2019年7月24日、ネクソンのPC用オンラインRPG『テイルズウィーバー』で大型アップデートが行なわれる。こちらのアップデートでは、前章の完結から約1年を経て、メインストーリーの新章“Episode4 Variation~変奏~”が実装される。

 ストーリーのみならず、新たなエリア“マーキュリアル洞窟”とレベル300用の新装備の数々、さらには“ソウルリンク”システムの改変など、さまざまな新要素も用意されている。

『テイルズウィーバー』開発陣に“Episode4 Variation~変奏~”について訊く! 新章とソウルリンク改変、回避システムの変更で目指すものとは?_01
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 アップデート概要については、すでに2019年6月1日に開催されたオフラインイベント“テイルズウィーバー-15周年感謝祭-”で発表済みだ。

 発表時点では不明だった部分や詳細について訊く機会として、アップデート実施前に『テイルズウィーバー』開発陣へのメディア合同インタビューの場が設けられた。

 なお、エピソード4の序盤や新エリア“マーキュリアル洞窟”のボス戦を体験した模様については、別の記事を公開している。インタビュー内容をより深く読み解くために、併せてご参照いただきたい。

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開発陣のお三方。左から、総括PMのイ・スンボ氏、企画チームマネージャーのブ・ソンウク氏、グラフィックチーム長のユ・スンヨン氏(インタビュー文中は敬称略)。

イ・スンボ

『テイルズウィーバー』開発チーム 総括PM。インタビュー中はスンボ。

ブ・ソンウク

『テイルズウィーバー』開発チーム 企画チームマネージャー。インタビュー中はソンウク。

ユ・スンヨン

『テイルズウィーバー』開発チーム グラフィックチーム長。インタビュー中はスンヨン。

15周年に開幕するエピソード4の見どころは?

――まずは『テイルズウィーバー』15周年おめでとうございます。いまのお気持ちを聞かせてください。

スンボ長いあいだ『テイルズウィーバー』をプレイし続けていただいているプレイヤーの皆さんに感謝をお伝えいたします。今後もよりたくさん関心を持っていただき、本作を愛していただければと願っております。

ソンウク15年間プレイしていただいていること、関心を持っていただいていることに、ユーザーを含めたすべての方々に感謝いたします。皆さんに好まれるコンテンツの開発に励みますので、今後もよろしくお願いします。

スンヨン15年間遊び続けてくださって、本当にありがとうございます。引き続きユーザーの皆さんに気に入っていただけるグラフィックを制作していけるように、今後もがんばっていきます。

――夏の大型アップデートについて、概要をご紹介いただけますか。

スンボいちばん大きな要素は、6年ぶりに新たなエピソードが始まることです。このエピソード4を進めると、高レベルユーザー向けの新ダンジョンが登場します。また、ユーザーの傾向を反映させて“ソウルリンク”システムを改善することになりました。復帰ユーザーにとってもうれしいアップデートになるかと思います。

――新ストーリーの実装は、どういった理由で6年ぶりとなったのでしょうか?

スンボエピソード3は2013年に開始されて、2018年に完結しました。エピソード3を展開している途中には、ところどころでシークレットチャプターなども実装していたので、全体の完結までに時間がかかったという感じですね。

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――エピソード4では最初からメインキャラクターが発表されています。彼らが選別された理由を教えていただけますか。

スンボチャプター1ではイスピンとシベリンにスポットライトが当たります。理由は、舞台となる“リンゴの島”がオルランヌ公国の近くにあるから。ふたりは公国の要人ですからね。

――彼らはチャプター1におけるメインキャラクターということですか? チャプター2では変更の可能性も?

スンボストーリー担当者がどのようにストーリーを作るかによります。まだチャプター2以降についてはお伝えできません。

――エピソード4の中で、見どころとなる場面を教えてください。

ソンウク新たな舞台“リンゴの島”と、それに関わるダンジョンなどが登場します。チャプター1には各キャラクターごとに異なる導入パターンが用意されている点が見どころです。ストーリー中にカットシーンも多く用意されているので、注目していただきたいですね。

【3人のお気に入りシーン】

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イ・スンボ「ノクターンとマキシミンのせいでメチャクチャになった研究室を見つめるランジェの後ろ姿。子供を育てている現実の自分の姿と重なり、印象に残っています」
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ブ・ソンウク「とくにこれといった理由はないのですが、何となく気に入っているシーンです」
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ユ・スンヨン「急にロアミニ、ナヤトレイ、ティチエルをどこかに導く怪獣、聞こえてくる声……。果たしてどんな事件が起きるのか、ドキドキするので、このシーンは魅力的だなと思います。それと、イラストをよく見ると、怪獣に連れて行かれる可愛い3人の主人公を見つけることもできますよ」

新エリア“マーキュリアル洞窟”のポイントは?

――続いて、新エリア“マーキュリアル洞窟”について教えてください。

スンボコンセプトは“海底にある洞窟”、そして“リンゴの島の内部と別大陸の海岸とをつなぐ通路”です。当エピソードでは“プシーキー”という異種の精霊が重要なキーワードとなるのですが、マーキュリアル洞窟はプシーキーの生息地でもあります。

――システム面では、どのような特徴があるエリアなのでしょうか。

スンボボス戦があり、同時に一般の狩りもできるというのが、大きな特徴になります。

――4種類のボスが用意されているわけですよね。攻略のコツなどを先立って教えてほしいのですが。

ソンウク4体の新しいボスは、それぞれタイプがまったく異なりますが、戦う際にユーザーの皆さんに“さまざまな行動をさせてくる”という点は共通しています。

 各攻撃には安全地帯がありまして、攻撃の予兆のマーカーが、回避に役立つかと思います。また、プレイヤーに特定のスキルを使わせたりと、特定の行動をさせてくるパターンも存在します。これをキャッチしてプレイに反映させれば、ボス戦の難易度は大きく変わります。

――特定のギミックを解決することで、ボスの攻撃が和らいだりするわけですね。

ソンウクこちら(持参したノートPC)をご覧ください。このように特定の時間になるとボスが空に飛び上がり、強力な落下攻撃をしてきますが、攻撃の範囲である赤い枠の外にいれば回避できます。

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動画で詳細な説明をしてくれたブ・ソンウク氏。
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ボスの攻撃範囲がこちら。たしかに、赤い攻撃範囲の間に空白がある。ここへ逃げ込め!

ソンウクこのような攻撃パターンを各ボスが持っていますので、攻撃が一定周期で来るたびに、移動して回避する必要があります。

――難易度的には、どの程度のダンジョンになるのでしょうか。

ソンウク現状、最高レベルのダンジョンとなります。この前に実装された“忘却の地下墓所”(入場レベル290)よりもさらに強力な敵が出現します。このダンジョンではソロだけではなく最大5人のパーティープレイもできますので、パーティーバフやデバフ、回復支援など、協力し合ってプレイすることを前提に難易度を設定しています。

――グラフィック制作面についても教えてください。マーキュリアル洞窟でとくにたいへんだった部分はどこでしょうか。

スンヨンリンゴの島とマーキュリアル洞窟は、本作の原作小説『ルーンの子供たち』の第3部である『ルーンの子供たち : blooded』の内容をコンセプトにしています。

 本の中には“黒い岩が並んだ海岸”を描写したイメージが出てきます。こちらをもとに、ダンジョンとリンゴの島のつながりを、どのようにグラフィックで表現するかが難しかったです。

――第3部は日本では未翻訳ですよね。

スンヨン韓国では第3部は第1巻が発売中で、第2巻はまだ執筆中とのことです。小説最新刊のイメージを、マーキュリアル洞窟にさっそく取り入れた形となります。

スンボ本のイメージをすべて反映できているわけではないのですが、文章をグラフィック的に表現するところは、苦労していたようです。

――ダンジョン以外でも、今回のエピソードのグラフィック面で見どころを教えてください。オフラインイベントではコンセプトアートが発表されていますよね。

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スンヨンストーリー作家さんからの「このように作ってください」という依頼に従ってデザインしています。作家さんが頭の中で思い描いているイメージをゲーム内に反映させる感じですね。

 たとえば、研究室(上画像の右)。登場する教授が歯車好きとのことで、歯車をモチーフとして組み込んでいます。また、ランジエが研究室で寝泊まりして研究に夢中になるという内容が存在するので、1階や2階に寝る場所を用意しました。

――なるほど。するとこのイスピンがいる部屋(上画像の左)にも、本のイメージが?

スンヨンはい。イスピンの部屋では、「ホールの床に奇妙な飾り“菱形で作った花、または星”」という内容があるため、引用してグラフィックにしています。

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背景などにも、随所に原作小説のイメージが取り入れられている。

――新ダンジョンではどのような報酬が得られますか?

ソンウクいちばんの目玉は、最上位の装備作成に使用する素材や新規アビリティが追加される点です。

 そのほかの報酬として、“改・グレートポーションを調合できるようになるレシピ”が登場します。このレシピを使用すると、高レベルユーザーに役立つ強力な回復ポーションが製作できるようになります。また、ボスを倒すことで得られる称号も、全部で24種類用意されています。

――それはぜひ入手したいですね。ポーションを強化すると、純粋に回復量が多くなるのでしょうか?

ソンウク従来のグレートポーションでの回復量はHP40%分でしたが、それを上回ってHP50%分となります。作ったポーションは受け渡しや取引なども可能です。

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ソウルリンク改変の意図とは?

――“ソウルリンク”の改変について詳細を教えてください。

ソンウク従来のソウルリンクシステムでは“遺物(※)”を引くために必要なポイントの量が半端じゃないほどに高くなっていました。ここに多くのユーザーが不満を持っていたので改善。遺物を引くための必要ポイントは300ポイントで固定となります。

※遺物:ソウルリンクで得られるスキルを強化するアビリティ。ポイントを支払うとランダムで得られる

――超越システムが削除されるとのことですが。

ソンウクシンクレベルを一定まで上げて“超越”を実施して、シンクレベルの上限をアップさせていくのが以前の仕様でした。超越を行うとシンクレベルが初期化されましたが、今後はシンクレベル1本に統一。育成しやすくなるかと思います。

 また、ソウルリンクスキル“ガーディアンブレス”と“サモンシンカー”にも、より使いやすくなる修正が入ります。

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――大幅にソウルリンクのシステムを改変する意図を教えてください。

スンボユーザーから不満が寄せられていたんです。意見をリストアップすると、「費用がかかりすぎる」と「保障がなく、見返りも少ない」という声が多く挙がりました。ほかに、同じID内の別キャラクターの能力を上乗せする部分も満足できる仕様になっていないなどの問題もあり、全体的に改変することにしました。

ソウルリンク改変の概要

 インタビューからいったん離れて、ソウルリンクの改変について整理しよう。

ソウルリンク専用スキルの変更

【ガーディアンブレス】
変更前:一定時間キャラクターのHPなどを増加させるスキル
変更後:HPの増加量が見直されるほか、追加ダメージや移動速度アップなどの効果も追加される。

・変更点(1)HP増加量の見直し
ソウルレベルによってHPの増加量がアップする。

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・変更点(2)追加ダメージの増加、移動速度アップ
スキル効果の継続中、ソウルリンクメンバーの中でボーナスダメージが高い3キャラの合計値によって追加ダメージが増加するほか、移動速度が3増加するなどの変更が行われる。

【サモンシンカー】
変更前:ソウルリンクでリンクしているキャラを呼び出すスキル
変更後:効果時間中、召喚したキャラのもっとも高い能力値の一部を使用キャラに付与できる。

・変更点(1)能力値増加
効果時間中、すべての能力値がアップ。さらにリンクしているキャラの能力値の中で、もっとも高い能力値の一部を使用キャラに付与する。

・変更点(2)移動速度アップ
・変更点(3)自然回復量が減少

探検システム改変
変更前:一定時間、サブキャラなどを探検に向かわせ、探検終了時に開封すると一定値の経験値が得られる“探検家の箱”を入手できた。
変更後:探検家の箱システムが廃止。探検に参加したキャラに経験値が入るほか、探検ポイントを入手できるようになった。貯めた探検ポイントを消費すると、一定時間バフ効果を得られる(キャラ強化、レアドロップ率アップなど)。また、探検終了時に“強化の石”や“強化幸運石”を入手できることも。

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回避システムの変更で楽しみかたの幅を広げる

――回避システムも変更されるんですよね。どのような形で改善されるのでしょうか。

ソンウクこれまで『テイルズウィーバー』では、防御型のキャラクターが比較的有利な状況で、回避型のキャラクターであっても、やむなく防御型の装備を身に着けないといけない状況になっていました。しかし、キャラクターリノベーションを行っている中で、回避型のキャラクターでも特性にあった回避型の装備を装着しても不利にならないように回避システムを改善する予定になります。

――具体的には、どのように改善されるのでしょうか。

ソンウクこれまでは回避型のキャラクターなのに回避型キャラクター用の装備が使えないキャラクターが存在していました。そこで、特性に合うように装備可能に改変します。

 また、回避型の装備を複数身に着けるとセット効果が発動し、より回避に高い効果が得られるようになります。

――現在は防御型のキャラクターを使うプレイヤーが多いようですが、あえて回避型に移行するメリットはありますか?

スンボたしかに、いままでは防御型が主流でした。そのよさやおもしろさは残しつつ、回避型のプレイスタイルでも楽しめるようにしています。自分に合った遊びかたやパターンで、楽しめる幅を広げる形となります。

――マーキュリアル洞窟のような最高ランクの洞窟でも活躍できるほど、回避型キャラクターは強化されるのでしょうか。

スンボマーキュリアル洞窟ですと、回避型や防御型といったプレイスタイルではなく、どれくらいボスの攻撃パターンへの対策をしているかによって、活躍の幅が変わってくるかと思います。

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マーキュリアル洞窟では、防御や回避といった型にとらわれない楽しみかたが提示されている。たしかに、移動して攻撃範囲から逃れれば問答無用で攻撃を回避できるのだから、最終的には防御型も回避型も関係ない。

夏以降の展開は?

――では続いて、2019年夏以降の展望なども伺えますでしょうか。

スンボ(7月24日に)実装されるマーキュリアル洞窟に、さらなる拡張バージョンを実装する予定があります。さらに、秋頃にはとあるコンテンツとのコラボを計画しています。

 今回用意されたレベル300用の装備が皆さんの手元に揃うであろう冬頃には、それらの装備が活きる遊び場をご用意できれば、と思っております。あとはエピソード4のチャプター2についても、鋭意実装準備中です。

――「冬までにマーキュリアル洞窟でレベル300装備を揃えておいてね」というメッセージも含まれているわけですね。

スンボアップデート以外にも、いろいろご用意したいと思っています。夏にいろいろなイベントも予定していますし、エピソード4実装にあたって、オープニングムービーの動画作成なども含めて、新たな楽曲も3曲追加されています。

ソンウク新エピソードにご期待いただきたいのは当然として、新規ダンジョンや新規装備など、今後も、ユーザーの皆さんに楽しんでいただける遊び場を準備していきたいと思います。

スンヨン新エピソードとダンジョンが実装されるにあたり、たくさんのグラフィックリソースを準備いたしました。ぜひお楽しみください。それと、日本ではまだ出版されていない『ルーンの子供たち』第3部第1巻、この本の内容がどのようにゲーム内で表現されているか、本の代わりに楽しんでいただきたいです。

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開発陣のお三方はインタビュー前日から来日し、日本運営チームと密な連携を取っていたとのこと。そのおかげもあってか、日本でのエピソード4実装は、韓国での実装から1週間後という早さになる。