アメリカのカリフォルニア州アナハイムで行われたゲームイベント“BlizzCon 2019”で発表された、Blizzard Entertainmentのアクションシューティング続編『オーバーウォッチ2』。
すでに速報とプレイリポートでお伝えしたように、本作では新たなプレイ要素としてPvE(※)の4人協力ミッションが登場。また従来からある対人戦では、前作『オーバーウォッチ』とのクロスプレイが可能だという(詳細は過去記事参照のこと)。(※コンピューター操作のキャラとの戦い)
開催2日目には日本メディア向けにシリーズのゲームディレクターであるジェフ・カプラン氏への合同インタビューが行われたので、そこで判明した情報などをお伝えしよう。
- PvEで選べるヒーローはストーリー任務の場合は固定
記者は会場でリオデジャネイロを舞台にしたPvEミッションをプレイしたのだが、ラインハルト、メイ、ルシオ、トレイサーの中から先着順で選んでいくという形だった。そこで気になるのが「選べるヒーローは固定なのか?」ということ。
そこで早速聞いてみたところ、キャンペーンモード的な存在である“ストーリー任務”では決められたヒーローのリストから選んでプレイするのに対し、何度もプレイできる“ヒーロー任務”では(通常の対戦と同じく)全ヒーローから選択可能になるという。
これはストーリー任務で話の都合が破綻しないようにするため。例えばリオデジャネイロではテロ組織タロンのロボット軍団“ヌルセクター”が攻めてくるのだが、そこでタロン側のキャラクターが新生オーバーウォッチのメンバーと迎撃していたらおかしな事になってしまう。
逆に設定上の束縛をあまり受けない“ヒーロー任務”では、トレイサー(オーバーウォッチ側)とウィドウメイカー(タロン側)をミックスして出撃することも可能になるというワケだ。
- 4人以上の選択肢やタロン側キャラの話もあるかも?
ストーリー任務で選べるヒーローが選択の余地なしの4人だけなのかはまだ決まっていないそうで、「シネマティックトレイラーを見てもらえば、あそこにはマーシ―、ゲンジ、ブリギッテといったヒーローやウィンストンもいるわけですから、現在チーム内では(今回のデモの)4人以外のオプションを用意できないか検討しています」(カプラン氏)とのこと。
また「具体的に発表できることはないですけど」と前置きしつつ「ストーリー体験の中でタロンキャラクターをプレイするというのもすごく面白そうですよね」という事を言っていたので、もしかするとタロン側の作戦が描かれたり、あるいは一時共闘するような展開もありえるのかも?
- ストーリー任務はソロプレイも検討中
また「ソロプレイは可能か?」という質問に対しては、ストーリー任務ではソロプレイが可能になる方向で調整しているそう。これは他のキャラクターをAIが埋める疑似協力プレイの形になるようだ。
- OW2版の外見はOW2プレイヤー用。PvEで得たスキンはPvPでも使用可能
初代『オーバーウォッチ』のプレイヤーは『オーバーウォッチ2』プレイヤーとクロスプレイ対戦できるだけでなく、『オーバーウォッチ2』での新マップや新ヒーローもプレイ可能だそうなのだが、やはりすべてが一緒ではないようだ。
『オーバーウォッチ2』ではゲンジがパーカーのような服装をしているなどヒーローの外見が新しくなっているのだが、この“オーバーウォッチ2版”のヒーローの外見は『オーバーウォッチ』プレイヤーも対戦を通じて見ることができるものの、使うことはできない(ある意味当然)。
また『オーバーウォッチ2』プレイヤーは、ヒーロー任務などをこなしていくことでスキンなどのコスメティックアイテムが手に入る。これを適用してPvPの対戦に出撃することもできるという。『オーバーウォッチ2』の発売以降は、「なんだこのスキン?」と驚かされることもありそうだ(※発売日はまだ未定)。
- ビルドが組めるほどディープ? PvEでの経験値獲得や報酬について
PvEでの経験値獲得をどうするかは調整中の部分で、現状ではミッション完了時に受けられる仕様になっているものの、必ずしも完了しなくともミッション中の行動に対して報酬を与えたいため、変更になる可能性があるとカプラン氏。ただこれはチートやボット対策なども考慮しつつ決めていくようだ(恐らく参加報酬だけを狙うボットなどが出てくるため)。
こうした経験値獲得でレベルアップすると、さまざまな追加効果を得られる“タレント”と呼ばれるPvE用の能力がアンロックされる。実はそれ以外にも成長に関する要素はあるようで、カプラン氏いわく「タレントシステムはその一部」でしかないという。
元はMMORPGの『World of Warcraft』のゲームデザイナーやゲームディレクターを歴任した同氏が「RPG的なビルドが組める」と言っているので、どんなものになるのか気になるところ。
一方で長期的なプレイ報酬としては、バトルロイヤル系ゲームなどで広く採用されているバトルパスシステムや、『ディアブロIII』のシーズン報酬なども参考にしつつ作り込みを進めているという(※必ずしもそこを有料化するというわけではない)。
- PvPの新ルールPushはプロリーグでのプレイにも耐えうる
PvP用の新ルールである“Push”についてのコメントもあった。Pushは、まず中央にいるロボットの制動権を奪い、壁を“プッシュ”してもらって敵陣奥を目指すというもの。
これは新しいルールが欲しいとのファンの声に応えたもので、カジュアルなプレイからプロリーグであるOverwatch Leagueでの競技的なプレイにも耐える内容を目指しているそう。
また没になったモードについても披露された。うちひとつは“内部にコントロールポイントを持つ巨大ロボの制動権を得て敵陣に進めていく”……というもので、インタビューが終わってから気がついたのだが、よく考えるとPushと『オーバーウォッチ2』のシネマティックトレイラーに出てくる巨大ロボを合体させたかのような内容だ(これは初代『オーバーウォッチ』でのアイデアだったそうだが、ボツになって分散して復活したのかも)。
ちなみにこのモード、1. 設定上ロボがデカすぎ、それが通れるようにマップを作ると見通しがよすぎてウィドウメイカーが狙撃で無双できる 2.それを防ぐために巨大なドアで仕切るようにするとドアだらけになってしまう という理由からボツになったそうな。
もうひとつのボツモードは、対戦FPS『チームフォートレス2』のルール5CP(5コントロールポイント)を参考にしたもの。高機動なキャラクターとそうでないキャラクターで差が出すぎ、さらに6人対6人の対戦がベースの『オーバーウォッチ』では攻守の分散もうまくいかないということで早々に放棄されたとか。