スクウェア・エニックスが開発を進めているスマートフォン向けアプリ、『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』(以下、『ブリリアントライツ』)。同作は、ニンテンドー3DSやNintendo Switchなどで好評を博してきたRPG『ブレイブリー』シリーズのスマートフォン向け最新作だ。

 『ブリリアントライツ』では、バトルにおいてターンの“貯蓄”と“前借り”を行う“ブレイブ&デフォルト”システムなど、『ブレイブリー』シリーズの特徴はそのままに、新天地のヴェルメリオ大陸で新たな冒険が楽しめる。

 また、『ブリリアントライツ』のオリジナルキャラクターに加えて、過去作の登場人物がプレイアブルキャラクターとして参戦するのも本作の見どころ。過去作で味方側だったキャラクターはもちろん、敵だったキャラクターも仲間にできる、オールスタータイトルとなっている。

『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』開発者インタビュー。小松陽平氏と高橋真志氏にCBTの手応えや現在の開発状況などを直撃。“覚醒”などの新情報も!
『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』開発者インタビュー。小松陽平氏と高橋真志氏にCBTの手応えや現在の開発状況などを直撃。“覚醒”などの新情報も!
『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』開発者インタビュー。小松陽平氏と高橋真志氏にCBTの手応えや現在の開発状況などを直撃。“覚醒”などの新情報も!

 そんな本作の事前登録スタートを記念して、本作に携わるスクウェア・エニックスの小松陽平氏と高橋真志氏にインタビューを実施。企画立ち上げの経緯や、2021年7月に行われたクローズドベータテストの手応え、現在の開発状況などを伺った。キャラクターの育成要素である“覚醒”など、新情報も満載なので、ぜひ最後までチェックしてほしい。

小松陽平氏(こまつ ようへい)

『ブリリアントライツ』のプロデューサー。『ブレイブリーデフォルト フェアリーズエフェクト』では運営プロデューサーを務めていた。

高橋真志氏(たかはし まさし)

『ブレイブリーデフォルトII』プロデューサー。家庭用ゲーム機向けの『ブレイブリー』シリーズ作品すべての開発に携わっている。また、『OCTOPATH TRAVELER(オクトパストラベラー)』でもプロデューサーを担当。
※高橋氏の“高”の字は、正しくははしごだかです。

ファンを喜ばせるオールスタータイトルとして新作の開発がスタート!

――『ブリリアントライツ』の開発は、いつごろから動き出したのですか?

小松メールを確認してみたところ、動き出しは2018年の夏ごろでした。当時は、モバイル側で新作を企画することになり、どのような形にしようかと検討していて。同じころ、高橋さんは『ブレイブリーデフォルトII』の開発を進めていましたよね?

高橋進めていましたね。

小松『ブレイブリーデフォルトII』と『ブリリアントライツ』の開発が同時に進んでいて、「コンソールとモバイルが一体になって、『ブレイブリー』シリーズを盛り上げていこう!」というのが、企画の起点だったと記憶しています。

――高橋さんも、当時のことは覚えていますか?

高橋以前、『ブレイブリーデフォルトII』のインタビューのときにもお話ししたかと思いますが、『ブレイブリー』シリーズは、家庭用ゲーム機向けの新作として『II』が出るまで、かなり時間が空いてしまいました。『ブレイブリーデフォルト』が2012年、『ブレイブリーセカンド』が2015年で、1作目から数えると来年で10周年を迎えます。『ブレイブリーセカンド』の後は『オクトパストラベラー』を手掛けていたので、『ブレイブリー』シリーズを動かせず、シリーズがこのままクローズしてしまう可能性もありました。

ですが、とてもありがたいことに、ほかのチームがブラウザゲームの『ブレイブリーデフォルト プレイングブレージュ』やアプリの『ブレイブリーアーカイブ ディーズレポート』、『フェアリーズエフェクト』などの『ブレイブリー』シリーズタイトルの運営を行ってくれたうえに、とても好評だったことから、コンシューマーの新作として『II』を開発することができました。

『II』は、これまでずっと応援してくれていたファンの方たちの気持ちに応える形で始動した企画でもあったので、この『II』のリソースもうまく使って、『フェアリーズエフェクト』のようなおもしろいゲームを小松さんたちに作ってほしいというのが最初のきっかけだったと思います。

――『II』と『ブリリアントライツ』の開発は同時期に進んでいたということですが、お互いに方向性を探り合いながら開発を進めていったのですか?

小松それは意識していませんでした。というのも、そもそも『ブリリアントライツ』を、『ブレイブリー』シリーズのナンバリングや続編という立ち位置にするつもりはなかったからです。『フェアリーズエフェクト』もそうでしたが、ifと言いますか、スピンオフ的な立ち位置として、シリーズを盛り上げる一助にしたいという気持ちで開発がスタートしています。

高橋『ブリリアントライツ』の立ち上げ時は、『オクトパストラベラー 大陸の覇者』(『オクトパストラベラー』の数年前が舞台となるスマートフォン向けゲーム)を作っていたこともあって、『ブリリアントライツ』も『II』に続く作品、もしくは『II』の過去の世界の作品にしようかというアイデアもありました。ただ、並行して開発していることもあって調整が難しいですし、『II』に引っ張られすぎるのもよくないと思ったので、先ほど小松さんがお話ししたように、最初から異なる方向性で開発を進めています。

結果的には、それでよかったなと思います。『II』は、新規の方でも楽しめるように、『ブレイブリーデフォルト』や『ブレイブリーセカンド』とは異なる世界を舞台にしていて、登場人物を一新することも決めていました。それを聞いたファンの方たちは、新作が出ることを喜んでくださいましたが、当然ながら、「前作のキャラクターは出ないんだ……」とガッカリされる方もいて……。そういったファンの方たちには、ぜひ、オールスタータイトルである『ブリリアントライツ』を楽しんでいただきたいです。

『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』開発者インタビュー。小松陽平氏と高橋真志氏にCBTの手応えや現在の開発状況などを直撃。“覚醒”などの新情報も!

――『ブレイブリー』シリーズのオールスターのゲームにすることは、最初から決めていたのですか?

小松はい。最初から決めていましたし、『ブレイブリー』シリーズが2022年に10周年を迎えるので、ストーリーやグラフィック、戦闘システムなど、あらゆる面で10年の集大成となるタイトルにしたいなと考えて開発を進めています。

――10年の集大成を実現するうえで、とくに意識したところを教えてください。

小松『フェアリーズエフェクト』は、『ブレイブリー』の世界観を表現しつつ、ソーシャル要素やユニークなバトルシステムなど、ほかのシリーズ作品とは異なる遊びを軸にしていました。それらがたいへん好評で、多くのプレイヤーに遊んでいただけたのですが、『ブリリアントライツ』は、10周年記念の立ち位置として、より一層ファンの方たちに愛されるように、シリーズらしさを盛り込んだ内容にしたいなと考えました。

『フェアリーズエフェクト』では、バトルシステムの原作体験はあまり再現できていなかったので、『ブリリアントライツ』ではブレイブ&デフォルトを取り入れていますし、カメラワークなどもコンシューマー版に近いものにしています。バトルシステムや演出だけではなく、グラフィックなども原作の雰囲気を大切にしていて、『II』基準のハイクオリティーなグラフィックで、ティズやアニエスといった歴代作品のキャラクターに会うことができます。

――タイトルの『ブリリアントライツ』に込められた意味も伺いたいです。タイトルを直訳すると、“輝かしい光”となりますよね。

小松これまでのシリーズ作品では、4つのクリスタルがストーリーに深く関わってきました。クリスタルが重要なのは本作でも同じなのですが、登場する数は、これまでの倍の8つになっていますので、クリスタルの輝きが、いままで以上により強い光を放つ様を表現する意味合いで『ブリリアントライツ』というタイトルに決めました。また、このタイトルは、オールスター作品であり、ビジュアルが豪華ということも“Brilliant=華々しい”という意味で、本作にピッタリだったのではないかと自負しています。

高橋オールスター作品が持つたくさんの輝きを表現できていると思うので、僕たち『ブレイブリー』シリーズのプロジェクト側の人間も、いいタイトルだねと喜びました。

――ちなみに、『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』や『ブレイブリーセカンド エンドレイヤー』では、タイトルに隠された意味が込められていましたが、『ブリリアントライツ』には……?

小松期待しているファンの方には申し訳ないのですが、『ブリリアントライツ』には隠された意味はありません(苦笑)。先ほどお伝えした通りの意味で、純粋に受け取ってもらえたらうれしいです。

ヴェルメリオ大陸、ルクセンダルク、エクシラント大陸という3つの世界で物語が展開

――ティズやアニエスなど、前作のキャラクターがオールスターで登場する一方で、4人の主人公たちが新キャラクターとして用意されています。彼らを登場させた理由は?

小松『ブリリアントライツ』は、まだ『ブレイブリー』シリーズをプレイしたことのない新規の方たちにも楽しんでもらいたいですし、『ブレイブリー』シリーズファンの方でも、遊んだことのない作品がある方もいると考えました。そこで『ブリリアントライツ』の主人公は、いろいろな作品の世界から集まった新たな4人組で構成しています。本作の舞台であるヴェルメリオ大陸からふたり、ルクセンダルク(『ブレイブリーデフォルト』と『ブレイブリーセカンド』の世界)からひとり、エクシラント大陸(『II』の世界)からひとり。それぞれの主人公たちにとって未知の世界があるという状況で互いに情報を補い合うことができる関係性を作り出すことによって、プレイヤーも新たな主人公たちといっしょに、『ブレイブリー』シリーズの世界を学べるようにしています。

――本作の主人公たちの特徴を教えてください。

小松錬金学を学ぶクレアはヴェルメリオ大陸の住人で、どこかティズを彷彿とさせるキャラクターになっています。茫洋と言いますか、どこか掴みどころのない女の子ですね。スティールは、クレアと同じくヴェルメリオ大陸の住人で、クールな悪人です。ただし、人殺しをするような完全な悪人ではなく、盗みを働く小悪党といったイメージです。

『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』開発者インタビュー。小松陽平氏と高橋真志氏にCBTの手応えや現在の開発状況などを直撃。“覚醒”などの新情報も!
クレア
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スティール

サンドラはルクセンダルクからの来訪者で、もともと騎士団に所属していました。騎士道を重んじる姉御キャラで、仲間を引っ張ってくれます。ルーファスも来訪者で、彼はエクシラント大陸からやって来ました。魔法学を学んでいて、持ち前の知性と冷静さでチームのまとめ役として活躍します。これまでの『ブレイブリー』シリーズの作品のように、主人公一行は、バランスのいい4人組になったと手応えを感じています。

『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』開発者インタビュー。小松陽平氏と高橋真志氏にCBTの手応えや現在の開発状況などを直撃。“覚醒”などの新情報も!
サンドラ
『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』開発者インタビュー。小松陽平氏と高橋真志氏にCBTの手応えや現在の開発状況などを直撃。“覚醒”などの新情報も!
ルーファス
『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』開発者インタビュー。小松陽平氏と高橋真志氏にCBTの手応えや現在の開発状況などを直撃。“覚醒”などの新情報も!

――男ふたり、女ふたりという構成も、最初から決まっていたのですか?

小松はい。これまでの作品と同じ構成にすることで、シリーズらしさと言いますか、ちょっとした既視感をファンの方たちに感じてもらえるとうれしいですね。

――主人公たちに関して、高橋さんから何かリクエストしたことは?

高橋僕はフリー・トゥ・プレイのゲームに関しては素人も同然ですし、船頭多くして船山に上るということわざがあるように、指示を出す人間が増えてしまうとゲームのコンセプトがブレてしまう可能性もあったので、とくに強い要望は出していません。設定などは自由に使っていいですよとお願いしたと思います。

小松そうですね。キャラクターに関してはこちらで設定を決めて、高橋さんにチェックしてもらいました。ちなみに高橋さんからはとくにストーリーについて、プレイヤー側の視点で、読み手が迷子にならないような導入部分の作り方や整理の仕方について学ぶことが多く、とてもよいアドバイスをいただきました。

高橋そんな大層なものはないですよ(苦笑)。

小松いえいえ(笑)。ストーリーの導入部分に関しては高橋さんのアイデアをほぼそのままいただいています。『ブレイブリー』シリーズのファンの人たちのことはもちろん、本作でとくに気をつけている、これからシリーズを知る人たちのこともしっかり考えたうえで、適切な意見を言っていただけたのでとても参考になりました。それに今回は、複数のタイトルがクロスオーバーするということもあって、最初の導入部分で情報が渋滞しちゃって、整理するのがたいへんでしたから。

高橋そうですよね。知るべきことはもっとちゃんと説明してほしいし、知らなくても大丈夫な情報は無理に最初に入れなくても、という話をしました。今回は複数の世界が登場するので、ただでさえ説明することが多いですし。

小松物語冒頭から、来訪者という形でサンドラやルーファスが飛んできちゃいますからね。そのあたりの急な展開を高橋さんに相談しながら、ユーザーに寄り添ったわかりやすい形で、導入部分の展開を変更しました。

――2021年7月14日に公開されたタイトル発表トレーラーには、“8つの世界を旅する”とありました。現状判明しているのはヴェルメリオ大陸とルクセンダルク、エクシラント大陸の3つですが、今後、新しい世界が増えていくのでしょうか。

小松いえ、登場する大陸は、ヴェルメリオ大陸、ルクセンダルク、エクシラント大陸の3つです。ヴェルメリオという新しい大陸を起点に、ルクセンダルクやエクシラント大陸で旅をしてクリスタルの輝きを集めていくのですが、“8つの世界”というのは、時間軸が異なるルクセンダルクやエクシラント大陸もカウントしたうえで8つと表現しています。ですので、8つの大陸が別々に存在するというわけではありません。

――時間軸が異なるということは、過去や未来の世界を冒険できるのでしょうか。

小松未来、つまりエンディング後の世界に関しては、今後のシリーズ作品にも影響を及ぼす可能性があるので、いまのところは過去に飛ぶようにしています。たとえば、昔のルクセンダルクとか……。

――原作では描かれていない過去も見られる?

小松あまり詳しいことはお話しできないのですが、『ブレイブリーデフォルト』に登場したヴィクターやエインフェリアの子ども時代を描く予定があったりします。過去のルクセンダルクでの姿は、本作でしか見られないので、ファンの方たちにとっても貴重な体験になると思います。

高橋僕自身、テストプレイのときにヴィクターやエインフェリアの昔の時代の姿を見て、ものすごく感動したのを覚えています。『ブレイブリーデフォルト』発売から10年も経つので、親心みたいなものを感じちゃって(苦笑)。

『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』開発者インタビュー。小松陽平氏と高橋真志氏にCBTの手応えや現在の開発状況などを直撃。“覚醒”などの新情報も!

――もしかしたら、本作でイデアの両親の恋愛模様なども見られるかもしれませんね。

高橋本編で具体的に描いていない過去のエピソードはいろいろありますからね。

――また、タイトル発表トレーラーには、妖精のルミナも登場していました。『ブレイブリー』シリーズに登場する妖精は、いろいろな秘密を抱えているので、彼女もつい、うがった目で見てしまいますが……。

小松『ブレイブリー』シリーズと言えば妖精ということで、キャラクターを導く存在として本作ではルミナが登場しています。過去の作品には悪い妖精もいい妖精もいたので、ルミナの存在が気になる方は多いと思いますが、ひとまずは純粋な目で動向を見守っていただけるとうれしいです。

――本作の世界観やシナリオは、網代(恵一氏。シナリオライター。『ブレイブリー』シリーズのシナリオを手掛けており、『フェアリーズエフェクト』ではメインシナリオを執筆)さんが担当しているのですよね。

小松『フェアリーズエフェクト』に続き、シナリオなどは今回も網代さんにお願いしています。

――音楽についてはいかがでしょうか?

小松音楽も『フェアリーズエフェクト』と同様に、『ブレイブリー』シリーズの音楽をそのまま使っています。いまのところ新曲はないのですが、大型アップデートのタイミングなど、ストーリーが大きく変わるときに作っていけたらいいなと考えています。

――とすると、もしかしたらRevoさんやryoさんの新曲が聴けることがあるかも……?

小松お約束はできませんが、おふたりにお願いできたらいいですよね。

キャラクターを覚醒させると姿が変わる!?

――キャラクターについて、もう少し詳しく伺います。参戦する『ブレイブリー』シリーズの歴代キャラクターたちは、どのような立ち位置や状態で本作に登場するのでしょうか? 原作でのエンディングを迎える前なのか、それとも後なのか、ですとか。

小松本作はスピンオフ的な立ち位置であるとはいえ、原作の設定と不整合が出てしまうと、ファンの方にとって不快な作品になってしまいます。それで当初は、そのあたりをあやふやにしようかという意見もあったのですが、網代さんが整合性をちゃんと考えながらシナリオを書いてくれているので、本作のために、ひとりひとりちゃんと設定を考えています。

高橋ものすごく細かいところまで、網代さんが考えてくれていますよね。

小松こちらの世界に飛んできたタイミングは、原作でエンディングを迎える前なのか、それとも後なのか。このタイミングなら、あのキャラクターとこのキャラクターの関係性はどうなのか。非常にデリケートな問題が多いので、すべてのキャラクターが一律同じタイミングから、というわけにはいきませんが、キャラクターごとに特定のタイミングから飛んできたという設定を考えています。これらの設定はゲーム内でちゃんと明かすようにしていますので、リリース後に楽しんでいただきたいですね。

――同一のキャラクターが、別々のタイミングから飛んできて、ヴェルメリオ大陸で自分に出会うということはあるのでしょうか?

高橋たとえば、『ブレイブリーデフォルト』のティズと、『ブレイブリーセカンド』のティズがいっしょに登場するとか?

――そうですそうです、そういったことはあるのでしょうか。

小松同じキャラクターがいっしょに登場することはありません。ただ、「あの作品での姿のほうが好きだった」という方も多いと思います。そういった方たちの要望に応えるために、衣装を変更できる“キャラスキン”というシステムを用意しています。このシステムを利用すれば、あくまで参考ですが、ティズやイデアに『ブレイブリーセカンド』のときの衣装を着せることもできます。

――キャラスキンはうれしい要素ですね。過去作品の衣装のほかに、どのような衣装を実装する予定ですか?

小松キャラスキンはかなりバラエティー豊かに作っています。キャラクターによっては、過去作品に登場していない衣装も考えています。

――可能性としては、夏は水着、冬はサンタみたいなことも……。

小松シーズンに合わせて水着やサンタといった季節モノの衣装が出ることもあるかもしれません。

――サービス開始後は、「こういうキャラスキンが欲しい」といった要望がたくさん届くと思いますし、作りがいがありそうですね。

小松ファンの方たちの意見は、生放送でコミュニケーションを取るなどして、前向きに検討しながら運営していきたいですね。

――生放送の配信もすでに検討されていると。

小松まだ具体的な予定はないのですが、キャラクターを毎月ひとり、ふたりほど追加して行く予定ですし、アップデートのタイミングでは何かしらの形で情報を出していきたいと考えています。

――アップデートでは、キャラクターのほかに、メインストーリーなども更新されていくのでしょうか。

小松はい。キャラクターやキャラスキンを追加しながらメインストーリーを更新して、イベントも開催していく予定です。いまの段階で、サービス開始後から半年分の準備は終えています。

――ユーザーの皆さんは、すごいスピードでプレイを進めていきますからね。

小松運営計画は、皆さんのプレイのスピードの予測を立てたうえで考えていますが、往々にして僕たちの予想を超えちゃいますからね。本作はスタミナ制を採用していて、スタミナの回復上限も設定していますが、やり込んでくれる方たちを退屈させないように、いまのうちからコンテンツを大量に用意しておきたいと思っています。

――ちなみに、サービス開始時点では、キャラクターは何人実装予定なのですか?

小松4人の主人公を入れて、20人ぐらいを予定しています。歴代シリーズの主人公たちのほかに、アスタリスク所持者もいますよ。

高橋アスタリスク所持者だけでもかなりの数がいるので、どのキャラクターをどの順番で実装するかは悩みどころだと思いますが、全員登場したら壮観でしょうね。

『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』開発者インタビュー。小松陽平氏と高橋真志氏にCBTの手応えや現在の開発状況などを直撃。“覚醒”などの新情報も!

――ゆくゆくは全員実装する予定なのですか?

小松いずれは全員実装したいですし、主人公やアスタリスク所持者のほかに、サブキャラクターも追加していけたらいいなと考えています。『ブレイブリー』シリーズは登場人物が多くて、魅力的なサブキャラクターもたくさんいるので、リリース順の検討はなかなか悩ましいです。

――たくさんのキャラクターが登場するのはうれしい一方で、『ブリリアントライツ』用にモデリングを作り直す必要があるので、開発には相当な苦労があるのでは?

小松『II』のキャラクターモデルは、作り変える必要はなく、スマホ用に調整するだけでしたのでそれほど手間ではなかったのですが、『ブレイブリーデフォルト』や『ブレイブリーセカンド』など、ニンテンドー3DSのキャラクターを、スマホ向けかつ『II』基準のビジュアルにするのはたいへんでした。

高橋『ブレイブリーセカンド』から『II』にかけて、キャラクターの頭身が高くなっていますので、そのままのデザインでは、やや密度の乏しい見た目になってしまいます。もとの衣装にデザインを付け足す必要があったのですが、スタッフの皆さんが「とにかくキャラクターをかわいくするんだ」とがんばってくれていました。

小松最初にティズやアニエスたちから試行錯誤を始めたんですが、作り直した回数は、5、6パターンでは済まなかったと思います。高橋さんにも相談しながら、修正後のデザインを詰めていきました。

高橋あと、『ブレイブリーデフォルト』、『ブレイブリーセカンド』は、複数のデザイナーさんがジョブのデザインを担当されていたのも、キャラクターモデルのデザインを作り直すのが難しかった理由だと思います。ニンテンドー3DSのときは画面が小さかったですし、キャラクターの頭身も低かったので、ある種の“ごまかし”が効いていたのですが、今作ではそうはいかないので。でも、『ブリリアントライツ』のスタッフの皆さんはすごくがんばってくれて、衣装などは原作のよさを残しながらしっかりと作られていますし、新しい作品の世界観にマッチしていて、オールスター感を演出する一助になっていると感じました。

小松ちなみに、ゲーム内には図鑑機能も用意していて、3Dモデルのモーションをじっくり見られるようになっています。また、キャラクターを育成する要素のひとつとして“覚醒”システムを用意しているのですが、覚醒させると姿が変わります。覚醒後の姿は、本作オリジナルのものなので、こちらもぜひご期待ください。

――つまりキャラクターの3Dモデルは、通常の姿とキャラスキンだけではなく、覚醒後の姿も用意していると。

小松はい。公式Twitterでは、覚醒後の姿もチラ見せ程度は公開していこうと考えていますので、この機会にぜひフォローしてもらえるとうれしいです。

――ところで、本作のメインビジュアルは風間(雷太氏。イラストレーター。『フェアリーズエフェクト』のイラストを担当)さんが描かれていますね。

『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』開発者インタビュー。小松陽平氏と高橋真志氏にCBTの手応えや現在の開発状況などを直撃。“覚醒”などの新情報も!

小松ゲーム内のキャラクターイラストは、プロジェクト内のデザイナーや外部の方に協力いただいて制作していますが、風間さんには、『フェアリーズエフェクト』から引き続きメインビジュアルを担当してもらいました。僕は風間さんの描くイラストの儚さ、繊細さが『ブレイブリー』シリーズにマッチしていると思っているので、今回も迷いなく風間さんにお願いしています。

――『フェアリーズエフェクト』のときは、ゲストアーティストの方がキャラクターデザインを担当されることもありましたが、そういった施策は?

小松今回は、ゲーム内のキャラクターデザインをゲストアーティストにお願いすることはないのですが、カウントダウンイラスト企画では著名な方が登場します。こちらも今後の発表をお楽しみに。

88%以上の人が正式サービス開始後にプレイ意欲ありと回答!

――続いてCBTの手応えをお聞きしていきたいと思います。2021年9月24日に公開されたレポートには、“88%以上のプレイヤーが正式サービス開始後にプレイ意欲ありと回答”と記載されていました。

小松正直、CBT前は、どのような反応があるのかとても怖かったんです。いただいた回答は、自由記述の回答もプロジェクトのメンバーですみずみまでチェックしましたが、多くの方に肯定的なご意見をいただけたので、とてもありがたく感じています。とくに結果を注視していた原作体験やキャラクターのビジュアルに関しても、否定的な意見がほとんどなくて。サービス開始に向けて強い手応えを感じることができました。

高橋僕はCBTの前のタイミングでプレイをして、ただのファンのひとりになって楽しんでいました。「ブレイブ&デフォルトを使ったバトルが楽しいな」、「好きなキャラクターを仲間にできて楽しいな」って。遊んでくれた方たちからもそういった声が聞こえてきたので、小松さんたちも安心できたのではないでしょうか。もちろん、いろいろと課題も見えましたが、正式サービスまでに対応できると思うので、その点に関しては心配していません。

――レポートには、10代、20代に好評と書かれていたのも印象的でした。その年代の方たちは、10年前に発売された『ブレイブリーデフォルト』を遊んでいない方が多いはずですし。

高橋そうなんですよね。浅野チームが作るタイトルは、僕と浅野の中間くらいの世代がコアなターゲットになることが多くて。10年前の『ブレイブリーデフォルト』のメインユーザーは30代前半、4年前の『オクトパストラベラー』は30代半ば~後半と、タイトルと皆さんがいっしょに歳をとっていく感覚だったので、この結果は新鮮でした。コンシューマーとスマートフォンのユーザーの違いを感じましたし、本作をきっかけに『ブレイブリー』シリーズを知ってくれている方たちが増えてくれるとうれしいなとも思いました。

――キャラクターのガチャがなく、好きなキャラクターを選んで仲間にできるというのも、好評だった要因のひとつかもしれません。

小松確かにCBTの回答でも、好きなキャラクターを選択して入手できる点は好評でした。

――そもそも、キャラクターの入手方法にガチャを採用しなかったのはなぜですか?

小松ビジネスの観点から考えると、一般的には、キャラクターの入手方法をガチャにするほうが売上は高くなると思います。ですが、本作はまずシリーズファンに向けて提供するタイトルなので、多くのファンにいちばん喜んでもらう、納得してもらうことを考慮して、プレイヤーが好きなキャラクターを直接選んで仲間にできるシステムを実装しました。

また、キャラクターガチャを実装すると、レアリティーを設定する必要が出てきたりすることもあるのですが、キャラクターに優劣をつけたくないという考えもありました。『ブレイブリー』シリーズは主人公だけではなく、敵キャラクターにも愛着を持ってくれている方がたくさんいます。「自分の好きなキャラクターのレアリティーが低かった」と、がっかりさせることはしたくないなって。

――ユーザーの立場からすると、お財布にやさしくてうれしいのですが、その一方で、売上は大丈夫かと気になってしまいます……。

小松もちろん、サービスが継続できるように、そこはしっかり考えています。本作では、自分で選んだ好きなキャラクターを育てる中で、キャラクターをさらに強くする手段のひとつとして、“専用武器”が入手できる装備ガチャを実装する予定です。最初にキャラクターガチャで課金していただくのではなく、ある程度キャラクターが育ったうえで、装備ガチャで課金していただくことになるので、運営型ゲームでは珍しいスタイルだと思います。

――ただ、専用武器を実装すると、今度はゲームバランスを調整するのが難しくなるのでは?

小松そうなんです(苦笑)。バランス調整は非常に難しいですが、そこに関してはCBTの後に、さらに外部テストを行い、その回答をもとにかなりシビアに、慎重に調整を行っています。かなりいいバランスに仕上がっていると手応えを感じていますよ。

2022年に『ブレイブリー』シリーズは10周年。どんな展開が?

――来年、『ブレイブリー』シリーズは10周年を迎えますが、アニバーサリー企画なども用意されているのでしょうか。

高橋やれたらいいなと考えていることはたくさんありますが、コロナの状況を見ながらになってしまうので、申し訳ありませんが、現時点では明言できることがないんです。何かしら発表できるタイミングが来たら、お伝えしたいと思います。

――浅野チームの来年の展望も伺いたいです。

高橋発表済みのタイトルに関してお話ししますと、タクティクスRPGの『トライアングルストラテジー』が、2022年3月4日にNintendo Switchで発売予定です。発売まで新しい情報をどんどん出していきますので、浅野チームの新作として楽しみにしてもらえるとうれしいですね。HD-2D版の『ドラゴンクエストIII』に関しては、続報はもうちょっと先になると思いますが、こちらも鋭意制作中ですので、楽しみにしていてください。このほかにも、1つ、2つ、……3つ? と、未発表のタイトルも並行して動いています。来年にはいろいろ発表できると思いますので、応援よろしくお願いします。

――そんなに未発表タイトルがあるんですね! ちなみに、10周年のタイミングで、たとえば1作目『ブレイブリーデフォルト』のリメイクを出す予定などはありますか……?

高橋ごめんなさい、現時点では、『ブレイブリーデフォルト』のリメイクの予定はありません。原作はニンテンドー3DSの機能をフルに使ったタイトルで、3D立体視やAR、すれ違い通信などの機能を使っていましたので、それを現行機のハードやSteamに移植しようとすると、すべて作り直すことになってしまいます。それなら、新作を作ったほうがいいんじゃないか……ということで、いまは新作を開発することに力を入れています。もちろん、リメイクを遊びたいという要望が多いことは把握しているのですが。ティズたちにもう一度会いたいという方たちは、まずは『ブリリアントライツ』を楽しみにしてもらえるとうれしいです。

――『ブリリアントライツ』には、原作を追体験できるような機能もあったりするのでしょうか?

小松原作を遊んでくださっているファン以外の方にも、『ブレイブリーデフォルト』や『ブレイブリーセカンド』に興味を持っていただけるように、メインストーリーのほかにサブシナリオも用意しています。

――そういえば、スマホならAR機能も使えますよね。

小松ARは、プロモーション施策の中で活かせないかと検討しています。うまく使えるかはわかりませんが、原作体験を大事にしているので、ファンの方に懐かしいと感じてもらえる施策はどんどん形にしていきたいと思います。

――週刊ファミ通に、『ブレイブリーデフォルト』のARムービーが視聴できるARマーカー付録を付けたこともありました。懐かしいです。

高橋あの付録は、僕が入社2年目、3年目くらいのタイミングで作ったと思います。当時はニンテンドー3DSがどういうハードなのかわからない状況で開発がスタートして、「ARという新機能があるから、キャラクターがプレイヤーに助けを求める映像を作ろう」ということになって。そういえば、最初に出した体験版も、AR映像を見せるものでしたね。

――そういった当時の思い出が、『ブリリアントライツ』と結びついたら素敵ですね。では最後に、ファンの方に向けてメッセージをお願いします!

小松現在、リリースに向けて、ゲーム導入部分のチュートリアルやUI(ユーザーインターフェース)を、より遊びやすくなるようにブラッシュアップしています。どういう風に改修したかは、今後公開予定の公式開発ブログで公開しようと思っていますので、チェックしていただけるとうれしいです。また、公式Twitterでは、これから情報発信が活発になっていく予定ですので、フォローもよろしくお願いします。

高橋こうして『ブレイブリー』シリーズの新作が出せるのは、これまで応援してきてくれた皆さんのおかげです。そして、『フェアリーズエフェクト』のときから、『ブレイブリー』シリーズを大切に育てくれた小松さんチームの手で、しかも10周年のタイミングに『ブリリアントライツ』をリリースできるのはとても幸せです。すぐにというわけにはいきませんが、いつかまたコンシューマーの新作も出したいと考えていますので、そのときをお待ちいただきながら、『ブリリアントライツ』を遊んで、引き続き応援していただけるとうれしいです。

『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』開発者インタビュー。小松陽平氏と高橋真志氏にCBTの手応えや現在の開発状況などを直撃。“覚醒”などの新情報も!

『ブレイブリー』シリーズ 企画・プロデュース 浅野智也氏よりコメント

――『ブレイブリー』シリーズ統括プロデューサーとして、『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』に望む役割は?

“本作が将来にわたってシリーズ作のキャラクターたちの「本編後の良い居住地」になっていってくれたら嬉しい”

ブリリアントライツの発表後にTwitterに載せていただいたコメントですが、ほんとうにその通りでして。
今のところ私たちは、キャラクターが継続するタイトルを開発する予定がありません。マーケットを見て、という判断ではあるものの、すべてのキャラクターに愛着がありますし、1タイトルの開発が終わる毎に、多くのキャラクターたちとのお別れをしている感覚があります。
いつでも会いに行ける、そしてそこでキャラクターたちが生きている、というのは本当にうれしいことです。

――『ブリリアントライツ』を監修する際にこだわっている点、気を付けている点はありますか?

基本的にはお任せしています。そのヒットにより『ブレイブリーデフォルトII』制作のきっかけをくれた『フェアリーズエフェクト』の保高さん、小松さんのチームですし、全幅の信頼を置いています。
『ブレイブリーデフォルトII』周りのみ、開発が並行していたこともあり、高橋が細かく見ていましたね。

――『ブリリアントライツ』の中で、ティズやアニエスといった『ブレイブリーデフォルト』、『ブレイブリーセカンド』のキャラクターを久しぶりにご覧になって、いかがでしたか?

「おおっ(嬉)」って単純に思いました。
パーティに入れるキャラクター、めっちゃ迷いますね。

『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』開発者インタビュー。小松陽平氏と高橋真志氏にCBTの手応えや現在の開発状況などを直撃。“覚醒”などの新情報も!

――来年10周年を迎える『ブレイブリー』ファンに、ひと言お願いします。

これまで応援して下さったファンの皆様、ありがとうございます。
家庭用ゲーム機での新作の動きは、ごめんなさい、当分ありませんが、来年は10周年ということで、例年よりはちょっとだけ動きが活発になる予定です。
お楽しみにーーー
(トライアングルストラテジー(3/4発売)も合わせて、よろしくお願いしますm_ _m)