「3作目の冒頭のイベントシーンを作るときに、なるけさんがすごくこだわっていたのを覚えている」と発言。ユーザーがメッセージを表示させるためにボタンを押すタイミングに合わせて、曲を展開させる演出が印象的だったとのこと。なるけ氏は「ゲーム業界に長くいるうちに、いろんな演出を見てきたもので、ひとつ挑戦してみたかったんです。大成功とは言えなかったかもしれませんけど(笑)」と語った。


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 ところで、なるけ氏、本村プロデューサーとも、シリーズ中もっとも印象的なのは3作目なのだとか。本村プロデューサーには、それまではデバッガーとして参加していたのが、『WA3』ではじめてディレクションに入ったという思い出が。そして、なるけ氏は「プレイステーション用の1作目と2作目はある程度決まった音しか使えなかったんですけど、PS2用の3作目は自由度が格段にあがって。ロード時間もすごく短くて、長い曲でも大丈夫で……なんでもできるっていうことがすごくうれしかったんですけど、うれしかったのは最初だけで(笑)。20曲くらい作ったところで“あと60曲もどうしよう”って(笑)。機材もそのときから充実させていきました」と、制約がないことの難しさについて言及した。

 ここで、なるけ氏が生演奏を披露することに。ティンホイッスルという、アイルランドの縦笛を取り出して、1作目の『世界にひとりぼっち』という曲を演奏した。演奏直前には、「本当はもっと暗い感じの曲だったんですが、“これじゃない”と言われて、シナリオを何回も読み返したんですけど、すごく悩んで……。昔、『樫の木モック』というアニメがあったんですけど、ピノキオのような主人公がいじめられ、家に帰って泣いていて、おじいさんになぐさめられるシーンに着想を得て、こういう曲になりました」とのエピソードも紹介。約2分半の演奏を終えると、会場からは拍手が、ニコ生の視聴者からも「88888888」のコメントが一斉に寄せられた。


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●プロデューサーから新作を匂わせる発言が!?

 さて、生演奏の余韻が残るステージでは、MCの北尾氏から、「本日なんと、ゲームデザインの金子さんからお手紙をいただいている」とのネタ振りが。ここでは、なるけ氏が読み上げた、手紙の一部を紹介する。


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「ごぶさたしています、トータルゲームデザインという肩書で、チョイチョイいろんなところを担当したり、シリーズのだいたいのシナリオを書いてきた金子です」

「『ワイルドアームズ』はシリーズを通して、すごい音楽作家の方々の力を借りて、たくさんのBGMが作られてきました。曲のクオリティーはもちろんのこと、金子が考える、ようすのおかしい演出にハマるよう、長い時間一緒にいろいろ考えたり、ときには丸1日好きな映画の話をしていたりと、ほかの現場ではまず見られないような作りかたに取り組んでくれました。ゲームとBGM、どちらかが悪目立ちすることなく、とてもいい塩梅でなじんでくれたのは、音楽作家たちがデータを納品するだけの外部スタッフではなく、ともにボロボロになってくれる戦友になってくれたからです。本当にありがとうと言いたいです。また、理想の環境を作ってくれた、“お上”(SCE)のサウンドチームにも同じくらい感謝しています」

「みなさんも、『ワイルドアームズ』サウンドを耳にする機会がありましたら、そんなすったもんだに思いを巡らせていただければ幸いです。でも、どうせなら、まだ聞いたことのないサウンドについて、あれやこれや考えたりしたいと思いませんか? こういう話題が出ると、おそらく本村プロデューサーは苦笑いか困惑の表情だと思うのですが(笑)。どんなに小さくなろうとも、『ワイルドアームズ』という火を絶やさないために、金子は独立して暗躍し続けているわけです。一筋縄ではいかないことは承知しているのですが、今回の放送でのみなさんの反響は、火を大きくするための追い風になるんじゃないかと

「2015年になっても『ワイルドアームズ』を好きでいてくれるみなさんに最大限の感謝をしつつ、金子はここいらでドロンしたいと思います」

 この手紙を受けて、本村プロデューサーから「新作が期待されているのは重々承知しています。いままで“『ワイルドアームズ』はも完結です”と言ったことはないんですよ。やめたつもりはないので、いずれどこかで復活させたいと思ってますんで、次の機会に発表できれば、待っていただければなと思っています」という発言も飛び出した。

 最後に、ゲストの両氏から、『ワイルドアームズ』ファンに向けての告知やメッセージが。本村プロデューサーは、昨年プロデュースしたPS Vita用『ソウル・サクリファイス デルタ』での、『ワイルドアームズ』とのコラボ企画を紹介。なるけ氏は、出演予定のイベントとして、5月3~5日に東京・八王子で開催されるゲーム音楽フェス“4star 2015”と、2015年5月15・16日にZepp DiverCityで行われる“JAPAN Game Music Festival”を挙げた。前者では、『荒野の果てに』も演奏予定だという。そして、「本当に長く『ワイルドアームズ』を愛してくれているみなさんに感謝いたします。ありがとうございました」との言葉で、ステージを締めくくった。


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