植松伸夫氏のアレンジアルバム『Modulation』発売記念イベントリポート。「いまの自分の感覚で作り直した」『FF』楽曲を植松氏みずから演奏

　『ファイナルファンタジー』シリーズの名曲の数々を生み出してきた作曲家・植松伸夫氏が、『ビッグブリッヂの死闘』や『ティナのテーマ』などの楽曲を自ら原曲音源をサンプリング、再構築して収録した新規アレンジアルバム『Modulation - FINAL FANTASY Arrangement Album』が2022年11月9日に発売された。

　発売日には東京・新宿にあるタワーレコード新宿店にてインストアイベントも実施されたので、本稿ではその模様をお届け。

　今回のインストアイベントでは、アルバムのコンセプトや制作秘話を挟みながら、植松伸夫氏がキーボードとMacでアルバムの楽曲を演奏する、という構成で行われた。

若かりしころに作った楽曲を「いまの自分の感覚で作り直したらどうなるか」が制作の原点

　タワーレコード新宿店の観覧エリアは開始前から人でいっぱい。植松伸夫氏はそんな熱心なファンの拍手に迎えられ登壇すると、「CDはたくさん出せていただいたんですけど、63歳にして『Modulation』で初めてレコードデビュー（※）をすることになりました（笑）」と挨拶。

※『Modulation』はアナログレコードでの発売。

　その『Modulation』から最初に演奏された曲は『悠久の風 -Modulation ver.- from FINAL FANTASY III』。

　そもそも『Modulation』制作のキッカケは、植松氏のライブ活動で演奏する曲のバリエーションとして「そろそろ『FF』の曲もやってみるか」という気持ちになったところから始まった。しかし、30年以上前に作った若いころの楽曲は自分にとっては気恥ずかしい。そこでそれらの楽曲を「いまの自分の感覚で作り直したらどうなるか」という遊び心で作り始めたのが、本アルバムにつながったという。なお、『悠久の風』は最初にアレンジに取り掛かった曲だそうだ。

　ジャケットに描かれたイラストは古代のマヤ遺跡で発掘された“パレンケの石棺”がモチーフ。パレンケの石棺は、「古代人がロケットを飛ばしている絵」などといった解釈もされている、（植松氏も含め）オカルト好きには有名な絵。「石棺に刻まれている大昔の人物が、アナログシンセサイザーをいじっている感じに絵をアレンジしたらおもしろいかも」という発想から生まれたジャケットとのこと。

原曲は流行は採り入れなかったが、当時流行ったダンスミュージック風にアレンジした曲も

　2曲目はユーロビート風な4つ打ちが気持ちいい『メイン・テーマ ～ マトーヤの洞窟 -Modulation ver.- from FINAL FANTASY』。（オリジナル版のほうの）楽曲を作っていた80年代は、ユーロビート、ダンスミュージックが大流行。だが、「『FF』の楽曲を作るとき、流行りものは一切採り入れなかった」という。その理由は「一度流行を採り入れてしまうと、その後、どうしても流行を追いかけてしまうから」だそう。

　原曲から30年以上が経ったいま、ダンスミュージック風にアレンジされた『メイン・テーマ ～ マトーヤの洞窟』はグルーヴ感の強い楽曲に。

レコードで聴くと音楽に対する意識が変わる

　3曲目の前に、レコードの話題に。レコードの魅力について植松氏は「耳当たりのいい音」や「ジャケットのインパクトもあり、持っている喜びも満たしてくれるもの」、そして何より「一度針を落とすと、CDのように気軽に曲を飛ばすことができない不便さはあるけれど、そのぶん片面約20分間、音楽に集中できる。そうすると、音楽に対する意識も変わってくると思います」と、音楽を大切に思う心が芽生えると語った。

原曲のイントロをサンプリングして圧縮したり、逆再生したりといった遊び心も

　3曲目の『Blue Fields -Modulation ver.- from FINAL FANTASY VIII』では、原曲を逆再生したフレーズを入れるなど「自分しか知らないところで凝ったことをしている」という遊び心あふれる曲になっている。

『シアトリズム ファイナルバーライン』に2曲が収録決定

　最後の曲の演奏前に、突如ステージに飛び込んで来たのは『シアトリズム ファイナルバーライン』のプロデューサー間一朗氏。

　間氏は、『シアトリズム ファイナルバーライン』のデジタルデラックスエディション に『Modulation』から2曲が収録されることを紹介。「当初は、『FF』楽曲に加え、デジタルデラックスエディションやDLCを含め、総楽曲数は500曲で予定していたんですが、『Modulation』から急遽2曲が収録できることになり、総楽曲数は502曲になりました」。

　さらに間氏は『シアトリズム ファイナルバーライン』も発売日近辺にイベントをやることになった際には、「植松さんもぜひ（参加を）」とステージで直談判し、植松氏も「打ち上げは用意しろよ？」と快諾。

　なお、『シアトリズム ファイナルバーライン』はNintendo Switch、プレイステーション4向けに2023年2月16日発売予定だ。

　そんな『シアトリズム ファイナルバーライン』に収録される『ビッグブリッヂの死闘 -Modulation ver.- from FINAL FANTASY V』が本イベント最後の曲となり、ライブは終了。特典お渡し会の後、インストアイベントは終了した。

インストアイベントは11月12日は大阪、13日は名古屋でも開催

　インストアイベントは11月12日は大阪、13日は名古屋でも開催予定。対象店舗（下記）にてLPを予約、もしくは購入した人が先着で参加できる。
※今後の新型コロナウイルス感染拡大の状況等により、急遽イベント内容が変更・延期・中止等となる可能性がある。

【イベント内容】
ミニライブ＆トーク＋特典お渡し会
※ミニライブ＆トークはフリー観覧となりますが、会場前方に優先観覧エリアを設置いたします。優先観覧エリアへの入場には、「整理番号付き優先観覧エリア入場券」が必要となります。
※当日の混雑状況によっては、「整理番号付き優先観覧エリア入場券」をお持ちでない方は、ミニライブ＆トークをご観覧いただけない可能性もございますため、予めご了承ください。

【日時/対象店舗・会場】

• 11月12日(土)大阪府：ヨドバシカメラ梅田店 地下2階イベントスペース 14:00～
• 11月13日(日) 愛知県：ヴィレッジヴァンガード名古屋パルコ店 14:00～

【対象商品】
11月9日(水)発売 植松伸夫『Modulation - FINAL FANTASY Arrangement Album』
【通常盤】 1LP / SQEX-10955 / ￥4,950（税込）
※イベント詳細、注意事項は商品HPを御覧ください