日本のインディーゲームシーンを牽引してきたパブリッシャーの1社PLAYISMが今年(2021年)5月で創立10周年を迎えた。
先日(5月15日)には、10周年を記念しての放送“PLAYISM Game Show”を配信。多数のラインアップを公開し、好調ぶりをうかがわせた。
ここでは、PLAYISMの事業を取り仕切る水谷俊次氏に10周年を迎えての手応えと、今後の戦略などを聞いた。
水谷俊次氏
アクティブゲーミングメディア
PLAYISM 代表
時代に流れに乗った、この10年だった
――まずは、この10年を振り返っての率直な感想をうかがわせてください。
水谷たいへんでした。本当に何もないところから初めましたので、何もわからないままでの手探りの10年でしたね。PLAYISMは、“インディーゲームを世の中に普及する”ということを目的にスタートしたのですが、当時はインディーゲームに対する認知度はほとんどなくて、「誰が遊ぶんだろう?」という雰囲気は、最初はあったかと思います。僕らは、いいものをお届けしているという自信はあったのですが、数字の面できびしかったので、「どうなっていくんだろうなあ」と思っていたときもありました。
――それが、徐々に手応えが感じられてきたのですね?
水谷そうですね。『メゾン・ド・魔王』(2013年)や『Papers, Please』(2013年)などが出たときに、すごく認知されたんです。あのとき、一般のゲーマーさんに広がったと思える瞬間があって、「必要とされていることをできているんだな」という手応えがありました。
――時代の流れに乗ったというか、流れを引き寄せたというか……?
水谷いえいえ、引き寄せたというほどおこがましいことはなくて、僕らは本当に運がよかったのだと思います。タイミングがよかった。時代の流れに乗ることができた10年だとは思いますね。
――まあ、運も実力のうちと言いますからね。では、この10年を振り返っての印象的なトピックを3つ挙げるとすると?
水谷うーん、難しいですね(笑)。ひとつは……やはり『LA-MULANA(ラ・ムラーナ)』シリーズ(2012年~)は外せないですね。この手の話があると折に触れ挙げさせていただいているので、毎回「贔屓し過ぎだろう」と言われるのですが……(笑)。とても思い出深いです。Kickstarterをやったのは、なつかしいです。そもそもPLAYISMがパブリッシング事業を始めたのは、『LA-MULANA(ラ・ムラーナ)』がきっかけになっていますからね。
つぎは、『VA-11 Hall-A ヴァルハラ』(2017年)の発売かなあ。『VA-11 Hall-A ヴァルハラ』はすごく受け入れられたというか、うちのブランドイメージとタイトルのイメージと、いろいろなことがうまく重なって、ユーザーさんに喜んでもらえましたし、思ったよりもすごい広がりかたをしました。幅広い伝わりかたをしたのが印象深かったです。
あとは、昨年開催したオンラインイベントのPLAYISM Game Show。配信時に、ものすごいお祝いのコメントをいただいたんですよ。デベロッパーさんから取材の一環でお願いしたものもあったのですが、ユーザーさんからもけっこういただいて。「本当にインディーゲームに触れるきっかけになりました」とか、「インディーゲームをプレイするようになりました」とか、「PLAYISMは、日本でいろいろなインディーゲームが発信されるきっかけになったと思います」といったコメントをたくさんいただいたときは、ちょっと怖いくらいでした(笑)。
――この10年間でPLAYISMさんファンは着実に増えているという手応えを感じた?
水谷いまでもそんなに多くはないと思いますが(笑)、昔誰も知らなかったころに比べれば、遥かに知名度は上がったということはすごく感じますね。こんなに喜んでくれている人がいて、こんなに期待されているんだなという。昨年のPLAYISM Game Showのときは、僕が本来持っている能力というか、パワーよりも評価されているなと思ったんですよ。一生ぶんを合わせたくらい褒められたなと思って(笑)。ありがたいです。
――ちなみに、PLAYISMファンの方の属性ってあったりするのですか? その属性に合わせてリリースするタイトルをセレクトするなんてことも?
水谷僕自身にはわりと、“PLAYISM像”みたいなものはあるのですが、ファンの属性というのはあまり考えたことがなくて、タイトルのチョイスも、基本的には僕が遊びたいものを選んでいます。僕と、チームとして「これをやりたい」というものを出しているのですが、けっこうユーザーさんのほうがなぜかわからないけれども、「気になったゲームはPLAYISMから出している」みたいなことをつぶやいている人もいて、波長が合う方はいるのかな……という感じです。
――ああ、PLAYISMファンが増えたということは、波長の合うユーザーが増えてきたということですかね。
水谷波長が世の中にあってきているのかもしれません。
――さきほど水谷さん自身は“PLAYISM像”をお持ちとのことでしたが、その“PLAYISM像”というのは?
水谷いままでにないゲームというか、あまりゲームゲームしていないものを探しているというイメージはありますね。ビジュアルもそうですし、ゲームシステム的にもそうです。独創的と言うか、作品として光るものがあるというか。そういうものを探しています。うちは“商品”ではなく“作品”を出したいとずっと思っていて、その“作品”の世界が好きな人には伝わっているんだろうなと思います。
まさに、飛躍の年となった2020年
――とても興味深いですね。では、直近で2020年を振り返るといかがですか?
水谷ファミ通さんのインタビューでは、「2020年は飛躍の年になる」とベタにお答えしましたね。飛躍するのかなと思いつつも、言わざるを得ないよなということで(笑)。それが2020年は本当にいい年で、うまくいった年になりました。『Bright Memory』や『Godfall』などを次世代機向けにゲームを出すことができて、『カニノケンカ -Fight Crab-』や『ごく普通の鹿のゲーム DEEEER Simulator』などがスマッシュヒットして……とタイトルに恵まれました。ことに印象的だったのは、6月に実施したINDIE Live Expoですね。
――INDIE Live Expoは、オンラインイベントとしてはいち早い取り組みでしたね。
水谷新型コロナウイルス感染症の拡大で、イベントが全部中止になってしまったときに、リュウズオフィスの代表である小沼竜太さんからご相談をいただいたんです。果たしてオンラインで、リアルイベントの代替になるのか、よくわからなかったのですが、インディーゲームの発表がなくなってしまうということに対して、何とかしなければとの思いもありまして。
それがいざ実施してみると、イベントならではの一体感があって、配信を見ているだけではないという熱量が実感できて、今後に向けてのいい体験になりました。純粋に「すごくいいことをした」という喜びもありましたね。
――INDIE Live Expoは、6月5日にも開催されるんですよね?
水谷そうですね。現状尋常ではないくらいの参加申し込みがありまして、運営の方が頭を抱えていました(笑)。
――そんなお話を聞くと、世に問いたいインディーゲームがたくさん出てきているんだなということは改めて実感しますね。
水谷インディーゲームを作っている人はたくさんいるんだということは理解していましたが、これだけいて、みんな宣伝とかで困っている。タイトルのことを知ってもらう機会がなくて、困っている状況にあるとは言えると思います。INDIE Live Expoには、世界中から申し込みが殺到しているようです。
役割を果たしたECサイト。ニーズに合わせて自分たちの姿を変えていきたい
――あと、PLAYISMさんというと、ストアのサービスを3月14日に終了したことも、お聞きしないといけないですね。
水谷もともとPLAYISMストアは、日本のインディーゲームをローカライズしたのはいいけれど、海外で売る場所がないので作りましょう、という発想からスタートしたものです。
それが5年くらいして、“Steam Greenlight”が廃止されて、Nintendo Switchやプレイステーション4、Xbox Oneといった家庭用ゲーム機向けにインディーゲームをリリースすることもかなり敷居が下がってきました。となると、ストアの優位性が保てない状態になってきたんです。
一方で、これだけ各社さんがインディーゲームに対して門戸を開いたということは、僕たちが本来目指したかったことを世の中的に実現した状態だなとの判断もありました。うちのサイトがある必要は別にないのでは、ということで、終了しました。
具体的なお話をすると、うちのストアって少し特殊で、ローカライズもするし、プロモーションも手伝うし、カスタマーサポートもやりますということで始まっているんですね。日本語にしてゲームをリリースして、日本語で問い合わせが来ると、当然のこと海外のデベロッパーはどうしようもないので、翻訳をして伝えてあげるのですが、それが200~300本あって、いまだに10年前のゲームに対する問い合わせもあったりするんです。海外向けにも展開していので、英語や中国語での問い合わせもあります。
通常カスタマーサポートはストアの仕事ではないのですが、PLAYISMはやってきていたので、連綿と積み重なっていき、仕事としての負担が大きかったというのはあります。
――ああ、そうなのですね。
水谷発想が、もともとパブリッシャーにわりと近い感じで、ECサイトをスタートしたんです。いまになって初めてわかることだったのですが、ストアがプレスリリースを出したりしないですからね(笑)。だから、ストアはパブリッシャーの一機能だったんでしょうね。中途半端な立ち位置だったので、「もう違うところにいってもいいのかな」と思ったんです。
――その決断には長い期間をかけたのですか?それともスパッと決められたのですか?
水谷長かったです。僕は4年くらい前から考えていました。
――あら、そんなに?
水谷Steamや家庭用ゲーム機向けにうまく行き始めて、デベロッパーさんに対して恥ずかしくないくらいまで売上が伸ばせる状態になったときに、「家庭用ゲーム機向けに出しやすくなってきたな」と気づいて、SteamがGreenlightをやめて、“Steam Direct”を導入したあたりで、「もう意味ないな」と。
海外だとitch.ioとかがあって、itch.ioはすごく開かれたプラットフォームで、「ああなったらいいな」とは思ったのですが、あれはあれでなかなか我々があの業態でやれるものでもないので、立ち位置が難しいなということで、「本当にストアっていります?」というのを、いろいろなデベロッパーさんに聞いていたんですよ。それが、まだ当時はストアの存在感があったので、僕がヒヤリングした限りでは、「なくなるとインディーゲーム自体がしぼんでしまうような感じにとられるので、置いておいてほしい」という声が多かったんです。「そうか」と思って、そのときは継続ということになりました。
それで、昨年(2020年)もう1回聞いたんですよ。そうしたら、“置いておいてほしい”という意見がだいぶ減ったんです。それで、「たしかに役割としては果たしたよね」という踏ん切りもついたので、タイミング的にも10周年ということもあって、いったんいろいろなことをリセットしたいなと思ったんです。
――区切りのいいところでということですね。
水谷もともと僕らって、パブリッシャーになるつもりはぜんぜんなかったんですよ。ECサイトを運営していくうちに、パブリッシャーに近い存在になっていったという話で。たぶん、我々が曲がりなりにもうまくいった秘訣があるとしたら、タイミングというか要望に合わせて自分たちの姿を変えていったことが、理由なのではないかと、僕はずっと思っていたんですね。いま合ってないものはいったん捨てていって、つぎに僕たちがやれることは違うことかもしれないということを模索したくて。言いかたはなんですが、捨てられるものはいったん捨てて、整理していこうと思ったんです。
――なるほど。社内で反対の声は上がらなかったのですか? ユーザーさんからさみしいという声とかは?
水谷「畳むのをやめてほしい」というのはなかったですね。ただ、ECサイトをやめるという記事が載ったときに、コメント欄に「PLAYISMのおかげでインディーゲームが日本語化されるのが一般化した」と感謝のメッセージをいただいたので、「役に立ったんだな」と、恐縮しました。
――ああ。ECサイトをやったことの意義に関して、いま思うとどのように分析していますか?
水谷僕が、ECサイトのPLAYISMはいいことをしたなと思うのは、『LA-MULANA(ラ・ムラーナ)』や『洞窟物語』といったインディーゲームの走りと言われるタイトルから、『ゆめにっき』や『東方Project』関連サイトル、さらには『シルバー事件』など、同人ゲームやフリーゲームなど、いろいろなものを持ってきて、「これはインディーゲーム」と言ってしまったことです(笑)。
――“言ってしまったこと”(笑)。
水谷けっこう昔は、「インディーゲームと同人は違う」みたいな議論もあったのですが、いまはそれをあまり誰も言わなくなりましたからね。
――ちょっと違いは感じつつも、「とりあえずインディーゲームと言ってしまえ」という確信犯的な発想が水谷さんの中にあったということですか?
水谷あったと思います。これだけ多種多様なゲームが揃っていて、国内のいろいろなカルチャーが存在するということを端からお見せできたというのが、PLAYISMの意義なのではないでしょうか。まあ、功罪あるんだと思いますが。
2021年のPLAYISMは試行錯誤の年に?
――では、2021年の戦略について聞かせてください。2021年はどんな年にしていきたいですか?
水谷それがいま、どうしようかなという状態でして……。
――といいますと?
水谷どこまでお話していいのやらという感じなのですが、インディーゲームパブリッシャーは本当にたいへんでして、とくにいま、うちのような規模のところが、とても中途半端なところにいると思っています。インディーゲームに取り組み始めた大手パブリッシャーも増えてきていて、ぶっちゃけ資金力の戦いになってくる部分もあるんです。各社さん尖ったタイトルを探しまくっているので、競合はいずれも聞いたところのあるパブリッシャーばかりで、よーいドンで条件を出したら、やはり勝てない。
一方では、プラットフォームが開かれてきて、セルフパブリッシングをするデベロッパーもすごく増えてきてもいます。僕らの規模の立ち位置のパブリッシャーは、非常に難しいなと感じています。どうすれば、インディーゲームデベロッパーに喜んでもらえるか、よくわからない感じです。
――なるほど。インディーゲームパブリッシャーは、曲がり角に来ているということですか?
水谷そうですね。いままでの業態にこだわらずに、ゼロベースでいろいろなことを試していかないといけないとは思っています。
――ゼロベースですか?
水谷ゼロベースというのは少し言い過ぎですが、パブリッシングはせずに、翻訳やプロモーションのお手伝いをするといったありかたのほうが、いまの時代のニーズには合っているのかもしれないとは、すごく感じます。まあ、PLAYISMはその道は取らないと思いますが、自分たちの範疇に留まったほうが、基本的にはラクなんだろうという気はします。もしくは、逆にもっと最初の段階からゲーム作りに関わって完成させるとか。
――昨年は飛躍の年で、今年もタイトルがたくさんあって……と、端から見ていると順調そうなのですが、いろいろと悩みも多いのですね。
水谷端からどう見えているかわからないのですが、もともと儲かる仕事をしているわけではないので、たいへんです。
――ちなみに、規模をより大きくしていこうという発想はないのですか?
水谷その選択肢もあって、実際いまもかなり大きくはなっています。ただ、そうなると最終的には資金の勝負になってしまうんです。いまやっていることをまともにやっていても大手には勝てないというか、正攻法で行っても勝ち目はないと思っています。PLAYISMは10年間ずっと正攻法ではないことを続けてきたような気がしていて……。
それこそ、いまから10年前にスマホゲームがすごく勢いがあって、ブラウザゲームが全盛期だったときに、「インディーゲームを全部ブラウザに持っていけばいいのに」という意見を振り切って、PCダウンロードゲームでやってきたからこそ、PLAYISMは残ってこられたと思っているので、あまりレッドオーシャンには飛び込みたくないです。
――なんらかの搦手を考えていくということですかねえ……。
水谷そうですね。とはいえ、リリースしたタイトルでメガヒットが出るかもしれないからなあ……。
――エンタメ業界はわからないですものねえ。いずれにせよ、大手がやりたくなるくらい、インディーゲームが一般的になってきたとは言えそうですね。
水谷そうですね。だからたいへんだなと思います。とはいえ、PLAYISMは“売れるものを売っている”というわけでもないんです。わりと、「これは売るのがたいへんだろうなあ」というのを取っていたりもするんです。売れないゲームを売るために、売らなければいけないというか……。
――表現が少し矛盾しているような(笑)。
水谷ヒット作を生み出してできた余裕で、「誰がローカライズをするんだろう?」というようなタイトルを出すという感じですね。
いま、きれいで立派なインディーゲームは増えていますが、全部が全部そういう感じになってしまってもおもしろくないですから。ワンアイデアの尖ったゲームでも生きていけるということが担保されているからこそ、ビッグタイトルが出てくる余地があると思っているので、売れそうなものだけをサポートしていたら、お金にはなるのでしょうが、将来的なことを考えるとつまらなくなってしまう、ということはいつも考えています。けっこう無茶苦茶を言っている自覚はありますが、個性的でクリエイティビティなタイトルをサポートし続けるために、みんなハッピーになる方法は何だろうということを、模索しないといけないなと思います。
――何か具体的なことは考えているのですか?
水谷まさに模索中ですが、現状いま予定しているのは、ECサイトを閉じて早々なんなのですが、グッズ販売をしようと思っています。ゲームグッズやパッケージ版を自分たちで売ってみようかなと。グッズは、グローバルに売れるのではないかと思っていて、デベロッパーさんにも喜んでいただけそうなので。
――収入源にはなりますね。
水谷そういう意味で言うと、いままでできていなかった、実況動画のガイドラインを整備することにしました。基本的には自由に放送してオーケーなのですが、ひとつの取り組みとして、ニコニコ動画さんの“クリエイター奨励プログラム”を、インディーゲームに応用するつもりです。“クリエイター奨励プログラム”というのは、クリエイターが作ったコンテンツを使って動画を配信すると、ポイントに応じて、クリエイター自身にもお金が支払われるという仕組みです。PLAYISMの販売タイトルに関しては、ニコニコ動画で実況してもらうと、デベロッパーにお金が入ることになるんです。
――とにかくデベロッパーファーストが方針ということですね。そういえば、昨年のインタビューでお話していたデベロッパー向けのカンファレンスというのは?
水谷やろうとしたらコロナになってしまって、どうしようかなと思ったのですが、さすがにこれはオンラインででも実現しようかなと決意しました。ちょうどいま、座組をどうするか悩んでいるところです。PLAYISMの名前でやるのか、また違う感じで誰かと協力してやるのか……。いずれにせよ、今年やります。
――お話をうかがっていると、デベロッパーのよりよい環境作りを模索している感じがしますね。
水谷そうですね。ただ、状況が徐々に変わっていくので、10年前といまだと何をしてもらうのがうれしいのかが、すごく変わってきていて、つぎの10年はまた違うことを求められるようになるのだろうなとは感じています。そこに向けて下準備を進めていくことになるのだと僕自身は思っています。今年は方向転換ではないですが、目先を変えたことをしていきたいですね。
――ちなみに、パブリッシャーとしての立ち位置が問われるとのことですが、現時点でのPLAYISMの強みはどのへんにあると自己分析していますか?
水谷そうやなあ。前にパッケージ版をやり始めたときは、活路が開けたと思って少し安心したのですが、いまはインディーゲームのパッケージ版ってたくさんでていますものね。あのころは誰もやっていなかったような気がしていたのですが、そうでもなくなってしまった。
まあ、何だかんだ言ってグローバルで売っていくというのがPLAYISMの強みであり課題でもありますね。日本から欧米、中国に展開するというのは、相変わらず難易度が高いので、その精度をなんとか高めていきたいです。
――欧米、中国のほかに注目している地域は?
水谷人口的な話でいうと、BRICsですね、ブラジル、ロシア、インド……。あのへんは人が多いし成長国なので、活路を見出していきたいです。中国に関しては、Steamは最初中国でぜんぜんだったのですが、急に伸び始めた時期があったんですよ。それで中国でPLAYISMが受け入れられたというのはあります。言語対応は、ECサイトからの流れではあるのですが、うちの強みではありますね。さらに広げていきたいです。
あと、強みということで言うと、3月に『グノーシア』の英語版をリリースしたのですが、ローカライズ担当が英語への翻訳を行い、社内のプログラマーが組み込み、画像を変えてくれるデザイナーが社内で対応して……と、全部社内で英語化の作業をしたんですね。それがプチデポットさんによると、全部まとめてやっている会社は、世界にもあまりないらしいんです。
プロデューサー的な立ち位置の担当がいて、そこから外注でいろいろな会社を使って……ということになると、やはり「ローカライズの品質はどうなのか」という話になる。けれど、うちの場合は社内で全部やっているので、品質がすべて見える。そういう体制にいつのまにかなっていたというのは、強いかもしれません。
このあと、2、3とんでもないタイトルが来るらしい
――最後に、今後のタイトルの話を聞かせてください。試行錯誤が続くとして、今年何タイトルくらいを予定しているのですか?
水谷今年出るかどうかはわからないのですが、いま動いているタイトルを書き出してみたところ、36タイトルありました。
――36タイトルも!
水谷びっくりですね(笑)。これでも厳選しているハズなのですが。今年はそのうち少なくとも20タイトルはリリースできそうです。
――水谷さん的にとくに注目しているタイトルは?
水谷まだ、言えないのがいくつかありまして……。今回のPLAYISM Game Showに発表が間に合わなくて残念というタイトルがいくつかあります。そのタイトルの発表は東京ゲームショウのタイミングに合わせて、ということになりそうです。いずれにせよ、今年のラインアップがよすぎて、来年どうしよう……という感じです(笑)。
――あら! それは楽しみですね。最後に、読者に向けて、今後の抱負をお願いします。
水谷さきほどお話した通り、10周年のタイミングで出そうと思っておりましたが、間に合わないものがいくつかありまして、2、3とんでもないものが来ます。楽しみにしていてくださるといいのではないかなと思います。2021年もPLAYISMに注目してくださるとうれしいです。