初の単独イベントは、スタッフのトークと名曲たちの生演奏!
2015年9月25日、吉祥寺CLUB SEATAにて開催されたライブイベント“LIVE・A・LIVE・A・LIVE 吉祥寺篇”。タイトルからお気づきかもしれないが、これは1994年にスクウェア(当時)よりリリースされたスーパーファミコン用RPG『ライブ・ア・ライブ』の20周年を記念してのイベントだ。オムニバス形式でさまざまな時代のエピソードが楽しめるのが特長な『ライブ・ア・ライブ』だが、このイベントも演奏ありトークあり、そして歌ありと、本編さながらにバラエティーに溢れた内容となっていた。それでは、その模様をリポートしていこう。
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イベントはバンドによる生演奏から幕開け。ゆったりとしたキャラクターセレクト曲「SELECT・A・LIVE」からアップテンポな近未来編のバトル曲「PSYCHOで夜露死苦!!」へのメドレーに、場内を埋め尽くしたファンたちは早くもノリノリ。演奏直後からの大歓声に応じるように、MC役のディレクターの時田貴司氏(スクウェア・エニックス)とサウンド担当の下村陽子氏が登場すると、その声はさらに大きさを増した。長い付き合いの両氏だけに、このイベントが開催できたことの嬉しさを軽妙な語り口で説明。とくに、このイベントが実現に動いたきっかけが「酔った勢いでツイッターにメモをアップしたら反響がすごかった。ツイッターの威力を知った(そのつぶやきは→こちら)」(下村氏)との発言には、大きな笑いが沸き起こった。
SF編のゲーム内ゲームのBGM「CAPTAIN SQUARE」の演奏に続いては、ゲストアーティストが登場。当時宣伝プロデューサーを務めた岡宮道生氏がギターに加わって奏でられたのは、現代編のバトル曲「KNOCK YOU DOWN!」。どこか対戦格闘ゲームっぽさを感じさせる熱いギターサウンドに、来場者はひときわ湧き上がった。
興奮冷めやらぬうちに2人目のゲストとして登場したのは、声優・シンガーとして活躍する加瀬愛奈さん。とくれば、唄うは当然、下村氏の25周年ベストアルバム『memoria!』に収録された、「Kiss of Jealousy」だ。原始編のバトル曲である同曲だが、ラテンの調べはそのままに情熱的なボーカルが加わることで、まるで昭和のトレンディードラマ主題歌を彷彿とさせるアレンジとなっていた。
開発者トークでは裏話続出! そして次回開催も……!?
休憩を挟んで再開となった後半戦は、なんと当時のスタッフ10名が登壇しての“あの頃”トークを繰り広げる企画からスタート。「最初は(小学館だけでなく)複数の出版社に企画を持ちかけた」、「総勢24人のスタッフが複数人のチームに分かれ、それぞれが競うように並走して各エピソードを制作していた」、「メールや携帯電話が主流ではなかった時代なので、楽曲については内線電話でのやりとりも多かった」といった、関係者ならではのスペシャルな裏話が続出。来場者ははじめて耳にするエピソードの数々に興奮を隠せない様子であった。
途中話が脱線して、「時田氏にプロレスラー・獣神サンダーライガーのコスチュームを競り落としてこいと仕事そっちのけで送り出された」、「休憩ルームではファイヤープロレスリングばかり遊んでいた」と、なぜかプロレスの話題続出となっていったのも、当時のチーム内の雰囲気を感じさせる一幕……かもしれない(笑)。コーナーのシメには、下村氏がこの日のために発掘してきたという、21年前に録音されたという「GO!GO!ブリキ大王!!」のアレンジ音源を披露。ボーカルのあまりの初々しさに、時田氏が苦笑いをしたままにトークはお開きとなった。
ここからは後半のライブコーナー。まず演奏されたのは、功夫編からの「鳥児在天空飛翔 魚児在河里游泳(鳥は空を飛び、魚は河を泳ぐ)」。ゲーム中では非常にドラマチックなシーンで流れるこの曲を、ゲストのヴァイオリン奏者・伊藤友馬氏が二胡にて演奏。憂いのある調べに、来場者たちは当時を思い出を蘇らせているようであった。続いての演奏は、西部編から「WANDERER」。寂しげなメロディが印象的な印象的な曲だが、口笛→ヴァイオリンによる演奏がさらに叙情感をアップさせていた。さらなるゲスト奏者として三味線と尺八による和楽器ユニット・HIDE×HIDEを迎えて演奏されたのは「殺陣!」。本物の和楽器でのアレンジとあって、楽曲のよさがさらに際立つ仕上がりとなって、場内を見事に和の雰囲気に染め上げていた。
惜しむ声が多数上がる中、ついに演奏は最後の2曲に。パイプオルガンの荘厳な音色が流れると観客は思わず「おお~!」と反応するラスボス登場時の曲「魔王オディオ」だ。楽曲に聞き入って一端は静まり返った場内だが、立て続けに「MEGALOMANIA」が演奏されるとボルテージは一気に爆発。各エピソードのボス戦曲にして、ゲーム中でも一二を争う印象的な曲だけに、大きな手拍子が曲が終わるまで鳴り響いていた。
まったく鳴り止む様子のない拍手に応えてバンドメンバーが再登場すると、待望のアンコールがスタート。物憂げなメロディがピアノとトランペットのみで奏でられる「届かぬ翼」、そして勇ましくも切なさを感じさせるメロディの「凛然たる戦い」がメドレーにて披露された。アンコールに隠しシナリオである中世編の楽曲を持ってくるというニクい演出には、来場者の誰もがニヤリとしたはず。
そして大トリは、この曲ナシには終われない「GO!GO!ブリキ大王!!」。ボーカルを務めた時田氏の熱唱が轟いたが、この日はモニターに歌詞を表示。来場者も加わっての大合唱が場内に響き渡る中、イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。
■LIVE・A・LIVE・A・LIVE 吉祥寺篇 セットリスト(敬称略)
M01:SELECT・A・LIVE ~ PSYCHOで夜露死苦!!
M02:CAPTAIN SQUARE
M03:KNOCK YOU DOWN! ゲスト:岡宮道生(Guitar)
M04:Kiss of Jealousy ゲスト:加瀬愛奈(Vocal)、岡宮道生(Guitar)
(休憩)
M05:鳥児在天空飛翔 魚児在河里游泳 ゲスト:伊藤友馬(二胡)
M06:WANDERER ゲスト:伊藤友馬(Violin)
M07:殺陣! ゲスト:HIDE×HIDE(中棹三味線、尺八)
M08:魔王オディオ
M09:MEGALOMANIA ゲスト:岡宮道生(Guitar)
EC1:届かぬ翼~凛然たる戦い
EC2:GO!GO!ブリキ大王!! ゲスト:時田貴司、加瀬愛奈(Vocal)、岡宮道生(Guitar)