2023年8月13日、東京・八王子のJ:COMホール八王子にて、スクウェア・エニックスのRPG『ライブアライブ』の29周年を祝うコンサート“LIVE A LIVE A LIVE 2023 八王子編”が行われた。
1994年、スクウェア(当時)よりスーパーファミコン用ソフトとして発売された『ライブアライブ』。オムニバス形式のシナリオや、小学館のマンガ家7名がデザインしたキャラクター、終盤でプレイヤーを待つ驚きの展開などが特徴の同作は、熱烈なファンのあいだで長年語り継がれてきた作品だ。
同時期に発売されたスクウェアのタイトルと比べると売上本数は及ばないが、ファンの熱量は非常に高く、発売から20年以上が経った2015年9月、同作の初の単独イベント“LIVE・A・LIVE・A・LIVE 吉祥寺篇”が行われた。これを皮切りに、2018年には“鶯谷編”、2019年には“新宿編”と、定期的にイベントが行われるように。
これらのイベントに参加しながら、ファンはずっと待っていた。『ライブアライブ』というIPに、新しい展開が訪れることを。そして2022年――ついに『ライブアライブ』はHD-2Dリメイク化されることになる。
オリジナル版ではディレクター、リメイク版ではプロデューサーを務めた時田貴司氏は、過去のインタビューで、何度も『ライブアライブ』の続編やリメイクに挑戦しながらも、断念してきたことを明かしている。それでも時田氏は諦めず、イベントを開催し続け、『オクトパストラベラー』などで知られる浅野チームに合流後、改めて企画を立てることで、ついに2022年、リメイクを実現させた。
今回の“八王子編”は、リメイク版が発売されてから初のイベントということもあり、「『ライブアライブ』関連のイベントは初参戦!」という人の姿も少なからず見られた。『ライブアライブ』のイベントと言えば、「あの世で俺にー!」、「わび続けろー!」というコール&レスポンスをするのが恒例となっているのだが、オリジナル版誕生から29年経って、同志とともに詫びることの楽しさを新たに知る人が生まれたというのは、感慨深いものがある……。
さて、今回のコンサートは、キーボード、ギター、ドラム、ベース、パーカッション、ピアノにストリングスという編成になっており、楽曲ごとに異なるアレンジでの演奏が楽しめた。たとえば“現代編”なら、パワフルさが感じられるロックなアレンジ。一方、“中世編”はストリングスが際立つアレンジになっていたり、“功夫編”はストリングスの音色に二胡が加わって中国らしい音を表現したりと、各編ごとに新しい音を聴かせてくれた。さらに、“西部編”では口笛奏者のYOKOさん、“幕末編”では次世代和楽器ユニットHIDE×HIDEのふたりがゲスト参加。ステージを盛り上げてくれた。
そして、今回のコンサートを語るうえで欠かせない楽曲といえば、やはり“近未来編”の楽曲『GO!GO!ブリキ大王!!』だろう。
赤羽根健治さんが演じた近未来編の主人公・アキラの名ゼリフ、「ざけんなよ… そんなカッコにならなくてもな… ひとつにはなれんだよ! なあ… そうだろ、松ッ!!」が会場に響き渡った後、歌手の影山ヒロノブさんが歌唱するという粋な演出になっており、ファンたちは大いに沸いた。
オリジナル版ではインストゥルメンタルだった同曲。歌詞も1番しか用意されていなかったが、『ファミコン通信』(当時)にて2番、3番の歌詞募集企画が行われ、読者投稿によって歌詞が決定。近未来編のキャラクターデザインを担当した、マンガ家の島本和彦先生も作詞に参加したというのは有名な話だ。その後、折に触れて時田氏が歌唱していたのだが、リメイク版では影山さんがボーカルを担当。そして今回、八王子編に影山さんが参加するにいたったのだ。この八王子編の日程も、作曲家・下村陽子氏のスケジュールではなく、影山さんのスケジュールを最優先にして決まったとか……。
なお、『GO!GO!ブリキ大王!!』はコンサート第1部のクライマックスで歌われたのだが、影山さんはなんとアンコールにも登場し、再び『GO!GO!ブリキ大王!!』を聴かせてくれた。夜公演では、昼はコミケに行っていたはずの島本和彦先生までアンコールで登壇したのだからビックリ。
僕が知るかぎり過去イチ緊張していた島本先生です。
歌詞飛ばさないように必死です。
お納めください。
#LALAL2023 https://t.co/N3H9WYBcuo
— 石D(ゲッサンとGXの人) (@gessan_ishiD)
2023-08-13 21:07:37
また、アンコールでは、バトル曲をメドレーにした『Battilissimo』(『ライブ・ア・ライブ 完全攻略ガイドブック Limited Edition』の付属CDに収録されていた楽曲)が演奏されたこともファンにはうれしいポイント。この『Battilissimo』は、オリジナル・サウンドトラック(復刻版)で聴くことが可能だ。リメイク版のサントラには収録されていないので、ぜひ復刻版をチェックしてほしい。いまならサブスクでも聴ける!
今回のコンサートは“29周年記念”と銘打っていたわけだが、来年はいよいよ『ライブアライブ』30周年。先日、時田氏にお話をうかがったとき、「河津さん(※)に負けないように、がんばっていく」と宣言していたので、きっと心躍るものを見せてくれるのだろうと思う。ちなみに、時田氏がキャラクターデザインなどで参加した『魔界塔士サ・ガ』は来年35周年。こちらも併せて、アニバーサリー展開を楽しみに待ちたい。
※『サガ』の生みの親でおなじみ、河津秋敏氏。
セットリスト
第一部
M01 LIVE・A・LIVE 編曲:亀岡夏海
M02 西部編メドレー -放浪-(WANDERER、Under the Fake、THE WILDS、Sancho・de・Los・Panchoz) 編曲:直江香世子、口笛:YOKO
M03 原始編メドレー -接触-(NATIVE LIFE、いいお天気でしょ!、Kiss of Jealousy、生贄の宴) 編曲:森空青
M04 現代編メドレー -最強-(最強 -VICTORY ROAD-、猛者達…、Versus!、KNOCK YOU DOWN!) 編曲:森空青
M05 SF編メドレー -機心-(Unseen Syndrome、CAPTAIN SQUARE、星屑のキャプテン) 編曲:上倉紀行
M06 近未来編メドレー -流動-(Wait for Truth、PSYCHOで夜露死苦!!) 編曲:上倉紀行
M07 GO!GO!ブリキ大王!! 編曲:直江香世子、歌唱:影山ヒロノブ
第二部
M08 功夫編メドレー -継承-(鳥児在天空飛翔 魚児在河里游泳、老拳師下深山、在中国的戦闘) 編曲:亀岡夏海
M09 幕末編メドレー -密命-(密命、忍音、殺陣!) 編曲:直江香世子、尺八:石垣秀基(HIDE×HIDE)、三味線:尾上秀樹(HIDE×HIDE)
M10 中世編メドレー -魔王-(魔王への叙曲、届かぬ翼、凛然なる戦い、魔王山を往く) 編曲:亀岡夏海
M11 魔王オディオ~MEGALOMANIA~ARMAGEDDON 編曲:上倉紀行
M12 最終編メドレー~GIGALOMANIA(絶望の都、Silent Labyrinth、ILLUSION…、PURE ODIO、GIGALOMANIA、Live over Again) 編曲:亀岡夏海
M13 Live for Live 編曲:森空青
アンコール
スぺシャルメドレー(Battilissimo、GO!GO!ブリキ大王!!) 編曲:直江香世子