アメリカのインディースタジオMidbossによるサイバーパンクアドベンチャーゲーム『Read Only Memories:NEURODIVER(リードオンリーメモリーズ:ニューロダイバー)』(以下、ROMニューロダイバー)のプレス用デモをプレイしたので、その内容をお伝えしよう。

 本作は同スタジオの『2064:Read Only Memories(2064: リードオンリーメモリーズ)』(以下、2064ROM)の続編。PC版のほか、家庭用ゲーム機版がコーラス・ワールドワイドより2021年発売予定となっている。

新主人公による、前作でおなじみの面々を加えた新たな物語

 本作で主に描かれるのは、2064ROMの数年後の世界。エスパー能力を活かした超能力探偵として活躍する“ES88”を新主人公として迎え、前作から引き続き登場する面々とともに新たな物語が描かれる(デモで描かれていたのはその本編の少し前の前日譚部分)。

 ここで話の進行上ポイントとなってくるのが、ES88は特殊生命体の“ニューロダイバー”の力を借りることで人々の記憶に入ることができるということ。つまり本作は、2064ROMで描かれた世界を過去方向(記憶パート)にも未来方向(現在パート)にも拡張する内容となっているのだ。

Read Only Memories: NEURODIVER
机の上の、イカのような生物がチラッと見える容器がニューロダイバーの入ったデバイス。

 続編モノかつ、継続して登場するキャラクターもいるということで「前作やってなくていいの?」と感じる人もいるかと思うが、デモをプレイした範囲では大丈夫そう。もちろん「このキャラ、あいつか!」といった楽しみはあるけれども、基本的な事はちゃんと示されるし、記憶パートがあるキャラならばむしろ本作でこそ掘り下げられるという面もある。

 例えばデモでは前作に登場したサブキャラクターのひとり“クロウ”の過去の記憶に潜っていくことになるのだが、「獣人ハイブリッド化した頃はこうだったのか……」とあらためて知ることができるという寸法だ。

Read Only Memories: NEURODIVER
前作にも登場した“クロウ”は、韓国方面で参戦していたという過去を持つ。記憶シーンではクロウとして終戦直後の様子が描かれる。

レトロテイストは残しつつ、演出がめちゃくちゃ強化

 2064ROMと言えば、『スナッチャー』などの往年のアドベンチャーゲームを強く意識したグラフィックやサウンドなどが特徴のひとつ。今回もその方向性は維持しつつ、“参照するタイトルの世代が新しくなった”という感じになっている。

 特に驚いたのがアニメーション演出で、スクロールによるインパクトのあるカメラ演出などが序盤から登場(昔のアーケードゲームのデモ画面などを参考にしているらしい)。キャラ絵のカット割りなども以前より凝っていて、昔のゲームが“続編として進化”したかのようだ。

Read Only Memories: NEURODIVER
このゲイトとクロウの登場シーンも、カメラがゆっくりなめるようにスクロールする。古典的。でも進化。

 また、サウンドも往年のゲームBGM好きの人ならピンと来るサウンド。デモに使われていた楽曲のコンポーザーのケン・"CODA"・スナイダー氏はPC-98のサウンド(特に『グランシード』)に近付ける事を目指して一種のレプリカ音源を構築したとか。

 そしてベースが同じ楽曲の別バージョンをゲームの状況に合わせて切り替えていくことで、シーンに合わせた展開をつけるといったこともやられている。

Read Only Memories: NEURODIVER
UIなどもブラッシュアップ。またサウンドも状況に応じて変化していくようになっている。

記憶に潜り、失われた部分を修復する新要素

 ゲームの基本は依然として往年のアドベンチャーゲームスタイルを踏襲しつつ、先に書いた通り記憶へのダイブが新要素として入っている。

 ここでは、被験者(今回はクロウ)として記憶の世界の中を行動していき、失われてグリッチ状態になっている部分(クロウの場合は大きな赤ん坊の人形が出現する)を修復してより完全なものにするのが主な目的となる。

 その修復方法とは、記憶シーンにいる他のキャラクターとの会話や探索を通じて思い出すきっかけになるアイテムを入手し、それをグリッチに突き合わせるというもの。忘れていたアイテムに刺激されて記憶を取り戻し、話が進んでいく……という流れになっている。

Read Only Memories: NEURODIVER
記憶の中では、ES88がクライアント本人と会話しながら本人の代わりに行動する。
Read Only Memories: NEURODIVER
Read Only Memories: NEURODIVER
クロウの記憶喪失部分。なぜだかバーテンダーが赤ちゃんに化けている。 ※この画像のみ英語版のもの。

というわけであらゆる面がパワーアップ

 というわけで、ストーリーの掘り下げ、グラフィック、サウンド、UI、ゲームシステムと、あらゆる面が2064ROMよりパワーアップしている印象。早く完成版を遊んでみたいところだ。

 なお本誌では以前に本作のクリエイティブディレクターである“JJ”ことジョン・ジェームス氏へのインタビューを掲載しており、そちらでコンセプトなどが話されているので、未見の人はそちらもチェックしてくれるとありがたい。