大手インディーパブリッシャーのDevolver Digitalが、アクションゲーム『Death's Door』を本日より配信開始。対応プラットフォームはPCおよびXbox Series X|SとXbox Oneで、日本語対応している。
本作については今月始めにプレス向けに公開されたプレビュー版でのプレイリポートをお届けしているが、今回レビュー用の製品版をプレイしたので、改めてその内容をご紹介しよう。
ゲームとしては、敵を倒しながらショートカットなどのルートを開拓しつつエリアボスを目指すという、比較的オーソドックスなスタイルのダンジョン探索型アクションゲーム。
生命の摂理から外れて怪物化した巨大なソウルたちを狩ることになった死神の代理人“リーパー”のカラスとして、“死神の扉”(Death's Door)の謎に迫ってゆくことになる。
探索と戦闘が見事に融合
パンクな作品を数多くリリースするDevolverが扱うタイトルだけに、何か突飛なところがあるのではと思うかもしれないが、本作はどちらかと言うと質実剛健タイプなゲーム。ひたすら丁寧な作りで、探索と戦闘が見事に融合しているのが特徴だ。
『ゼルダの伝説』や、いわゆるメトロイドヴァニア型のゲームのように、冒険を進めていくと新たなツール(本作では4種類の遠距離武器)が手に入り、それを使って新たなマップの仕掛けを起動できるようになって進めるエリアが広がる……という作りを踏襲しているのだが、そのマップの作りがめちゃくちゃちゃんとしていていい。
入り組んだマップがさまざまなショートカットであちこち繋がっていて、さらにいたる所にシークレットが仕込まれており、武器やボーナスのソウル(強化用のポイント)が手に入ったり、植木鉢に使うことで回復アイテムを発生させられる“種”が落ちていたりと、行ける場所はほぼ必ず何かしらに繋がっているので、探索のしがいがある。
そして戦闘の難度の付け方もうまい。敵クリーチャーは全体的にあまりトリッキーな動きはせず、それぞれ単独で相手する分には比較的簡単に倒せる。アクションの種類もそこまで多くないし、なんなら強攻撃を使わずに通常攻撃と回避だけでも勝負できる。精緻な操作は要求されないが、上級者はより効果的に戦えるという傾向の作りだ。
その代わりに、複数の敵が出てくる集団戦の際の敵の組み合わせや地形、トラップの配置などでプレイヤーを試してくる。それぞれの敵と1対1で戦った時に学んだ立ち回りをちゃんと応用できるか、より複雑なシチュエーションでしっかり問われるのだ。
ちなみに、ショートカット開けなど、ちょっとダークソウル系のゲームっぽい要素があるので誤解されるかもしれないが、死んでも集めたソウルをなくしたりはしないし、先に書いたようにショートカットがいい具合に配置されているので、死亡時もリスタート地点から意外と簡単に復帰できる。
優しくも物悲しい、死生観とユーモアが同居するダークコメディ
主人公が死神の代理人、倒さなければいけない相手が死から逃れ続けている連中ということもあって、話のテーマそのものは死生観が深く関わっていてなかなかダーク。
しかしその分ユーモアが詰まっているので、決して暗い話ではない。倒さなければいけないボスたちだって、長く生き続けたいという欲望に飲まれてしまっただけで純粋な悪というわけではなく、どうにも憎めない愛おしさのある連中だ。
だから倒した時は達成感とともに「すまないね」という思いになる。でも、あなたが逃げてきた「終わり」を与えるのがリーパーの仕事だから……。どこか沁みるサウンドや、淡い色合いのアートディレクションも、こうした優しくも物悲しい雰囲気に一役買っている。
メインストーリークリアー後の要素もアリ。あらゆる部分がハイレベルな出来
プレビュー版のプレイリポートの際に「丁寧な作り」と書いたが、その先をプレイして驚いたのが、その後のパートの方がさらにできが良かったこと。シークレットなどの仕込みも多いし、メインストーリークリアー後のプレイ要素まで用意されているのは驚いた。
クリアーまでは公称で8~10時間程度。記者も大体それぐらいでクリアーしたが、アクションゲームの勘所を掴むのが得意で最初から効率的にサクサク進められる人や、シークレットをどれぐらい探すかで結構変わってくるんじゃないかと思う。幅広い人が楽しめるゲームだと思うので、連休や盆休みにでもいかがだろうか。
『Death's Door』Steamページ 『Death's Door』Microsoft Storeページ