2019年8月29日、セガゲームスが手掛ける『龍が如く』シリーズ最新作の発表会が東京・秋葉原UDXシアターにて行われた。本稿では、新情報が盛りだくさんだった発表会の模様をお届けする。

シリーズ最新作は『龍が如く7 光と闇の行方』!

 発表会の開始とともに、『龍が如く』シリーズ総合監督を務める名越稔洋氏が登壇。さっそく、「シリーズの分岐点となるような作品」だという最新作についてのティザー映像が公開された。

『龍が如く』シリーズ総合監督を務める名越稔洋氏。

 気になる最新作のタイトルは『龍が如く7 光と闇の行方』。舞台は、横浜・伊勢佐木異人町。「ロゴの雰囲気を少し変え、主人公が変わり、ゲームの中身もかなり変更しました。しかし、人間ドラマを楽しみながらゲームを遊んでもらうというベースに関しては、ナンバリングとしてとらえてもらうのが一番わかりやすく伝わるのではという思いで『7』にしました」と名越氏がタイトルに込めた意味を説明。

 公開された映像の最後には、「最後にはてっぺん取ってハッピーエンドよ、『ドラクエ』みてえにさ」と春日一番が言い放つシーンも。これについては、春日一番がゲームが大好きな人物で(とくに好きなタイトルについて)中途半端に“RPG”と濁すよりは、好きなタイトルをストレートに言わせたかったため、『ドラゴンクエスト』の生みの親である堀井雄二氏に相談し、許可をもらったという。

 タイトルに関する話を聞いたところで、主人公の春日一番を演じる声優の中谷一博さんが、春日一番を意識したファッションで登場。

主人公・春日一番を演じる声優の中谷一博さん。

 収録の感想を聞かれると「ひとことで言うと大変でした。ひとつひとつの言葉、シーンに対する重みがいままでとは違っていて、いまの映像を拝見しただけで感無量です。また春日一番を演じたいと思うくらい、すごく素敵な収録でした。名越監督も足を運んでくださって、本当にチーム一丸となって生み出されたと感じましたね」と語った。

 これに対して名越氏は、「『龍が如く』1作目もそうでしたが、(音声収録時は)桐生一馬という人格がしっかりあって、それに沿ったレールの上を走るわけではない。紆余曲折があって、一度録ったものの、このキャラクターはこういう言いかたはしないから、違うほうがいいね、となったこともあります。今回も同じようなプロセスだったので大変だったと思います」と、新たな主人公を作り上げることの苦労を語った。

 続いて登壇したチーフプロデューサーの横山昌義氏が、具体的なゲームシステムの紹介を行った。

『龍が如く』シリーズチーフプロデューサーの横山昌義氏。

 まず、本作の物語を簡単に説明すると、『龍が如く6 命の詩』の続編で、時代は2019年。物語の序盤は、春日一番にとって運命の一日ともいえる2000年12月31日に起こった出来事を追いながら、彼の半生を描く。そして18年後、すべてを失った春日一番はたどり着いた横浜で、ゼロから這い上がっていくというものになるとのこと。

登場人物を演じる俳優陣も公開

 映像内に登場した人物を演じる豪華な俳優陣も紹介。春日一番にとって重要な人物ばかりだという。

荒川真澄(出演:中井貴一)

 東城会直系荒川組の組長を務め、かつて、自身の指と引き換えに春日一番の命を救う。一番が生涯をかけて背中を追いかけると決めた人物だが、とある罪をかぶって一番が収監され、出所後に会いに行くと、「死んでくれ」と銃口を突き付けることに。果たしてそこにはどんな事情があるのか!?

 中井貴一さん演じる映像を観て、中谷さんは「目を閉じていても臨場感がすごく伝わってきます」、横山氏は、「奥行きが違いますね。荒川という人物が本当にそこにいる」と、演技に圧倒されたことを語った。

沢城丈(出演:堤真一)

 東城会直系荒川組若頭を務める組のナンバー2。(組の構成員に)極道の在りかたを厳しく躾ける人物で、昔から一番に対して当たりが強いようだ。

 横山氏によると「(堤さんが)いなかったら、どうなっていたのか? というくらいピッタリの役で、僕の中の沢城がそこにいる、というほど素晴らしい演技だった」という。また、もともと堤さんのファンであるという横山氏は、収録中になかなか落ち着いて演出ができないほどだったという。

ナンバ(出演:安田顕)

 元看護士のホームレス。一番の傷を治療してくれた人物。無一文の一番に、生きていくうえで大切なことを教えてくれ、目的は違えど這い上がる同志でもある。

 ナンバは、ゲーム中で一番と行動をともにする仲間でもあることから、安田さんの収録回数は中谷さんのつぎに多かったそうだ。中谷さんは、「お芝居も素晴らしいですが、安田さんと同じ北海道出身ということで、間接的にですけど共演できて感慨深いものがあります」とうれしさを露わにした。

バトルはコマンドRPGに!

 つぎに発表されたのは、バトルがコマンドRPGになること。本作の主人公・春日一番は、お金も権力も強さもない未熟な主人公なので、必要なのは仲間、ということになる。仲間たちとともに成長していく物語に即した形で、バトルを従来シリーズのものから見直したそうだ。刷新されたコマンド入力式のバトルについては映像も公開された。

 映像は、街を歩くところからスタート。バトルシステムは一新されたものの、プレイスポットで遊ぶ、お店に入って買い物をする、食事をするといった部分は変わらず、街の探索はいままで通り楽しめる。

 歩いていると、ガラの悪い男たちと遭遇。バトル画面に移ると、画面左側に表示されるコマンドを選択して標的に攻撃する。キャラクターにはそれぞれ職業が存在し、たとえば、ガードマンという職業なら力が強いので戦士のような戦いかたになるという。前述のナンバは火を噴いたり、敵に豆を投げつけて鳩に襲わせたりと、強いて言うならば魔法使いのような(?)戦いかたに。戦いかたは職業ごとにかなり異なるようだ。

 ちなみに、本作は龍が如くスタジオが開発したドラゴンエンジンで物理制御が行われるとのこと。アクションバトル方式だった『龍が如く6 命の詩。』などにも使われていたドラゴンエンジンだが、これを『龍が如く7』に用いることで、敵味方の位置関係が戦況に影響したり、フィールドの状況(たとえば、街に落ちている自転車など)が反映されるなど、既存のRPGとはかなり趣きが異なる、リアルタイム性の高いバトルが実現する模様。『龍が如く』シリーズといえば、街のオブジェクトを使い、ド派手な演出の大技で敵を倒すのがひとつの醍醐味だったが、その味わいは『龍が如く7』にも取り入れらているようだ。

 なお、舞台となる横浜 伊勢佐木異人町は、おなじみの歓楽街、東京・神室町のおよそ3倍以上にもなるという。舞台の広さは過去最大規模だといい、まだまだ発表していないプレイスポットもあるとのこと。

助演女優グランプリの鎌滝えりさんがゲーム内に登場!

 また、同作に関しては、2019年7月10日に本作の助演女優オーディションが開催。見事グランプリを受賞した女優の鎌滝えりさんもこの日のステージに登壇した。鎌滝さんは、パーティメンバーとしてバトルに参加していた女性キャラクター、えりを演じる。

助演女優オーディションでグランプリに輝いた女優の鎌滝えりさん。

 鎌滝さんにとっては初の音声収録だったそうで、「収録はとても楽しかったです。難しいと感じる部分もありましたが、何より日本を代表する『龍が如く』をいっしょに作らせていただいているという感覚がすごかったですし、うれしかったです」と感想を述べた。

 横山氏は「壇上でも、オーディションのときも、収録時も全然緊張していない。役に入りきっています。1000人の中から選ばれたことに納得」、中谷さんは「僕が言ったことを素直に受け入れて、返してくれる優秀なかただなと思いました」と、鎌滝さんに対する印象を語った。

 鎌滝さんいわく、「えりは、ドスを振りまわしたり、バトル中に激しい言葉をしゃべったりと激しいキャラクター」で、「そのギャップも本編で楽しんでいただければ」と中谷さんが締めくくった。

発売日は2020年1月16日

 『龍が如く7』の発売日は、2020年1月16日となることも発表。繁体字、簡体字、ハングル版も同時発売され、北米、欧州にも2020年に展開予定だという。

 初回特典には、ゲーム内アイテムが手に入るプロダクトコードおよび『龍が如く』ブランドのコラボグッズが当たる抽選券が封入されているとのこと。

 最後に、「(今回のゲーム性について)ファンであればあるほど驚きがあると思います。新規IPを作るつもりで開発チーム一同取り組んできました。東京ゲームショウ2019にも出展しますので、手に取って、遊んで判断していただければ」と横山氏がコメント。名越氏が「お伝えした情報はたくさんありましたが、作品自体にボリュームがあり、もちろん本日見せた内容がすべてではなく、ごく一部となっています。続報に期待していただければと思います」とファンへ向けたメッセージを伝え、記者発表会は終了となった。

記者発表会後の囲み取材で語れたこと

 『龍が如く7 光と闇の行方』発表会のあと、名越稔洋総合監督(以下、名越)と横山昌義チーフプロデューサー(以下、横山)へのメディア合同取材の時間が設けられた。以下ではその内容をまとめてお届けする。

――今回、神室町はプレイできるのでしょうか?

名越メインは横浜なので。ただ、(神室町を)捨てるのもなんですから(笑)。ほかにどのようなところが出るのかは、お楽しみに、ということで。

――バトルに関して大胆な変更がなされたようですが、その意図や思いについて教えてください。

名越『龍が如く』シリーズを15年近くやってきて、『JUDGE EYES:死神の遺言』のような作品を含めると、龍が如くスタジオではアクション要素の強いものをいろいろと出してきたのですけれども、こういうと語弊があるかもしれないですけど、ひとつの完成形をみたと。そんな中、現代劇でのソロプレイのアクションというくくりの中で、さらに伸びしろを工夫していくよりも、もっと大胆なことに挑戦してみようと思ったんです。

 アクション要素の強いものを作れるスキルがあるスタッフが、まったく目線を違うところに置き換えて、もっと強く、変化を大胆に提案できるものを考えたときに、どうなるのか。当然、ゲームジャンルは変わっていても「あっ、アクションゲームを多彩に作れるスタッフだから、こういうテイストのゲームにできるんだな」というものに、たぶんなっていると思うんですよね。既存のRPGと言われるゲームは世の中にたくさんありますけど、それともまた違う、一種バカバカしくも、面白くもあるものになると。『龍が如く』シリーズの桐生一馬もカッコいいだけじゃなくて、アクションの中に、ときに笑えたり、驚きがあったりという楽しませかたでしたが、そういう目線は変わっていませんし。とにかく、いままでの延長線上で小さな積み上げをやるよりも、ここはやっぱり大きな積み上げをやるべきだろうと。また、主人公が変わる時期ということもあり、今回は(バトルを)大胆に変えさせていただきました。

横山ストーリー的にも、春日一番には仲間が多くいるということがあったので、それをもっとも正しく表現できるのはなんだろうと考えました。ドラゴンエンジンという、これまで作ってきたエンジンのアクション制御の強みを活かして、今回、RPGを作るという形をとらせていただきました。

――タイトルのロゴの書体が変更された狙いを教えていただけますか。

名越キャラクターの人間性も(桐生一馬とは)だいぶ違いますし、やんちゃな主人公に合わせたイメージチェンジと考えていただければいいと思います。従来の渋いところから、元気のある、女性でいえばおてんば、男性でいえばやんちゃな感じといいますか。物語のベースに流れているのは、裏社会であったり、ダークな面もあるのですけれども、そのすれすれのところで考えると、今回のロゴにようなデザインに振ってみてもいいんじゃないかなと思い、このフォントに変えさせていただきました。

――発表会冒頭で、分岐点になるような作品とおっしゃられていましたが、名越監督としては今後このフランチャイズをどういうふうに成長させていきたいのでしょうか。

名越まずこのシステムが受け入れられるかどうかを見届けたいですね。当然、僕らは押し売りをする気はないですし、「やっぱりアクションがあっての龍が如くスタジオの作品だよね」という声がものすごく多くて、その声に今回、僕らが提案したものがかなわないと、……そんな弱気なことではいけないと思いますが、もし仮にそうなったとしたら、そのときはそのときで、僕はまた戻したいとたぶん思う人間ですし。

 ただ、僕らはつねに「こういうのもありだよ、おもしろいよね」という提案をしたいわけです。『JUDGE EYES:死神の遺言』もそうでしたが、別のフランチャイズを交えて、IPとゲームジャンル、ゲームエンジンの当て込みかたにいろいろなバリエーションがあったほうが、クリエイターとしては選択肢が増えていくだろうと。今回これを成功させることによって、我々としては選択肢のカードが一枚増えると思っています。現代劇のRPGって、あるようであまりありませんから。初代『龍が如く』のときも、あの当時は現代劇のアクションアドベンチャーというジャンルはあまりなかったのですが、その意味では今回、同じような新鮮味を持って開発にトライしていて。十数年ぶりに、初代『龍が如く』のときと同じような気持ちで、成功させたいと非常に強く思っています。

――新たな主人公、舞台、ゲーム性で作られている新鮮な『龍が如く』ということになりますが、タイトルに“7”がつくということは、『龍が如く6』までの登場人物や世代間の繋がりはどうなるのでしょうか。

名越シリーズ作との繋がりですか……桐生が二度と出ないといった覚えもないですしね(笑)。そこは、これまで積み上げてきたものと縁を切る部分と、おもしろくひっかけてもバチは当たらないだろうという部分の両方があります。ビジネスというのは、成功事例についてはいつまで経っても残したいわけですが、だけど、それをやると次にいけないというジレンマが起こり続けるわけで。

 その意味では、今回僕らは(過去シリーズと)と縁を切ることを最初に決めて。だからこそゲームジャンルも変えたわけで。それを前提としたうえで、こういう繋がりかたなら、まだ許されるんじゃないかなという部分に関しては答えてきたいなと。ただ、その繋がりが、新しいファンにとって「これはわからない」、「何が言いたかったんだろう?」と戸惑ってしまうようなもにする気はないので。そこは意識して作っています。(過去シリーズとの繋がりは)大事にしながら、いい感じで出せていければと。

と、ここで名越氏から“個人的な話”と前置きしたうえで、衝撃の発表が。

名越いずれ言うと思うから先に言っちゃいますが、じつは僕、身体を壊してたんですよ。3週間ほど前に心臓の手術を受けまして、(胸の部分を示して)ここをパックリ開けたんですよね。そんなことがあって、本当はまだ病院を出てきちゃいけないんですが、今日は発表会があるということで、絶対安静という条件で病院を出てきたわけですが……今日の様子を動画か何かで先生が見たら、激怒りだと思うんですけども(笑)。

 心臓を5時間止める手術をしたので、もしかすると今日の発表会には死んで居られなかったかもしれない。そう考えると、この場に立てたことが個人的には感無量です。とにかく、笑うと痛いんですよね、心臓が飛び出るくらい痛くて(笑)。東京ゲームショウでは毎年ずっと立ってブースにいますが、ひょっとしたら今年は座っているかもしれないです。そこはご容赦いただけばと……。

 (『龍が如く7』開発の)佳境の時期だったので、スタッフにはすごく迷惑をかけてしまいました。今回公開した映像にしても、スタッフは枕元まで来て打ち合わせをして。「大丈夫ですか?」なんて言いながらお土産を持って来るんですが、「……で、この部分をどうするか、さっさと決めたいんですけど」なんていう話を枕元で遠慮なく切り出すチームなので、楽しくもあり、頼もしいチームだなと、改めて思いました(笑)。そんなことがあって、死んでも死にきれないなと思いましたし。変な意味でいい経験、思い出深いプロジェクトになったと思いますので、個人的にはこれを成功させたいと強く考えています。

――『ドラゴンクエスト』という文言の使用について、堀井雄二氏に挨拶に行かれたということでしたが、そこでどんなやり取りがあったのか、お答えいただける範囲で教えてください。

名越言えない範囲のほうが大きいんですが(笑)。ただ、『龍が如く』はユニークでおもしろい存在だと、ほめてくださったのでうれしかったですね。じつはこれまで堀井さんとそういう話はしたことがなかったので。『JUDGE EYES:死神の遺言』もおもしろかったと言ってくださって、ああ、遊んでいただいているんだなと。売上的にもゲーム文化への貢献度も含めて足元にも全然及ばない方ですが、気にしていただけているんだということを知れたのは僕もうれしかったです。学生のころにファミコンで堀井さんの作品を遊んだ話ですとか、ふつうのゲームファンとしての話もしたりして。「名越くんは、おもしろいものを作ってくれるし、おもしろいものを作ってくれる人が大事に扱ってくれるという面で、キーワードとして出すのは別に構わないよ」と言ってくれたので、これまで一生懸命に仕事をしてきてよかったなと思っています。

――東京ゲームショウ2019の試遊はどのような内容となるのでしょうか。

横山本日お見せした横浜の街を実際に回って、実際に敵と戦う部分を遊んでいただく形になります。都合上、マップが広すぎるのですべての要素は開放しておりませんが、14~15分ほどの試遊時間で、何度か遊ばないと全部は遊びつくせないかな、というボリュームは用意できると思っていますので、楽しみにしていてください。