「目指したのは、口ずさめるメロディー」 『シャイニング・レゾナンス』の音楽についてElements Garden藤田氏が語る

更新日時:2020-08-11 19:54:27

ときにはちょっとコントローラを置いて、曲に耳を傾けてほしい

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これまで、数々の『シャイニング』シリーズタイトルの歌曲を生み出してきた音楽制作チーム“Elements Garden(エレメンツ・ガーデン)”。『シャイニング・レゾナンス』では、歌曲だけでなく、ゲーム内で流れるすべての楽曲をElements Gardenが制作しています。

今回は、Elements Gardenの藤田淳平氏のインタビューをお届け。本作の音楽のコンセプトや、曲を作るうえで意識したことなどについて語っていただきました。

※本記事は、東京ゲームショウ 2014で配布された冊子『週刊シャニ通』に掲載されたインタビューに、加筆・修正を行った完全版です。

■藤田淳平(Elements Garden)
Elements Gardenに所属する作曲家。多数のアーティストに楽曲を提供しているほか、ゲームやアニメの楽曲制作にも参加。コンテンツにマッチする曲を作ることを心がけている。『シャイニング・ブレイド』、『シャイニング・アーク』には、キャラクターソングの作編曲として携わっている。


■Elements Gardenならではの個性を活かした曲作り

――始めに、『シャイニング・レゾナンス』の楽曲のコンセプトを教えてください。

藤田淳平氏(以下、藤田) ひと言で言うと、“王道ファンタジーRPGの音楽”です。それから、BGMだけれども、背景に溶け込みすぎずに、ゲームプレイを盛り上げられる曲にしたい、と考えて作りました。

――楽曲について、セガのスタッフの方からはどのようなリクエストがありましたか?

藤田 「民族系の楽器を取り入れてほしい」というご要望をいただいたので、ケルト音楽で使われるティン・ホイッスルという笛をメロディーに使ったり、バイオリンを民族系の音楽のように弾かせてみたりしています。ただ、コンセプトはあくまでも“王道ファンタジー”ですので、民族音楽らしさを強く打ち出してはいません。すべての楽曲に民族系楽器を使っているわけでもないですし。

――ということは、民族系とは異なるジャンルの楽曲もあるのでしょうか。

藤田 ゲオルグやエクセラなど、帝国のキャラクターが登場するシーンで流れる楽曲は、重厚なクラシック調のものが多いです。民族系の音は、おもに主人公サイドの楽曲に使っています。

――Elements Gardenには多くの作曲家の方が所属していますが、『シャイニング・レゾナンス』の曲作りはどのように進めていったのですか?

藤田 BGMは僕と藤間仁、エバン・コールの3人で分担して作りました。歌曲は、その3人に加えて、喜多智弘も参加しています。それぞれ、自分が得意としているジャンルの楽曲を担当した形です。最後の監修は、僕が行いました。

――メンバーの皆さんが、ご自身の強みを活かして作曲した曲を、藤田さんが取りまとめたのですね。

藤田 そうですね。藤間は民族系のギターの奏者でもあるので、民族色のある音楽が得意です。それと、彼はスーパーファミコン時代の王道RPGを遊んできた経験からか、RPGのエッセンスを出すのが上手なんですよね。バトルの楽曲の盛り上げかたはすごいですよ。

――エバンさんはどんな曲が得意なのですか?

藤田 エバンは映画音楽に造詣が深いので、そのイベントシーンの雰囲気を表現するのがすごくうまいです。たとえば、ピンチのシーンであれば、焦燥感や絶望感を曲で表現しています。オーケストラ楽器で構築する曲作りも得意なので、壮大な曲も担当していますよ。

――では、藤田さんはどのような曲を担当されたのですか?

藤田 『シャイニング・レゾナンス』の曲の方向性を決めるのは僕の役割だったので、まず、芯となる旋律を作りました。最初にできあがったのは、タイトル画面で流れる曲と、草原のフィールドで流れる曲です。

――フィールド音楽は、プレイヤーが何度も聴くことになる、まさに“芯”と言える曲ですよね。

藤田 僕は『ドラゴンクエスト』シリーズが大好きで、すぎやまこういち先生の作ったフィールド曲はすべて印象に残っています。『シャイニング・レゾナンス』のフィールド曲も、皆さんの印象に残るような、口ずさめるメロディーになるように作りました。曲が前に出すぎてはいけないとは思いますが、ときにはちょっと手を止めて、ずっと聴いていたくなるようなものを目指しましたね。

――藤田さんが担当された曲の中で、お気に入りの曲を教えてください。

藤田 先ほども挙げた、タイトル曲と草原のフィールド曲。それから、ラストバトルとエンディングです。詳細は聴いてのお楽しみですが(笑)、ゲーム中で流れた楽曲をモチーフに組み立てています。

――まさに、王道の演出ですね。

藤田 ある楽曲のフレーズが、違う楽曲でも使われるという演出が好きなんですよ。「あの曲と同じフレーズだ」とわかると、気分が高まりますよね。エンディングは尺も長いので、聴きごたえがありますよ。

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■ゲームと一体化した歌曲とBGMによる演出

――Elements Gardenは、これまでに『シャイニング』シリーズの歌曲を手掛けていましたが、BGMを制作するのは、今回が初めてですよね。

藤田 丸ごと任せていただけたので、とてもやりがいがありました。BGMはゲームの演出に深く関わってくるものなので、シナリオやイラストはもちろん、開発中のデモシーンも見せていただきながら、曲を作っていきました。個人的に、3D表示のフィールドが大好きなので、画面を見ているだけでもワクワクしましたね。開発の皆さんと、近い距離でディスカッションしたうえで作っていけたので、イメージが湧きやすく、あまり悩まずに作曲できました。

――曲でゲームを演出するうえで、とくに意識したことは何ですか?

藤田 ゲームプレイと音楽が一体化していないといけないので、かなり気を遣いました。たとえばバトルなら、曲のテンポがプレイヤーのテンションと合っていないと、違和感を覚えられてしまいますから。ほかに意識したのは、曲の長さ。たとえばボス戦の曲は、ボス戦が長期化しても聴きごたえがあるように、通常の戦闘の曲よりも長めに作っています。

――『シャイニング・レゾナンス』の特徴のひとつとして、仲間が楽器を使って戦うことが挙げられますが、この特徴は曲作りに影響を与えましたか?

藤田 おもに歌曲を作るうえで意識しました。特定のキャラクターが持っている楽器をメインにしたメロディーを作ったり。BGMでも、たとえばエクセラが登場するシーンでは、彼女の楽器の音色が流れたりします。

――オープニングテーマ『虹の旋律』でも、バイオリンが使われていますね。

藤田 『虹の旋律』も、民族系の音を意識した曲です。笛とバイオリンが中心ですね。ソニア役の瀬戸麻沙美さんと、キリカ役の早見沙織さんに歌っていただきましたが、とても声が魅力的です。ソニアとキリカが力を合わせて歌っているようで。

――アニメやゲームのオープニングテーマは、勢いがある元気な曲が多い傾向にありますが、『虹の旋律』はちょっと趣が違うと感じました。壮大で、とても歌声がきれいで。

藤田 派手な曲ではなく、静かな海のような曲がいい、とリクエストをいただいたんです。歌声もあいまって、品のいい曲ができあがりました。

――ゲーム内でキリカが歌う“聖印歌(ルーンソング)”も、早く聴きたいです。

藤田 四季をテーマにしたキリカの歌は、藤間が作曲を担当しました。藤間は歌作りの経験が豊富なので、歌ごとに変化をつけるのがうまいと思います。さらに、早見さんの声が曲の世界観にマッチしていて、聴いていて癒されます。早見さんと初めてお仕事させていただいたときから思っていることですが、本当に魅力的な声をお持ちですよね。メロディーがシンプルな曲でも、単調にならないですし。早見さん自身が楽器のようです。

――四季の歌以外には、どのような歌があるのですか?

藤田 ほかにも歌曲はいくつかありますが、それはプレイしていただいてからのお楽しみです。

――『シャイニング・レゾナンス』が発売されたら、じっくり聴きたいと思います。それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。

藤田 最初の曲から最後の曲まで、しっかりと力を入れて作っています。ぜひがんばってクリアーして、エンディングまで聴いてください。僕もプレイするつもりですので、がんばります!

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Elements Gardenが作曲した曲の一部は、プロモーションビデオや、公式サイトのミュージアムページプロローグ小説『竜奏騎士たちの前奏曲』のサイトで視聴できます。ひと足先に曲を聴きたい人は、ぜひチェックしてください!

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シャイニング・レゾナンス
■タイトル
シャイニング・レゾナンス
■ハード
プレイステーション3
■ジャンル
竜と奏でるRPG
■発売日
12月11日(木)発売予定
■価格
通常版・ダウンロード版は
8222円[税抜](8880円[税込])
フィギュア付き特別限定版は
16800円[税抜](18144円[税込])
■CERO
15歳以上対象
■備考
キャラクターデザイン:Tony(AlbionWorks)、開発:メディア・ビジョン、キャラクターモデル制作:フライトユニット、楽曲制作:Elements Garden、シナリオ監修:火野峻志
■発売・販売
セガ
©SEGA