2022年1月28日(木)から1月30日(日)にかけて開催された“東京eスポーツフェスタ2022”。3回目となる本イベントは、今年もオンラインで開催され、さまざまなゲームタイトルの決勝大会やステージイベントが盛りだくさんの、eスポーツのおもしろさが詰まった祭典となった。
そんなお祭りの一環として、1月29日(土)に開催されたのが『Fall Guys: Ultimate Knockout』決勝大会だ。こちらの大会は、だれでも気軽にeスポーツ大会に参加できるようにとの願いを込めて開催された特別企画大会だった。
※『Fall Guys: Ultimate Knockout』決勝大会は3:42:50ころより。
33人の予選突破者とゲスト選手1名による激戦を制したのは、“TmTさん”選手。東京eスポーツフェスタという大舞台で、見事に最強のナイスガイの座を勝ち取った。
こちらの大会だが、『Fall Guys』というタイトルに触れたことがある人が想像するようなカオスな展開にはほとんどならなかった。むしろ、『Fall Guys』はここまでストイックなゲームだったのかと思わされる、お試しとは思えないすばらしいeスポーツ決勝大会となった。
話を聞くに、予選の段階で決勝進出者を決めるためのサドンデス試合が時間切れまで続き、3回行なうことになったこともあったという。
いったいどのような大会になったのか、以降その内容をお伝えしていく。記事の最後には優勝者へのショートインタビューの模様も掲載しているので、そちらもぜひご一読いただきたい。
33人+1人のナイスガイが一発勝負に臨む
まず前提として、『Fall Guys: Ultimate Knockout』がどのようなゲームか、軽く解説しよう。
本作は最大60人のプレイヤーが同時にランダムで決まる多彩なミニゲームステージに挑み、生き残りをかけて競い合うタイトルだ。数十人がもみくちゃになりながら、最後のひとりが決まるまで対戦が続く。
本作を知っている人なら分かるだろうが、とにかく本作はハチャメチャだ。ステージの種類が59種類(2022年1月現在)もありながら、何がくるかは完全にランダムで、対策の立てようがない。
今回のイベントでは、そんなカジュアルな人気を誇る『Fall Guys』だからこそ、だれでも参加できるeスポーツ大会としてお試し開催に至ったのかも知れない。そうしてオンライン予選が開催され、そこから勝ち上がってきた33名の選手が決勝のステージに集結した。
さらにゲストプレイヤーとして、本イベントの総合MCを務めるeスポーツキャスター・平岩康佑さんの参戦が決定。お試し大会ならではの、なんでもアリ感が強まってきた。
決勝大会のルールはごく単純で、すべてのミニゲームステージが出現する“メインショー”形式で行なわれた。最後に勝ち残った者に与えられる、“クラウン”を獲得したプレイヤーが優勝となる(複数人クラウン獲得者が出た場合はサドンデス)。
ほかのタイトルの決勝大会ならふつうにあるであろう、準々決勝や準決勝などは存在しない。1回スタートしてしまったらほぼノンストップで優勝者決定まで駆け抜ける、よく考えるとすごい状況になっている決勝戦の火ぶたが切られた。
ストイックすぎる展開に手に汗握る
最初に選ばれた、注目のステージは“スライム・クライム”。ステージの下から徐々に迫るスライムに飲まれないかぎり、ゴールにたどり着いた全員がつぎのステージに進める。
ここで全選手が、まさかの“みんななかよくゴールしよう”と言わんばかりの、ゴール前での和気あいあいとしたアピールを展開し、33人がつぎのステージに進んだ。きみたち、これ決勝大会だぞ。
第2のステージは“リリー・リーパー”。ルート上に設置されたドラムでバウンドして進み、一定数のゴール者のみがつぎに進めるステージだ。
ここからは各プレイヤーがその技術をいかんなく発揮し、ドラムを転落もほとんどなく乗り継いでいく。最短ルートをミスなく突き進んだ24名が、つぎのステージへと駒を進めた。
つぎのステージ“エアータイム”で残り15人となってから迎えた、第4ステージ“ロールアウト”。障害物とともに回転し続けるロールから落ちないように走り、飛んでくる果物やロールに開いている落とし穴を避け続け、6名が脱落したら終了となるステージだ。
解説のトンピ?さんによれば予選でもあまりにうまいプレイヤーが多かったため、今回も時間切れまで延々と続くことも予想されるというこちらのステージ。ポイントとしてはほかのプレイヤーを“つかむ”ことでジャンプを妨害し、穴に落とすのが定番の戦法だ。
だが、ロールの回転速度が上がってきても、なかなか脱落者が出ない。よく見ると妨害をしているプレイヤーがほとんどいない。1名が脱落したが、時間切れでステージが終了となり、残りの14名はそのままつぎのステージに進出した。
続いての“動く スポットライト”で3名が、つぎの“パイプドリーム”では4名が脱落していく。そして7名が“ロールオフ”という、さきほどの“ロールアウト”に似たステージに到達した。
さきほどと同じく、回転スピードが上がり、スライムがせり上がってきても、やはりつかみによる妨害をするプレイヤーがいない。全員、ひたすら集中してふたつのロールを行き来していく。
決勝大会という一発勝負の舞台だからか、あるいはこれが真の上級者の戦いかたなのか。自分もジャンプするタイミングが遅れることになる、つかみ妨害というリスクがある行為は7名全員がほとんど考えていないようだった。
さらに時間が経過すると、スライムに沈んでロールの大半が見えなくなるぶん、つぎに来る障害物や穴の位置はスライムに隠れてほぼ見えなくなっていく。こうなると記憶力で覚えていない限り障害物にまず反応できず、限界を迎えたプレイヤーがまず一気に3人、続いてひとり、またひとりと脱落していく。
そうして残ったのは、“hanamichi__1031”選手と“TmTさん”選手のふたりのみとなった。どちらのプレイヤーも妨害などは一切せず、お互いに実力を出し切って障害物をよけていく。
ふたりの底なしの精神力は5分間というステージのタイムリミットまで続き、ふたりがクラウンを獲得する結果となった。ルールによりサドンデスマッチが組まれ、“止まるなキケン”ステージで決着をつけることになった。
こちらの試合の展開は非常に速かった。相手の足場を奪ってさきに落とすため、ほぼ同時に最下層のタイルエリアにまで落ちてきたふたりが、自分のぶんのタイルを陣地のように確保しつつ、タイルを落として相手が自分の陣地に飛び移れないようにエリアを分断していく。
一瞬の判断の差か、TmTさん選手がエリアをうまく分断して自分の安全地帯をより広く確保し、勝利。終盤の息が詰まるような展開の連続を制し、今大会の優勝者はTmTさん選手に決定した。
第3回の開催となる東京eスポーツフェスタで、特別企画として開催された本大会。いわばおまけのお試し大会といったところだったはずだが、フタを開けてみれば他の大会に負けず劣らずの、すさまじい集中力とプレイヤースキルのぶつかり合いとなった。
とくに妨害については、ここぞという必勝の一手や、ステージの性質上、妨害が必須となる“止まるなキケン”などのステージ以外では、ほぼ使わなれていなかったのが印象的だった。本作を極めていくと、妨害でわちゃわちゃするようなゲームを脱してストイックなスポーツマンシップが生まれるものなのかと、感動すら覚えた。
ロールオフの5分間はまさに永遠のように感じられ、5分しか経っていないとはとても信じられなかった。ここまで手に汗握る種目ならば次回以降には正式採用も考えてほしいと、願ってやまない。
優勝者・TmTさん選手へのインタビュー
――優勝した感想を聞かせてください。
TmTさん選手まずは優勝できて本当によかったというのと、僕のフレンドのみんながカスタム部屋を開いてくれて、そこで十分練習ができたおかげで優勝できたというのもよかったと思っています。
――今回の勝因としては、やはりそのカスタム部屋での練習が決め手となったということでしょうか。
TmTさん選手そうですね。たくさん猛者の方が集まってくれたので。
――練習できた日で平均すると、一日何時間くらい練習されてきましたか。
TmTさん選手休みは5時間くらいはプレイしていました。
――それだけプレイした結果が実ったわけですね。では続いて、最後のロールオフではすごい戦いになりましたが、どのように思ってプレイしていましたか。
TmTさん選手正直なところ、このままサドンデスに持っていこうと思っていました。こんな勝ちかたでいいのかな、という気持ちもありましたけど。ふだんの対戦とは、気持ちはぜんぜん違いました。
――今回の大会を通じて、『Fall Guys: Ultimate Knockout』のここがおもしろいと改めて思ったところなどはありましたか。
TmTさん選手最後に“優勝”できるところがおもろしろいというか、ゲームとしては“つかみ”の機能がおもしろいです。単にジャンプしたりするだけじゃなくて、ギミックをつかみを活用してクリアーしたりできるのがいいと思います。
――今日の大会では妨害は見られませんでしたが、ふだんの対戦では積極的に妨害をしていきますか?
TmTさん選手ファイナルステージは当然やりますけど、ふだんはあまりやらないですね。
――なるほど、いちプレイヤーとして私も肝に銘じてみます。ではつぎに、本大会以外にもほかの大会には参加されていますか。
TmTさん選手公式ではないですけど非公式で大会が開かれていますので、そちらには結構参加しています。今回は大きな大会で、バリバリ緊張しました。
――それでは最後に、好評なら次回もまた大会開催となる可能性もあるかと思いますが、次回開催があるとして意気込みを聞かせていただけますか。
TmTさん選手次回もあれば、絶対参加します。また優勝できるように練習を積んでがんばりたいと思います。
――その場合、初代王者としての参戦になりますね。ほかのプレイヤーさんに、王者として何かメッセージをいただけますか。
TmTさん選手えーと……猛者のみんな、かかってこいや! とか……いや、やっぱナシでお願いします!(笑)
東京eスポーツフェスタ2022リポート記事はこちら
※画像は配信をキャプチャーしたものです。