洋ゲーライターBRZRKによる連載“BRZRKのうるせー洋ゲーこれをやれ”。今回はFPS『MOUSE:やとわれの探偵』をレビュー。プレイステーション5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/PCで4月17日より発売予定。日本語にもテキストで対応する。
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ドモー。日本が舞台の『Forza Horizon 6』がなにげに楽しみなので早く遊びたいなぁと思うBRZRKです。「久しぶりにハンコンひっぱり出すか!」と思ってたけど壊れて捨ててたので、普通のゲームパッドでやるしかなさそう。 今回紹介するのは『Cuphead』みたいな1930年代のカートゥーン調のアートスタイルが大きな話題を呼んだFPS『MOUSE:やとわれの探偵』だ。
ノワール調で描かれるハードボイルドな探偵物語
さて本作、モノクロのカートゥーンを彷彿とさせるデザインが目を引く上に、主人公や登場人物たちがネズミを主体としているためどうしても“例のネズミー”が頭をよぎると思うが、実際遊んでみるとアレのパロディ的な感じとは非なるものに仕上がっているのに驚いた。
本作の主人公はネズミの私立探偵ジャック・ペッパー。戦争の英雄であった彼がとある小さな事件を調査し始めたことをきっかけに、街を揺るがす大きな騒動へと発展していく……という内容で、モノクロなのはグラフィックだけでなく、語り口調もノワール調でハードボイルドだ。
なので圧倒的にまず「レトロなカートゥーンスタイルでFPSを作りたい!」という欲求があって、あくまでその上で種族に人類に近いネズミを単に選んだという感じなのだ。まぁモノクロのカートゥーンだと、アレかフィリックス・ザ・キャットあたりに寄っちゃうよね。

ジャックを演じるのはトロイ・ベイカー。デスストのヒッグスとかラスアスのジョエルとか『バイオショック インフィニット』のブッカーとかいろいろやってる売れっ子だけど、今回はハードボイルドな探偵感に全振り。でもよくわからん皮肉がネズミ界でのたとえになってたり。
ストーリーを軸に進行していくエリアクリアー型シューター
ゲームの体裁は、ジャックの捜査に合わせて進行していくエリアクリアー型FPSといったところ。戦闘は、敵が出現すると入り口と出口が封鎖され、全部倒すと進めるようになるクラシックなアリーナ形式を採用している。そうして探索や戦闘を通じて事件の手がかりを入手し、それを頼りに次のマップに飛び込んでいくといった感じだ。
レトロFPSではよくある仕組みだけど、各エリアには武器の強化に関連するアイテムや、新聞やコミックの切り抜きなどのサブテキスト、ミニゲームに使うベースボールカードなどのアイテムが隠されていたりもするので、脇道や隠し部屋なども探しつつ攻略を進めていくことになる。

クラシックカーを地図上で動かしていく形でマップ間の移動が表現されてるんだけど、描かれてる街の雰囲気がレトロですげー良い

それまでに得た情報を捜査ボードに貼り付けて精査し、発見した新たな糸口を頼りに次のエリアに進む……という感じ
ジャックが捜査で向かうことになる各エリアはそれぞれ異なる舞台(というかテーマ)となっており、オペラで使用されるような劇場や、山奥にそびえる邸宅、はたまた汚職警官だらけの警察署など、見た目も雰囲気もガラリと変わる。なので、同じような風景が続くことで飽きるといったことは無い。
ゲームを進めていくと新たな武器が手に入るだけでなく、ダブルジャンプやグラップリングにウォールランといった移動アクションを習得できる。序盤こそ平面的な動きが多いんだけど、次第にこれらの追加アクションによる縦軸での動きが入ってくるので操作していて結構楽しい。

ホーンテッド感ある雰囲気のエリアなんかも登場する

隠しエリアが匂わせ気味にチョロっと見えてることもしばしば。どうやってここに入ればいいのだろうか?
そしてこれらのエリアにはそれぞれボスが用意されていて、ガチンコの撃ち合いをやる場合もあればステージギミックを駆使して戦うような場合もあって、アリーナシューターが陥りがちな一辺倒な構成にならないよう工夫されている。
1つのエリアを攻略するのに要する時間は約30分前後で、じっくり探索しても40分かからない程度。緩急がしっかりとつけられているので、ダレずに遊び通すことができた。

フィールド内の隠し要素として置かれている“ブループリント”を集めると武器を強化できる(※特定の武器の設計図なのではなく、強化ポイントのような扱い)。装弾数やダメージの向上などの恩恵が大きいので、探しまくれ!

ベースボールカードはバーでの対戦カードゲームに使える。勝つとご褒美もあるので、いい感じのカードを集めていきたいところ。
シューター部分の設計はややライト寄り
シューターとしての作りについても見ていこう。本作は最初こそハンドガンしか持ち合わせていないが、前述したように物語の進行に合わせてショットガンや短機関銃など様々な武器を入手でき、またそれらを強化していける。

ショットガンは火力が高いものの、初期状態だと携行できる弾薬が少ない。強化して弾数を増やしたいところ
多彩な攻撃アニメーションは見ているだけで楽しいんだけど、射撃の設計そのものはちょっとライトめだ。弾の集弾性に遊びがあり、敵の攻撃もアバウトで、ヒット感はあまりない。でも敵の多くが柔めなので、デフォルト難度では戦闘に苦労することはないだろう。まぁ体格の良いキャラとかは少し硬さがあるけどね。
まぁ、ゴリゴリにエイムして敵を正確に撃ち抜いて……というシビアなFPSではなく、世界観を楽しんでバラバラとカートゥーン風な撃ち合いを楽しむと行った方向性なんだろうね。
筆者の推し武器は酸性の塊を射出する“デヴァニッシャー”で、敵に付着すると継続ダメージを与えることができ、ほとんどのモブは一撃で排除できるスグレモノ。さらに、倒した敵が肉が溶けて骨になり崩れていくというカートゥーンならではの演出もあって、見ていて楽しいので超オススメ!

デヴァニッシャーで敵を溶解! コミカルなアニメーションも相まって最高だ
BGMの狂騒的なビッグバンドジャズがアガる!
アートスタイルと組み合わさることで本作の雰囲気を確固たるものにしているのが、本作の優れたBGMだ。ワチャワチャしたな勢いのある戦闘にマッチするビッグバンドジャズをメインに、場面ごとのテンションに合う曲が流れてくるので否が応にもアガる。
また戦闘系のBGMが敵を排除し終わると自然な繋ぎでアウトロに移行するようになっていて、それもまた耳心地がかなり良いんだよね。
使用されているBGMの中でも、エンディングで流れたりするCaravan Placeの“Good Mouse”が良いんだけど、こちらは他の楽曲とは異なりダンスミュージック仕立て。YouTubeで本作のオリジナルアニメーションMVが公開されているので是非チェックしてほしい。ん~楽しげで良きかな。
ハードボイルドな物語を軸にきっちり構成されたナイスなFPS
以上、異色なFPSとなる本作をみてきた。最初こそ点でしか見えていなかった事件が段々と線で繋がっていき、次第にオオゴトになってクライマックスへ突入していく物語が面白かったし、クセがメチャクチャ強い登場キャラクターも見ていて楽しい。

探偵事務所の周囲にはいろんなキャラがいるので、捜査の合間に探索してみるとよし。
シューター要素については、あくまでもゴリゴリの撃ち合いではなくストーリーテリングと探索がメインで、その障壁として道中で敵と遭遇する……という、ひと昔前のゲームで言えば『バイオショック』に近い作りといった印象。
クリアまでに要した時間は途中寄り道しながらでも約11時間30分ほどで、ボリューム的にはかなり満足。ストーリーDLCもあるらしいので、そちらも期待して待ちたいところだ。
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著者近況:低気圧で頭痛がゲキヤバだぜ