2019年11月14日~16日(現地時間)、Xboxファンに向けてのイベント、X019がイギリス・ロンドン カッパー・ボックス アリーナにて開催。“A global celebration of all things Xbox”――Xboxのすべてのものを世界的に祝う、とでも翻訳すべきキャッチコピーのもとに行われたX019だが、まさに“祝福すべき”という言葉が当てはまるかのように、初日にあたる14日の夜に動画番組Inside Xboxが配信、世界中のファンに向けて怒涛の新情報が明らかにされた。
次世代機にあたるProject Scarlettのリリースを翌年の2020年に控えたこのタイミングで、いったいどんな新情報が……と事前には思われたのだが、いざ蓋を開けてみると次世代機の話題は一切なしという潔さで、Xbox One関連の最新トピックのオンパレードとなった。Xbox関連の発表会では、ここ数年“World Premiere(ワールドプレミア)”と銘打って新規タイトルが紹介されるのがおなじみとなっているが、今回の配信番組でもこの“World Premiere”を連発。これでもか、とばかりにXbox Oneタイトルの充実ぶりを見せつけた。それは、「果たしてXbox Oneタイトルの話題あるのかしら……」と密かに思っていた記者の口をぽかんと開けさせるほど。
今回の発表内容はおもに3つのポイントに分けられるのではないかと思う。“ファーストパーティータイトルの充実”、“Project xCloudの順調な進捗”、“Xbox Game Passの一層の充実ぶり”だ。“Project xCloud”と“Xbox Game Pass”は、次世代機でも継続されていくサービスだと推察されるから、長い目で見れば、「Xboxというプラットフォームは、今後も充実の一途を辿っていく」というアピールと言っていいのかもしれない。
ファーストパーティータイトルが充実
まずは、“ファーストパーティータイトルの充実”に関して。ご存じのとおりマイクロソフトでは、ここ数年優秀な開発スタジオを積極的に傘下に収めており、Xbox Game Studioとして15社で構成されている。そのうちの8社タイトルの進捗が今回のX019では明らかにされた。新発表は3タイトル。整理すると以下の通りだ。
Xbox Game Studio15社と進捗のあったスタジオ
★が今回動きがあったスタジオ
★343 Industries
『Halo: The Master Chief Collection』に『Halo: Reach』が12月3日に加わることが発表
■The Coalition
※『Gears』シリーズの開発スタジオ
■Turn 10 Studios
※『Forza』シリーズの開発スタジオ
★Rare
新作『Everwild』を発表
『Sea of Thieves』のアップデートを発表
★Xbox Game Studios Publishing
新作『Tell Me Why』を発表
『Microsoft Flight Simulator』最新トレーラーを公開
★Minecraft (Mojang)
『Minecraft Earth』
『Minecraft Dungeon』を2020年4月リリースが発表
■The Initiative
※実力派クリエイターたちが集結して2018年に設立
■Undead Labs
※『State of Decay』シリーズの開発スタジオ
■Playground Games
※『Forza Horizon』シリーズの開発スタジオ
★Ninja Theory
『Bleeding Edge』の2020年3月24日リリースが発表
■Compulsion Games
※『We Happy Few』の開発スタジオ
★inXile Entertainment
『Wasteland 3』の2020年5月リリースが発表
★Obsidian Entertainment
新作『Grounded』を2020年に発売することを発表
■Double Fine Productions
※ティム・シェーファー率いる開発スタジオ
★World's Edge
『Age of Empires IV』のゲームプレイ映像が初紹介。
かいつまんで説明すると、『Everwild』は、新しいゲーム体験を目指したRareの新IP。最近だと『アウター・ワールド』がリリースされたばかりのObsidian Entertainmentの新作『Grounded』は、ミクロになってしまった子どもたち主人公に据えた、サバイバルアクションとなる。『Microsoft Flight Simulator』や『Age of Empires IV』の最新ゲームプレイ動画は、PCから続くマイクロソフトファンを喜ばせていたようだ。
また、『ライフ イズ ストレンジ』などを手掛けたDONTNOD Entertainment開発による『Tell Me Why』もファーストパーティータイトルとしてリリースされる。同作はアラスカを舞台に兄妹の絆を描くアドベンチャーだが、とても心を惹きつける映像だった。
[2019年11月16日午前5時]DONTNOD Entertainment開発による『Tell Me Why』は、ファーストパーティータイトルとしてリリースされるとのことで、一部記述を修正しています。
拡大する“Project xCloud”。2020年にはプレビューが日本に!
クラウドゲームは、今後のゲーム業界にとって最重要で取り組むべき領域。今回のX019では、マイクロソフトは“Project xCloud”のさらなる拡充を打ち出した。Windows 10 PCやほかのデバイスのサポートを明らかにしたほか、ワイヤレスコントローラー(DUALSHOCK 4)などへの対応を発表した。さらには、2020年には、カナダや西ヨーロッパ、インド、そして日本でもプレビューを実施することをアナウンスしている。“Xbox Game Pass”への対応を明言したことも、大きなトピックと言える。
“Xbox Game Pass”で日本発のタイトルが充実。日本でのサービスインはいつに?
“Xbox Game Pass”は、ご存じのとおりXbox Oneのサブスクリプションサービス。月額で決められた金額を支払うことで、対応タイトルがXbox OneやPCで遊び放題となる。いまマイクロソフトがもっとも力を入れているサービスだと言っていいだろう。日本のゲームファンにとって「おおおっ!」と思わせたのは、日本メーカー開発の複数のタイトルが、この“Xbox Game Pass”にラインアップされたこと。改めて紹介すると以下の通り。
Square Enix developers Shinji Hashimoto and Ichiro Hazama are here to FINALLY share what they have in store for… https://t.co/RlrzKEVFEC
— Xbox ➡️ X019 (@Xbox)
2019-11-15 06:19:48
■セガゲームス
『龍が如く0』
『龍が如く 極』
『龍が如く 極2』
■スクウェア・エニックス
『ファイナルファンタジーVII』
『ファイナルファンタジーVIII リマスタード』
『ファイナルファンタジーIX』
『ファイナルファンタジーX: HD リマスター』
『ファイナルファンタジーX-2: HD リマスター』
『ファイナルファンタジーXII ザ ゾディアック エイジ』
『ファイナルファンタジーXIII』
『ファイナルファンタジーXIII-2』
『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』
『ファイナルファンタジーXV』
『キングダム ハーツ HD 1.5+2.5』
『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』
『龍が如く』シリーズに『ファイナルファンタジー』シリーズ10タイトル、『キングダム ハーツ』2作品とは何とも壮観ではないか。“Xbox Game Pass”では、50タイトル以上がこのホリデーシーズンにラインアップに加わるとしており、『鉄拳7』や『ウィッチャー3 ワイルドハント』、『Rage 2』、『Darksiders III』などが明らかにされている。さらに、2020年のリリースタイトル『Bleeding Edge』や『Grounded』、『Minecraft Dungeons』、『Ori and the Will of the Wisps』、『Wasteland 3』なども“Xbox Game Pass”に加わる。
ここで日本のゲームファンにとって気になるのが、ここ数年の懸案である“Xbox Game Pass”がいつ日本で開始されるか。日本発のタイトルが増えてきたこともあり、ぜひとも対応を期待したいところだが……。
注目の新作も続々。いずれも個性的なタイトルばかり
そのほか、今回のInside Xboxでは、気になるタイトルが続々と発表されている。まずは、ネクソンからは、基本プレイ無料の『KartRider: Drift』がアナウンスされている。さらには、西部開拓時代を舞台にしたスタイリッシュなビジュアルが印象的なRaw Furyの『West of Dead』、イギリスの開発会社Facepunch StudiosによるオープンワールドサバイバルRPG『Rust』、荒廃した世界を舞台に物資を集めてクリーチャーと戦うThe Molasses Flood開発による『Drake Hollow』、ロンドンを舞台にした、『Virginia』などを手掛けたVariable State開発によるアドベンチャー『Last Stop』、PCで人気の遊園地シミュレーションゲームがXbox Oneで展開されるFrontier Developmentsの『Planet Coaster』などが明らかにされた。2017年のE3 2017で発表されて、そのスタイリッシュな映像が注目を集めた横スクロールアクション『The Artful Escape』も最新映像が披露され、2020年にリリース予定であることが紹介。ファンを喜ばせた(ちなみに、中にはマルチプラットフォームで展開するタイトルもある)。
いずれも作り手の個性やこだわりがキラリと光る、気になるタイトルばかり。Xbox Oneという市場の成熟ぶりがうかがえるラインアップだ。ちなみに、本稿ではあまりピックアップしていないが、“ID@Xbox”タイトルの充実ぶりは言わずもがな。
“Project xCloud”や“Xbox Game Pass”などのサービスの拡充を明確にしつつも、豊富なラインアップを披露……ということで、来合わせたロンドンのXboxファンにとっても有意義なイベントとなったようだ。