2023年11月14日に発売された、PC(Steam)、スマートフォン向けゲーム『Refind Self: 性格診断ゲーム』(以下『Refind Self』)。「ゲームって性格出るよね?」をテーマに、ゲームのプレイスタイルで全23種類あるタイプから性格診断を行うゲームです。
たとえば、RPGの職業で考えてみましょう。ちょっと考えるだけでも、戦士や魔法使い、盗賊に狩人などさまざまな戦闘スタイルが思い浮かびますし、どれを好むかも千差万別だと思います。本作は、ゲームでのそういったプレイスタイルの違う部分を“性格の違い”として落とし込み、タイプとして診断してくれるのです。
以前、性格を16タイプに診断する“MBTI診断”が話題になりましたよね。あれは質問に対して「はい」、「いいえ」、「どちらでもない」といった回答を積み重ねることで診断結果が出ましたが、『Refind Self』はその工程が「ゲームを遊ぶ」ことに置き換わっているんです。
広告で“○○診断”という文字を見かけると、ついリンク先に飛んでいって診断をしてしまう方、占いが好きな方、自分探しをしたい方、『Refind Self』を遊んでみませんか。診断ゲームや占いが好きな筆者がプレイしながら考えたこと、迷ったところを挙げながらレビューをお届けしたいと思います。
※本稿はPLAYISMの提供でお送ります。
ゲームを開始して数十秒後、花を摘むか摘まないかでさっそく悩む
プレイヤーは、ロボットの少女を操作することで性格診断を行います。このロボットはとある博士に作られた、感情のあるアンドロイドのような存在です。
このゲームでは、選んだ選択肢や行動はもちろんのこと、選択肢を選ぶのにかかった時間や、何もしなかった時間も性格診断の物差しとしてカウントされます。とはいえ、深く考えて行動しては本来計測できる性格タイプが損なわれるというもの。おおよそ、こういった診断は「深く考えず、直感で選んでください」との指示があるのがお決まりですし。
そう考えたものの、筆者の足はプレイ開始数十秒後に止まってしまいました。
花です。ただ一輪、咲いているだけの花です。この花、アイテムを拾う感覚でボタンひとつ押せば摘んでしまえるのですが、ここで筆者は大いに悩みました。
これが“ゲーム”だったら迷わず摘むので拾ってしまおう。でもそれは性格診断ゲームとして正しいか?
現実世界で花が咲いていても摘もうとは思わないから拾わない。でもそれは“ゲームのプレイスタイルで診断する”このゲームの趣旨とズレていないか?
こんなことを考えてしまいました。
たとえば、筆者はふだんゲームをプレイするとき、マップは隅々まで探索したいし看板や書物のテキストは端から端まで読みたいしフィールドのアイテムは片っ端から拾うタイプです。他人の家にズカズカと入り込んでツボを割りますし、勝手に人様の机の上を物色し、タンスの中だって見ちゃいます。ゲームだから。
でも、それはあくまで“ゲームだから”。現実だったらそんなことはしません。
いま、混雑した駅のホームにいるとしましょう。進行方向の地面に、ハンカチが落ちていたらどうしますか? 私だったら見なかったフリをして、そのまま通り過ぎると思います。たったいま落とされた物だったら拾って落とした人を追いかけますし、落ちているのが財布だったら拾って駅員さんに届けたかもしれません。でもハンカチなら。駅員さんか、ほかの誰かが拾ってくれるだろうと思ってスルーする。これが“現実の自分”です。
ゲームのプレイスタイルと、現実の自分はまったく違う。
そのことに気づいて、現実の自分の体(てい)でゲームを進めるか、それとも純粋にゲームとして本作を楽しむか、悩みました。たった一輪の花で。
考えた末、筆者は“現実の自分の体(てい)”でゲームをプレイすることに。
よって花は無視。落ちている物も安易に拾わない。看板が出ている建物以外は入らない。
途中、「貧しいからコインをおくれ」と言うロボットがいました。ふだんのゲームならイベント見たさにコインを渡していたと思いますが、これも拒否。「お金を渡すのではなく、お金を稼ぐ方法を教えなさい」という信念に基づきました。
こういった感じで、端から見れば「周りにあまり興味がないちょっと冷たい人」みたいになってしまったのですが、診断結果は果たして。
意外にも診断結果は道徳色に染まる
結果は道徳カテゴリーの裁判官でした。ルールを重要視し、正義感の強い性格だとか。
『Refind Self』ではメインとなる性格タイプを含め、5つの性格タイプを抜き出します。メインをひとつ、サブ要素としてふたつ、潜在的な性格をひとつ、そしてもっとも遠い性格タイプをひとつ、の計5つです。潜在的な性格ともっとも遠い性格は、このゲームを2周、3周することで解放されます。
ちなみに筆者はメインが裁判官、サブが同じく道徳カテゴリーの平和主義者と聖職者、潜在的な性格が聖職者、そしてもっとも遠い性格は判断タイプの哲学者でした。
え、哲学者がもっとも遠い?
あんなに「現実世界の自分がうんたらかんたら」とか考え込んでいたのに?
これにもちゃんとソースがあります。ゲームを終えると“どの行動が診断に影響したか”こと細かに見られるので、「なぜこの結果になったのか」気になる人は覗いてみるといいでしょう。筆者の場合、選択肢が提示された場合に秒で選択していたため、熟考する傾向がある哲学者から離れていったと思われます。
何かを欲しがるキャラクターたちを無視したり、手伝いを断ったりしたのに道徳? とも思ったのですが、このログを見てある程度「なるほどな」と納得しました。
性格診断が完了すると、パラメータを記したIDが発行されます。このIDを使って、全国のプレイヤーと性格を比較することも可能です。
性格タイプのサンプル
ミニゲームも作り込まれていて楽しい
本作では、さまざまなミニゲームが楽しめます。NPCからお手伝いをお願いされたり、カジノでギャンブルをしたり、アーケードゲームで遊んだり、と種類は豊富。もちろんこのミニゲームも、プレイするかしないかというところからプレイの結果まで、性格診断の材料となっています。
ミニゲームのひとつひとつが作り込まれていて、こだわりを感じました。確実に1周ではプレイしきれない量です。筆者は3周しましたが、プレイできていないミニゲームもたくさんありそうなので、さらに周回を重ねようかなと思っています。
プレイを3周して自分の性格と、ロボットと博士の物語を明らかにしてほしい
先ほどもちょこっと触れましたが、本作は3回の周回プレイが推奨されています。
というのも、1周目で主要性格タイプ、2周目で潜在的な性格タイプ、そして3周目でもっとも遠い性格タイプを診断するからです。1周目で解けなかった謎解きを2周目に挑戦してもいいですし、3周目は思い切って自分がやらなそうなことぜんぶに挑戦してみてもいい。ミニゲーム制覇も夢がありますね。
上記の理由に加えて、プレイヤーが操作するロボットの少女と、彼女を作った博士にまつわる物語をぜひ見届けてほしい、という理由もあります。1周目では謎が多いままで終わるので、ぜひ周回プレイでさまざまな場所を訪れ、ふたりの物語を見届けてください。
余談ではありますが、本作の開発者であるLizardry氏は、日本ゲーム大賞2022のゲームデザイナーズ大賞で2位を受賞した『7 Days to End with You』を過去に開発した方でもあります。
『Refind Self』に前作『7 Days to End with You』を思わせるちょっとした小ネタがあって、『7 Days to End with You』をプレイしたことのある筆者は見つけてかなり嬉しかったです。このお客さんは、あの世界と何か関わりのある人なのかもしれませんね。
※『7 Days to End with You』……未知の言語を話す女性と7日間を過ごすアドベンチャーゲーム。会話や部屋にある物から単語の意味を推理し、言語を解読していく。
※本稿の画像はすべてSteam版のゲーム画面を撮影したもの。
『Refind Self: 性格診断ゲーム』
- プラットフォーム:Steam(Windows)/Google Play/App Store
- 発売日:2023年11月14日発売
- 発売元:PLAYISM
- 開発元:Lizardry
- 価格:Steam 920円[税込]、Google Play/App Store 600円[税込]
- ジャンル:アドベンチャー
- 対象年齢:IARC 3歳以上対象
- 備考:ダウンロード専売