声優、歌手として活躍する今井麻美さんの歌手活動10周年を記念したミニアルバム『Flow of time』が2019年11月27日に発売された。ファミ通.comでは同アルバムの発売を記念してインタビューを実施。

 『Flow of time』に収録されている楽曲の制作エピソードや、歌手活動10周年&声優活動20周年のメモリアルイヤーとなった2019年の振り返り、さらに12月26日にEX THEATER ROPPONGIにて開催される“Winter LIVE「Flow of time」東京公演”などについて語っていただいた。

今井 麻美(いまい あさみ)

5月16日生まれ。山口県出身。『アイドルマスター』シリーズ(如月千早役)を始め、『シュタインズ・ゲート』シリーズ(牧瀬紅莉栖役)、『超次元ゲイム ネプテューヌ』シリーズ(ノワール/ブラックハート役)など多数の作品に出演。2019年は歌手活動10周年に加えて、声優活動20周年を迎えるメモリアルイヤーとなっている。

――自身初となるミニアルバム『Flow of time』が発売されましたが、率直な気持ちを教えてください。

今井ミニアルバムを発売することに加えて、その中に収録される4曲すべてが新曲という経験が初めてだったので、これまでとは制作の過程が少し違っていて、すごくおもしろかったです。

――具体的にはどういう風に違ったのでしょうか?

今井いままでのアルバムは、既存の曲の中に新曲が混ざっていく形だったので、既存の曲とのバランスを意識したうえで「じゃあ、どんな曲を作ろうか?」という考えかたがほとんどでした。でも、今回はすべてをゼロの状態から、アレコレ考えられたのでおもしろかったです。

――これまでにノンタイアップのシングルで新曲3曲が収録されたこともありましたが、そのときとも感覚は違いましたか?

今井言われてみれば、確かに1曲多いだけなんですね。でも、シングルという言葉の響きだと、表題曲を中心にして2曲目、3曲目を作っていくというイメージですが、今回のように“アルバム”という括りになると、全体的なバランスを取りながら作りたいという欲望が出てきたところがいちばん違うところだと思います。

――ひとつの作品(CD)として共通のコンセプトが明確にあるということですね。では、どんなコンセプトで作られたのですか?

今井今回は、私がいままで声優や音楽活動をするにあたって、ずっと“時の流れ”を感じながら、いろいろと考えてきたことを具現化していくというイメージで作っています。そういう意味で言うと、どの場所を切り取っても、そのときの私の感情みたいなものが表れていると思うので、いままでのように「1曲目はこのテーマ、2曲目はこのテーマ」という感じではなくなっているのかもしれません。

――インストのエピローグを除くと、表題曲の『Flow of time』が最後の曲ですね。表題曲が1曲目ではないのも今回が初めてだと思いますが、それもコンセプトが影響しているのでしょうか?

今井いや、それは偶然です。偶然というと重みが減っちゃうかもしれないですけど(笑)。今回はミニアルバムのタイトルが『Flow of time』ということだけが先に決定していました。だから、濱田貴司さんに作っていただいた楽曲の曲名を『Flow of time』にするのかどうかは、ギリギリまで決まっていなかったんです。でも、私が作詞をするにあたって、『Flow of time』という曲名がピッタリだと思ったので、そのまま採用することになりました。結果的には、いい感じの総まとめができたかなと思っています。

――なるほど。では、初めて曲を聴いたときの印象を曲順に伺えればと思います。まずは『アドレッセンスの丘』からお願いします。

今井プロデューサーから作家さんたちにどのように伝わっていたのか私にはわかりませんが、この曲はいちばん最初に声優を目指し始めたころのキラキラしたイメージを想定してお願いしていました。私が思い描いていた以上にキラキラした世界の透き通った楽曲が届いて、「当時の私はこんな音楽が鳴るような感じの雰囲気だったかな」とすごく懐かしく感じました。

――本当に青春というような爽やかな楽曲ですよね。作詞が森由里子さん、作曲が桐岡麻季さんという、これまでにも数多く今井さんの楽曲を手掛けられているおふたりですが、意外にもタッグを組むのは今回が初めてですね。

今井そうなんです! 私もうれしかったですが、いちばん喜んでくれたのがおふたりという(笑)。

――今井さんのライブにも、おふたりで来られていますよね。

今井由里子さんが作ってくださった楽曲を歌わないライブというのはほとんどないのですが、麻季ちゃんの楽曲を披露しないときでも、ふたりでいっしょに来てくださって、「麻美ちゃんのおかげで、今回も楽しくおしゃべりできたわ」といつも言ってくれるんです。本当におふたりの無邪気でやさしい雰囲気に私もいつも癒されていて、いつか3人でいっしょに作れるといいなと思っていたので、今回のミニアルバム制作にあたり、「このおふたりの組み合わせだけは絶対にお願いします!」とプロデューサーに伝えました。

――念願が叶った楽曲だったんですね。続いて、2曲目の『Carve Out』はいかがでしょうか?

今井これは私のプロデューサーが作ってくださって、今回収録されている4曲の中で唯一、私から曲の雰囲気をリクエストした楽曲です。疾走感がありつつも、AメロとBメロは少しゆったりしていて、その緩急のある感じがいいなと思ったので、イメージを伝えました。そういうこともあり、最初は作詞を自分でやろうかなと思っていたのですが、曲を聴いてみたところ「私が書くよりも、別の方が書いたもので、ピッタリとはまるのでは?」と感じたので、コンペに出させてもらいました。

 私はコンペのときに、誰が作ったのかをあまり見ずにインスピレーションだけでパッと選ぶタイプなのですが、今回も自分が思い描いていたイメージにいちばん近かった歌詞を選んでみたら、偶然、奥山アキラさんだったという(『漆黒のサステイン』や『Limited Love』の編曲を担当)。『Carve Out』は、奥山さんとcabriole*さんの共作ということで、どの部分をどちらが書かれたのかは、私にはわからないのですが、すごく吠えている感じというか、「自分がやるぞ!」というような気概みたいなものが、最後まで貫かれているところに思いを惹かれるものがありました。

――確かに強い意志みたいなものを感じますね。ちなみにブックレットで作曲を担当したプロデューサーの濱田智之さんが「この曲はアーティストデビューしてから2年半~5年くらいの頃の今井さんを、今振り返ってイメージしてみたら……というコンセプトで書きました。(中略)どうしてその時期を選んだのかは、きっと今井さんが各所で語ってくれると思うので」と書かれてしましたが、こちらについてはいかがでしょうか?

今井さんの歌手活動のプロデューサーを務める濱田智之さん(以下、濱田) いままさに語っていましたね。

――今井さんのイメージしていた曲を表現するのに、その時期にピッタリだったということですか?

濱田 そうですね。(今回は4曲で今井さんの活動の流れを表現するということなので)歌手活動としては10周年なので2年半ごとの区切り、声優活動だと20周年なので5年ごとの区切りで考えて、両方の第2期をイメージして作りました。

今井じつはそうだったみたいです。この曲はすごく緩急があるので、もし私が歌詞を書くとしたら、どうしてもやっぱり落ちたところとかで、日和った歌詞を書きがちなんですよね。たぶん、今回も私が書いていたとしたら、そうしちゃっていたような気がします。でも、奥山さんとcabriole*さんが書いた歌詞は、絶対に最後まで折れていなかったところに「これだ!」と感じました。私の中でこの曲は、とくに声優活動の第2期を想像しているのですが、当時は本当にそういう気持ちでしたね。折れちゃいけないというか。なかなか思うようには進めないけど、「それでもまだこの声で戦いたい!」というのがすごくインスピレーションとして、ピッタリはまったのかなと思います。

――「この声が枯れようと、この体が朽ちようと」という歌詞は、まさに当時の今井さんが我武者羅に活動されていた姿が思い浮かびます。

今井私の体は丈夫だけど丈夫じゃないというか。頑丈だけどひ弱という特殊な体質をしておりまして。歌手活動としての第2期は、よく体調を崩したり、喉を壊したりしていたのですが、本番の直前に治るみたいなことがよくあったので、そういう感じもピッタリだなと。そういう意味ではどちらにもピッタリ当てはまっているのかなと思います。

――続いて、『孤独な銀河』については、イベントや番組などでも話されていましたが……。

今井いちばん勢いに乗っていた時期をイメージにお願いした楽曲のカラーが黒で、タイトルが“孤独”って。爆笑でしたね(笑)。でも、本当に強烈な曲だなと思います。すべてにおいて、いろいろな私があると思いますが、最終的にすごく私っぽいと言ったらいいのかな?

――確かにすごく今井さんらしい楽曲という印象です。

今井今回、携わってくれたのがRUCCAさん(作詞)、椎名豪さん(作曲)、牧戸太郎さん(編曲)という、私と近しい年齢の音楽業界で戦っている方たちで。しかも、全員がどこかに所属しているわけでもなくて。その立ち位置から、いま出るすべてが注ぎ込まれた、すごい曲を作っていただいたなという印象です。歌詞も抽象的だからこそ、歌ったタイミングによって、感情の揺れ動きみたいなものが、ぜんぜん変わってきちゃうんですよね。だから、レコーディングのときは「こういうイメージで歌いたいな」とそんなに迷いが生じなかったのですが、出来上がったものを聴くと、「あれ、こんな風に歌っていたかな?」みたいな感覚になったりしました。おそらく、聴いたタイミングで印象が変わる曲なのかなと思いますね。童話の世界というか。受取り手次第で印象がすごく変わる楽曲なんだなというのを改めて感じて、とても深い曲だなと。

――ちなみにRUCCAさんは、『Over The Galaxy~メッセージ~』を除くと、かなり久しぶりの参加ですね。

今井私のファンクラブ向けのラジオにゲストで来ていただいたりしましたが、楽曲としては『シャングリラ』以来ですかね? それこそRUCCAさんと初めてお会いしたのは『シャングリラ』のころなので、2010年くらいでした。そのときは私もRUCCAさんも駆け出しでしたが、いまではヒットメーカーとして本当にいろいろな有名な楽曲を手掛けていらっしゃって、まさに“時の流れ”を感じた象徴的な方なんですよね。どれだけ経ってもイメージが変わらない方もたくさんいると思いますが、RUCCAさんは初めて会ったときと比べると雰囲気が変わったというか、いい意味で大きい存在になられていて。でも、お話してみるととってもおもしろくて、またいっしょにお仕事をしたいと思っていたので、私のほうからRUCCAさんに書いてもらいたいとプロデューサーに相談しました。

濱田 椎名さんと牧戸くんは過去にもいっしょにやっているので合うだろうと思っていましたが、RUCCAさんもピッタリでしたね。

今井この3人の組み合わせがすごく合っていて、とても好きです。

--そして、表題曲でもある『Flow of time』はいかがでしょうか?

今井今回はミニアルバムのタイトルが決まった後、楽曲を作るよりも先にジャケットを撮影しました。私がいまいちばん行きたいところがテーマだったので、沖縄に行ったのですが、私以外のスタッフ全員が「発売日が11月末なのに沖縄?」と思っていたようです。私はそのことをジャケット撮影の移動中にクルマの中で、メイクさんに言われて初めて気付きました(苦笑)。でも、私のテンションがいちばん上がるところはどこかなと考えたら沖縄だったので、その分いい写真がいっぱい撮れたかなと思います。

――ジャケットやブックレットの写真からも、その楽しそうな雰囲気が伝わってきました。

今井あとはガンガラーの谷に行けたのもうれしかったですね。じつは、ガンガラーの谷では、過去2回ライブをやらせてもらっていて、初めてのライブのときに少しだけ鍾乳洞の中も案内していただいたのですが、当時はまだ右も左もわからなくて、ライブのことで頭がいっぱい過ぎて、あまり記憶に残っていないんですよ。その後に原由実さんともライブを行わせていただいたのですが、今度は2回目ということもあって、私やスタッフもある程度、雰囲気がわかっていたので、ギリギリに現場入りして、終わったらすぐ帰るという感じで、見て回る余裕がなかったんです。だから、もっとじっくり見たいなとずっと思っていました。

――原さんとのときは昼夜2回公演でしたしね。

今井そうなんですよね。でも、今回の撮影では、けっこう中のほうまで案内してくださって、ガンガラーの谷を堪能しながら、写真を撮らせていただきました。すごくパワーももらえて、その後もけっこうなハードスケジュールだったのですが、自分が好きなところに行くと、疲れが一瞬でなくなるんだなと実感しました。翌日も朝の4時起きだったのですが、へっちゃらで(笑)。私のライブ人生の中でもガンガラーの谷は絶対に外せない出来事だったので、そういった意味でも“Flow of time”だなと思いますね。

 ちなみに『Flow of time』の歌詞は私が書いているのですが、そのジャケット撮影の朝に考えていた言葉がけっこうそのまま使われています。なので、冒頭の「少しだけ眠たい朝」という歌詞は、本当はすごく眠たい朝です(笑)。

――(笑)。「海辺」という言葉も使われていたので、もしかしたらと思っていましたが、やっぱり、歌詞の冒頭はジャケット撮影のときのことをイメージしていたんですね。

今井そうなんです。そのときにマネージャーがいくつかラフカットみたいな感じで写真を撮ってくれていて。その写真がすごくよかったので、それを作曲家の濱田(貴司)さんにお送りしました。

――濱田貴司さんがブックレットに書かれていた「一枚の写真」のことですね。

今井今回はほかの曲も、細かく指定せずに大雑把な括りだけを伝えて、あとはおまかせするという感じで作っていたのですが、貴司さんは直接イメージを聞いてきてくださって。私としては貴司さんが好きに作ってくださってよかったのですが、「どんな曲を作ったらいいのかわからないから、イメージを教えて」と言われたので、写真をお送りしたんですけど、それによって貴司さんが混乱するという(苦笑)。本当は、アニメのオープニングになるようなキャッチーな曲を書こうと思っていたらしいです。

――方向性がぜんぜん違いますね。

今井制作をお願いした時点では、貴司さんの曲が表題曲ということも決まっていなかったので、本当に好きに作っていただいたてよかったんですよね。なんなら、誰の曲を何番目にするということも明確には決まっていなかったですし。それで、「いま、どんな気分ですか?」と聞かれたので、私が海辺で頬杖をついてニコッと笑っている写真をお送りしたら、「えー!?」と驚きながらも作ってくださいました。

――濱田貴司さんを含めて、ほかの方々にも「ミニアルバムに収録する曲を書いてください」という感じでお伝えしていたということですか?

今井そうですね。ある程度、全体のイメージはありましたが、「どんな曲が出来上がってくるのかは出たとこ勝負で、ひょっとしたら変わるかもしれないね」という感じでした。でも、いちばん最初に仕上がった曲が『Flow of time』だったので、必然的にうまく埋まっていったのかなと。

濱田 変な話ですが、今回は4曲をほぼ同時期に発注していました。でも、みなさんのスケジュールの都合で書かれている時期が違うので、1曲あがってくるたびに、「バラードの曲は決まりました」、「アップテンポの曲も埋まりました」というような連絡をしていました。

――そんな作りかたをされていたんですね。

今井でも、私の中での予想が本当にピッタリハマっていきました。それこそ、由里子さんと麻季ちゃんに青春時代というテーマをどの程度お伝えしていたのかわからないのですが、『アドレッセンスの丘』があったからこそ、うまく時の流れが表現されているので。

濱田 由里子さんには、ピンポイントで「この時期で」と伝えてありました。

今井ということは、麻季ちゃんには何も言ってないんですね。

濱田 そうだね。

今井そういう意味では、本当にうまくハマっていたんだなと。貴司さんには、私が今回のジャケット撮影時のまさにいまの写真を送ってしまったので、4曲目が決定になってしまいましたけど。もし、私が3年前とか、10年前とか、20年前の写真を貴司さんに送っていたら、曲順が変わっていたかもしれないですね。

 でも、貴司さんが作ってくださった曲がすごくやさしい楽曲で。やっぱり、私の歌手活動の10年、声優活動の20年というのは、七転八倒するような、悩みとともに過ごしてきた日々でした。とくに「描いていた理想と違う」という部分は、「こういう人生で自分はよかったのかな?」とすごく悩んだりしたときのことをイメージしていました。でも、「弱音を吐いてもいいんだ」と本当の自分をさらけ出せるようなやさしい雰囲気があったので、いま思った気持ちを感じられるままに歌詞を書きました。

――『World-Line』のインタビューの際に今井さんが濱田貴司さんの楽曲について、「どんなに爽やかであっても、どこか寂しさだったり、苦しみだったりが滲み出ているんですよね」と語られていました。『Flow of time』もやさしいメロディが印象的ですが、どこか寂しいようにも感じます。でも、そこが今井さんの楽曲らしいのかなという気もしています。

今井私もそう思います。私らしいってどういうものなのかということをいつも考えながら生きてきた、この20年でした。けっきょく、いまになってもわからないままですが、その二面性みたいなものが、結果的には私らしいのかもしれないなって。なので、貴司さんのやさしいのに寂しいという感覚というのは、とても私らしさが出ていると思います。

――今回はブックレットに制作に関わられた方々のメッセージが記載されていて、「みなさんからの愛がすごい」と感じたのですが、今井さんはご覧になっていかがでしたか?

今井ふつうは制作途中にチェックで見たりすると思いますが、私は完成するまでそんな企画をやっていること自体知らなかったので、「こんなこと書いてくださっている」とニヤニヤしながら見ました。みなさんお忙しいにも関わらず、私のために時間を割いて作品を提供してくださっていて。それだけでもありがたいのに、みなさんが私のことをすごく考えてくださっているのが目に見えて、本当にうれしかったですね。

 あと、今回は演奏についても、いつものメンバー以外に、私の個人的な知り合いのミュージシャンの方にもお願いしていたりして、それもすごくうれしくて。やっぱり、お仕事となると私にはあまり主導権がなくて。音楽家どうしの繋がりやプロデューサーの思い描くものがあったりするはずなので、私は聞かれない限りはあまり口を出さないようにしていたのですが、ほかの仕事とかでお会いしたミュージシャンの方に「いつかいっしょに仕事をしたいです」とか、「今井さんのこと大好きです」とか言ってくださる方がいて。何かできないかなと思っていたときに、同窓会みたいな感じで、みんなで集まる機会があったんです。そのときに勇気を出して、プロデューサーとみんなに相談したら、意外にもあっさり決まって、もっと早く言えばよかったなと思いました(笑)。でも、そうしてずっと思っていたことが形になったのは感慨深かったです。

――アニバーサリーイヤーの締めくくりにふさわしく、やりたいことを詰め込んだアルバムになったんですね。では、そんな2019年を振り返ってみて、どんな1年でしたか?

今井私はいい意味でも悪い意味でも謙遜しがちなところがありまして。悪い意味だと、何周年とか恥ずかしいと思っちゃうんです。自分は変わらずやってきているだけだし、何周年だからお祝いをするほど、自分にそこまでの価値があるのだろうかと悩んでしまったりするので、「10周年とかいいんです」と言いがちな性格で。それこそ自分のライブで“今井麻美バースデーライブ”と書かれるのが恥ずかしくて“(仮)”にしておいてくださいと言ったら、そのまま“今井麻美バースデーライブ(仮)”と発表されてしまったこともありました(苦笑)。でも、そんな私のダメな部分が、ふっととれたのが今年だったのかなと思います。

 じつは、今年が歌手活動10周年、声優活動20周年という節目だということに気付いたのも、9周年と19周年のときに、お客さんに言われたからだったんですよね。私はまったく気付いてなくて、「そんなおめでたいことが重なるんだ!」と驚きました。そして、そのときに応援してくださっている方たちも、いままでいっしょに過ごした年月をお祝いしたいという気持ちをすごく感じて、その気持ちに応えたいと素直に思いました。だからこそ、今年は歌手活動10周年、声優活動20周年であることをいろいろなところで私からも積極的に言えて、自分の成長を感じました。

濱田 じゃあ、来年は歌手活動11周年、声優活動21周年ですね。

今井それはちょっと恥ずかしいです(笑)。

一同 (笑)。

――今年は本当にいろいろな活動をされていましたが、とくに印象に残っている出来事はありますか?

今井やっぱり、アニサマですね。アニサマにソロで出るのは2回目だったのですが、1回目のときは、あっという間に始まって、噛み締める余裕もないまま終わってしまった感じがすごく強かったです。でも、今回はお話をいただいてから準備期間がしっかりあって。「何を歌うんだろうな?」とふんわりとした期間ももちろんありましたが、最終的に「このタイミングでこういう風に楽曲を披露できるということは、やっぱり世界が私に10周年、20周年を祝っていいよと言ってくれている」と思うような選曲になったんです。

 今回は、とあるキャラクターとしての楽曲を歌わせていただいたのですが、それは私が望んだものではなかったですし、ソロ活動をしていなかったら、その楽曲をアニサマであのように歌う機会はなかったと思うんです。ソロ活動をしていたからこそ、「今井さんは、今年で歌手として10周年で、声優としても20周年なんですって」と、アニサマのスタッフさんがものすごく知恵を絞って、いろいろなところに熱意を持ってお話に行ってくださって、実現できたというのが、私にとってはすごいご褒美だなと。そういう意味で、10周年と20周年を感じられるいちばんの出来事だったのかなと思います。

――個人名義の楽曲としては、『Believe in Sky』を披露されていましたね。『Believe in Sky』と言えば、アニサマの約1ヵ月前に『今井麻美のニコニコSSG』カラオケ女子会特番で、亜咲花さんといっしょに歌われていましたが、そのときの影響はあったりしましたか?

※『今井麻美のニコニコSSG』カラオケ女子会特番のアーカイブはこちら

今井どうですかね? もともと『Believe in Sky』は、いま流行りの若い歌手の方の歌いかたが合う曲なんじゃないのかなと感じたんです。そこで、同じレコード会社ということもあり、亜咲花ちゃんみたいな歌いかたができたらいいなと思って参考にさせてもらった部分はありましたが、いっしょに歌ったことで影響があったかと聞かれると、あのときはただただ楽しみました(笑)。もうひとりのゲストの徳井青空ちゃんと3人でカラオケ大会みたいな感じで生放送をやらせてもらったのですが、ふたりともめちゃくちゃ楽しい人で、いっしょにいると本当にハッピーになれるんですよね。ほかの現場でも何度もお会いしたことがあって、いつ会っても私のふわふわした気持ちをキュッと引き締めてくれるようなふたりなので、楽しいと思えるというか、活気が出るというか。そういった意味でも3人で過ごしたあの時間は、音楽自体にも影響を与えている可能性が高いとは思いますね。楽曲にというよりかは、いっしょに歌う楽しさみたいな。どうしても、私の性格上、うまく歌いたいみたいな気持ちが出てきてしまうのですが、あのときは3人ともそういったものが一切ないまま、ただただ楽しく時を過ごしていて「これが歌だよね!」という感じがしました。

 残念ながらスケジュールが合わなくて行けなかったのですが、今度私がライブを行うEX THEATER ROPPONGIで、亜咲花ちゃんもライブをやっていて。青空ちゃんも12月30日に大宮ソニックシティでライブをやるみたいで、めちゃくちゃ楽しそうだなと。本当にあのカラオケ大会が楽し過ぎたので、各々のソロライブを純粋にお客さんとして見てみたいなと思いましたね。

――本当に楽しそうな姿が印象的でした。少し話は戻りまして、10周年の活動としては “Anniversary”ライブツアーがありましたね。令和初日に行われた東京公演では、『Faraway ~最後の夢~』が約7年振りにフルで披露されましたが、長らく歌われていなかったのには何か理由があるのでしょうか?

今井楽曲は、そのときにいちばん合うものを作っているので、『Faraway ~最後の夢~』のころは、いまよりもキーがすごく高くて。時の流れとともに、声質も変わってきているので、歌うのがたいへんなんです。

――なるほど。そういう理由だったんですね。でも、『Faraway ~最後の夢~』のフルを初めてライブで聴いたという人も多いはずなので、ファンはうれしかったんじゃないのかなと思います。

濱田 ちなみに『Flow of time』の楽曲では、上がってきた楽曲から全曲僕のほうでキーを変更しました。曲によっておいしいキーというか声質に合うキーが当然違ってくるので。

今井おそらくここ1年〜2年は昔よりキーは広いんですけどね。上も下も。特に初期のころに出にくかった低音が綺麗に出るようになっていますし。

濱田 キーの幅が広がっても、けっきょくおいしいところは楽曲次第だったりもするので。単に歌えるかと聞かれれば、もとのキーのままでもふつうに歌えたと思います。

今井これがその人に合う楽曲を作るということなのかなとすごく思いました。キャラクターソングの場合は、自分でキーを選ぶことができなかったりすることが多いので、「この曲、低いですね」、「この曲、高いですね」と言いながらも、私ではなくキャラクターの楽曲なので、なんとか歌ったりしているんです。でも、自分の曲となったときは、ベストなところを探れるので、ソロ活動というのはそういうことなんだなとすごく実感しました。

――現在、12月26日にEX THEATER ROPPONGIでのライブを控えているタイミングですが、どんな内容になりそうですか?

濱田 それこそ東京公演でしかやらない、久しぶりの楽曲があります。

今井確かにあの曲もしばらく歌っていないですね。

――それは楽しみです。

今井今回は『Flow of time』の4曲の間に、各楽曲のテーマとなっている時代に歌っていた曲が入ってくるというようなイメージでセットリストを組んでいます。そういった意味では、“もし、ベストアルバムを発売するとすれば”みたいな雰囲気に仕上がっています。

――ゲストとして沼倉愛美さんの参加も発表されていますね。

今井記念が重なったライブということもあって、私がいままで活動してきた中で、「ありがとうの気持ちを伝えたい人をゲストに呼びたい」とプロデューサーにお願いしました。大阪公演では、声優になってすぐくらいから付き合いのある中村繪里子さんに映像コメントをいただきました。東京公演では、私が感謝をしていて、かつ、これまで個人活動でいっしょに何かしたことがない人と考えたときに沼倉さんだなと思ったので、お声掛けさせていただきました。いっしょに歌ったり、懐かしい話をいっぱいできたらいいなと思っています。

――ほかにもお聞きしたいことがありますが、そろそろお時間ということで締めに向かいたいと思います。前回、インタビューをさせていただいたのが今年の3月で、そのとき今後の目標について「いまは“Anniversary”ツアーを無事に終わらせることが目標で何も考えられないので、ツアーが終わったら、また聞きにきてください(笑)」と話されていましたが、何か見つかりましたか?

今井いまの目標は……Winter LIVEを終わらせることです(笑)。

一同 (笑)。

濱田 目の前のことに全力で取り組んでいるということで。

今井そうですね。ずっとそういう人生でした。なので、Winter LIVEが終わったら、また聞きにきてください(笑)。

――わかりました。では、最後にファンの方にメッセージをお願いします。

今井今回は本当に私を象徴するような楽曲が集まったミニアルバムになったと思います。いま出せるものをすべて出し切ったと思うので、ぜひ手に取っていただきたいです。そして、大阪ライブの前日は珍しく緊張しちゃって寝られなかったので、東京ライブの前日は私が寝られるように念を送っていただきたいと思います。東京ライブもがんばります!

商品情報

  • タイトル:Flow of time
  • アーティスト:今井麻美
  • 発売日:発売中(2019年11月27日)
  • 発売元:MAGES.
  • 販売元:MAGES.
  • 品番:USSW-0219
  • 価格:2500円[税別]

【収録楽曲】

  1. Prologue - instrumental -
  2. アドレッセンスの丘(作詞:森由里子、作曲:桐岡麻季、編曲:濱田智之)
  3. Carve Out(作詞:cabriole*&オクヤマアキラ、作曲:濱田智之、編曲:宮藤優矢)
  4. 孤独な銀河(作詞:RUCCA、作曲:椎名 豪、編曲:牧戸太郎)
  5. Flow of time(作詞:今井麻美、作曲/編曲:濱田貴司)
  6. Epilogue - instrumental -
  7. アドレッセンスの丘 - off vocal -
  8. Carve Out - off vocal -
  9. 孤独な銀河 - off vocal -
  10. Flow of time - off vocal -

ライブ情報

  • 今井麻美 Winter LIVE「Flow of time」TOKYO
  • 公演日:2019年12月26日(木)
  • 会場:EX THEATER ROPPONGI
  • OPEN:17:00、START 17:30
  • チケット価格:7800円+1ドリンク
    ※1ドリンクは当日会場にて直接お支払い下さい
    ※全席指定
    ※未就学児入場不可

チケット販売一般販売中

  • e+:http://eplus.jp
  • ローソンチケット Lコード:72508
  • チケットぴあ Pコード:167-769