スクウェア・エニックスより2022年10月27日に発売されたプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、Steam用ソフト『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』。開発を手掛けたトライエースの向峠氏と荒川氏に発売後ならではのネタバレありのインタビューを実施した。

※本稿では若干のネタバレを含みます。プレイ中の方、これからプレイする方はご注意ください。

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向峠慎吾 氏(むかいとう げしんご)

トライエース所属。
『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』プロデューサー。

荒川健太郎 氏(あらかわ けんたろう)

トライエース所属。
『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』ディレクター。

プレイヤーの高い評価に手応え

――発売後のプレイヤーの方々からの反響はいかがですか?

向峠たいへん高評価をいただいていると思います。すでにクリアーされている方も見かけますし、すごくうれしいです。

荒川個人的には、「やっと発売を迎えられたか」というひと安心の気持ちが強いですね。いまいただいているプレイヤーの方々の意見は、今後の開発に活かしていきたいです。

――確かに、まだ発売したばかりですもんね。

向峠3年半以上かかっているので、僕も「長かったなぁ」という気持ちはありますね。

――リリースまでの数ヵ月は、相当バタバタしていたのでは?

向峠開発作業以外にも、とにかく取材が多かったですね。注目度が高いタイトルなんだなと改めて思い知らされました。

――SNSなどでの反応をみる限り、かなり評価は高いように見えました。

向峠僕もツイッターを見たりしているのですが、かなりお褒めの声をいただいているように思います。ありがたい限りですね。

――開発スタッフだからわかる、プレイヤーにまだ気づかれていなそうな要素や2周目で初めて気づきそうなポイントなどを教えていただけますか?

荒川大多数の人が気づいていないような要素はなさそうですね。初心者が気づきにくいテクニックとしては、リンクコンボにアイテムをセットすると素早く使えるということですかね。プレイ動画などを拝見していると、回復に手間取っている様子をよく見ます。

向峠回復アイテムをひとつリンクコンボにセットするとかなり変わりますね。操作していないキャラクターも、リンクコンボにセットしておけば自分の判断で使ってくれたりします。回復アイテムは積極的に利用していただき、ボス戦が終わったら補充する、といったサイクルで遊ぶと進みやすいと思います。

荒川あとは、ライタールの港町で遭遇できるラドルの行商人関連のイベントは、気づかれていない方がいるかもしれませんね。ラドルは『スターオーシャン』シリーズではおなじみの常連キャラクターです。

――あのイベントは自分も偶然遭遇しましたが、気づきにくいかもですね。

荒川とくに目立つアイコンが出ているわけではないので、気づかずにクリアーまで到達している方もいそうです。

向峠常連キャラクターで言うと、パフィもサブクエストで登場しますね。こちらは出会った方も多いのではないでしょうか。

――シリーズ常連の存在で言えば、うまい棒関連のイベントもおもしろかったです。

向峠(笑)。うまい棒に関しては、やおきんさん(※)のご厚意で使わせていただいています。プライベートアクション(主人公と仲間の会話イベント)やサブクエストなど、いろいろなところで登場させました。

※株式会社やおきん。うまい棒を発売しているお菓子メーカー。

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――本作ではクリアー後にも楽しみが用意されていると思うのですが、クリアー後のデータでは見られる、シナリオを補完するようなイベントはありますか?

荒川いえ、そういったものはないですね。周回プレイを強要する作りにもしたくはなかったので、2周すると新たに発生するようなイベントもありません。

向峠まだ見ていないプライベートアクションを探したりといったことはできますが、新たにイベントが発生するようなことはないですね。

――とはいえ、“ダブルヒーローシステム”があるので2周は遊びたくなりますね。

荒川1周のプレイ時間が長い作品ですので、2周目は難易度を下げてもらうのもいいかもしれませんね。

――ちなみに、難易度で変わる点は敵の強さだけですか?

荒川そうですね。本作はバトルシステムが充実しているので、難易度を上げるとそちらをより楽しめるようになっています。難易度は後からでも変更できますし、ペナルティなどもないので気楽に選択していただけたらと思います。

向峠“UNIVERSE”でクリアーした後に選べる“CHAOS”は、かなり容赦ないものになっていますよ。

――本作は仲間との好感度でエンディングが変化しますが、クリアー直前のセーブデータから各エンディングを見るような手段はありますか?

荒川好感度に影響を与えるアイテムがあるので、それをうまく利用すれば可能です。

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次回作にもソーアが登場するかも……!?

――あきまん氏と和ヶ原聡司氏の対談で、最初は女性の主人公がマリエルだったという話をうかがったのですが、この変更は開発現場にどの程度影響がありましたか?

向峠ゲーム開発を始める段階ではもうレティシアに変わっていたので、影響はありませんでしたね。レイモンドとマリエルの視点だと、最初から後半のネタバレになるような設定のオンパレードになったのもあって、主人公はレティシアに落ち着いたんです。ファンタジー世界からの視点で遊べるのも『SO』の特徴でもありましたからね。

――サブクエストの報酬にある暗号メモが示す場所を見つけるのはかなり苦労しました。こちらはあえて難しめにしたのでしょうか?

荒川こういった要素は難しめでもいいだろうと判断していまの形になりました。マップに場所が表示されるような簡単なものだったら、ただの作業になってしまいますからね。

――特定の敵を倒すようなサブクエストも敵を見つけるのに工夫が必要だったりして、こだわりを感じました。

荒川昔はもっと難しいゲームがたくさんあったことと、我々も開発に携わって長いですし、“自分で捜すのが当たり前”という感覚はいまだにありますね。最初はメインシナリオの発生方向を示すアイコンすら表示させていなかったんですよ。

――そうだったんですね。たしかに昔のゲームはヒントが少なめだった気がします。

荒川フィールドの探索と言いつつ、なんでも表示されていたら探索ではないですからね。

――アイテムのフレーバーテキストも独特で、文章を読むだけでも楽しめました。

向峠テキストのユニークさはユーザーさんからの反応でもよく見かけました。これも『SO』シリーズ独特のものかもしれませんね。

荒川文章はそれぞれの担当者の個性を出した感じにしています。いまは少し抑えた表現になっていますが、スクウェア・エニックスさんの倫理チェックなどの指摘が入る前はもうちょっとトガッていましたね(笑)。

――隠しダンジョンも本編とはノリがちがっておもしろかったです。

向峠これはトライエース作品ならではの部分ですね。本編よりゆるめにしています。

――ソーアはミニゲームとしておもしろいだけでなく、街やフィールドを再訪する理由のひとつにもなっていて、その仕組みに感心しました。

荒川開発で「しっかりとしたミニゲームを作ろう」という話になったときに複数の案が出されたのですが、ソーアはその中のひとつです。僕が囲碁にハマっていたことがあって、そこから着想を得てパラメーターや必殺技、役割を考えていきました。

――『SO』オールスターとも言えるポーンは「拡大して見られるようにしてほしい」というプレイヤーの声も耳にしましたが予定はありますか?

向峠確かにそちらのほうがいいかもしれません。もし次回作にもソーアがあったらぜひ入れたい機能ですね。

――ソーアは英語でSOAと表記されていましたが『スターオーシャン:アナムネシス』(略称は『SOA』)との関係は……?

向峠ご推察の通り、ソーアという名前は『アナムネシス』からきていますね。ポーンのCGは『アナムネシス』で作ったものをベースにしています。

【ネタバレあり】『スターオーシャン6』開発陣インタビュー第2弾。うまい棒やラドル、パフィなどのシリーズ定番の要素やミニゲーム・ソーア誕生秘話まで内容盛りだくさん
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――現在プレイ中で、ボスの攻略に手間取っている方もいると思うのですが、何かアドバイスをいただけますか?

荒川具体的な攻略法ではありませんが、ボスに苦戦されている方は仲間の切り換えやVAシールドを使っていないように感じます。回復が間に合っていない場合は、先程も話に出たリンクコンボにアイテムをセットすることをオススメします。

向峠空中にいる敵に対しては、強引にVAを使うよりも遠距離攻撃ができるキャラクターに切り換えて戦ったほうがよかったりすることも少なくないですね。アクション性の強いバトルではありますが、本作はRPGでもありますので、ゴリ押しで勝てないときはAPをどう使うか、どう確保するかも考えると勝ちやすくなると思います。

荒川VAゲージもたくさん溜まっているほうがブラインドサイド成功時の拘束時間もが長くなるので、いつ使うかが大事になります。

――なるほど。アイテムクリエイションのコツも教えていただけますか?

荒川地道に素材とお金を集めてレベルを上げるのがいちばんですね。あとは、ソーアのポーンには強力なファクターが付いているものもあるので、それを合成に使うのもおすすめです。

向峠アイテムクリエイションを重視するなら、SPを消費してでもICレベルは高くしておいたほうがいいですね。

――最後に『SO』ファンやファミ通ドットコムの読者に向けてメッセージをお願いします。

荒川これが掲載されるころにはクリアーされている方も多いと思います。難易度を上げると各種バトルシステムが活きてくる作りになっているので、腕に自信のある方は、2周目をぜひ高難度で遊んでみてください。

向峠SO6』は、いろいろな意味でトライエースらしさが詰まった作品になっています。買おうかどうか様子見されている方もいらっしゃると思いますが、ぜひ遊んでみていただきたいです。現在プレイ中の方は、たくさんのやりこみ要素をしっかり遊び尽くしてもらえるとうれしいです。

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