2020年9月23日~27日の期間、初のオンラインで開催となった“東京ゲームショウ2020 オンライン”(TGS2020 オンライン)。最終日となる9月27日にはコーエーテクモゲームスによる“『真・三國無双』20周年記念番組”が配信された。

 本記事ではその模様をリポートするとともに、記事の最後には鈴木亮浩プロデューサーへのインタビューを掲載しているので、最後までお見逃しなく。

 本配信ではMCをeスポーツキャスターなどで知られる田口尚平氏が務め、『真・三國無双』シリーズプロデューサー・鈴木亮浩氏と、ファミ通グループ代表の林 克彦が登壇した。

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左から、林 克彦、鈴木亮浩氏、田口尚平氏
ファミ通.com”東京ゲームショウ2020 オンライン“特設サイト
“TGS2020 オンライン“Amazon特設会場

『真・三國無双』20年の歩み

 まずはシリーズの歴史を振り返るトークコーナー。鈴木Pは元祖とも言える対戦格闘ゲーム『三國無双』から関わり、初代『真・三國無双』でもディレクター兼リードプログラマーを担当した。20年以上シリーズ作品に関わっているだけに「この20年はあっという間でした」とコメント。

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こちらは初代『真・三國無双』が初掲載された週刊ファミ通のページ。……ちっさ! といっても発売日の号は、ちゃんと数ページの特集が組まれたそうだ。
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珍しく、メーカーロゴが表紙になった号
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ネッキーが趙雲に扮した特別なイラストが表紙になったことも

 トークのあとは、事前に募集していた『真・三國無双』シリーズのゲーム画面の、心に残ったシーンを投稿するフォトコンテストの結果発表がおこなわれた。派生作品の『雀・三國無双』に関する投稿や、『真・三國無双Empires(エンパイアーズ)』シリーズならではの、自分だけの思い出など、さまざまな写真が寄せられたようだ。

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ユーザーからの質問へ回答!

 続いては、事前にファミ通.comにてユーザーから集めた質問に、鈴木Pが回答をするコーナーへ。その回答を、Q&A方式でお届けしよう。

Q 『真・三國無双』シリーズのBGMがすごく好きです。無双の音ゲー(リズムゲーム)とかチャレンジしてほしいです。鈴木Pの好きなBGMはありますか?

A ちょうど9月9日に、シリーズ作品の全楽曲を配信しました。未配信だった楽曲も含めて、約800曲聞けます。そこにはサウンドディレクターがチョイスしたプレイリストもあるので、ぜひ聞いてみてください。無双のリズムゲームは、開発内でも作りたいという声が挙がったりするのですが、いまのところ予定はありません。

Q 『真・三國無双8』は以前インタビューで賛否両論だったと言っていましたが、具体的に好評だったと感じたところはどこですか?

A 賛否の声をたくさんいただきまして、賛のほうでは開発の励みになりました。そして、否のほうはすごく参考になりました。好評だったのは、アクションのシステムです。ステートコンボシステム(端的に言えば、敵の状態に合わせてワンボタンで多彩かつ強力な攻撃を放てるシステム)は好評だったので、そこは次作に生かしつつ、いろいろとチャレンジしていければなと考えています。

Q キャラクターに青年期、壮年期などを取り入れる予定はありますか?

A 開発チームの中でも、私としてもアリだと思っていて、検討事項にはつねに入れています。ですが、年齢を変えてしまうと周囲のキャラクターとの関係性もあり、なかなか難しいです。すぐに採用、とは断言できませんが、『戦国無双 ~真田丸~』のように、別のアプローチもあると思います。

Q 今後の新作は、シリーズ従来のチャージ式(通常攻撃と、チャージ攻撃に分かれたシステム)になるのか、ステートコンボシステムを発展させていくのでしょうか?

A 『真・三國無双8』の好評だったポイントでしたが、従来の通常攻撃とチャージ攻撃のほうが好き、という人もいると思います。その両方を取り入れながら、また新しいシステムを考える必要がありそうです。完全に“こういうシステムになります”とは断言はできませんが、好評なシステムは残していきたいです。

Q 『真・三國無双』シリーズは多彩な魅力が詰まっていますが、どこに比重を置いて開発していますか?

A 『真・三國無双』シリーズの核を突いた質問ですね。ゲーム性、歴史、ドラマ、キャラクターの4つのポイントをうまくバランスを取っていくのが重要なところです。どれかが突出してもおもしろくなくなってしまいます。ナンバリングタイトルだけでも8作作っていますし、あまり歴史にこだわりすぎると“三国志”の歴史は揺るぎませんから、毎回同じストーリーになってしまいます。なるべく歴史から逸脱してない範囲で脚色したり、いままで扱ってこなかったエピソードを既存の物語に融合させるなどして、うまくバランスを取っています。

 キャラクターも、もう94人もいます。物語としての三国志に登場している時点から個性はありますが、それでもほかのキャラクターに負けないように、なるべく個性を引き立てるように少しアレンジを加えたりしています。

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スマホで新作『真・三國無双』!

 トークパートが終了すると、続いてはお待ちかねの最新情報の発表に。まず最初に発表されたのが、iOS、Androidで配信されるスマートフォン用タイトル『真・三國無双』(※初代『真・三國無双』と同じタイトル名)。配信時期は未定。開発だけでなく、運営もω-Forceが担当する。配信では、ゲームの実機プレイも披露された。

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 一騎当千の無双アクションと、壮大な三国志のドラマを手軽に楽しめる本作。家庭用のシリーズにも匹敵するほどの爽快アクションを、横画面だけでなく縦画面でも味わえるのが特徴で、実機プレイではバトル中にスマホを傾けるだけでグルンとゲーム画面が横から縦に切り替わっていた。

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 『真・三國無双8』までに登場したキャラクターがすべて登場するそうで、物語は本作オリジナルのストーリー。やり込み要素の“コンクエストモード”や、ほかのプレイヤーと共闘するといった要素もあるようだ。

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 もうひとつ特徴的なのが、“将星の記憶”という装備アイテム。装備すれば無双武将たち(本作では無双武将たちを将星と呼称する模様)が強化できるだけでなく、本作用に描き下ろされたイラストが楽しめるというもの。また、各武将には特別な衣装も用意されているという。なお、将星の記憶もガチャとなっている。

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 バトルシステムは、3人1組で戦うパーティ制。バトル中はいつでも別の将星に切り換え可能だ。操作はバーチャルパッドでの移動と、ボタンタッチで攻撃。通常攻撃のほか、スキル攻撃のようなものもあるようだ。また、オート操作にも対応している。オートバトル中でもスキルや無双乱舞を押せば、技が発動するので、縦画面の片手操作でも遊びやすいようだ。

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 キャラクターは、ガチャで入手するスタイル。『真・三國無双8』までに登場したキャラクターすべてが登場するそうだが、リリース時には半分ほどの将星が登場するという。ただ、できるだけ早く、94人すべてを登場させると鈴木Pはアピールしていた。

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 本作の発表と同時に、5000人限定のクローズドβテストも実施。募集期間は2020年9月27日~10月5日まで。クローズドβテスト実施期間は10月8日~10月12日まで。直近で募集・実施がおこなわれるので、気になる人はぜひ下記URLから応募してみよう。なお、記事の最後のインタビューでは、より詳しいシステムをお聞きしているのでぜひチェックを。

スマホ版『真・三國無双』 クローズドβ応募サイト
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『真・三國無双8』、“エンパ”化決定!

 続いて発表されたのが、『真・三國無双8 Empires(エンパイアーズ)』。対応ハードは、Nintendo Switch、プレイステーション4、プレイステーション5、Xbox series X、PC(Steam)と、現行機と次世代機の両方に対応。発売日は、2021年アーリーを予定している。

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 本作は、バトルが従来のシリーズ作品から大きく変わり、城の周辺一帯が戦場となるそうで、城を奪い合う“攻城戦”が楽しめるという。変化する戦況に合わせて、計略や攻城兵器などを駆使して、いかに城を攻めるか? という新感覚のバトルが味わえるそうだ。

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 もちろんシリーズ作品でおなじみの内政や政略、君主、将軍、一等兵、在野プレイなども健在。エディット機能も、従来のエディットからさらに進化しているそうだが、まだ詳細は明かせないとのこ。鈴木Pは「スクリーンショットから予想していただければ」と、アピールしていた。

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 『真・三國無双8』の際もNintendo Switch版を模索していたそうだが、対応できなかったと鈴木Pは語る。しかし、Nintendo Switch向けの開発にも慣れてきたので、今回はNintendo Switch版も発売できたそうだ。

 発売時期の“2021年アーリー”については、「アーリーがどこまでアーリーと言っていいか……ですよね。1年の半分(6月~7月)を過ぎたらさすがにアーリーじゃなくなると思うので、それまでには出したいです」と鈴木Pは語る。

 いよいよ配信の終わりも近づいたところで、最後に林が「『真・三國無双8 Empires(エンパイアーズ)』はオープンワールドですか?」と鋭い質問を飛ばす。本作はオープンワールドではないと、鈴木Pは回答。もちろん候補には挙がり、検討もしていたものの、テンポ良く城取りをしていくのが、『真・三國無双 Empires(エンパイアーズ)』シリーズの魅力であるほか、ゲームが非常に難しいものになるため、今回はオープンワールドを採用しなかったとのこと。

 もちろんオープンワールドでの国盗り合戦というのは、おもしろいゲームになるだろうと、鈴木Pは語る。ただしそこまでやると『真・三國無双 Empires(エンパイアーズ)』シリーズではなくなってしまうので、もしやるとなったら別のタイトルになるだろうとのこと。

 今回の作品は『真・三國無双8』を素材にし、『真・三國無双 Empires(エンパイアーズ)』シリーズの正統進化を目指した作品なのだ。

鈴木Pに気になることをインタビュー

 最後に、今回発表された2作品について、鈴木プロデューサー(以下、鈴木)へのインタビューをお届け。どんなゲームになっているのか、より詳しく探っていこう。まずはスマートフォン向けアプリ『真・三國無双』について。その後、『真・三國無双8 Empires(エンパイアーズ)』についてお聞きした。

アプリ『真・三國無双』について

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――新たなスマートフォン向けタイトルとして、『真・三國無双』を開発することになった経緯を教えてください。

鈴木ここ数年で、アクションゲームも快適に遊べるような高性能スマートフォンの普及が進み、スマホゲーム市場は日本だけでなく世界全体で大きな成長を続けています。『真・三國無双』シリーズを、より多くのユーザーに楽しんでいただくため、スマートフォン向け新作タイトルとして立ち上げました。

――日本ではサービスしていませんが、中国などでサービス中のテンセントゲームズによる『真・三國無双 覇』などもあります。ほかのスマートフォン用“無双”タイトルと、どういった差別化などを行うのでしょうか。

鈴木どのタイトルも“一騎当千の爽快感”をコンセプトに、独自のゲームシステムを構築しています。また、世界観のベースとしているナンバリングが異なり、ストーリーなどもそれぞれオリジナルのものとなっています。

――アクションは『真・三國無双8』がベースになるのでしょうか?

鈴木バトルシステムイは、『真・三國無双8』のステートコンボシステムをベースにしていますが、スマートフォンで快適にプレイできるように操作系やシステムを変更しています。

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――画面は縦横どちらでも遊べる、というのはすばらしい要素だと思います。やはり片手で気軽に遊べるようにしつつ、やり込みたい人は横持ちでガッツリと、というような感じでしょうか。

鈴木はい、その通りです。場所を選ばず隙間時間でもプレイしやすいように、片手で気軽に遊べる縦画面を用意しました。縦画面でコツコツ育成し、強敵攻略の際は横画面で腰を据えてプレイ、というイメージです。もちろん、縦画面だけのプレイでも爽快感を味わえるようになっています。

――将星にはクラスがあるように見えますが、おそらく属性相性システムですよね。これは『真・三國無双7』にあったシステムようなイメージですか?

鈴木いわゆる属性相性で合っています。クラスの相性は、ダメージ計算や攻撃ヒット時の仰け反り易さの判定に影響します。また、各クラスには専用のアクションがあり、戦いかた自体が異なります。

――ストーリーモードは、どのようなシステムになっているのでしょうか。

鈴木ストーリーは本作向けの新規書き下ろしです。おなじみの“黄巾の乱”から始まり、章立てでストーリーが進行していきます。ある程度ストーリーが進んだところで、勢力別に分岐します。各章ごとに特定の武将が随行するスポットキャラ制を採用しており、武将との絆を深めながらストーリーが進行します。また、各戦闘は複数の攻略ルートからなるシナリオで構築しており、高報酬を目指して繰り返しプレイしていただけると思います。

――フリーモードというものが見えましたが、どのようなモードですか?

鈴木フリーモードは、ストーリーモードの各バトルを個別にプレイすることが可能で、完全クリア後には“掃討”コマンドによって戦闘をスキップすることができるようになり、短時間でサクッと報酬が得られる将星の育成用モードです。また、より高難度のバトルに挑戦したい方向けに、中級・上級の難易度を用意します。これとは別に、いわゆるイベント的なバトルの実装も予定しています。

――やり込み要素だという、コンクエストモードについても教えてください。

鈴木コンクエストモードは、NPCと戦うソロプレイでのやり込みモードです。ステージ毎に異なる特殊なルールの中、高スコアを狙いつつ大陸全土の制圧を目指します。なお、非同期対戦のエッセンスとして、制圧済みの自領に他プレイヤーの部隊が乱入することがあります。

――対戦モードあるそうですが、ほかのプレイヤーのチームとバトルをし、ランキングを競うことでランキング報酬などが得られる、というシステムでしょうか。

鈴木はい、その通りです。非同期対戦形式の“演武場”、同期対戦形式の“宿星対決”、いずれも、期間内のランキングに応じたランキング報酬が得られます。また、これとは別に、期間内での撃破数を競うランキングイベントも予定しています。

――協力プレイですが、共闘するメリットは3人同時に出撃できる、という点ですか?

鈴木そうですね。各プレイヤーが互いに協力することで、ソロプレイより高難度のバトルをクリアーすることが可能になると思います。また、共闘でしか得られない報酬も用意してあります。

――最終的には94名すべて登場する将星ですが、ガチャ以外の入手方法はありますか?

鈴木ガチャのほかに、特別なイベント、ミッションなどでも入手できます。

――将星の記憶が、強化するための重要な装備アイテムに見えました。

鈴木はい、その通りです。将星の記憶は“イラスト+追加能力”となっており、本作で新たに描き下ろした新規イラストもありますので、コレクション要素としてもお楽しみいただけると思います。

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――武器などのシステムはありますか?

鈴木はい、あります。武器は、専用のアイテムで育成していくシステムで、将星の覚醒、いわゆる限界突破により、上位の武器を入手できます。

――最後に、注目してほしいポイントを教えてください。

鈴木シリーズ最新の美しいビジュアルと、スマートフォンでも体感できる一騎当千の爽快感、そして書き下ろしのストーリーです。ぜひ、配信開始までご期待ください。

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『真・三國無双8 Empires(エンパイアーズ)』について

――『真・三國無双8』がついにエンパ化ということで、いまのお気持ちを教えてください。

鈴木『真・三國無双8』の発売から2年以上も経っているので、お待たせして申し訳ありません、というのが正直な気持ちです。ようやく発表できてよかったです。

――次世代機への参入、さらにNintendo Switchまで網羅というところで、開発はたいへんなのではないでしょうか。

鈴木確かに機種が多くてたいへんなのですが、多機種への展開は弊社の得意とするところですし、次世代機はワクワクが止まらないので、大丈夫です。より多くの皆さんに楽しんでいただけるようにがんばります!

――『真・三國無双8』をベースにしながらも、オープンワールドではなく、攻城戦をメインにしているということですが、やはり『真・三國無双8』ならではの、強大な城や砦を攻略していくゲームになるのでしょうか。

鈴木その通りです。『真・三國無双8』の特徴である強大な城を、いかに攻略するか? が本作のバトルのポイントとなります。

――これまで通りリアルタイムで部隊に命令を出しながら戦えるほか、さらにその戦略の幅が大きく広がった、という感じでしょうか。

鈴木はい、本作ならではの新要素により、これまで以上に多彩な駆け引きが楽しめるようになります。火計、賄賂などさまざまな計略を予定しています。

――エディット機能はどのくらい進化しているのでしょうか?

鈴木配信で言ったように、残念ながら詳細はまだお伝えできませんが、好評のエディット機能は、従来よりも大幅にパワーアップし、より自由度の高いエディットが可能になっています。

関羽戦闘シーン_城門前での戦闘
周瑜戦闘シーン_井闌での戦闘
自身の選択と武将との交流が鍵を握る「政略」も健在
エディット機能でオリジナルの武将作成

※画像の一部は配信をキャプチャーしたものです。