映像素材もどっさり来たんで要チェック!
5月13日、アメリカのロサンゼルスで2Kがプレスイベントを開催した。
出展されたタイトルは2本。1本はすでにリポートをお伝えした人気ストラテジーゲーム、シヴィライゼーションシリーズの最新作『Sid Meier's Civilization: Beyond Earth』。そしてもう1本が今回お伝えする『Evolve』だ。
ゲームについておさらいしておくと、本作は4人のハンターと1匹のモンスターが戦う非対称な人数構成が特徴的なマルチプレイFPS。開発は『レフト 4 デッド』を生み出したタートルロックスタジオ。海外では2014年秋にプレイステーション4とXbox OneとPCで発売予定となっている。
ロボキャラや、ペット付きのハンターも! 各クラスの新ハンターが判明
本作ではこれまで、アサルト、メディック、サポート、トラッパーと4職業に属する4人のハンターと、モンスターの一体“ゴライアス”が紹介されてきた(詳細は過去記事を参照)。
そして今回は、各クラス(職業)の新たな選択肢として4人のハンターが発表! 同じ職業でもこれまでのハンターとは一味違った能力を持つ彼らが、強力なモンスターとの“狩り”の幅を広げてくれるのは間違いないだろう。
■HYDE(アサルト)
まずはメイン火力であるアサルトのHyde。従来のアサルトであるMARKOVはアサルトライフル(中長距離)とライトニングガン(近距離)を装備していたが、HYDEはチェーンガンとフレイムスローワー(火炎放射器)が武器。
とくにフレイムスローワーは射程距離が恐ろしく短いものの、ダメージは最大級。それだけモンスターに接近するのは危険でもあるが、メディックの能力や、MARKOV同様の一定時間無敵化能力などを使って、そのパワーを活かしたいところだ。
また、MARKOVとはグレネードの性能が異なっていて、HYDEのグレネードは酸性のガスを噴出させる。持続ダメージを与えるので、これを上手く利用して、モンスターをこもった所から追い出したりするのに使える。
■LAZARUS(メディック)
回復役であるメディックには、LAZARUSが登場。近くの仲間を回復できるのはVAL同様だが、VALのMedgunのような、戦闘中に集中的に特定の仲間を回復し続ける武器は持っていない。
その代わりに、光学迷彩のパーソナルクロークを持つ。
パーソナルクロークを使うと、一定時間自らの姿を消すことができる。これによるメリットは意外と大きい。そもそもメディックはモンスターに狙われやすいのだが(モンスターの高い耐久力を活かして、敵の攻撃を食らいながらでも回復役を先に倒そうという作戦)、クロークで切り抜けられる局面もあるし、モンスターの襲撃でダウンした仲間を蘇生する際にも、気付かれずに近づけるというメリットがある。VALと比較すると、どちらかと言えば、回復よりも蘇生に重きを置いた設計になっているとのこと。
■BUCKET(サポート)
戦いにひねりを加えるサポートは、ロボキャラのBUCKET。
同じサポートでも、HANKはシールドを付与するシールドガンを使ってアサルトを助けたり、空爆を仕掛けたりするわかりやすいサポート役だったが、BUCKETはちょっとトリッキーな設計だ。
メイン武器は追尾機能付きのロケットランチャーで、発射後に目標物を狙い続けることで、慣れれば遠くを移動するモンスターにも当てることが可能だ。また、自動機銃のセントリータレットを撒くこともできる。セントリータレットの攻撃力は結構高いので、狭い室内などでの混戦時は容赦なくタレットを撒いて集中砲火したい。
そして頭部を外してUAVとして使い、モンスターを発見した場合は位置を仲間に知らせることもできる。使いこなし方によって役割が変わってくるキャラクターと言えるだろう。
■MAGGIE(トラッパー)
罠を仕掛けてモンスターを追い込むトラッパーには、MAGGIEとペットのデイジーがセットで登場。
デイジー(一応メスらしい)はモンスターの匂いを嗅いで勝手に追い始めるので、彼女の後をついていけば、いずれはモンスターの元へとたどり着ける。
全員ダウンした場合でも、デイジーに蘇生能力があるというのはありがたいところ。逆に言うとモンスターにしてみればデイジーはメディック並みに厄介な存在というわけなので、序盤の交戦時に彼女を失うことがないよう、気にかけたほうがいいだろう。
発動することでモンスターを一定エリアに閉じ込めるトラッパーのトレードマーク的アイテムMobile Arenaを持っているのはGRRIFIN同様。序盤から中盤にかけて、モンスターと交戦した際に簡単に逃さずにきっちり削れるかどうかは、トラッパーにかかっている。
また、GRIFFINのハープーンガン(銛をモンスターに打ち込み、行動を制限する)の代わりに、MAGGIEは設置型のハープーントラップを持っている。Mobile Arenaで動きを予測しやすい場所に閉じ込めた時や、大体場所が決まってくる終盤の戦闘では、通りそうな場所に仕掛けておき、モンスターを引っ掛けてやろう。
ダムを舞台にした新マップでは地形を使った攻防も
プレスデモは4人の新ハンターがプレイ可能だった一方、モンスターは引き続き“ゴライアス”で、ゲームモードも従来のハントモードのみ。ただしマップは新マップのダムを舞台にしたステージで遊ぶことが出来た。
マップ内には川が流れており、中央にそびえる山には洞窟のようになっている部分も存在。川では足あとが見えにくくなることを利用してハンターの追跡を難しくしてみたり(それでもデイジーにはやがて追われるし、鳥が飛び立ってバレたりする)、地形を使った攻防も面白い。
また、マップ内には大型の生物が複数存在し、デューンビートル(それなりに植物も生えているが一応砂漠地帯という設定なのでデューン)などは小型のクリーチャーを狩ったりもするので、モンスター時は彼らのせいでそう簡単に捕食を進められないことも。製品版では、こうした特徴的なマップのバリエーションを期待したいところだ。
「自分たちがプレイしたいゲームを作ってきた」
何セッションかプレイしてみてやっぱり、モンスターになるのは超楽しい。協力してモンスターを狩るのも楽しい。それは間違いない。
だが、まだまだゲーム的な深みを見出す段階には時間が足りないし、基本コンセプト以上の内容は、キャラクターのバリエーションがあるというのがわかったのみ。
そこでタートルロックスタジオの共同創設者のひとりであり、アートディレクターも務めるPhil Robb氏に、本作について聞いた。
――ハンター側なら、初心者でも他のプレイヤーについていけばなんとかなります。でもモンスターは単独で、そういうわけにはいきませんよね。マッチメーキングではどのようにバランスを取るんですか?
Phil 基本的には、プレイヤーがこれまでにどれだけプレイしてきたかを見て、同じレベルのプレイヤーとマッチさせる。何もわからないプレイヤーは、他の何もわからないプレイヤーと一緒にプレイすることになる。何もわからずボコボコにされるような状況は避けたいので、マッチメーキング・システムは慎重に作っているよ。
――ハンター側から見た場合、モンスターは超デカくて迫力があります。でもモンスター側になった時に、こちらは三人称視点ですから、うまく周囲を見通せて暴れられるようなデザインでなくてはなりませんね。今のところうまく両立できていると思いますが、異なるサイズで見られるモンスターをデザインするのは大変でしたか?
Phil 最初はモンスターも一人称視点での操作だったが、色々な問題が生じた。例えば後ろから銛をぶち込まれてても、見えないからわからないんだよね。
それに一人称視点だと、モンスター側のプレイヤーのカメラは6メートルから7メートル半の所にあることになるわけだけど、これだと実際はある程度のスピードで動いているにも関わらず、スローに見えてしまうんだ。
そこでモンスターだけ三人称視点に変更したところ、改善された部分が多かった。すべての反応が良くなり、スピード感もあがってコントロールもしやすくなった。
まず状況判断がしやすくなったことで、どこから撃たれているのかがわかり、銛で突かれたらすぐに気づく。それと自分がクールなモンスターとして動いている姿が見えてワクワクするのも良かったね。
そういった経緯があるけども、2つのサイズを考慮してデザインするのはそれほど大変だったわけじゃない。モンスターがクールに見えて、しかも周囲がきちんと見えるようなサイズにする。モンスターにスポットが当たるようにして、そこから少し小さくしたんだ。
――あえてすごくマヌケな質問をしますが、ハンターがモンスターを追わずに、最終目標地点であるジェネレーターのところでずっと待っていてはダメなんでしょうか?
Phil それは可能だが、戦略的に優れているとは言えないな。(成長段階の)ステージ1においては、モンスターは小型なので不利な立場にあり、ハンターたちが有利だ。だがステージ3ではこの優位性はなくなっている。ハンターは追われる立場になる。モンスターは以前よりずっと破壊力を持って攻撃してくる。
確かに、目的地の周囲に出来るだけトラップを用意して待つことは出来る。でもこれではハンターの優位性を利用することなくステージ3まで待つことになってしまうんだ。ひとつのマッチの中で、モンスターと出来るだけ何度も戦うことが重要だ。
それをやらないでステージ3まできてしまうと、フルヘルス、フルシールドのモンスターと戦う羽目になり、これは非常に厳しい戦いになる。よっぽど高いスキルを持っていないとまず負けるだろう。不可能とは言わないがとても難しい。モンスターを倒すための賢い戦略とは言えないってわけさ。
――モンスターになるのは楽しいし、狩る側になるのも楽しいが、まだ戦略的な深みがうまく体感出来ていないと思います。どんな戦略があるんでしょうか?
Phil すぐにゲームに入ってプレイ出来るものでありつつ、同時に究極的には奥深いものにしたいんだ。すでにゲームに入っているものでも、ずっとプレイしていれば出てくるが、簡単には見えないかもね。
自分が好きな戦略は、レンジがない代わりに強力なフレイムスローワーを持つHYDEでモンスターに近づき、VALに背後からヒーリングでヘルスを満杯にしてもらい、さらにHANKにシールドガンでシールドを張ってもらうこと。これでヘルスは下がらずシールドもされているから、モンスターに正面から大打撃を与えられる。
ハンターとして、仲間の誰が何を得意としているかを見極めて戦略を立てるんだ。モンスターとなったプレイヤーのスキルが高ければ、それを見抜いて対抗してくるだろう。お互いの動きを見ながらのせめぎ合いが楽しいゲームで、Evolveという名前がふさわしいのはこのためだ。勝利を得るためには常に変化していかなくてはならないのさ。
――他のゲームモードもあると思いますが、常にモンスター対4人のハンターなんでしょうか?
Phil そうだ。すべてのゲームモードは、ハンター対モンスターというコアの戦いにフォーカスしている。これから発表していくゲームモードではこのコアの戦いが異なる状況の中で行われる。
ちょっと話すと、ハントモードでは、モンスターがステージ3になったら目標物(ジェネレーター)を破壊することを選択出来る。他のモードでは必ずしもそうではない。他に対処しなければならないものが登場する。
――今回、同じクラスの中に異なるキャラクターがいることがわかって面白いと思ったんですが、ありがちなのは「このクラスはこのキャラを使わなきゃ」みたいな定石が生まれてしまう可能性です。特定のクラスで、あるキャラクターを取らないと他から批判されるといったことはないのでしょうか?
Phil どんなゲームをプレイしても批判的なプレイヤーは当然いる。あくまでもチームワークなので、お互いにサポート出来るように考えていくのが賢明だね。
自分としては、プレイヤーが複数のキャラクターでプレイを楽しめるようになって欲しい。どれかひとつに固執する場合のも結構だが、もしゲームが良く出来ていれば、複数のキャラクターを試してみて、いろいろ気に入ってもらえるはずだ。ハースストーン(Blizzardのオンラインカードゲーム『Hearthstone: Heroes of Warcraft』のこと)などのゲームでは色々なキャラクターを試すだろう? そういったバランスを目指したいね。
――ロボットやデイジーのような一風変わったキャラクターを他にも期待していいですか?
Phil ああ、これからもクールで変わったものがたくさん出て来る。MAGGIEはデイジーというペットがいるので面白くなっている。みんなペットは好きだしね。ローンチでも期待してもらえるし、DLCなどでも追加出来ればよいと思っている。それが自然なことだ。
――ところで、1体のモンスター対4人のハンターという非対称なアイディアはどこから出てきたんですか?
Phil 『Evolve』のアイディア自体は、『レフト 4 デッド』をやる前から持っていた。Chris(共同創設者でゲームデザインのディレクターChris Ashton)がかなり前から温めてきたものだ。
『レフト 4 デッド』のタンクバトルである程度うまくいくことが証明されたと言える。タンクを攻撃して倒さなくてはならない状況は、このゲームの中で最も緊張感が高まるところだ。4対1がクールかもしれないと思うきっかけになったね。
うちのスタジオでは、良いアイディアがあれば、どんなにみっともないプロトタイプでもいいから兎に角速攻で作ってみるようにしているんだ。みんな『Evolve』のアイデアが気に入ったから、4ヶ月ほどでプレイヤブルなプロトタイプを作って遊んだ。つまり自分たちは開発当初からプレイしているということになる。
こうしている理由は、もしゲームがダメなら4ヶ月でわかった方がいいからだ。3年開発してからダメだとわかるよりずっとマシだ。残念ながら世の中にはそういうゲームもある。3年開発して、実際プレイしたのは最後の半年なんて話を聞くが、これはものすごくリスクが高い。3年経ってしまったのでは、もう救いようがない。これはだれも望んでいないことだ。
ウチは自分たちがプレイしたいゲームを作りたい。アイディアが生まれたら出来るだけ早くプレイしたいと思う。
――今発表されているモンスターのゴライアスはゴジラのようなノシノシ歩きまわって火を吐くタイプですが、他のタイプ、例えば飛ぶモンスターなどは?
Phil 残念だが言えない。いま言えるのは、新しいモンスターがこれから出て来ること、それらはゴライアスとは大きく違うものだということだ。まぁ、皆さんの想像力を働かせてもらえれば、ほど遠くはないものが出て来るはずだよ。
(文・取材・写真・編集:ミル☆吉村)