ついにサービスが開始されたスクウェア・エニックスのスマートフォン向けRPG『ファイナルファンタジーVII エバークライシス』(開発はアプリボット)。
本作は『FFVII』や『クライシス コア -FFVII-』などの関連作品に加え、セフィロスの若かりしころが描かれる新規のオリジナルストーリーなど、各作品が章立てで配信され、壮大な『FFVII』の物語を網羅できるゲームアプリとなっている。
本稿では、そんな本作のローンチを記念し、クリエイティブディレクターの野村哲也氏、ディレクターの鳥山求氏、そしてプロデューサーの市川翔一氏にインタビュー。
『FFVII』シリーズにおける本作の立ち位置やコンセプトのほか、特徴やその魅力などについて話を聞いた。
リメイクのもう一つの可能性ー
本日9月7日に『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』の正式サービスを開始いたしました。懐かしくも新しい「ファイナルファンタジーVII」シリーズの世界観をぜひスマホでお楽しみください!
▼DLはこちら
https://t.co/tM5QxLlZW2
#FF7EC #FF7エバークライシス… https://t.co/hKUnlKrQR1 https://t.co/hWbLrQ15zz
— FFVIIエバークライシス | FF7EC (@FFVII_EC_JP)
2023-09-07 18:00:26
野村哲也氏(のむら てつや)
『FFVII エバークライシス』クリエイティブディレクター。
原作の『FFVII』ではメインキャラクターデザインを担当。その後の『FFVII』コンピレーション作品でもキャラクターデザインはもちろん、シナリオやバトルなど総合的に作品作りの中心的な役割を果たす。『FFVII』のリメイクプロジェクトでは、『FFVII リメイク』ではディレクター、『FFVII リバース』ではクリエイティブディレクターを担当。
鳥山 求氏(とりやま もとむ)
『FFVII エバークライシス』ディレクター。
原作の『FFVII』ではイベントプランナーを担当。『FFX』ではイベントディレクター、『FFXIII』シリーズではディレクターを担当。『FFVII』リメイクプロジェクトではCo.ディレクターとして、おもにシナリオデザンを手掛けている。
市川翔一氏(いちかわ しょういち)
『FFVII エバークライシス』プロデューサー。
『FFVII』関連作品ではスマホ向け『FFVII ザ ファーストソルジャー』のプロデューサーを担当していた。
『FFVII リメイク』や『FFVII リバース』を遊んだときそのキャラクターの心情をより理解できる物語に
――鳥山さんは“FFVII リメイクプロジェクト”(『FFVII リメイク』、『FFVII リバース』といったリメイク作品のプロジェクト)のCo.ディレクターとして、おもにシナリオデザインを担当されていますが、その鳥山さんが本作のディレクターを担当しているというのは、やはり本作と“FFVII リメイクプロジェクト”との関係性は深い、ということだと思うのですが、いかがでしょうか?
鳥山そうですね。『FFVII』の世界観をしっかりとスマートフォンの中に構築するという部分に責任を持つ、という意味でもディレクターを務めています。
ただ、それ以上にいちばん大きい理由は、新規のキャラクターエピソードがけっこうなボリュームで入っているからなんですよ。たとえば、『FFVII』本編もスマホで体験しやすくするためにエピソードを区切りつつも、その一方でサブストーリーを入れたり、キャラクターの深堀りをするエピソードを新しく入れたりとアレンジしています。ですので、『FFVII』関連作品との整合性を取って、矛盾や破綻のないストーリー体験を作りたい、という思いもありました。
野村初期はその辺りも自分ひとりで見ていましたが、鳥山の参加はより細やかに関連作とのブリッジができて、クオリティも一段階上がったと思います。
――原作『FFVII』に携わり、“FFVII リメイクプロジェクト”にも参加している鳥山さんだからこそ全体をしっかりチェックできると。
鳥山新しいストーリーとしては、運営が続くスマートフォンのタイトルということで、季節ごとにイベントも実施する予定なのですが、そこにちょっとしたキャラクターのストーリーなどを入れています。それらのキャラクターストーリーは、『FFVII リメイク』や『FFVII リバース』を遊んだとき、よりそのキャラクターの心情が理解できるようなものにしたいと考えているんです。
――おお、それは原作『FFVII』を遊んでいた世代にとっても楽しみな部分ですね。
鳥山それ以外にも、基本的なストーリーの流れはもちろんオリジナルに準拠しているんですけど、細かな部分で現代風のアレンジを入れているので、原作をプレイした方々にはその差も楽しんでもらいたいですね。
やはり原作にはところどころいまの時代にマッチしないセリフや描写などがあるんですよ。いまのユーザーが手にしたときに違和感のない、おもしろいと思えるものにしなければ原作『FFVII』の魅力も伝わらない、ということでセリフをアレンジしたところもあります。
あとは、野島さん(野島一成氏。『FFVII』シリーズのシナリオを手掛ける)の小説をもとにしたエピソードもゲームに落とし込んだりもしていて、たとえば、小説『FINAL FANTASY VII REMAKE Traces of Two Pasts』で描かれていたティファとアバランチのメンバーとの出会いなども盛り込む予定です。そのエピソードを知ると、『FFVII リメイク』でアバランチがなくなったときにティファが流す涙の重みも変わってくると思うんです。
――小説まで! ゲーム以外にこれまで描かれてきた『FFVII』関連のエピソードも盛り込まれる予定なんですね。本作はアプリボットが開発を担当していますが、開発チームの印象はいかがですか?
鳥山若い会社なので、元気のあるクリエイターさんが多いという印象ですね。これは現在の“FFVII リメイクプロジェクト”のチームにも言えるんですけど、意外と若い人ほど原点である『FFVII』に対するリスペクトが強くて、作品の世界を守ったうえで最大限表現できることを考えてくれるんです。アプリボットさんもそういう姿勢で取り組んでくれています。
CBTのユーザーアンケートは高評価改善すべき点はすぐに対応
――では、7月に行われたクローズドβテスト(以下、CBT)についてお聞かせください。公式サイトなどでもユーザーからの反響が公開されていましたが、全体的に満足度も高く、事前登録150万人は突破(8月29日現在)しています。いい手応えがあったのでは?
市川あれだけの評価がいただけたのは、素直にありがたかったですね。とくに『FFVII リメイク』がハイグラフィック、かつアクション性の高い新しい遊びかたを目指しているのに対して、『FFVII エバークライシス』はRPGらしいATB(アクティブタイムバトル)を進化させることに挑戦したタイトルですので、世界観も含め、そこを評価していただけたのは大きく手応えを感じた部分です。
鳥山本作のバトルは『FFVII リメイク』のような高精細のCGで表現しつつ、イベントシーンについては原作の3Dポリゴンを現代チックにアレンジしているので、懐かしさと新しさが共存していて逆にそこが新鮮なのかな、と思います。
いまのスマートフォンは当時のゲームハードよりもハイスペックなこともあり、モーションなども細かく表現でき、そうした作り込みが世界観としての評価につながったのではないでしょうか。
――たしかに、デフォルメキャラの仕草が細かくてすごくかわいらしい感じでした。
鳥山イベントシーンの演出やキャラクターの表現はアプリボットさんががんばってくださったところですね。
――フィールド上はオリジナルのようなデフォルメ、バトルはリアルな頭身でキャラというのは原作『FFVII』がそうだったから?
市川はい。『FFVII』ではダンジョンはデフォルメキャラで、バトルは頭身が高いキャラ、という原作『FFVII』の体験をベースにしています。
野村『FFVII リメイク』が発表されたときにも、もっとオリジナルに近しい形を望まれる方もいたので、『FFVII エバークライシス』はその声に応える部分も重視しています。懐かしさと新しさがある形として、今回の形にしています。
――改善の要望などもあったと思いますが、そこはどのように見ていますか?
野村おおむね自分が懸念していた部分が指摘されている印象で、CBTのユーザーの反応を踏まえて改善を検討する、といった方針だったので、これで改善に向けて動き出せるなという感じですね。
鳥山大きい問題点としては、おもに3つありました。
まずは、スタミナ消費のバランスですね。CBTではスタミナの回復に複数の制限がある仕様にしていたのですが、リリース版ではその点を修正しています。
ふたつめは、育成が重要なタイトルなのでバトルの周回が多くなるのですが、エンカウント時のラッキー感を得るためのサボテンダー(倒すと報酬や経験値が大量に入手できる)を複数種類追加しています。
3つめは、UIの根本的な部分になりますが、テキストのサイズですね。CBTでは文字が小さくて読みづらいという意見も多かったので、そこについても見直しています。
――CBTのフィードバックで対応できるものはどんどん改善していると。
鳥山こんなに(マスターアップの)ギリギリまで対応するタイトルはなかなかないんじゃないか、というくらい修正を入れています(笑)。アプリボットさんが、かなりがんばってくれています。
野村個人的にはまだもうちょっと改善したい、より楽しくしたいという部分もあるんですけど、リリースまでの期間でできる最善のことをやってもらいました。今後も随時楽しめるものにアップデートされていくと思います。そこは自分もきびしい目で見ていきます。
市川すでに冷や汗が止まらないです(笑)。本当に、我々としてもしっかりと覚悟を持って運営に臨もうと思っていますので、ぜひ安心して楽しんでいただければと思います。
エピソードやバトルの追加など原作とのさまざまな違い
――CBTをプレイすると、クラウドがエアリスと教会で出会った後にレノとのバトルがあったり、ビッグスやウェッジたちのちょっとしたエピソードが追加されていたり、物語の本筋は原作と変わりませんが、細かい変更が加わっていた印象です。そのあたりは、先ほどおっしゃったアレンジという部分でしょうか。
鳥山そうですね。レノ戦については、原作でレノと戦わなかったからといってそのまま再現してしまうと、章の区切りなのに盛り上がらない、ということもあって追加しました。レノ戦以外にも、原作を気にするあまり、ストーリーを見ているだけになる部分が長く続く箇所などは、私から開発サイドの皆さんに説明をさせていただいて、後からバトルを追加するなどしています。
――ゲームとしてのメリハリも考慮していると。
市川『FFVII エバークライシス』は、あくまで原作から大きく逸脱しないというルールで作っていて、その中でゲームとしてのおもしろさを出すための調整や、キャラクターをより深く知るためのアレンジが入っている、というイメージですね。そういったアレンジ部分は鳥山が加わってくれたことで、すごくいいバランスになっていると思います。
――原作と同じように会話中の選択肢が存在しますが、選択肢はデートイベントなどに影響するのでしょうか? というか、デートイベントは……ありますか?
市川そのあたりは皆さんご期待されているかと思いますので(笑)、ご期待に応えたいとは思っています。
鳥山今回はスマホアプリなので、ユーザーの動向などのデータを一部把握できますので、何かの機会にそういったデータもお見せできればいいな、とも考えています。
――本作は『FFVII リバース』の入り口のような役割も持たせていると思うのですが、『FFVII リバース』が発売される2024年初頭時点で、『FFVII エバークライシス』の物語はどのあたりまで進んでいる予定なのでしょうか。
市川現時点で詳しくはお伝えできませんが、ストーリーは基本的に毎月1章ずつ追加されていく予定です。リリースのタイミングでは“FFVII編”、“クライシス コア編”、そして“ファーストソルジャー編”の3つが実装されますので、そのうちのいずれかの章が追加されていく、というイメージですね。
鳥山“FFVII編”に関して言うと、『FFVII リメイク』で扱ったミッドガル編はサービス開始から全部遊べます。『FFVII リメイク』を作っていた身としては、「初日でもう越えちゃうの?」みたいな気持ちはあるんですけど(苦笑)。
市川『FFVII リバース』発売時には、『FFVII リメイク』で描かれていた範囲よりは先の、『FFVII リバース』をプレイする際にいろいろな情報が補完できるような状態を目指したいと思っています。
まだ誰も知らないセフィロスにクセの強い3人のソルジャーが絡む
――“ファーストソルジャー編”はセフィロスが短髪なのも新鮮ですね。
野村短髪にするかロングにするかはけっこう悩みました。ですが、伸ばすにしてもあそこまでの長髪となると何らかの思想があって伸ばすだろうと思い、まだ白紙の状態を表現しようと思いました。
また、みなさんが知るセフィロスとのギャップがあったほうがいいかなと思い、今回は短髪にしてみました。
――ローンチトレーラーでは、あのクールなセフィロスが少年らしい反応を見せていたのも印象的でした。
野村『FFVII エバークライシス』で描くのは、まだ十代の人間形成をしている最中のセフィロスなんです。どんなセフィロスにするかは悩んだ部分ではあるんですけど、やはりゲームとしてプレイしていく中で、成長する姿が見られたほうがいいだろうと判断して、少し未熟な部分も持たせています。
武器が正宗ではない、という理由も今後のストーリーで描く予定です。
――セフィロスがどう成長してきたかがいろいろとわかるわけですね。少年セフィロスの武器にマテリアがハマっていたのも印象的でした。このころはまだマテリアの力を利用し、超人的な強さを持つ存在ではなかったのでしょうか?
野村いや、強さ的にはもう超人的です。ただ、人格の部分が未成熟という状態ですね。
――では、すでに英雄と呼ばれる存在に?
市川はい。作中でも“英雄様”と揶揄される場面があって、すでに神羅の中で英雄セフィロスというイメージはできあがっている状態です。
鳥山“ファーストソルジャー編”というタイトルの通り、ソルジャーの創成期を描く物語になっており、セフィロスも超人的な強さ自体はありつつ、それに対する戸惑いのようなものがまだある状態なんです。
――英雄視されつつも、まだ人間的には未成熟だと……。いろいろ葛藤も生まれそうですね。
鳥山まだ私たちも見たことがないセフィロスが描かれますので、皆さんにどう受け取られるか楽しみでもあります。そんな若きセフィロスと絡むのがグレン、マット、ルティアと、これまたクセの強いメンバーなんですよね(笑)。
――窮地なのにそれを感じさせない、飄々とした3人ですよね。セフィロスすらイジられそうな……(笑)。いちばんまともに見えたルティアも、狙撃に没頭したいがために、グレンとともに危険な任務に志願した、というプロフィールからして、ちょっとアブナイ一面も持ち合わせているのかな? と(笑)。
鳥山ソルジャーに志願している人たちは、ふつうではないというか、どこかみんなアブナイ雰囲気を持っているんです(笑)。彼らはこれまでの『FFVII』キャラクターたちともちょっと違う性格や立ち位置ですので、物語を進める中で好きになっていってもらえるとうれしいです。
――まともな人はソルジャーなんて目指さないんですね(笑)。
ソルジャーの新しい歴史が語られる物語
――“ファーストソルジャー編”はどういった物語になるんでしょう?
鳥山“ファーストソルジャー編”はちょうどソルジャーの世代交代が行われる時期で、グレンたち旧世代ソルジャーが実験体であるソルジャーに取って代わられる、ソルジャーの新しい歴史が語られる内容になっています。
――このころのソルジャーと『FFVII』で描かれるソルジャーは違うのですか?
市川はい、違います。もともと神羅でソルジャーという私設軍隊を作る計画が“ソルジャー計画・プロジェクト0”というプロジェクトです。
この“ソルジャー計画・プロジェクト0”に参加した肉体的に強い能力のある人間を選別し、そこからさらに訓練を通して人間の持つ力を限界まで高めた、いわゆるエリートたちがソルジャー・クラスP0という階級に属しており、グレン、マット、ルティアもソルジャー・クラスP0なんです。
――グレンたちは魔晄を浴びたり、ジェノバ細胞を埋め込まれたりといった強化実験を施されたソルジャーではなく、あくまでも訓練によって潜在能力を最大限に引き出したソルジャーということですか?
市川はい。“ファーストソルジャー編”では、彼らがソルジャーとして活動するなかで、ジェノバ細胞や魔晄といった人為的な力によって超人的な力を得た、後世代のソルジャーに取って代わられてしまう、という部分を描いています。
――なるほど。そんな“ファーストソルジャー編”ですが、冒頭でグレンたちは魔晄炉建設用地の予備調査の任務のためラディオル群島へ向います。ラディオル群島は和のテイストも感じられるロケーションになっていましたが、同じような雰囲気を持つウータイと地理的にも近い場所にあるのでしょうか?
市川そうですね。設定では、ウータイとミディールのあいだくらいに位置しています。
位置的にはウータイに近いので、東洋テイストを含んでいたり、神羅を敵視したり、メカ兵器のようなものもあったりと、さまざまな要素が混じり合った地域です。
――少年セフィロスもプレイアブルキャラクターになるようですが……。
市川リリース時はまだセフィロスの操作はできませんが、そんなにお待たせするつもりはありませんので楽しみにしていてください。
『FFVII エバークライシス』ならではの戦略性も体感できるバトル
――バトルなどについても伺っていきたいのですが、本作ではコマンドRPGをベースとしたATB(アクティブタイムバトル)に新規要素も盛り込まれ、見た目は『FFVII リメイク』のようなリアル感もあり、スマホのゲームとしてはかなりリッチなバトルになっていますね。
鳥山バトルはコンシューマータイトルと同じ考えかたで設計しています。武器やウェア、マテリアなどの育成要素も豊富ですし、かなり奥深いものになっています。適したアビリティを使えば行動を止められる“ストリームフェイズ”といった要素もありますし、それ以外にも敵が大技を出すときには予兆の時間があるなど、『FFVII リメイク』とは違った戦略性も体感できるようになっています。正式サービス版にはCBTにはなかった要素も入っています。
――戦略性もありつつ、スマホならではのお手軽さもありますよね。とくに、オートバトルはかなりAIが賢かった印象です。
鳥山気軽に遊べるスマホのタイトルということで戦略性が高ければいいというわけではないので、戦闘中に考える要素入れつつもそのぶんAIも頭のいいものにして、Autoで戦っても十分に対応できるように調整しています。
装備などもおすすめ編成で最適なものが選ばれるようになっています。バトルはAIにすべて任せてもらってもいい。そのぶん、武器や装備の育成を楽しんでもらえればいい、というくらい割り切って考えています。
――CBTではバトルもとくに好評でした。ストーリーを進めていくうえで、まず強化すべきは武器になるのでしょうか?
鳥山そうですね。武器をしっかり強化していれば、ストーリーで詰まることはないかなと思います。より高難度のコンテンツに挑んだりする場合は、マテリアや召喚獣などの強化もしっかり行っていただければと。
市川武器を強化すると攻撃力が上がるので敵を殲滅しやすくはなるんですけど、武器だけだとHPは上がらないんですよね。そこはキャラクターのレベルを上げたり、キャラクターストリームと呼ばれるボードでリミットブレイクの習得、強化したりなどでキャラクターを成長させる必要があります。それでもクリアーできなければマテリアの強化、という感じですね。
RPGとしてわかりやすい育成システムにはなっているので、鍛えるべきものを鍛えれば、おのずと強くなっていくようになっています。
――召喚獣とリミットブレイクはどちらか一方だけセットできる、ということでしょうか?
市川はい。LIMITゲージを溜めて使うリミットブレイクを選ぶか、SUMMONゲージを溜めて召喚獣を呼ぶか、いわゆる必殺技にあたるポジションにリミットブレイクと召喚獣のどちらかを設定する、というイメージです。
鳥山召喚獣は属性に寄ったものになっているので、ボスの弱点属性に合わせて使い分けるといいと思います。ここも含めておすすめ編成で自動的に設定されるので、とくに難しく考える必要はありません。
――本作は『FFVII』シリーズ作品の垣根を越えたパーティ編成も可能なことが魅力のひとつですが、ストーリーを進めるうえでのパーティは原作通りの“ストーリーパーティ”がおすすめでしょうか?
鳥山そうですね。好きなキャラクターを編成した“フリーパーティ”で戦っていただくのもいいんですけど、本作は操作キャラクターも多いので、同じキャラクターだけを使うのはもったいないと思うんです。
ストーリーパーティで挑めば原作の体験により近づいて、いろいろなキャラクターでのバトルを楽しめます。ストーリーパーティで戦ったほうが報酬も少しよくなりますし。
――CBTではエピソードごとの推奨戦力が一気に上昇し、物語を進める途中で頻繁に強化する必要がありましたが、あればCBTだからこそのバランスだったのでしょうか?
市川はい。あれは完全にCBT用のバランスですね。皆さんの進捗を把握するという目的もあったので、あえて難度の高い調整にしていました。
正式リリース版では武器を育てながらプレイすればスムーズに進めるようになっています。
ただ、どこかしらで壁となるバトルは出てくると思いますので、そういったときは強化に少し力を入れていただければと思います。
――そのバランス調整は強化クエストなども同様なのでしょうか? バトルタワーもなかなか手強かった印象です。
市川CBTでは30階層しかなかったこともあって、階層ごとの難易度の差を大きくしていました。こちらも全体的になだらかな難易度になるように調整しています。もちろん、どこかの階層では壁になるバトルも登場することがありますが、その壁を乗り越える体験ができる作りになっています。
また、いわゆるエンドコンテンツも用意していますので、そちらも楽しみにしていただければと!
――そのほかCBTで気になったところとしては、マルチバトルを行える時間帯が限定されていましたが、この制限は撤廃される?
市川はい、正式サービス時はマルチバトルをいつでも楽しんでいただけます。現時点では、1週間サイクルで登場する複数種類のボスを変えていく予定です。
ウェアは種類が多いだけに冒険しているデザインも
――本作はさまざまなウェアが用意され、キャラクターの見た目が変化するのも大きな魅力のひとつです。新しいPVでもテイストの異なるウェアが多数公開されていましたが、デザインはどのように決定されているのでしょうか。
野村ウェアはそれぞれのシーズンやイベントごとにコンセプトがあります。デザインは自分ひとりで考えていたら出てこなかった発想のデザインもあっておもしろいですね。
たとえば、PVに登場しているバレットのウェアは海外のシューター系に出てきそうなデザインで、ちょっと驚かされました。
鳥山ウェアそれぞれデザインが本当に際立っていて、ウェアごとにストーリーを作りたくなるくらい新鮮でした。我々もテストプレイをするときは新しいウェアを着せて遊んでいたんですけど、やはり自分の好みのテイストでキャラクターをアレンジできる感覚が楽しいんですよね。
市川トレーラーなどで新しいウェアを発表すると、SNSなどですぐにイラストを描いてくださる方もいらっしゃるんですよね。とくに海外の方は盛り上がっていて、「自分にとっての最高のティファが来た!」みたいに言ってくださるんですよ。
今後もウェアは増えていくので、ぜひ期待していただきたいです。
野村『FFVII』シリーズは比較的着替える場面があるほうだとは思います。ただ、『FFVII エバークライシス』は当然それより豊富なバリエーションのキャラクターが見られるので、それは本作の醍醐味かなと思います。種類が多いぶん、冒険しているデザインもあるので、そこも楽しんでいただけるかと思います。
原作の隠し要素などはどうなる?
――武器のガチャ演出もユニークでしたが、演出は何種類ほどあるのでしょうか。
市川まず和装のクラウドが出てきたら大当たりで、そのあとに攻撃を受ける、避ける、弾き返すという違いに分かれ、反撃も凶斬りを出すのか別の攻撃をするのか、などバリエーションは豊富だと思います。
――77777のダメージを与えてFEVERと表示される演出もありました。そこで思い出したのですが、原作ではキャラクターの残りHPが7777になると“オール7 フィーバー”となり、自動で“たたかう”を64回発動する、といった隠し要素がありました。FFVII編にはそういった要素も入っているのでしょうか。
鳥山そういった細かいネタも『FFVII』の魅力だと思いますので、今後のアップデートなどで検討させていただければと思います(笑)。
――期待しています。シーズンパスには、どういった特典があるのですか?
市川シーズンパスではシーズンごとにウェアの交換券が手に入ります。加えて、オリジナルの背景など用意していますので、非常にお得かと思います。
――本作をPCでも展開する予定はありますか?
市川そういったご要望の声が少なくないことは、我々も把握しております。可能ならば手に取っていただける機会は増やしていきたいので、現時点ではまだ何とも言えませんが、何かしらのいいご報告ができればいいなと考えています。
――では、最後にサービス開始される本作についてに、読者にひと言いただけますか?
市川ようやくサービス開始を迎えることができます。本作はしっかりと『FFVII』の世界観を感じていただける作りになっていますし、クラウドやティファといったおなじみのキャラクターたちの新たな一面にも出会える作品になっていますので、そのあたりにも注目していただきたいです。最初はいたらない部分もあるかとは思いますが、我々運営サイドも皆さんの声に真摯に向き合ってアップデートを進めていきたいと思います。
鳥山スマートフォンのタイトルということで、『FFVII』の世界がいちばん身近に感じられるゲームになってほしいと思っています。皆さんそれぞれ好きなキャラクターがいると思うんですけど、そのキャラクターたちといっしょに生活しているような感じで、毎日少しずつでも遊んでいただけたらうれしいです。
野村運営モノのよさというのは、どんどん変化していける部分だと思っています。市川が言ったように皆さんのご意見を吸い上げつつ、どんどん楽しめるコンテンツにしていきたいと思っています。自分からももっとこうしてほしい、たとえば、『クライシス コア -FFVII-』のDMW(デジタル マインド ウェーブの略。バトル中、さまざまな効果を付与してくれるランダム要素のある『クライシス コア -FFVII-』独自のシステム)の要素や、マルチプレイの拡充というリクエストは出しているので、リリース以降も変化を楽しみにしていただければと思います。