2021年10月5日より開催中の『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)世界大会“2021 League of Legends World Championship”(以下、Worlds)にて、LJL(日本のプロリーグ)の代表としてDetonatioN FocusMe(以下、DFM)が出場。“プレイインテージ”を1位で抜けるという快挙を達成しました。

 歴史的とも言えるこの偉業がどういったものなのか、ひとりのファン目線から簡単にではありますがお伝えできればと思います。

World Championship 2021(Worlds)とは

 Worldsは『LoL』プロリーグのシーズンを締めくくる世界大会。各リーグを勝ち抜いた強豪が集い、文字通り世界一の座をかけた熱戦が約1ヵ月間かけて行われます。『LoL』の歴史は長く、規模の拡大を続けながらWorldsが開催されること11回。今年はアイスランド・レイキャビクにて、コロナ対策により無観客での開催となりました。

 Worldsは“プレイインステージ”、“グループステージ”、そして“ノックアウトステージ”という3つのステージ(要するに、準々決勝、準決勝、決勝)に分かれていて、全世界から22チームが出場。日本代表のDFMは“プレイインステージ”から世界一を目指すことになります。Worlds 2021の細かい大会形式は以下のサイトと動画で詳しく解説されています。

公式観戦ガイド

Worlds 2021 大会形式紹介

プレイインテージ突破は日本『LoL』界の悲願

 日本代表チームは何度も世界の壁に跳ね返され続けてきました。最初にプレイインテージを突破しかけたのは2018年のWorlds。

 この大会でも日本代表として出場していたのはDFMで、あと一歩というところまで詰め寄りながらも敗退。しかし、日本の『LoL』のレベルが上がっていることを、日本のファン、そして世界に強く印象づける結果を残しました。2018年でのDFMの活躍については、以下の記事参照してください。

北アメリカリーグの強豪・Cloud9(C9)との因縁

 DFMが振り分けられたプレイインステージのグループBに入っていたのは以下の4チーム。グループ内のチームが1回ずつ戦い、1位のチームはグループステージに進出。それ以外は敗退かというとそうではなく、門は狭くなりますが、2位~4位のチームにも進出の可能性は残されます。

プレイインステージ グループB出場チーム

  • Beyond Gaming(東南アジアリーグ第2シード)
  • Cloud9(北アメリカリーグ第3シード)
  • DetonatioN FocusMe(日本リーグ代表)
  • Galatasaray Esports(トルコリーグ代表)
  • Unicorns of Love(独立国家共同体リーグ代表)

 どのチームが1位になってもおかしくないと、混戦が予想されるリーグでしたが、蓋を開けてみるとDFMとCloud9(C9)が3勝1敗で並んで1位。DFMが喫した1敗は、2試合目でのC9との対決。

 一方、C9は全勝でのグループ突破も見えていたところ、それまで全敗だったUnicorns of Love(UOL)に足元をすくわれ、3勝1敗となりました。

『LoL』日本代表DFMが世界大会“Worlds 2021”で16傑入り! 『リーグ・オブ・レジェンド』史に刻まれた新たな1ページを解説。日本がeスポーツ後進国だなんて誰が決めた?
UOL勝利の瞬間、Nomanz選手がDFMチームロゴのエモートを出します。「DFMに希望を託す!」というメッセージに見えたのは私だけではなかったはず。

 そして10月8日午前1時、グループBの1位を決めるDFMとCloud9のタイブレーカーが行われました。C9は、2018年でもDFMと同じグループに振り分けられ、このときはDFMを退けて1位でプレイインステージを突破した因縁の相手です。

 ちなみに、2021年シーズンの中頃に開催された世界大会“Mid-Season Invitational”(MSI)でもDFMとC9は対決しており、そのときは何とDFMが勝利。この活躍に日本の『LoL』ファンは大きく盛り上がり、「今年はWorldsもいけるかも……?」という期待にもつながりました。

【NAに勝利】MSI2021 Day2、Cloud9に雪辱を遂げた日 - DFM BACKSTAGE エピソード4【LoL/ドキュメンタリー/League of Legends】

C9とのタイブレーカーで完勝し、世界の16傑に名を連ねる

 ここまでさらっと書いてきましたが、3勝1敗どうしでC9と対決……というシチュエーション自体がもう快挙と言えるわけで、それを平然とやってのけるDFMの強さには舌を巻くばかりです。試合が近づくにつれて応援の声も増え始め、ツイッターではMSIのときと同様にハッシュタグ“#DFMWIN”(※)がトレンド入りを果たしました。

※#DFMWIN:“#○○WIN”は好きなチームや選手を応援するときの定番ハッシュタグ。

 試合の同時視聴者数は、Twitchによる日本語生配信だけでも約8万人に上っていました。ほかの言語やMildomでも配信されていたわけですから、かなりのファンが激闘に熱い視線を注いでいたことになります。

『LoL』日本代表DFMが世界大会“Worlds 2021”で16傑入り! 『リーグ・オブ・レジェンド』史に刻まれた新たな1ページを解説。日本がeスポーツ後進国だなんて誰が決めた?
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 試合では、DFMが序盤に相手のミスを付いてキルを取り、勢い付いたまま試合を終始有利に進めて勝利。決してまぐれなどではなく、実力による完勝と呼べる内容でプレイインステージ1位抜けを決めました。

 筆者はDFMを始めとする日本チームの活躍を長く応援してきました。正直、この記事を書いているいまも夢見心地で、あまり現実感がありません……。

 深夜にも関わらず、SNSにはDFMを祝福する声が溢れました。勝利を決めた後は、ハッシュタグ“#DFMWIN”と並んで“#DFM最強”もトレンド入り。かくいう自分も、示し合わせたわけではありませんが「DFM最強!」とつぶやいていました。やっぱりDFMが勝ったときはコレですよね!

DFM vs. C9 | Play-In Tiebreaker | 2021 World Championship

DFMの戦いはまだまだ続く

 試合後のインタビューでEvi選手は「Worldsでのグループステージ進出は、プロとしての夢でした。この日のために何年もがんばってきました」と声を震わせながら語り、おもわず私もうるっときてしまいました。

インタビューの模様(該当部分は05:47:00頃から)

 最後にEvi選手は「ここから僕らの冒険は始まります。応援よろしくおねがいします」とも仰っていましたが、プレイインステージ突破は彼らのゴールではありません。

 グループステージでは、さらなる強豪チームとの対戦が待っています。いままさに日本の『LoL』史に伝説が刻まれている最中。みなさんもいっしょにDFMに声援を送り続けましょう!