2022年6月8日、『Minecraft』に“The Wild Update (ワイルド アップデート)”が配信される。“ワイルド アップデート”では、新しいバイオームやモブ、ブロックなどが追加される。

『マインクラフト』に“ワイルド アップデート”が本日より配信開始。新バイオームや新モブの楽しみどころをMojang Studiosの開発陣に直撃

【“ワイルド アップデート”のおもな追加要素】

  • ふたつの新しいバイオーム、“ディープ ダーク (深淵)” と“マングローブの沼地”が追加
  • 泥ブロックが追加
  • チェスト付きのボートが追加
  • 3つの新しいモブが登場(ウォーデン、アレイ、カエル)

 “ワイルド アップデート”の楽しみどころに関して、Mojang Studiosのおふたたり、『Minecraft』ゲームディレクターのアグネス・ラーソン氏とゲームプレイデベロッパーのウルラフ・ヴァクニンテ氏にお話を聞いた。

『マインクラフト』に“ワイルド アップデート”が本日より配信開始。新バイオームや新モブの楽しみどころをMojang Studiosの開発陣に直撃

アグネス・ラーソン氏(写真・左)

Mojang Studios『Minecraft』ゲームディレクター

ウルラフ・ヴァクニンテ氏(写真・右)

Mojang Studios 『Minecraft』ゲームプレイデベロッパー

『Minecraft』公式サイト“ワイルド アップデートがやってきます”

これまでとは違う新しいフィーチャーをたくさん用意しているので、さまざまなプレイスタイルの方が楽しめる

――まずは、“ワイルド アップデート”を開発するにあたって、どのような点をテーマに取り組んだのが教えください。

アグネス新たにアップデートをスタートする際は、まずゲーム本体をよく観察して改善すべき部分を検討します。“ワイルド アップデート”では3つの柱を目標としました。

 ひとつめは『Minecraft』の手付かずの自然に目を向けることです。新たに追加された“マングローブの沼地”ではカエルが登場します。

 ふたつめ『Minecraft』のミステリーを掘り下げることです。そのため、“ウォーデン”と“ディープ ダーク”を追加しました。『Minecraft』の要はプレイヤーがそれぞれのストーリーを体験することですので、プレイヤーの皆さんをインスパイアすることで、プレイヤー自身のストーリーを語れるようにしたいと思いました。

 たとえば、古代文明を思わせるものを導入し、プレイヤーを刺激することができます。プレイヤーは、「この構築物は何なのか?」「この下には古代都市があるのか?」「このスカルクブロックはなぜ広がっているのか?」などの疑問を持つでしょう。こうした問いかけが刺激になるわけです。

 3つめはバイオーム投票が行なわれた“Minecraft Live”でお約束したものを皆さんにお届けすることです。この投票では、カエル、チェスト、マングローブが候補になっており、この年に選出されたわけではありませんが、これらを追加することをお約束しました。そして私たちもこのフィーチャーの追加を楽しみにしていました。

――ちなみに、“ワイルド アップデート”の開発期間はどれくらいですか?

アグネス目標を立ててその後の準備期間も入れると、開発期間は1年半です。

――“ワイルド アップデート”で、もっとも注力していたポイントをお教えください。

アグネスポイントはふたつあります。ひとつは、“ディープ ダーク”や“ウォーデン”の怖さとチャレンジの対比です。これはもちろん今回のアップデートの重要なワクワクする部分です。

 もうひとつは自然に関するものです。“マングローブの沼地”、“カエル”、そして“アレイ”もそうですが、これらが追加されることでワールドがより生き生きとしたものに感じられるようになりました。そしてこれらがお互いを引き立て合うだけでなく、きちんと繋がりを持っていることが素晴らしいと思います。

『マインクラフト』に“ワイルド アップデート”が本日より配信開始。新バイオームや新モブの楽しみどころをMojang Studiosの開発陣に直撃

――今回、“ディープ ダーク”と“マングローブの沼地”というふたつのバイオームに関して、開発者として「こんなところをとくに遊んでほしいなあ」というポイントを教えてください。

ウルラフ“ディープ ダーク”は古代都市ですね。私は開発者としてだけでなく、ひとりのプレイヤーとしても、非常にワクワクしています。まず出かけていって、そこにあるいろいろな部屋を見て理解を深めることです。非常に古いもので、いまは廃墟となっていますが、以前はどんな姿だったのか、どんな目的で建てられたのかなどを想像して、頭の中で最盛期の姿を再構築するのはとても楽しいです。

『マインクラフト』に“ワイルド アップデート”が本日より配信開始。新バイオームや新モブの楽しみどころをMojang Studiosの開発陣に直撃

アグネス“マングローブの沼地”にも行ってほしいです。その美しさを楽しんでください。ユニークな性質を持っていて、プレイヤーは自然の中にいると感じられるでしょう。マングローブの根やバイユーがあり、屋根のあるジャングルのような雰囲気で、とてもエキサイティングです。また、新しいブロックもおもろいです。クリエイティブなプレイヤーだけでなく、多くのプレイヤーにはマングローブや泥ブロックを楽しんでもらえると思います。

――今回のアップデートでは、3つの新しいモブが追加されるとのことですが、まずは“ウォーデン”を造形するにあたって、こだわったポイントを教えてください。

ウルラフ“ウォーデン”にはこだわったポイントがいくつかあります。まず、怖さと難しさのバランスを取ることです。今回、これまでの『Minecraft』にはあまりなかった困難やプレイスタイルを導入したいと思いました。また同時に幅広い人たちに楽しんでもらうには年齢に関係なくプレイできるものにしなければなりません。従ってあまり怖くなりすぎないようにバランスを取ることも重要です。

 一方で経験豊富なプレイヤーが“ウォーデン”とのおもしろい挑戦を楽しめるようにすることは私たちにとって非常に重要なポイントでした。開発当初は経験豊富なプレイヤーが“ウォーデン”に向かっていき、3つのブロックをロックして勝利するという状況もあり、プレイヤーの経験を微調整する必要がありました。

 挑戦と感じてほしい、怖さも感じてほしい、またこのゲームを長くプレイしている人にもおもしろいと感じてほしいと思いました。最終的に遠距離攻撃、そしてこのモブのおもしろい特性を使うことで興味深いバランスになったと思います。

――“ウォーデン”の登場にともなって、“隠れながら動く”という新しいゲームプレイが導入されているようですが、新しいゲームプレイを導入した理由を教えてください。

アグネス私たちは『Minecraft』を末長くアップデートし続けたいと考えていますので、非常に長期的な視野を持っています。新しいものを導入する際は、プレイヤーにどんな経験を提供できるのかと思うと、とてもワクワクします。今回の“隠れながら動く”ゲームプレイは、『Minecraft』にはなかった要素であり、私たちはこのアイデアにとてもワクワクしました。“賢くプレイできた”という感覚は楽しいですよね。“ディープ ダーク”で、隠れながら動いていくとこの感覚が味わえます。ウールブロックでバイブレーションをかわす、何かを投げて“ウォーデン”の注意をほかに向けるなど、いろいろなことが試せるので、うまくいけば「やった!」と思えます。注意深く進まなくてはならないので、心地よいスリルも感じられますよ。

『マインクラフト』に“ワイルド アップデート”が本日より配信開始。新バイオームや新モブの楽しみどころをMojang Studiosの開発陣に直撃

――2021年に行われた“Minecraft Live”のモブ投票で選ばれた“アレイ”は、どのようなキャラクターになりますか?

ウルラフ不思議で風変わりな感じのキャラクターにしたいと思いました。アレイのサウンドを作るに当たり、ふたつのことがプレイヤーに伝わるようにしました。

 ひとつはこのキャラクターが親しみやすく、危害を与えないクリチャーであるというメッセージです。多くのプレイヤーはワールドでこのキャラクターに最初に出会うと本能的に攻撃してしまうかもしれません。そこでビジュアルとサウンドの両方を使って、「ちょっと待って耳を傾けてみてはどうか」、「違う方法で関わってみてはどうか」というメッセージを伝えています。

 もうひとつは、サウンドの底を流れるものです。よく聞いていると少し不気味な感じやこのクリチャーには何か隠れたストーリーがあって、それが現れる、あるいはプレイヤー自身のストーリーと関わって発見できるかもしれないことが感じ取れると思います。

アグネスみなさんにはこのクリチャーをぜひ好きになってもらいたいです!

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――さらに新しいモブとして、ファンが長いあいだ待ち望んでいた“カエル”も追加されますね。

アグネスカエルは私たちが取り組もうとしていた、『Minecraft』の手付かずの自然にさまざまなものを加えていくというテーマに合致していました。もちろんファンの皆さんが待ち望むものを加えることはとても重要ですが、プレイヤーが本当にほしがっているものをよく検討して選びました。それがカエルだったのです。

 新しいモブ、動物を加える際は、目的に沿ったユニークな性格を持たせるようにしています。まず実在のカエルについて多くの資料に目を通しました。そして実在のカエルを『Minecraft』のカエルらしくしていくわけです。実在のカエルは冷血動物ですので『Minecraft』でもそれは変わりありませんが『Minecraft』風になっています。

 オタマジャクシはどのような気温のバイオームに存在するかによって3つの異なる種類のカエルになり、収集することができます。冒険に出かけて3つの異なる種類のカエルを見つけて集めるというのはプレイヤーにとって楽しいゴールになると思います。

 また3種類のカエルは3つの異なる“フロッグライト”を持っているので、これを集める冒険も楽しめます。収集も楽しいですが、カエルのアニメーションがとてもかわいいので、見ているだけで幸せな気分になりますよ。

『マインクラフト』に“ワイルド アップデート”が本日より配信開始。新バイオームや新モブの楽しみどころをMojang Studiosの開発陣に直撃

――“ワイルド アップデート”を開発するにあたって、苦労した点などはありますか?

アグネス私たちは日々学習していますが、既存のフィーチャーセットの質にフォーカスするか、新しいものを付け加えるか、どちらを優先するかを決めるのはつねに難題です。すべてを追加したいのは山々ですが、ゲーム開発では優先順位を決める必要があり、私たちは既存のフィーチャーセットの質を優先しました。とくに私たちは長期的な視野でゲームを開発していますので、長く続けていくにはプレイヤーに喜んでもらえる高い品質の維持が重要なポイントになります。

――最後に、“The Wild Update”を楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします。

アグネス“ワイルド アップデート”を最大限楽しんでいただきたいです。それはつねに私たちのゴールであり、多くのプレイヤーの皆さんに喜んでいただきたいと思っています。これまでとは違う新しいフィーチャーをたくさん用意していますので、さまざまなプレイスタイルの方に楽しんでいただけると思います。『Minecraft』は多種多様な遊びかたがありますからね。

ウルラフこのアップデートはじっくりと時間をかけてプレイしてほしいです。チェスト付きボートは小さなアップデートに見えるかもしれません。しかし私たちはこのような小さなアップデートひとつひとつに時間をかけて、質を高め、磨きをかけ奥深さを追求しました。じっくりプレイしていけばさまざまな細かいおもしろい遊びかたができることがおわかりいただけると思います。

『マインクラフト』に“ワイルド アップデート”が本日より配信開始。新バイオームや新モブの楽しみどころをMojang Studiosの開発陣に直撃