日本国内でも2019年9月27日にプレイステーション4版が発売されることが決定している『トロピコ6』は、大統領となって国家を運営していくシミュレーションゲーム。独裁者にもなれるというゲーム性や丁寧な作りにより、日本でも熱心なファンが多いシリーズだ。
日本ではスクウェア・エニックスから発売される同作。海外でのパブリッシャーはカリプソ・メディアだ。本社を構えるのは地元ドイツとのことで、ちょっと南米を思わせる“カリプソ”という語感からすると少し意外な感が……。そんなことをぼんやりと考えながら、gamescom期間中にカリプソブースで、『トロピコ6』のプレゼンを受ける機会があったので、その模様をお伝えしよう。プレゼンを担当してくれたのは、QA & サブミッション マネージャーのコンスタンティン・サワー氏。家庭用ゲーム機版を使っての初のデモとなった。
海外では3月にPC版がリリースされている『トロピコ6』だが、ユーザーの85%以上が高評価を与えたとのことで、「シリーズファンにも新しいユーザーにも評価していただきました」とサワー氏。本作の特徴は、シリーズ初の複数の島の同時運営。それだけバリエーションに富んだ国作りが可能になるのだ。最初はメインの島でのみプレイ可能で、交通手段ができるにつれ、ほかの島に移動できるようになるという。各島は、「この島はココナツが取れる」「ここは金鉱」といった具合に得られるリソースが異なっており、各島を活用したほうが、得られるメリットも多い。
また、本作では前作までのいわゆるストーリーモードにあたるキャンペーンは廃されており、ミッションをこなしていくというゲーム性になっている。これは、前作の『トロピコ5』のキャンペーンに厳しい評価を与えたユーザーも少なくなかったことから、「ユーザーに幅広い遊びかたをしてほしい」ということで変えたとのこと。
さらにサワー氏からは、本作でも前作同様最大4人によるマルチプレイも可能で、協力プレイや戦争などもできるといった魅力が語られた。
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大統領もカスタマイズ可能。女性にもできる。
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宮殿もカスタマイズ。あまりに豪華にしすぎて、国民からひんしゅくを買う……ということもあるのかしら。
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前述の通り、PC版が3月にリリースされている本作。ユーザーからは「評価の高いところも、少し気に入ってもらえなかった部分もあります」(サワー氏)とのことだが、もっとも好評だったのが海賊の要素。これに近いシステムが『2』にはあったという“海賊”は、文字通り海賊を雇って他国から資源を奪うという行為。海賊となるとおだやかではないが、他国から資源、とくにその国のランドマークを奪うと、“他国からの攻撃のダメージを5%軽減する”といった、ゲームを有利に運べるような特殊スキルを付与されるとのこと。ただし、あまり海賊行為をしすぎると、他国との関係値も悪くなり、戦争を仕掛けてくることもあるというから、なかなかに悩ましい。
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他国から海賊行為を働くこともできる。あまりに関係値が下がると戦争が……。
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彦根城を盗むことができた! 海賊行為といったってスケールが大きすぎ! そもそもヘリコプターで運んでいるし。
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国家を運営していく本作にあって、大切なのは国民のストレスをいかに溜めさせないか。そのためには、国民の動向をつねにチェックしておく必要がある。「国民が病院がないことを不満に感じていたら、医療施設を設置する」(サワー氏)といった具合だ。ただし、ギリギリのところでゲームを進められるのも『トロピコ』。テレビ料金を有料にしたり、家賃を上げたり……と、大統領の懐を潤わせる手段はいくらでもある。ちなみに、本作では国の施策の決定をどうするかを選ぶことができる。“国民投票による”か、“大統領の一存で決められる”か……といった具合だ。その判断をできるのは大統領の気持ちひとつなので(つまりボタンをポチッと押せばよい)、まあ“独裁国家運営シミュレーション”と言われるゆえんであろう。ただし、あまり国民にストレスを与えてしまうと、暴動が起きてしまうので要注意。国民の不満が溜まりに溜まって、大統領の宮殿を破壊されてゲームオーバー……なんてことにもなりかねない。
かように、いわゆる“搾取”も可能な本作だが、気になってユーザーのプレイ動向を聞いてみると、「国民と良好な関係を築きながらプレイする人が多いですよ」とサワー氏。
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他国のスパイを逮捕しして、刑務所で働かせるといったことも可能。
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国民にはひとりひとり名前や略歴などがある。ちゃんと住んでいる場所も決まっている。ちょっとあだやおろそかなことはできないなあ……。
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白書をしっかりとみて、国民の動向を見極めなければならない。それは独裁者でも良心的な大統領でも共通。
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「シミュレーションというと、どうしてもPCのキーボードとマウスによる操作のほうが快適というイメージがあって、それを変えるためにコンソールではUIを最適化している」と、サワー氏が語るとおり、家庭用ゲーム機での操作性に自信を持つ『トロピコ6』。最後に日本のシミュレーションファンに向けてメッセージをお願いすると、「家庭用ゲーム機ユーザーにも楽しんでいただける1作です。楽しみにしていてください!」との、力強いコメントをいただいた。
以下、プレイステーション4版の最新のスクリーンショットを紹介。こんな国家を作ってみたいですなあ。
さらにアートワークをお届け。“I WANT YOU”がイカしてます。
文・取材・撮影:編集部 古屋陽一