スクウェア・エニックスより2022年10月27日に発売予定のプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、Steam用ソフト『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』。東京ゲームショウ2022で試遊版がプレイアブル出展もされる本作について、開発を手掛けたトライエースのキーマン、向峠氏と荒川氏にその魅力をお訊きした。
向峠慎吾氏(むかいとうげしんご)
トライエース所属。
『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』プロデューサー。
荒川健太郎氏(あらかわけんたろう)
トライエース所属。
『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』ディレクター。
シリーズ最新作が満を持して登場
――まずは『スターオーシャン6』のコンセプトをお聞かせください。
向峠『スターオーシャン5』完成後からいろいろと考えていたのですが、もっとボリューム感のある作品にしたいな、ということが第一でしたね。加えて、バトルシステムも刷新しようと考えていました。ボリューム感については“ダブルヒーローシステム”(※)、バトルではVA(※)で立体的に動けるというところを軸にして、まったく新しい『スターオーシャン』を作ろうとがんばっていました。
※ダブルヒーローシステム:主人公をふたりから選択できるシステムのこと。『スターオーシャン2』で初登場。
※VA:ヴァンガード・アサルトのこと。DUMAという機械のような、謎の生命体の力を借りて高速のアクションが行える。
――シリーズ再始動のきっかけでもあった前作『スターオーシャン5』に比べて、ボリューム感以外に、とくに意識して変えようと思った点、改善しようと思った点はありますか?
向峠『スターオーシャン5』では過去のリソースを活用して作っていた部分も多かったので、そこには頼らず完全新作として作っていこうと意識的に動くようにしました。
荒川自分は前作には関わっていなかったので、ユーザーサイドとしての意見にもなりますが、当然シリーズものなので前作を超えたものにしないと新たに作る意味はないと考えています。ボリュームはもちろん、フィールドの遊びやバトルシステムなど、前作を超えることが大前提ですよね。
これまでの『スターオーシャン』シリーズでは、ジャンプすらできなかったのですが本作ではVAによってジャンプを遥かに凌駕する機動力を得ました。そのVAの使用に耐えうる、探索が楽しいフィールドを用意する必要もあり、そこは新たな遊びとして楽しんでいただける部分だと思います。
――“ダブルヒーローシステム”は久しぶりの復活ですね。
向峠『スターオーシャン2』でとくに好評だったシステムでしたし、クリアー後にもう一回遊びたくなるような仕掛けにもなっているので復活させました。裏話をすると、最初は主人公を反銀河連邦のキャラと、銀河連邦のキャラの2人にすることを考えていたんです。もっと銀河連邦にフォーカスするつもりだったのです。
――──おお、そうだったのですね。
向峠ですが、そうなると銀河連邦の主人公視点はストーリーのネタバレが最初から起きてしまうため、変更することとなりました。『スターオーシャン』ならではという意味でも、ファンタジー世界からの視点もほしかったのでレティシアも主人公として選べるようにして、ファンタジー、SFの両方の視点から楽しめるようにしました。
なので、ストーリー中にパーティーが二手に分かれたときなど、あえて“神の視点”は入れないようにして、選択していない主人公の側のパーティーが何をしていたかは細かくは見られないようになっています。もちろん、大まかに何があったのかは分かるようにはしていますが。
――それは2周遊びたくなってしまいますね。
向峠最序盤を例に取ると、アベラルドは最初レイモンドのことを怪しんでいるのですが、だんだんと態度が軟化していきます。このときのアベラルドの心境の変化は、レティシア編でないとはっきりと見られない、といった感じですね。
――やはり2周するのがおすすめですか?
向峠強制ではないのですが、2周楽しんでいただければうれしいですね。『スターオーシャン』にはプライベートアクション(※)という定番のシステムがあるのですが、ダブルヒーローシステムはそれのより大きなもの、メインシナリオ版、といった感じですね。選択した主人公によって仲間にできるキャラクターにも差があったりもしますし、遊んでいて「あのときあのキャラクターは何を考えていたんだろう」と気になったら、2周してみてください。
※プライベートアクション:キャラクターの感情度によって発生する各人にフォーカスしたイベントのこと。
――──2周クリアーすると何か報酬などがあったりは……?
向峠先ほどもお伝えしました通り、2周プレイを強制はしたくないですし、とくにそういったものは用意していません。
――さきほど完全新作として作られているとおっしゃいましたが、過去作との因果関係はどの程度ありますか?
荒川『スターオーシャン5』の数十年後のお話で、過去作のキャラクターの名前がでてきたりすることもありますが、本作が初めてでもまったく問題はありません。シリーズファンの方は、ニヤッとできる要素がけっこうあると思います。
――最初の難易度選択がアース、ギャラクシー、ユニバースだったのもそのひとつですかね。
向峠そうですね。シリーズの伝統みたいなものです。
――ユニバースの下にもうひとつスペースがあるようにも見えたのですが……。
向峠うっ(笑)。そ、それは気のせいじゃないですかね……。
――なんだかあやしいですね(笑)。本作にも個性的なキャラクターがたくさん登場しますが、人物像はあきまんさんのデザインありきでスタートされたのですか? それとも設定などが先ですか?
向峠両方のパターンがありますね。キャラクターによって違います。アベラルドを例にすると、五反田(※)の考えた設定をもとにしてあきまんさんにデザインを描き始めてもらい、一旦方向性を確定しつつ、和ヶ原さん(※)が作成したシナリオで発生した要素を新たにあきまんさんにフィードバックする、といった流れになっていました。ほかには、チーム内でゲーム的にこういうキャラクターが必要とか、個人的にこういうキャラクターを入れたいとか、そういった感じでも増やした人物もいます。
※五反田氏:五反田義治氏のこと。トライエースでシリーズのメインコンセプターを務める。本作のシナリオを担当。
※和ヶ原氏:和ヶ原聡司氏のこと。本作のシナリオを担当。
荒川シナリオの大枠が決まっていたときにすでに数名の人物像は固まっていて、デザインをお願いする感じになっていた覚えがあります。あとは、バトルでの役割や『スターオーシャン』的な戦いかたにふさわしくなるように開発のほうからもいろいろな提案をさせていただきました。私の趣味が全開のキャラクターもいたりします(笑)
――キャラクターの成長をツリー形式にした狙いは何ですか?
荒川決まった成長をしていくよりは、枝分かれしたツリーを用意して自分好みに育成させられたほうがいいのかなと思って採用しました。
――重要キャラクターといえばDUMAもそうですが、DUMAはシステムありきで考えられたのですか? それともシナリオ的な役割が先ですか?
荒川両方でしたね。五反田と則本(※)から、システム、シナリオの両面が練られた、重要なキャラクターとして初期段階から用意されていた覚えがあります。
※則本氏:則本真樹氏のこと。『スターオーシャン』シリーズに初期から参加。
――DUMAありきの作品だったわけですね。
向峠五反田は、空を飛びたいというシステムを入れるにしても、設定的なところからきっちりと根拠がないとだめなタイプなので、そういうのもあってDUMAが誕生したのかもしれませんね。
――試遊した際、DUMAを育成する晶紋石がフィールドでたくさん拾えましたが、あれは無限に手に入るものなのですか?
荒川通常のフィールドでの入手に関してはある程度の上限はありますね。じつは特定の方法でさらに入手できるようにはなっていますが、簡単ではありません。
――DUMAのおかげで、フィールドの探索がとても楽しく感じました。
荒川気づきにくい場所や行くのが大変な場所には、なにかしらのご褒美が置かれているとおもうので、隅々まで探索してみてください。
――フィールドも広く探索も楽しい、オープンワールドのような雰囲気もありますね。
向峠高く飛べるということでフィールド作りの思想が前作までとはまるで違いますからね。オープンワールドほどではないですが、かなり広くて高低差のあるフィールドが作れました。
――DUMAは移動だけでなく、ブラインドサイドやVAシールドなどたくさんのアクションに関わってきますが、どう運用すべきかゲームショウでプレイされる方に向けてアドバイスをお願いします。とくにブラインドサイドは、『スターオーシャン4』のサイトアウト(※)を彷彿とさせるものになっていますね。
※サイトアウト:敵にから狙われた状態から、素早く背後に回り込めるシステム
荒川サイトアウトは敵の攻撃を待つ受動的なアクションでしたが、ブラインドサイドはこちらから仕掛けられる能動的なアクションになっています。しかも、多数の敵 に同時に仕掛けられたりもするので、かなりアグレッシブな動きもできますし、コンボ中にもブラインドサイドを狙うのもおもしろいですね。
※ブラインドサイド:自身に注目している敵の視覚範囲から外れると、相手が一定時間行動不能になり与えるダメージもアップするシステム
――エステリーケージ(※)は、どう活用すればいいですか?
※エステリーケージ:DUMAを操作キャラクターから切り離し、ステータスアップ効果などをパーティ全体に得るアクション
――試遊では強敵相手に苦戦していたとき、ブラインドサイドを狙うように意識したらあっさりと勝てた記憶があります。
向峠ブラインドサイドが使いこなせるかどうかでバトルの難度は大きく変わるかもしれませんね。
荒川といっても、RPGですからブラインドサイドなしでもレベルを上げてキャラクターを強化すれば問題なく進めるので、自分なりの攻略方法で楽しんでいただけたらと思います。
向峠適当にガチャガチャしていてもかっこよく見えますからね。最初は適当に動かしてみるくらいでいいと思います。
――楽しそうですが、試遊でその領域に到達するのは難しいかもしれませんね(笑)。
向峠そうですね。製品版ではゲームの進行によって徐々にアクションが増えていくので、だんだんと慣れていけるようになっています。
――ではTGS版ではまだプレイできない製品版での要素も質問させてください。エステリーケージ(※)やVattingは、どう活用すればいいですか?
※エステリーケージ:DUMAを操作キャラクターから切り離し、ステータスアップ効果などをパーティ全体に得るアクション
荒川エステリーケージは仲間全体に影響が及ぶので、ブラインドサイドが通用しない敵に狙うのが定番ですかね。簡単に発動、解除が行えるので、敵の大技がきそうなときにエステリーケージを展開するのもおすすめです。
荒川Vattingはいわゆる超必殺技のようなものなので、強い敵には出し惜しみなく使っていただければいいと思います。ただ、必中の技ではないので、出す位置やタイミングには気をつけたほうがいいかもしれません。
――支援特化のニーナを操作するのも楽しかったです。VAの対象では敵ではなく、味方で突進しつつ回復したりとか。
向峠ニーナに関してはちょっとチーム内でも物議を醸しました(笑)。おっしゃる通り味方に向かって飛んでいきますからね。テストを重ねた結果、こういうのもアリじゃないか、ということでいまの形での実装になりました。
――東京ゲームショウ2022ではプレイアブル出展がありますが、体験版のご予定などは……?
向峠東京ゲームショウにこられない方も“近々”遊ぶチャンスが訪れるかも……という回答でもよいですか?
――なるほど(笑)。では、最後にファミ通読者に向けてメッセージをお願いします。
向峠『スターオーシャン』シリーズファンの方はもちろん、本作が始めてという方も楽しんでいただける作品に仕上がっていると思います。RPGということでイベントシーンにも力を入れていますし、2周目も楽しい“ダブルヒーローシステム”やVAを軸としたバトルも新たな体験となっているのでご期待ください。
荒川シリーズナンバーワンのスピーディーで爽快感のあるバトルには自信があります。これから詳しい情報も出ると思いますが、やり込めるミニゲームや寄り道要素もたくさん用意しているので、すべて遊び尽くしていただけるとうれしいです。