日本のゲーム音楽の巨匠・植松伸夫氏が、来たる2022年11月9日に、みずからがアレンジを手掛けたアルバム『Modulation - FINAL FANTASY Arrangement Album』をレコードでリリースする。
 『ファイナルファンタジー』の楽曲はこれまで、オーケストラや吹奏楽、ロックやジャズに民族音楽など、数々の編曲家の手でアレンジされてきたが、今回は植松氏自身による、原曲の音源とアナログシンセサイザーが競演するエレクトロミュージックに仕上がっている。

 このインタビューでは、どうして今回のアレンジアルバムを手掛けることになったのか、ご自身がアレンジを手掛けた理由(じつはすごく珍しいのでは?)などの質問に加えて、『FF』生誕35周年記念のオーケストラコンサート出演やライブ活動などに精力的に活動する植松氏の近況や、今後の予定などについてもうかがった。

 なお、スクウェア・エニックスは、アレンジアルバムのリリースを記念した、植松氏の生ライブが観られるインストアイベントも開催予定。その参加要項についてもまとめているので、最後までお見逃しなく。

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植松伸夫氏(うえまつ のぶお)

『ファイナルファンタジー』シリーズを始め、『ブルードラゴン』、『FANTASIAN』など、数多くのゲーム音楽を手掛ける作曲家。オーケストラコンサートのワールドツアーを行うなどゲーム音楽業界への功績は大きく、世界中にファンを持つ。近年、ソロ演奏や親しい仲間とともにさまざまな楽曲を演奏するライブ活動、自身がストーリーと音楽を担当した朗読ライブなどさまざま形式での演奏を盛り込んだライブイベント“植松伸夫 conTIKI SHOW”を新たにスタートさせた。

『FF』生誕35周年やその記念コンサートをふり返って

――先日(2022年8月)の『FF』生誕35周年記念コンサート、『FINAL FANTASY 35th Anniversary Distant Worlds: music from FINAL FANTASY Coral』は大盛況でした。あらためてコンサートを振り返っていかがですか?

植松そうですね……。Distant Worlds自体はちょくちょく顔を出させてもらっていましたので、僕としてはそれほどスペシャルな回という意識ではありませんでした。ただ、改めて35周年記念のコンサートについて聞かれると、感慨深い気持ちになりますよね。Distant Worlds自体もスタートしてから、もう15年も経ちましたし。

――Distant Worldsの初回公演は2007年のことで、開催場所もスウェーデンのストックホルムでした。それからずいぶんたくさんの国で公演されたと思いますが。

植松あっという間に年月が経っちゃったなぁ(苦笑)。アーニーさん(指揮者を務めるアーニー・ロス氏)とふたりで、「『FF』のオーケストラコンサートのワールドツアーをやりたいね」と話をしたのが、ついこのあいだのような気がします。そもそもDistant Worldsは『FF』20周年を記念するコンサートでしたし。それより昔にもワールドツアーは何度か計画はされていたものの、実現まで至らなかったことも思い出しますね。ゲーム音楽のオーケストラコンサートでワールドツアーをするという夢は、夢でしかないのかなと思っていたところに、アーニーさんと出会えて……。

――アーニーさんの存在が大きかったのですね。

植松本当に大きいです。『FF』の音楽をオーケストラで演奏するときには、ドラムやピアノがしょっちゅう入ります。でもこれは、ふつうのオーケストラではまずやらないことですからね。ですから、クラシックだけしかやっていない指揮者さんにはゲーム音楽のオーケストラの指揮は敬遠されがちなんですよ。でも、アーニーさんは昔からオーケストラとロックとか、オーケストラとポップというのをアメリカで何度かやってきた方なので、僕らがやりたいことをよく理解してくださって。僕らとしては非常にありがたかったです。

――35年間のあいだにいろいろあったと思いますが、ご自身が手掛けられてきた『FF』の音楽をふり返ってみていかがですか?

植松そうですね、やはり、35年を振り返って感じたのは、『FF』のCGムービーが映画のようにすごくリアルになるにつれて、音楽も“映像音楽”が必要とされていったんだなということですね。

――映像に合わせて作る音楽ということですか?

植松そうですね。いまの『FF』は、そっちがメインなんだなと。わかりやすく言うと、35年のうちの前半はメロディーが主体のわかりやすいBGMで、後半の映像表現が進化してからはハリウッド映画で流れるようなBGMが求められている、といった感じですかね。逆に言えば、8ビットのゲームにハリウッドの映画音楽がついてもダメでしょう?

――ゲーム音楽で求められるものが変わってきた、ということですね。

植松FFXI』を担当した水田くん(水田直志氏)や『FFXII』の崎元くん(崎元仁氏)、『FFXIII』の浜渦くん(浜渦正志氏)、『FFXIV』の祖堅くん(祖堅正慶氏)、『FFXV』の下村さん(下村陽子氏)の音楽は本当にすばらしいですよ。だから、彼らがいまの『FF』の音楽をやっていくべきなんだろうなと、35周年のいま、すごく感じました。

植松伸夫氏が初めてのレコードデビュー!? 『FF』楽曲をエレクトロミュージックテイストにアレンジしたアルバムのこだわりを訊いた

『Modulation - FINAL FANTASY Arrangement Album』が生まれたキッカケ

――そんな35年目に、『FF』の楽曲を植松さんご自身でエレクトロミュージック風にアレンジした『Modulation - FINAL FANTASY Arrangement Album』を出されますが、このアルバムを制作することになったキッカケを教えてください。

植松自分のライブ活動で、『THE LAST STORY』や『ブルードラゴン』などをソロ用にアレンジして演奏したりしていたのですが、「そろそろ『FF』の楽曲もやろうかな?」と思い、スクウェア・エニックスさんに話を通して、3曲くらいアレンジした曲を作ってライブで遊ばせてもらっているうちに、スクウェア・エニックスの方から「アルバムにしませんか?」と言われて。だから、それまで僕はアルバムにするつもりはぜんぜんなかったんですよ。

――今回のアレンジアルバムに使われている音源は、植松さんが当時作業されていたときの音源なんでしょうか。

植松いやぁ、さすがにそれは残っていないので、サントラCDの音源を使っています。それがあったら本当にすごいことですけどね(笑)。

収録曲は『FF』を象徴する曲と自身の好きな曲を詰め込んだ

――収録曲はどういった基準で決められたのですか?

【トラックリスト】(作品ナンバリング順)

植松ビッグブリッヂの死闘』や『ザナルカンドにて』、『オープニング ~ 爆破ミッション』のような定番は入れるべきかなと。でも、全部定番ものだとコンサートなどと同じ選曲になりますから、『FFII』のバトル曲とか、『FFIX』の『テラ』、『魂無き村 ブラン・バル』といった、これまで自分が好きな楽曲でも、あまりアレンジものにしてこなかった楽曲も選びました。難しいですよね、定番ものと自分がやりたいものの配分って(笑)。……僕が好きな楽曲が多くても、みんなはイヤでしょう?

――いえいえ、そんなことはないと思います(笑)。でも、「この曲をアレンジしたらおもしろくなる」というのも選曲理由としてあったのでは?

植松たしかにそれもありましたね。それと『FFIX』の『テラ』と『魂無き村 ブラン・バル』はスポットを当てたかったでんですよね。あの曲はまだどういう形態でも表に出ていないと思うので。

――『メインテーマ ~ マトーヤの洞窟』(『FFI』)は、イントロ部分にアルバムの方向性が提示されていて、「これからどんなアレンジが聴けるのかな?」というワクワク感がありました。『ティナのテーマ』(『FFVI』)はもともと物語性のある楽曲ですが、今回のアレンジで新しいメロディーパートが加わっていたりしていて、あの物語のさらにその先が想像されるようでした。

植松そうですか。とくにファミコン時代はワンフレーズが短いですからね。当時と同じことをくり返していてもなんなので、いろいろな工夫はしていますよ。

――『悠久の風』(『FFIII』)などは、「どこかでこのフレーズ聞いたことあるぞ?」というイントロで始まって。中盤に、耳馴染みのあるあのメロディーが来るので、ちょっと泣きそうになりました。印象的なフレーズも最後のアクセントになっていて新鮮でしたし。

植松アレンジ版の『悠久の風』のイントロって、♪タリラリ タリラリ というフレーズがフェードインしてくるんですけど。あれは原曲の ♪タリラリタラッタ ラッタッタラッタ というイントロをサンプリングして、キュッと短く圧縮したものなんです。

――なるほど!

植松♪タリラリ タリラリと、4つの音階で出来ているように聴こえるんですけど、あの中には ♪タリラリタラッタ ラッタッタラッタ という音階が詰め込まれているんです。……時間があったらそういう遊びがいっぱいできるんですが、こういうのってキリがないですよね。『悠久の風』は本当に時間かかったので、「10曲全部でこんなことをやっていたら一生終わらないな」と思って。

――いろいろな試行錯誤があったんですね。

植松最初に取り掛かったのが『悠久の風』で、手探りでやっていた分、余計に時間がかかっています。

――ちなみに、知らないと気づかない遊びはほかにもありますか?

植松Blue Fields』(『FFVIII』)は、冒頭から逆再生みたいなことをしているんですが、あそこもひっくり返したら原曲のどこかのフレーズになっています。どこをひっくり返したかはいまは覚えていないんですけど(笑)。そういうのはいくつかあります。

植松伸夫氏が初めてのレコードデビュー!? 『FF』楽曲をエレクトロミュージックテイストにアレンジしたアルバムのこだわりを訊いた

今回は若いころにできなかったエレクトロミュージックに真剣に取り組んだ

――アレンジ作業は植松さんがすべておひとりでやられたのですか。

植松はい。自分でCDから音源を取って、それをループさせたり、テンポを落としたりして、いろいろやってみました。なんだか今回は、仕事というよりも、遊ばせてもらった感じなんですよね。お客さんに喜んでもらうというよりも、僕自身が喜べるものにしたいという思いがあったので。

――では、エレクトロミュージックに仕上がっているのは、植松さんのいまの好みが反映されているということでしょうか。

植松好みというより、若いころテクノとかシンセサイザーものはすごく好きでしたけど、エレクトロミュージックには真剣に取り組んだ経験がなかったので、そこをもっとやりたかったという感じですね。1980年代のクラフトワーク(ドイツのグループ)のころのアナログシンセサイザーの音楽って衝撃で、いまだに心に残っています。最近、改めて聴いてみましたけど、いや、もうね、ぜんぜんレベルが違うんですよね。

――どう違うんでしょう?

植松メロディーがわかりやすくて誰が聴いても楽しい音楽なんですが、クラシックでいう旋律の並べかたが入ってきていたり。和音など、ものすごく複雑なことをやっていたんだといまさら気づく部分もあったり。

――植松さんの音楽とも通じるものが多いような……。

植松しかもメロディーのひとつひとつ全部の音色が違う。もしくは、全部いじっているんです。クラフトワークはもっと再評価されなきゃダメですね! 本当にすごい音楽ですよ。『Modulation』を作るきっかけのひとつです。まあ、クラフトワークのようなレベルの音楽はできなかったですけどね、とても(笑)。

――クラフトワークを知らない人に、植松さんがオススメするアルバムは何ですか。

植松全部。全部ですよ。……まあでも、僕が言わなくても、いまだにちょくちょく来日するほど実績のあるグループですから。もう、1曲目からオールスタンディングになるほどのすばらしいライブをやってくれるんです。

――エレクトロミュージックをあまり聴いたことがない人はクラフトワークの音楽も聴いてみるといいかもしれませんね。ところで『Modulation』にはところどころに違和感を持たせるような、耳に残る音色が使われていると感じました。何か狙ってやられたことはありますか。

植松狙ってやったと言いますか、基本的にはデジタルシンセサイザーやサンプリングの音色などはあまり使わないようにして、アナログシンセサイザーのザラッとした感じを出したほうがいいと思ってやりました。そもそも、『Modulation』というアルバムタイトルもそういう意味ですからね。アナログシンセサイザーは、音程を司るセクションと、音量を司るセクションと、音色を司るセクションに分かれていて、そのそれそれの単体をモジュール(module)というんです。その名詞形がモジュレーション(modulation)。アナログシンセサイザーの音色っぽくしたいという意図は、アルバムタイトルにも表れていると思います。

――タイトルにはそういう意図があったんですね。アナログシンセサイザーの音色って、なんだかいいですね。ちなみにどんなアナログシンセサイザーを使っていらっしゃるんですか?

植松ええと……MoogのMOTHER-32とDFAM、あとはKORGのMS-20 mini、RolandのSE-01というものです。

――それらはもともと所有されていたのですか?

植松そうですね。もともと持っていました。でも、最近発売されたものもあります。アナログシンセサイザーって本当に深くて、いい意味でめんどくさいんですよね。その点デジタルは便利で楽。だけど、手のかかる子どもほどかわいいって言うじゃないですか(笑)。そもそもアナログにはメモリーもついていません。一所懸命に作った音色も、ちょっとどこか触ったら変わってしまうし。デジタルならポンと押せばその音色を呼び出せるようになっていますけど。Moogなんて、いまだに何もついてないので、その音色を出したかったら毎回何十個もあるノブ(つまみ)を合わせないといけない。ですから、その音色を出すために、いちいち写真を撮っていますから。なので、アナログシンセサイザーってつくづく趣味のものだと思いますよ。

――でも、音色にはその手間をかけてもいいと思える魅力があるんですね?

植松はい。モジュールはそれぞれボルテージ・コントロールなので、電圧でオシレーター(音色を決める波形を調節する発振器)からフィルター(音色を変化させる装置)につなぐんですね。それをあえてLFO(ローフリケンシーオシレーター。低い周波数専用の発振器)につないだり、いろいろタッチを変えたりすると、思いもしなかった音色が出たりして、本当におもしろいですよ。いじった人がその偶然出た音色をよしとするかどうかというのも、音楽のひとつの決め手ですよね。さきほどお話したクラフトワークのような人たちの音楽には、おそらく相当な偶然性があったんじゃないかと思うんです。「こんな音出たよ? これ、どうやっておもしろくする?」という。そういう発想だと思いますね。

――アナログシンセサイザーって深いんですね。

植松深いです。『Modulation』の制作が終わったいまも、まだアナログシンセサイザーをいじっています。アナログシンセサイザーを並べて、インプロヴィゼ―ションなライブをやるのがいまの夢なんです。ライブのために前準備を何もせず、その場の即興でシーケンスを作って、そのシーケンスで音色をいじりながら。そういうライブを来年中にはやってみたいですね。

――ちなみに、アルバム制作にはだいたいどれくらいの時間をかけられたのでしょうか。

植松どうでしょう……。6月に幕張で3曲やったライブ(『FFXIV』のバンド、THE PRIMALSのライブ。2022年6月開催)のころは……、まだ半分もできてなかったかな?(笑) 先ほどお話したように、3曲はアルバムにしようというお話がある前からできていたんですが、それ以外の7曲は毎日少しずつやっていたので、どの曲にどれほど時間をかけたかは明確には言えないですね。期間的にはアルバム化が決まってからは、ぼんやり8ヵ月くらいかな? ただ、いつもながらその8ヵ月の作業も、最後の2ヵ月に偏っていますけど。締切がなかったらずっと作り直し続けていると思いますし、やっぱり締切って大事ですね(笑)。

植松伸夫氏が初めてのレコードデビュー!? 『FF』楽曲をエレクトロミュージックテイストにアレンジしたアルバムのこだわりを訊いた

じつは63歳にしてレコードデビュー!?

――そういえば、全曲フェードアウトで終わらないのが印象的でした。これはライブも見据えて?

植松そうですね。フェードアウトで終われたら、再生時間がもっと短くて済んだんですけど。全部で52分くらいありますから、長いと言えば長いんですよ。LPレコードの標準再生時間は、A面B面それぞれで約20分で、約40分なんです。そこに『Modulation』は52分入っていますから。

――レコードのお話が出たところでお聞きしたいのですが、iTunesやAmazon Music、moraなどで配信もあるとはいえ、物理メディアではレコードのみで発売することにしたのはなぜですか?

植松これはスクウェア・エニックスさんからの提案ですね。僕はCDも出すべきじゃないかといまだに思っていますけれど(笑)。ただ、僕自身、いまでもレコードが大好きなんですよ。新譜も中古も買いますし。レコードはまずジャケットが好きなんです。だからLPレコードを出してもらえることがすごくうれしくて。サントラなどは別にして、僕はこれまでレコードを出したことがなかったので、昔の言葉で言う“レコードデビュー”なんですよ。63歳にしてやっと(笑)。

――おめでとうございます(笑)。A面とB面で、それぞれバランスを考えて曲順を決める必要もあったのでは?

植松正直そこまでは考えられなかったんですよね。ですから、つぎにまたこういう機会があったら……。

――ということは、あるかもしれない?

植松いやいや。まったくわからないですけど(笑)。

――ジャケットには植松さんらしき人物や、モーグリやチョコボなど『FF』シリーズのマスコットたちが描かれていますが、このジャケットにはどんなこだわりが?

植松ジャケットのイラストはもともと、いま僕がやっている“植松伸夫 conTIKI SHOW”というライブ活動のために作ったものですね。何か僕の現在の活動を象徴するアイコンがあったほうがいいと思ったので。それを今回のアルバムでも使ってみました。

――“植松伸夫 conTIKI SHOW”のものと見比べると、まわりに散りばめられているマスコットが違っていますね。じっくり見るとさらにいろいろな『FF』ネタに気がつきますし、不思議なもの好きな植松さんの遊び心を感じるジャケットで、とても興味深いです。

植松ご存知の方が見たらすぐにわかりますが、古代のマヤ遺跡で発掘された“パレンケの石棺”がモチーフなんです。パレンケの石棺というのは、「宇宙飛行士がロケットを飛ばしている絵だ」などといろいろな解釈がされている、いわゆるオーパーツで。僕はあの石棺に刻まれている大昔の人物が、アナログシンセサイザーをいじっていたらおもしろいだろうなと思って。それでドッグイヤー・レコーズのスタッフに描いてもらったんですよ。

植松伸夫氏が初めてのレコードデビュー!? 『FF』楽曲をエレクトロミュージックテイストにアレンジしたアルバムのこだわりを訊いた

ライブ活動、朗読ライブをライフワークに

――では、最後に植松さんの今後の活動や目標について教えてください。

植松とりあえず、かれこれ10年ほど前からやりたいと言って、やるやる詐欺みたいになっていたライブ活動を本格的にやりたいですね。小さなライブハウスでイチからやってみたくて、ようやく去年始められたという感じです。今後、このライブでは『Modulation』の楽曲もやりたいですし、『Melodies of Life』(『FFIX』)や『Eyes on Me』(『FFVIII』)のような歌ものもやろうかと思っています。さらに、いま新しく始めている朗読もやって。インストと歌と朗読の3本立ての“植松伸夫 conTIKI SHOW”を、コンスタントに続けていこうと思っています。それがうまくいったら、そのつぎが見えてくるんじゃないかな? あんまりその先は考えてないですね。

――『Modulation』をライブでやるとしたらどんな感じになるんですか? THE PRIMALSのライブにサプライズ登場したときにはわりとコンパクトでしたが。

植松たしかにTHE PRIMALSのライブはキーボードとMacだけでしたね。アナログシンセサイザーを並べてというのも、見栄えがするからやってみたいですけど、めんどくさいんです(笑)。いや、本当にね、機材の重さって大問題なんですよ。20キロ近くあるキーボードを地下のスタジオから1階に上げるだけでもたいへんですから。とにかく持ち運びがネックなので。だから、現実的にはキーボードとMacになりますが、可能であればスクリーンなども使ったステージ演出を考えないといけないのかなとは思っています。

――では、今回のアルバムを楽しみにされている方にひと言お願いします。

植松『FF』の1作目から35年が経ち、これまで気恥ずかしくて見ようとしなかった昔の子どもたちに、「この服を着せたらおもしろいんじゃないかな?」と、自分がいいと思う服を着せてお化粧直しをしてみました、というのが今回のアルバムです。そういう意味では、誰かに気に入ってもらおうと思って作ったのではなく、自分自身がいいと思うものを作ったという感じです。少なくともおもしろいものにはなったので、よろしかったら皆さんも聴いてみてください。

植松伸夫氏が初めてのレコードデビュー!? 『FF』楽曲をエレクトロミュージックテイストにアレンジしたアルバムのこだわりを訊いた
2022年8月下旬、ドッグイヤーレコーズにて

リリース記念イベントを開催!

 『FF』の音楽に長く携わってきて、いま改めて、誰かのためでなく、自分が楽しむためにみずからの楽曲に向き合ったという植松氏。この『Modulation』という、創造主によるお遊びを享受できるチャンスのひとつとして、アルバムのリリースを記念したミニライブ&トークイベントが、全国3ヵ所で開催予定だ。詳しくはスクウェア・エニックス ミュージックサイト内、『Modulation』特設ページをご覧ください。

以下、リリースより抜粋

2022年11月9日(水)発売 植松伸夫『Modulation - FINAL FANTASY Arrangement Album』のリリースを記念してイベントを開催いたします!
対象店舗にてLPをご予約、もしくはご購入いただいた方から先着でご参加いただけます。
皆様是非ご参加下さい!

※今後の新型コロナウイルス感染拡大の状況等により、急遽イベント内容が変更・延期・中止等となる可能性がございますので予めご了承ください。

イベント内容

ミニライブ&トーク+特典お渡し会
※ミニライブ&トークはフリー観覧となりますが、会場前方に優先観覧エリアを設置いたします。優先観覧エリアへの入場には、「整理番号付き優先観覧エリア入場券」が必要となります。
※当日の混雑状況によっては、「整理番号付き優先観覧エリア入場券」をお持ちでない方は、ミニライブ&トークをご観覧いただけない可能性もございますため、予めご了承ください。

日時/対象店舗・会場

  • 11月9日(水)東京都:タワーレコード新宿店 19:30~
  • 11月12日(土)大阪府:ヨドバシカメラ梅田店 地下 2 階イベントスペース 14:00~
  • 11月13日(日)愛知県:ヴィレッジヴァンガード名古屋パルコ店 14:00~

対象商品

11月9日(水)発売 植松伸夫『Modulation - FINAL FANTASY Arrangement Album』

  • 【通常盤】 1LP / SQEX-10955 / ¥4,950(税込)

※イベント詳細、注意事項は商品HPを御覧ください

商品概要

  • 商品名:Modulation - FINAL FANTASY Arrangement Album
  • 発売日:2022年11月9日(水)
  • アナログレコード
  • 価格:¥4,950(税抜価格¥4,500)
  • 品番:SQEX-10955
  • JAN:4988601469708
  • 仕様:アナログ LP レコード/収録曲:10 曲/楽曲(MP3) ダウンロードコード封入
    ※ダウンロードコードは、使用に回数制限がございます
    ※将来、事前告知のうえでダウンロードコードに有効期限が設定される可能性があります
  • ダウンロード配信 アルバム販売/単曲販売
    ※iTunes / Amazon Music / mora等で配信予定
    ※配信価格はサイトによって異なる場合があります。詳細は発売日以降に各配信サイトにてご確認ください
  • 発売元:株式会社スクウェア・エニックス