2019年11月15日発売予定のNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)ソフト『ポケットモンスター ソード・シールド』。同作は、新たな冒険の舞台や人物、ポケモンたち、ダイマックスの要素など、多くの新情報が話題を呼んでいる、この冬の大注目タイトルだ。

 ファミ通.comでは、2019年10月某日、開発を手掛けるゲームフリークの増田順一氏、大森滋氏にインタビュー取材を実施する機会を得た。本記事では、その中から『ポケットモンスター ソード・シールド』におけるポケモンの育成に関する話や、ゲームのオートセーブ機能の話など、多くのファンが気になるであろうゲームシステムに関する部分を抜粋してお届けする。

 ちなみに、『ポケットモンスター ソード・シールド』がリリースされる前日の発売(一部地域では発売日が異なります)となる週刊ファミ通2019年11月28日号(2019年11月14日発売)では、同作に関する特集を大ボリュームでお届け。本記事で抜粋した内容を含むロングインタビューを掲載予定だ。各種の新要素を実装した意図や、ゲーム開発の裏側が垣間見える内容となっているので、そちらもぜひチェックしてほしい。

増田順一(ますだ じゅんいち)

ゲームフリーク 常務取締役
『ポケットモンスター ソード・シールド』プロデューサー

大森滋(おおもり しげる)

ゲームフリーク 開発二部長
『ポケットモンスター ソード・シールド』ディレクター

――ニンテンドースイッチの作品としては『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ』がありましたが、完全新作としては今回の『ポケットモンスター ソード・シールド』が初作品となります。そのあたりを踏まえて、とくに注力した部分をお教えください。

大森 ニンテンドー3DSに比べ、ニンテンドースイッチでは、解像度が大幅に上がりました。それにともなって、我々がチャレンジできる表現の幅も格段に広がったわけで。そんな中で、まず考えたのが“大きさの表現”です。解像度の上昇により、小さいモノがより細かく表現できるようになり、大きなモノとの対比ができるようになったのです。

――なるほど、描画能力が高まり、表現の幅が広がる、とお聞きすると“大きなモノをより大きく”と思ってしまいがちですが、むしろ小さなものをしっかりと描けるようになることで、表現の幅が広がるわけですね。そうした要素が“ダイマックス”のような遊びにつながっていくと。

大森 はい。画面内に複数のトレーナーを登場させられるようにもなり、より本格的な協力プレイも実装できるかもしれないと、アイデアが膨らんでいきました。当然ながら、ニンテンドースイッチは大きなテレビモニターで遊べるので、携帯ゲーム機の画面で見るよりもモノの大小の違いがわかりやすいんですよね。ダイマックスに関しては、せっかくなので大きなモニターで大きなポケモンを見てほしいという想いもあります。

――『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』もそうでしたが、『ポケットモンスター』シリーズをテレビモニターで遊ぶことで、これまでとは違った体験が得られますよね。

大森 そうですね。『ポケットモンスター ソード・シールド』も、リビングのテレビでお子さんが遊んでいて、それを親御さんなどが見ているというケースは多くなると思います。ダイマックスでポケモンが大きくなることが、そうしたシチュエーションでのコミュニケーションのきっかけになると、うれしいです。

――たしかに、「あれっ? ピカチュウが大きくなったね!」みたいな会話は自然に生まれそうですね(笑)。

増田 『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』の開発の際もそうでしたが、テレビで遊ぶことを考え、お子さんがプレイしていて、親御さんが不安な気持ちにならないという点に重きを置いています。ポケモンが大きくなるダイマックスは、ふつうに考えるとちょっと怖くなってしまうと思うのですが、そういうふうにはならないように演出には気を配りました。いろいろな調整をしまして、最終的にはいい表現にできていると思います。

――先日のメディア向け先行体験会(2019年10月中旬に開催)で少しだけ遊ぶ機会があったのですが、『ポケットモンスター ソード・シールド』のゲーム画面は、見ていて安心できる部分がありつつも、不思議な絵力がありますよね。つい見入ってしまいました。

増田 画面の見えかたにはかなりこだわっています。ライティングやガラスの反射などの作り込みはたいへんでしたが……(苦笑)。

大森 たとえば、“草むら”ひとつ取ってみても、見せかたが固まるまで半年くらい議論を重ねています。

――草むらに半年……!

大森 『ポケモン』の世界における草むらとは、ユーザーとポケモンが出会う場所なんです。ゲーム的には、「草むらがあるからポケモンがいるかもしれない。あそこに行ってみよう」といった遊びの核になるわけで、とても大事なんですね。それをどれくらいの距離、どれだけの間隔、どれほどのグラフィックで表示するべきなのか。ゲーム性に関わる部分なので、この点は本当に時間をかけて作りました。

――まだほんの少しだけしか遊べていないのですが、それでも『ポケットモンスター ソード・シールド』のグラフィックの味わい深さはよくわかります。

増田 そう感じていただけるとありがたいです。さらに、ワイルドエリア(編注:本作で登場する、見渡す限りの自然が広がるエリア)へ行くと、ポケモンがたくさんいたり、広大な範囲のグラフィックが表示されたりするので見応えがあると思います。ちなみに、このワイルドエリアなのですが、バックグラウンドで通信要素を動かす必要があり、ハードのパフォーマンスをグラフィックにのみに費やすわけにはいかなくて。開発にはずいぶん苦労しました。でも、出来上がりを見ると、その甲斐はありましたね。

――そのほか、本作で変わった要素といえば、“オートセーブ”機能の追加があります。こちらはどのような意図で実装することになったのでしょうか。

増田 ニンテンドースイッチでは、スリープモードにして画面だけを切って、電源を切らずに置いておくプレイスタイルの人が増えました。

――確かにそうですね。

大森 もしも、スリープしたことに気付かずに、セーブもせず電源を切ってしまうと……。オートセーブがないとデータが消えちゃうんですよね。オートセーブを採用した理由はいくつかありますが、ニンテンドースイッチでの遊びかたに慣れた人に対し、そこはなんとかしなければならないと考えたのが、大きな理由です。これによって、先ほどのスリープしたまま、レポートを忘れてしまう人も助けられるだろうと。

増田 『ポケットモンスター』シリーズで、欲しかったポケモンを捕まえたのに、レポートを書く前にバッテリーが切れてしまったときの衝撃たるや……。

――あのショックは、『ポケットモンスター』あるあるかもしれないですね(笑)。

大森 もうひとつの理由は、ニンテンドースイッチのセーブ速度が速いということです。『ポケットモンスター』シリーズは、ボックスにいるポケモンのデータなども多くあるので、じつはセーブ容量がすごく大きいんですね。でも、ニンテンドースイッチであれば、素早くセーブができるため、ゲームプレイに支障をきたすこともなくオートセーブの実装も可能だと判断しました。

増田 いまはスマートフォンなどでアプリを遊んでいる人も非常に増えましたが、ゲームアプリで遊んでいると、手動でセーブをすることもほとんどないですからね。その遊びかたに慣れた方にも、より快適にプレイしていただけるようにしています。

――ただ、ポケモンの育成にこだわるプレイヤーの中には、手動セーブでないと困る、という方もいるように思いますが。

大森 基本設定はオートセーブになっていますが、設定を切り換えることで、これまでのように手動セーブにすることもできるので、その点はご安心を。ただ、一度ゲームを終了して再び起動する、という遊びかたはいまの時代には合っていない面もあるので、本作ではポケモンの育成をしやすくする環境を整えるようにしました。

――たとえば、どのように変わっているのでしょうか。

大森 大きなところでは、“せいかく”によって上がりやすい能力(編注:ポケモンはそれぞれが持つ“せいかく”によって、各種能力の上がりやすさが異なっている)を変更できる仕組みを入れ込んだことですね。詳細は追ってお伝えしますが、これによって、どんな“せいかく”のポケモンでも、育てたい能力を上げやすくなりました。ちょっとわかりにくいのですが、ポケモンの“せいかく”そのものが変わるわけではありません。

――“せいかく”にこだわらなくてよくなると。それはかなりの変革ですね。出会ったときのポケモンの“せいかく”も含めて、より愛着が持てそうです。ほかにもあるのでしょうか?

大森 『ポケットモンスター サン・ムーン』でもあった“きんのおうかん”、“ぎんのおうかん”もありますし、わざに関して大きな変更点としては、本作ではポケモンセンターに“わざを覚えさせられる”、“わざを忘れさせられる”おじさんが序盤から登場します。いままでは“ハートのウロコ”と引き換えでわざを覚えさせられましたが、本作からはそうしたどうぐは必要なく、1度覚えたわざは、自由に忘れさせたり、思い出させたりできます。

――その要素は前述のプレス向け先行体験会でも試してみたのですが、いろいろなわざ構成を試しやすくなりますし、とても便利ですよね。そのおじさんは姓名判断もしてくれますし。

大森 育成に関する変革は、今回お話した以外にも、まだいくつかあります。先ほどのオートセーブの話とも関わりますが、我々としてはなるべくユーザーにとって遊びやすい環境を提供したいと思っているのです。それに、育成をしやすくすることによって、冒険をともにしたポケモン、思い入れのあるポケモンたちを連れて、ランクバトルなどの通信対戦を楽しんでほしいという想いもあります。

増田 先ほど大森も話した通りですが、ゲームの遊びかたが時代とともに変化してきているという点も大きいです。いまは、みなさんいろいろなゲームを遊んだり、ほかにやることがあったりと、お忙しいじゃないですか。昔と比べても、ポケモンの育成に時間を割いていただくのも申し訳ないなと。ただし、一気に育成ができてしまっても、そのポケモンに愛着が沸きにくい面があるのも理解できます。『ポケットモンスター ソード・シールド』の育成は、そのあたりのバランスがうまく取れているのではないかと考えています。好きなポケモンといっしょに、冒険もバトルもたっぷり楽しんでください。

 
 このタイミングでお届けできる取材内容はここまで。なかなか驚きの内容だったのではないだろうか。すでに海外メディアで報じられている内容も一部含まれているが、増田氏、大森氏が日本のポケモンファン向けに語ったインタビューから新たに読み取れることも多かったはずだ。

 お伝えした通り、週刊ファミ通2019年11月28日号(2019年11月14日発売)では本記事の内容を含むロングインタビューをお届けするので、ぜひチェックしてほしい。

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