『Lies of P』映画館でソウルライクを遊ぶと迫力がやばい。世界初公開の敵カーカスは生物的なおぞましさ。一般参加者が美しく勝利を飾った“JAPAN PREMIUM”リポート

　2023年9月2日、ユナイテッド・シネマ豊洲にて、ソウルライクアクション『Lies of P』のオフラインイベント“Lies of P JAPAN PREMIUM”が開催された。

　映画館で開催された本イベントには9月19日の発売を心待ちにするファンをはじめ、開発総括ディレクターのチェ・ジウォン氏や開発を手掛けるRound8のスタジオ長であるパク・ソンジュン氏らを招待。ゲームプレイの様子や世界初公開となる新規映像を映画館の大画面と音響で堪能できる贅沢なイベントとなっていた。

　当日は声出しもOKで、会場全体から応援や感嘆の声が聞こえてくる場面も。高まり続けるファンの熱量とイベントの模様をお届けする。

出演者（敬称略）

【MC】

• 篠原光（eスポーツ実況/MC/ナレーター）

【開発スタッフ】

• パク・ソンジュン（Round8スタジオ長）
• チェ・ジウォン（『Lies of P』開発総括ディレクター）

【ゲスト】

• 月野もあ（仮面女子）
• 陽向こはる（仮面女子）

【特別ゲスト】

• なるにぃ（動画配信者）

【公認インフルエンサー】

• 岩佐夏芽（声優）
• ルメル（実況配信者）

「ソウルライクを生んだ国ならいけますよね？」パク氏からの挑戦に、仮面女子と仮面男子が挑む

　颯爽と現れた甲冑の騎士が、異形の者たちへと立ち向かう。そんなファンタジー世界でしかありえないような光景が、この日、ユナイテッド・シネマ豊洲にてくり広げられた。本イベントの目玉でもあった“プレイチャレンジ”での一幕だ。

　内容は、すでに配信されている体験版を使って、制限時間以内に最初のボス“パレードマスター”を撃破するというもの。成功したら未公開チャプターの映像が特別に公開される。

　挑戦者は、アイドルグループ“仮面女子”の月野もあさんと陽向こはるさん。ひとりが倒される度に、バトンタッチしながら進めていく。

　『Lies of P』はアクションゲームとしてはかなり高難度。“死にゲー”としても愛されるジャンルである。通常のザコ敵ですら強いため、ふたりは順調に屍を積み重ねていくことに。

　それでも、おふたりはタダでは死ななかった。だんだん操作や敵の配置を記憶し、倒されながらも新たな場所へと進んでいくのである。

　ふたりのプレイに感化されてか、だんだん声援の声が大きくなっていった。後ろから不意打ちを仕掛けてくる敵に「あぁッ！」と会場全体で驚いたり、倒されたら「惜しい！」という声が上がったり。会場が一丸となってふたりのプレイを見守る。

　しかし無情にも時間は過ぎ、それなりに進めたものの、目標であるパレードマスターまでたどり着くことはできなかった。

　このままでは未公開チャプターの映像を公開できない！　……という窮地の仮面女子を助けたのが、さまざまなゲームの解説動画などを投稿しているインフルエンサー、上級騎士ことなるにぃさんだ。岩佐夏芽さん、ルメルさんといっしょに登場し、3人を代表してプレイ席に着席。この日、なるにぃさんは甲冑のヘルムを身に着けての出演。仮面女子を仮面男子が救援することになった。

　このなるにぃさん、とにかく強かった。並みいるザコ敵は危なげのない立ち回りでキッチリと処理。「ジャストガードでしか弾けない攻撃もある」や「回避よりもガードのほうが有効な場面が多い」などの細かな解説も欠かさない。

　さらには武器ごとの必殺技“フェーブルアーツ”なども活用。堅実かつ魅せるプレイであっという間にパレードマスターの前まで進めてしまったのである。

　パレードマスター戦へと突入したなるにぃさんは、華麗にガードと回避をキメつつ順調に体力を削っていく。これは撃破できるんじゃないか？ と、会場の誰もが安心したことだろう。

　しかしことはうまくは運ばなかった。体力が半分を切ったところで、パレードマスターの行動が大きく変化。自身の頭をメイスのように振り回し、重い攻撃を乱発してくるようになった。

　なるにぃさんは懸命にガードしながら隙を伺うも、強力な攻撃を前にガードを崩され、倒されてしまった。

　なるにぃさんは歴戦の猛者だけに、ただではやられない。ガード主体で戦うと難しいのではないか、と冷静に分析し、近くにいた行商人からより軽い武器であるサーベルを購入。回避中心の立ち回りでリベンジへと挑む。

　だが、結果は惜しくも敗北。パレードマスターの火力に押し切られてしまった。それでもなるにぃさんは敵の体力を半分以上も削る大健闘を見せてくれた。敗因はヘルムのせいで視界が悪かったから、という可能性もある。

　この奮闘には開発陣も心を動かされたようで、チェ氏は「ソウルライク発祥の国らしい、かっこいいプレイを見せてもらった」と称賛を送り、パク氏は「劇場のみなさんと一体になって楽しめた」とコメント。さらに、特別に未公開チャプターの映像公開を確約してくれた。

　なるにぃさん、そして仮面女子のおふたりが会場を盛り上げてくれたおかげである。3人には惜しみない拍手が送られた。

街に跋扈する謎の生物。よりホラーな演出が増えるチャプター3

　プレイチャレンジが終わった後、映像の準備が終わるまで、ステージは開発者のトークセッションへと移行。バランス調整の話や体験版100万ダウンロードに関しての所感などが述べられた。

　筆者としては「ソウルライクとはただ難しいだけではない」という意見から始まるチェ氏の見解が興味深かった。「死は恐れるものではなく、迎えに来る死を楽しみながらプレイするのが大事です。皆さん、死というものを楽しんでください」というメッセージからは、もともとソウルライクゲームのファンであるチェ氏の、積み重ねてきたプレイヤーとしての経験が感じられる。

　トークセッションの後と、いよいよ謎のベールに包まれていたチャプター3が公開。9月2日時点で、全世界初公開の映像となる。

　舞台はロレンツィーニ・アーケードと呼ばれる場所で、新たな敵である“カーカス”が登場。そのカーカスたちの見た目が……なんというか、非常におぞましい。それまでの敵は機械人形ばかりだったが、カーカスは生物的なのだ。

　サソリのような尾を主人公へと突き刺して何かを吸い上げてくる個体もいれば、背中に大量の触手がうごめく大型の個体なども登場。姿形はさまざまで、どれも異形感がありゾクゾクするデザインをしている。

　機械人形型の敵の動きにも変化が表れ、ここでは急に走り出すようになっていた。いっそう世界観の恐ろしさに磨きがかかった印象だ。実際にプレイしてその怖さを体験できるのが楽しみではあるものの、ちょっとプレイを進めるのが恐ろしい気持ちも芽生える。

初公開のステージを来場者がプレイ。PS5を求めて、謎のソウルライク戦士“杏仁豆腐”さんが戦う

　初公開はこれだけではない。なんと会場内の参加者から誰かひとり、製品版の『Lies pf P』を使って未公開ステージ“ベニーニ・ワークス”をプレイする機会が設けられたのだ。さらに強敵“スチールセキュリティ人形”を撃破できれば、来場者と視聴者にPS5を1台ずつプレゼントまでしてくれるのだとか……いったいどこまで粋なんだRound8！

　当然のように多くの方がプレイを希望したが、挑戦できるのはひとりだけ。我々の運命（PS5）は、多くの希望者の中からじゃんけんで勝ち残った“杏仁豆腐”さんに託されたのだった。

　この杏仁豆腐さん、猛者も猛者であった。

　最初こそ敵の状態異常から受けるダメージに苦戦するも、すぐさま動きを修正してその敵を素早く撃破。その後も初見のステージとは思えない立ち回りでスイスイと進み、なんと2回目の挑戦でスチールセキュリティ人形のもとまでたどり着いてしまった。

　スチールセキュリティ人形は2枚の盾を前面に構えている。防御の硬い強敵だ。杏仁豆腐さんは正面からの攻撃が通り辛いと見るや、すぐさま様子見へ移行。相手の隙が大きい行動を誘いながら、うまく側面から攻撃を刺し込んでいく。

　杏仁豆腐さんの執拗な攻撃を受け、スチールセキュリティ人形はついに機能を停止。数多の死線を潜り抜けた貫禄が感じられる、熟練者らしい立ち回りで強敵を制してみせた。

　すべてのプログラムが終わり、最後にパク氏、チェ氏からユーザーたちへのメッセージが送られた。チェ氏は「これからもユーザーたちと触れ合える機会を作っていきたい」、パク氏は「9月19日にリリースが予定しているので、ぜひとも楽しみにしていてほしい」とコメント。そして両名共に、集まってくれたユーザーたちへの感謝を述べたのだった。

　印象的だったのは、篠原さんから「映画館という会場でのイベントはどうだったか」と尋ねられたパク氏が「ブロックバスター級の映画なんかもそうだけど、やっぱりアクションは大画面だね！」と、共感しかないコメントを残してくれたことだ。

　映画館という場で、多くのユーザーたちとひとつの画面を見ながら盛り上がる。さながら応援上映のような形式で実施された本イベントでは、『Lies of P』を楽しみにしているユーザーたちの、確かな“熱”が感じられた。

　未発売、かつ新規IPながらも、すでに多くのユーザーから期待を寄せられている本作。そろそろ夏も終わる頃だが、この熱さはきっと消えずに、発売してからも続いていくことだろう。

　最後に。本イベントには、厳密ではないまでも簡単なドレスコードが設けられていた。とくに女性はドレスアップして来場する方が多く、とてもすてき。

　来場者と接する時間があまりなかったが、担当編集者のミス・ユースケは「帰り際にひと組だけ撮影させてもらった」と喜んでいた。抜かりなく掲載許可ももらったとのこと。こういうところからも、ゲームの世界観は作られていく。