エレクトロニック・アーツのバトルロイヤル型FPS『Apex Legends』(エーペックスレジェンズ)では、2021年3月10日にNintendo Switch版が配信開始され、新イベント“カオスセオリー コレクションイベント”もスタートする。

 というわけでいよいよ登場するSwitch版について、開発元Respawn Entertainmentで本作のゲームディレクターを務めるチャド・グレニアー氏と移植を行ったパニックボタンの関係者に話を聞いた。

チャド・グレニアー

『エーペックスレジェンズ』全体のゲームディレクター。

アンディ・ボッグス

移植を担当したパニックボタンのテクニカルディレクター。

ダン・ハーンベルク

パニックボタンのプロダクション統括

まずは動作仕様から。TVモードでは720P、携帯モードでは576P動作

――ついにSwitch版が出ます。まずは解像度やフレームレートなどの動作仕様はどうなるのでしょうか。またSwitch版に特有の機能などはありますか?

グレニアー それはパニックボタンから説明してもらう方がいいですね。

ボッグス解像度とフレームレートについては、まず解像度はTVモードでは1280×720ピクセルで、携帯モードでは1024×576ピクセルです。どちらも30fps(秒間フレーム)で動作します。

 固有の機能については、携帯モードではジャイロを使ったモーション照準が行えます。これはなかなかいいです。そしてテキストのアクセシビリティ機能として、携帯モードに合わせてUIを調整し、より大きく見やすくしました。ゲームが携帯モードで動いていることを認識すると、UIが携帯モード用に見やすくしたものに切り替わるようになっています。

――その他の利用可能なキャラやカスタマイズ用アイテム、クラブなどは同じということでいいですか?

ボッグスはい。

――Switch版のゲームエンジンはどうなっているんですか? 確か『エーペックスレジェンズ』はValveのSourceエンジンを元に独自に改造したものだったかと思いますが。

ボッグス エンジンはこれまでの『エーペックスレジェンズ』のものと同じです。実際、すべてのコードを移植してSwitchサポートをエンジンに組み込みました。

――クロスプレイはどうなっていますか? 例えば他機種のようにSwitch版のみに限定することもできますか?

ハーンベルクはい、クロスプレイは好みでオン・オフが可能です。有効にすればクロスプレイを有効にしている人とマッチメイキングされて、無効にすればSwitch版のプレイヤーのみでプレイできます。(他機種と同じ仕組みということでいいですか?)はい。

「ちゃんと同じゲームとして届ける」という目標

――どうやってSwitch版のプロジェクトが始まったのか教えて下さい。初期の段階で一番の優先事項はなんでしたか? 「元のゲームプレイをキープする」とか、「これぐらいのfpsは死守」とかいったような目標です。

グレニアー 私達はこのゲームをできるだけ多くの人にプレイしてもらいたいですし、Switchで遊びたいという方が非常に多くいました。

 Switch版についての具体的なやり取りが始まったのは1年ほど前、シーズン4のあたりだったかと思います。Switchで遊びたいというプレイヤーからのフィードバックもありましたし、Switchのゲーマーコミュニティからの声もあったので、そこに届けられるようにするというのは自然な選択でした。

 開発を進める上での目標は、“ちゃんと同じゲームである”ということでした。別バージョンではなく、クロスプレイもあって、Switchで他のプラットフォームと同じ体験ができる。そして高速で流れるようなゲームプレイをいい操作系で遊べて、同じような戦闘の感じを味わえるということです。

 初期の段階ではスペック的な部分をどうするかよりも、まずそういった他プラットフォームと同じようなゲームプレイと楽しい体験を実現するということがありました。

――そういった要望を受けて移植を行ったパニックボタン側で、何か技術的に大変だったことなどはありましたか?

ボッグス Switchへの移植の最適化を行う際にいつもパフォーマンスがトリッキーな部分になることからすると、一番のチャレンジは、ゲームのどの部分が調整可能な最適化に適した部分で、どの部分がそのゲームならではの感じに欠かせない下手に弄ってはならない部分なのか見つけていくことですね。

 今回もそこのバランスを取りつつ、正しく最適化していく事に実際に多くの時間を割きました。(※編注:パニックボタンは移植に強いスタジオとして多くのSwitch版移植を手掛けている)

Switchならではのジャイロ操作がオススメ

――携帯モードだと画面サイズや解像度的に長距離戦がなかなか大変だと思いますが、何か助けになるようなものはありますか?

ボッグス その点では、狙っている対象に照準を合わせるのにジャイロを使ったモーションコントロールが役立つんじゃないかと思います。

 それと携帯モードでプレイすることや、携帯モードでの武器の感じに慣れていくことが大きいのではないかと思います。やっぱり本作の新しいプレイ方法ではあるので、慣れの部分はあるでしょう。

――これは同僚からの質問なのですが、逆に「ジャイロ操作が強くなりすぎるのでは」という点についてはどうでしょう? どうやってバランスを取っていますか? あるいはローンチ後にどうなるか注視している部分だったりするのでしょうか?

ハーンベルク私達はジャイロ操作をオススメしています。Switchならではのものですし、Switchでこの手のゲームを遊ぶのにこれがベストという感があります。

 なのでもし強いと感じるとしたら、それは(うまくハマっていて)実装したのが正しかったということでもあるので、いいことなんじゃないでしょうか。現時点ではなくすとか、特に調整を考えているといったことはありません。このタイトルにとってこれがいい方法だと感じています。(※編注:実際、ニンテンドー・オブ・アメリカのYouTube公式チャンネルに掲載された初心者向け動画でもジャイロを使うのがテクのひとつとして紹介されている)

ボッグスオフにすることもできるんですが、どう動くかについて調整する設定もあります。

――ところで海外掲示板などを見るとPCなどでジャイロ操作を使いたいという人もいるようなのですが、そういった予定はありますか?

グレニアーどうやってやるつもりなんですか? その予定はないですね。


まずはゲームに慣れてシーズン9に備えろ!

――2周年記念のアニバーサリーコレクションイベントが終わったばかりですが、Switch版に合わせて何かあるのでしょうか?

グレニアーSwitch版のローンチはシーズン中なので、施策としてはまずはバトルパスの30レベル分を提供するとともにダブルXPイベントをやって、Switch版プレイヤーが入ってきやすくします。ここでゲームに慣れてもらって、もうすぐやってくるシーズン9に備えてもらういい機会になればと思います。

 まだ詳しくは言えないのですが、内部でやってくるのをすごくわくわくしている大きな計画もあります。なのでその点でも、まずSwitchで始めてゲームに慣れて頂いて、バトルパスを進めて、どのレジェンドが合うのか見つけてもらいながらお待ちいただければと。

(※編注:その後、Switch版に合わせて始まる”カオスセオリー コレクションイベント”が発表された。)

――モバイル版の話が段々聞こえるようになってきましたけども、今回のSwitch版での最適化がそちらにも役に立つのでは?

グレニアーモバイル版は違うチームによる完全に違った製品になります。

――実際、Switch版をどうやってプレイしていますか?

ボッグス自分は携帯モードですね。持ったまま家の中を歩いて部屋を移れるのが好きなので。

グレニアー自分はコレ(ロゴ付きのPowerA製コントローラー)でプレイしてますね。カッコいいので。

――では最後に日本のApexファンとSwitchゲーマーに。

グレニアー私達はApexを日本の全てのSwitchプレイヤーにお届けできるのにわくわくしています。

 日本が好きですし、Apexをすごくプレイしていただいている国でもあります。日本にユニークなコンテンツをお届けできるといいですね。シーズン9について少し言及しましたが、シーズン9では日本で気に入られたらいいなと思っているレジェンドがいます。支援ありがとうございます。ついにSwitchで遊べますよ。

ボッグスそうですね。日本のSwitchプレイヤーがローンチ日に遊んでいるのを見るのが待ちきれません。