2Kとタートルロックスタジオが送る完全新作

 先日、2Kにて、プレイステーション4、Xbox One、PC用の新タイトル『Evolve』(2014年秋発売予定※1)のメディア向け体験会が開催された。『Evolve』は、4名のハンター(人間)と1体の強大なモンスターが、架空の惑星で対峙するマルチプレイサバイバルアクション。ハンター側のみならず、モンスター側の操作までプレイヤーが担当できる点が特徴だ。本作の開発を担当するのは、 タートルロックスタジオ。当スタジオは2002年に創設され、『カウンターストライク』シリーズのプロジェクトに関わったあと、2008年に『レフト4デッド』の開発を担当して大ヒットを記録した。
※1 日本国内における発売日は調整中

ハンターになってモンスターを狩るか? モンスターになってハンターを襲うか?

『レフト4デッド』を開発したタートルロックスタジオの野心作『Evolve』の体験会に潜入!_03
▲ジョン・ブロック氏

 体験会の冒頭には、タートルロックスタジオのプロデューサーであるジョン・ブロック氏によるプレゼンテーションが行われ、『Evolve』のアピールポイントが紹介された。

■協力プレイでモンスターを狩るハンター
ジョン・ブロック氏(以下、ジョン) 『レフト4デッド』の協力プレイと、『カウンターストライク』の対戦プレイ・機械的なモチーフを融合させて、2011年ごろから開発を進めたのが、本日ご紹介する『Evolve』です。『Evolve』では“シアー”という惑星を舞台に、4人のハンターと1体のモンスターが対戦します。ハンターには4つのクラスがあり、それぞれ異なる装備や能力を備えています。たとえば、“アサルト”は攻撃に特化したクラスですが、“メディック”は味方を回復したり、ライフルでモンスターに弱点を作り出すことができます。ハンターはそれぞれの力や武器をうまく活用し、チームとして協力しなくてはなりません。

■シングルプレイでハンターを襲うモンスター
ジョン 皆さんが過去にプレイしたゲームと大きく異なる点は、AIが操作するモンスターと対戦するのではないことです。AIが動かすモンスターは、プレイ経験を積むことによって攻撃パターンを読めましたが、『Evolve』ではモンスターも人が操作するので、プレイするたびに異なる展開が待ち受けています。

■対戦に大きな影響を与える自然環境
ジョン 惑星シアーの自然環境は、たんに見た目が美しいだけにとどまらず、さまざまな動植物が登場します。その中には、無害なものもあれば、近づいたハンターを食べてしまうような攻撃的な植物もあります。モンスターは野生動物を吸収し続けることで進化しますが、モンスターにとっても危険な生物が存在します。

■協力/対戦プレイが融合したゲームシステム
ジョン 対戦型FPSなど、協力的なゲームプレイを好む人は、ハンターとしてプレイすることを楽しんでいただけるでしょう。あるいは一匹狼になって、ひとりで複数の敵を倒すのがお好みの方は、モンスターとしてプレイすると楽しんでいただけると思います。本日の体験会に登場する“ゴライアス”というモンスターは、非常に頑強な肉体を備え、とても攻撃的です。圧倒的なパワーを生かして攻撃し、さらには長距離をジャンプしたり、高い壁をよじ登ったり、火を吐いたりします。

『レフト4デッド』を開発したタートルロックスタジオの野心作『Evolve』の体験会に潜入!_01
『レフト4デッド』を開発したタートルロックスタジオの野心作『Evolve』の体験会に潜入!_02
▲PC(DELL ALIENWARE)を使用して、4対1の対戦をプレイ。プレイ前には、スタッフから入念なレクチャーが行われた。
▲ハンター側の4人には、クラスに特化した立ち回りはもちろん、密な連携が求められる。

プレイインプレッションモンスター編

 今回の体験会でプレイしたのは、“ハント”というゲームモード。プレイヤーは、4人のハンターと1体のモンスターに分かれて対戦する。ハンター側の目的は、制限時間内にモンスターを倒すこと。一方のモンスター側は、人間側の基地内にあるジェネレーターを破壊するか、ハンターを全滅させることが目的となる。ファミ通.com取材班は、まずモンスター側を担当し、“ゴライアス”という二足歩行型のモンスターを操作した。最初から使えるアクションは、以下のようなものがあった。
・通常攻撃……腕を振るって殴る
・ジャンプ……跳躍して長距離を移動する。速く移動したいときにも便利
・ダッシュ……走って移動する。大きな音がするためハンターに見つかりやすくなる
・よじ登り……崖や壁を登る
・スニーク……隠密行動。移動は遅いが音を立てず、足あとも残さない
・スメル……匂いをかいで、一定範囲内にいるハンターや野生動物の居場所を特定する
・捕食……倒した野生生物を吸収して、進化するためのゲージを溜める

 モンスターがハンターと決定的に異なる点は、フィールド上に生息する野生動物を倒して、吸収し続けることで、最大3段階まで進化できること。本作のタイトルになっている“evolve(進化する)”という言葉は、この“モンスターの進化”に由来しているわけだ。モンスターが進化すると体が大きくなって頑強になり、使えるアクションも増えていく。初期状態の攻撃手段は、通常攻撃のほかに、岩を投げたり、炎を吐いたりするアビリティからふたつを選択して使うことになるが、進化すると4つすべてのアビリティを使いこなせるようになった。

 ハントモードでは、モンスターがハンターたちよりも30秒早く行動を開始できる。「しょっぱなからハンターを相手に大暴れ!」できるのかと思いきや、序盤は意外にもスニークアクションに徹するのがおすすめとのこと。あえてハンターの開始地点に近寄って奇襲をしかけることもできるが、初期状態のモンスターは能力が低いので、返り討ちに遭うリスクが高い。できるだけハンターに見つからないよう身を隠しながら、フィールド上の野生生物をぶん殴って吸収し続け、進化をくり返すのだ。とはいえ、ハンター側からはモンスターの足あとが見えるため、いつの間にか追いつかれて攻撃を受けることもたびたびあった。

 その後、“戦っては逃げる”をくり返しつつ、すべての攻撃アクションが使える第3形態までようやく進化! ハンターに岩を投げつけて昏倒させたところを踏みつけたり、炎を吐いて継続ダメージを与えたりと、“ゴライアス”が持つ能力をフルに使ってハンターたちを全滅させることができた。モンスターのアクションは豪快そのもので、小さなハンターたちを蹴散らすと痛快! ただし、最終形態に進化するまでゴリ押しは効かないので、モンスターといえども戦略的に動かないと勝てないと感じた。

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プレイインプレッションハンター編

 初戦をモンスター側で勝利したあと、今度はハンター側に回ってプレイした。ハンターのクラスは1種類ずつに固定されているので、たとえば“攻撃役のアサルトを2名”といったように編成を変えることはできない。今回の体験版で用意されたクラスは4種類だけだったが、製品版では同じクラスでもバリエーションの異なるハンターが選べるとのことだ。

■MARKOV(アサルト:攻撃力に特化)
【装備】
Lightning Gun……近距離で大ダメージを与える
Assault Rifle……中長距離からダメージを与える
Arc Mines……フィールド上に仕掛けて爆発させる地雷
Personal Shield……一時的に無敵化する全方位シールド

 攻撃特化型のクラス。Lightning Gunは射程が短いものの、威力がとにかく大きいので、できるかぎりモンスターに接近して、大ダメージを与える戦いかたがメインになる。基本的にモンスターへの攻撃に集中することが仕事なので、味方との連携をさほど意識する必要がなかった。初心者に扱いやすいクラスという印象だ。

■VAL(メディック:チームの回復役)
【装備】
Medgun……味方の体力を直接回復できる銃
Healing Burst……一定範囲内にいる複数の味方を回復する
Anti-Material Rifle……一時的にモンスターの弱点を作り出す
Tranquilizer Rifle……モンスターを一時的に弱体化させる

 ミリタリーFPSでもおなじみのメディック。モンスターに弱点を作ったり、弱体化させたりと攻撃の補助もこなせるが、まずは味方の回復に専念することが重要。ハンターがひとりでも欠けると、時間が経過して復活するまで戦力が大幅に下がってしまうため、無理な戦いは避けて戦力の維持に努めなくてはならない。ゲームプレイのアドバイスを与えてくれたタートルロックスタジオのスタッフによると、「メディックは生き残ることが仕事」とのことだ。Anti-Material Rifleはモンスターの皮膚を貫通できる狙撃銃で、命中した箇所をほかのハンターが攻撃すると、通常ダメージにボーナスが追加される。

■HANK(サポート:味方の攻撃と防御を補助)
【装備】
Laser Cutter……モンスターを切り刻んでダメージを与える
Shield Gun……味方を一時的に無敵状態にする
Cloaking Device……自分と近くの味方の姿を一時的に消す
Orbital Barrage……指定したポイント周辺に強力な空爆を行う

 味方を攻撃・防御の両面から支えるサポート役。接近戦が発生しやすいアサルトについていき、Shield Gunで無敵状態にすることが、おもな役割となる。Shield Gunはターゲットとのあいだに障害物があると効果が途切れてしまうが、照準を合わせ続けているかぎり、味方を無敵状態にできる。また、ポイントを指定して数秒後に空爆を加えるOrbital Barrageがかなり強力。一度使うと再使用可能になるまで時間がかかるので頻繁には使えないが、開発スタッフからは「モンスターが一ヵ所に留まっていたら、とりあえず空爆!」とアドバイスされた。

■GRIFFIN(トラッパー:モンスターの追跡・捕獲の専門家)
【装備】
Sound Spike……モンスターの接近を検知して味方に知らせる設置型センサー
Harpoon Gun……モンスターを一定のあいだ拘束する
Mobile Arena……モンスターを一時的に一定エリア内に閉じ込める
Submachine Gun……ダメージを与える

 モンスターの発見と拘束を得意とするクラス。モンスターは基本的に身を隠してどんどん進化しようとするので、ハンター側の戦略としては、進化の進んでいない早い段階でモンスターを発見して、決着をつけたいところ。モンスターが通ると思われる場所にSound Spikeを設置し(最大8個まで設置可能)、モンスターを発見したらMobile Arenaを発動して一定エリア内に閉じ込めるのがおもな仕事となる。また、戦闘が始まったらHarpoon Gunでモンスターを拘束し、味方に攻撃させやすくすることも大事だ。トラッパーがモンスターをうまく発見しないことには、いつまで経っても攻撃を始められないので、チーム内での責任は重大。しかしセンサー(Sound Spike)を設置する場所を決めるには勘どころが重要なので、上級者向けのクラスだと感じた。

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『Evolve』プロデューサーのジョン・ブロック氏に直撃インタビュー

──『Evolve』のメインコンセプトは何でしょうか。
ジョン “人間対モンスターの戦い”がコアとなるコンセプトです。ハンターには4つのクラスがあり、各クラスにさまざまな能力や装備をもつキャラクターが用意されています。一方、モンスターは4人のハンターからなるチームに対して、ひとりで対戦します。モンスターにも、さまざまな能力が備わっています。
──タートルロックスタジオが手がけた『レフト4デッド』も、『Evolve』のゲームコンセプトに影響していますか?
ジョン 弊社のリードデザイナーであるクリス・アシュトンは、『レフト4デッド』を開発する前から、『Evolve』のアイデアを温めていました。『カウンターストライク』や『レフト4デッド』の開発を通して、アイデアが徐々に膨らんでいったのではないかと思います。
──『Evolve』はFPSやシューターの初心者でも楽しめますか?
ジョン 誰にでも取っつきやすいゲームですので、初心者の方にも楽しんでいただけると思います。また、プレイしていくなかで気づくことも多く、非常に深みのあるゲームですので、長くプレイできるようになっています。ハンターのほうは、FPSや協力プレイ、素早いアクションが好きな方に向いていると思います。一方、シングルプレイが好きな方なら、モンスターでプレイしたほうが楽しいかもしれません。まだ詳細は申し上げられませんが、マッチメイキングではどのようなプレイヤーであっても、最適なゲームプレイを体験していただけるようにしたいと思います。
──発売時には、多くのモンスターやハンターが用意されるとのことですが?
ジョン モンスターは、今回プレイしていただいた“ゴライアス”以外にも複数用意されます。それぞれのモンスターが、プレイスタイルや能力、ビジュアル面でかなり異なります。また、ハンターには4つのクラスがありますが、それぞれのクラスに対して複数のハンターが用意されます。各ハンターの基本的な役割はクラスごとに同じですが、装備や能力は異なります。
──ゲームモードも“ハント”以外に複数用意されるのでしょうか?
ジョン もちろん、製品版ではほかのゲームモードでも楽しんでいただけます。どのモードでも、“4名のハンター対1体のモンスター”という図式は変わりませんが、ルールや利用できるアイテムが異なります。ソロプレイに関しては具体的に申し上げられませんが、対戦ではプレイヤーが5人揃わなくても、ひとりからプレイできます。プレイヤーが足りないぶんは、AIが補う形になります。
──ハンターやモンスターに成長要素はありますか?
ジョン 現時点では具体的に申し上げられないのですが、ゲームプレイをしていただくなかで、プレイヤーのゲームプロフィールと紐づけて、さまざまな形でキャラクターを育てていくことができます。また、モンスターでもハンターでも、エリートクラスの野生生物を倒すとボーナスを得て、キャラクターを強化できます。
──オンラインプレイでは世界中のプレイヤーどうしが対戦できるのでしょうか?
ジョン その点について、気にされている方がいらっしゃることは認識していますので、なるべく世界中のプレイヤーにとってベストなゲーム体験を提供できるように検討しています。
──DLC(ダウンロードコンテンツ)は予定されていますか?
ジョン もちろん、発売後のサポートも提供いたしますので、その中にはDLCも含まれると思います。すでに発表されている範囲では、海外では予約特典として最初の追加モンスターを無料でダウンロードしていただくことが可能です。
──最後に日本のユーザーへメッセージをお願いします。
ジョン 『Evolve』は非常にユニークなゲームです。実際にプレイしていただければ、皆さんが味わったことのないようなゲームプレイ体験を感じ取っていただけると思いますので、ぜひ楽しみにしてください。

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 ありそうでなかった“4人対ひとりの対戦”が楽しめる『Evolve』。4人チームで協力しながら戦うハンター側は、役割分担がかなり明確に分かれていて、それぞれのクラスがチームに不可欠な存在として活躍できる。装備もユニークな効果を持つものばかりなので、既存の対戦型FPSやアクションシューターに遊び慣れたユーザーでも、新鮮な印象を受けるだろう。もう一方のモンスター側は、自分がボスモンスターになった気分を味わえるのが魅力。一度の対戦プレイのなかで何段階にも進化し、攻撃アクションが増えていくシステムが秀逸だ。
 北米版『Evolve』の発売は2014年の秋とアナウンスされているが、日本版の発売日は未定。日本での展開については今後発表される予定なので、続報にぜひ期待してほしい。
(ライター/ムライサトシ)