世界累計出荷・ダウンロード販売本数400万本を突破するスクウェア・エニックスの『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』。同作の前日譚を描く『舞台 ヨルハ』は、2014年に初演、2015年に再演、そして2018年には『音楽劇 ヨルハVer1.2』として上演。いずれも女性キャストのみで上演された『舞台 ヨルハ』が、男性キャストのみで構成された『舞台 ヨルハVer1.3a』として生まれ変わった。本稿では、そんな『舞台 ヨルハVer1.3a』の東京公演前日となる2019年7月3日、サンシャイン劇場にて行われたゲネプロを写真中心にリポート。

東京公演:2019年7月4日~7日
会場:サンシャイン劇場

大阪公演:2019年7月11日~14日
会場:サンケイホールブリーゼ

キービジュアルは『NieR:Automata』や『音楽劇ヨルハ』、『少年ヨルハ』でもキーアートを手掛けた幸田和磨氏によるもの。

※リポートには若干のネタバレが含まれます。真っさらな状態で観劇、もしくはニコニコ生放送を視聴されたい方はご注意ください。

<物語>
遠い未来、機械生命体によって地球を侵略された人類は、月へと逃れていた。
衛生軌道上に存在する人類の防衛拠点では、アンドロイドたちが人類に代わって侵略者たちと戦っている。
第十四次降下作戦において予想外の攻撃を受けた実験部隊『ヨルハ』はたったの四機を残して全滅……。
しかし、地上に残って抵抗運動を続けていたレジスタンスと合流したヨルハたちは司令部の過酷な運命に応え、機械生命体へと決死の戦いを挑むのだった。

今回の座長を務めるのは二号役(アタッカータイプ):宮城紘大
四号役(アタッカータイプ):綾切拓也
十六号役(ガンナータイプ):木村優良
二十一号(スキャナータイプ)小南光司
バンカーからヨルハ部隊に指示を出す司令官役:笠原織人
ワカバ役:佐藤智広(手前)
レジスタンスのリーダー・ローズ役:紅葉美緒
アネモネ役:松原凛
リリィ役:古賀瑠。リリィにあんな設定を背負わせるヨコオ氏の鬼畜っぷりがスゴい。
ガーベラ役:菅野勇城
ダリア役:神坐慶
重装備でたいへんそう! デイジー役:矢野たけし
アコール役:須賀京介
赤い少年:田中宏輝
衣装や武器もさらにこだわりが強く。

殺陣の迫力や、荒々しさ、熱血感もアップ

 男性キャストになったヨルハは、男性ならではの力強さが加わって殺陣の迫力や、荒々しさ、熱血感もアップし、アクロバティックなアクションシーンやダンスも。大柄、小柄のキャストもいて、より個性が際立っている感じだ。同じく男性キャストだけで上演された『少年ヨルハVer1.0』(『舞台 ヨルハ』と構造は同じだが違う物語)と同じイメージかと問われると、それともまた微妙に違う。こちらは『青年ヨルハ』的な感じ?

映像を使って演出も強化。
ダンスも!

 ギター、バイオリン、パーカッションという小編成ながら生演奏もある。生演奏には、これまで『NieR』シリーズや『シノアリス』のコンサート、『音楽劇ヨルハ』などでもお馴染みの後藤貴徳氏がギター、『シノアリス』コンサートで編曲やコンサート・マスターを務めた白須 今氏がバイオリン、幅広い音楽活動を続け、『NieR:Automata』ではDLCの社長ふたりに50回くらいボコボコにされたゲームファンでもある福岡高次氏がパーカッションとして参加。劇中では、岡部啓一氏の『NieR』シリーズ楽曲のアレンジや、『ヨルハ』のオリジナル曲『ノルマンディー』、『ガダルカナル』などが演奏。『ノルマンディー』冒頭の白須氏のバイオリン、同曲と『ガダルカナル』の後藤氏のエレキギターは、とくに鳥肌モノのカッコよさ。劇中で流れるBGMも福岡高次氏によるパーカッションがいいアクセントに。

ギター:後藤貴徳
バイオリン:白須 今
パーカッション:福岡高次

■自分が知っている『舞台 ヨルハ』から少しずつズレていく物語に困惑

 『舞台 ヨルハVer1.3a』の物語は、過去の『舞台 ヨルハ』と大筋では変わらない。4機だけになったアンドロイド部隊“ヨルハ”が、地上で抵抗運動を続けていた旧型アンドロイドのレジスタンスと出会い、互いにぶつかり合いながらも絆を深め、圧倒的多数の機械生命体たちへ戦いを挑んでいく。その戦いの中で、それぞれが異なる想いや悩みを抱えつつ、その困難を乗り越えながら前へ進もうとうするも、ひとりまたひとりと理不尽な作戦の犠牲になっていく……。

 ヨコオ節全開の胸がギュッと締め付けられるこの物語は、初見の人はもちろん、筆者のように何度目かの観劇でも、感情を激しく揺さぶるキャスト陣の熱演、パワーアップした演出などに引き込まれ、何回観ても楽しめる内容だ。

 『舞台 ヨルハ』に限らずだけれど、たまに記憶をゼロにして初見のように楽しみたいなあと思うこともある。けれど、今回は、これまでの『ヨルハ』を観ていたからこそ、「観ていてよかった」と感じる部分がいっぱいあった。たとえば、前回までは、アンドロイドの“疑似記憶”がキーワードのひとつだったけれど、本作では、そこから一歩進んだ、というかダイレクトに“感情”がキーワードだったり、今回の四号には『少年ヨルハVer1.0』の六号成分(不敵な感じ)が入ってる気がしたり、ラストの殺陣では『音楽劇ヨルハ』で石川由依さんが演じた二号が機械生命体に向かって手でクイクイってやるシーンを、宮城二号もやって「キャーーー」ってなったり。そして何より、アコール(※)の登場に代表される、これまでとは異なる設定・展開が楽しめるのは、ヨルハ経験者ならでは。というか、自分が知っている『ヨルハ』とズレていく展開に、困惑するほど。

 そして『舞台 ヨルハVer1.3a』には、これまでの『舞台 ヨルハ』を観ていたからこそ得られるカタルシスもある。

 とりあえず、これまでの『舞台 ヨルハ』を観ている人にも、ぜひ観てほしい内容になっています。

※アコール……ツインテールのメガネっ娘。旧世界のアンドロイドとして『ドラッグ オン ドラグーン3』に登場。数多に分岐した“多元世界”と、それらの分岐を引き起こす“特異点”を観測をしていた。『NieR:Automata』では、武器商人として記されたリポートがある。

 そんな『舞台 ヨルハVer1.3a』の東京公演は7月7日(日)まで。東京公演は当日券が若干数あるのみのようですが(詳細は公式サイトや公式Twitterで確認を)、今回は7月11日(木)からは大阪公演もスタート(サンケイホールブリーゼにて。14日まで)。会場やニコ生で、ぜひ新しい『舞台 ヨルハ』を体験してください。

メンテナンスタイムという新要素(?)も

出演キャスト(敬称略)

宮城紘大/二号
綾切拓也/四号
木村優良/十六号
小南光司/二十一号
紅葉美緒/ローズ
松原凛/アネモネ
古賀瑠/リリイ
菅野勇城/ガーベラ
神坐慶/ダリア
矢野たけし/デイジー
笠原織人/司令官
佐藤智広/ワカバ
田中宏輝/赤い少年
須賀京介/アコール

アンサンブル
倉本晃良/野呂奏流/織田俊輝/飯原優/太田達也/うえたす/伊与田良彦/林宏樹/梅田祥平

ボイス(収録出演)
あきやまかおる、安元洋貴

演奏
ギター:後藤貴徳
バイオリン:白須 今
パーカッション:福岡高次

スタッフ
原作・脚本:ヨコオタロウ
演出:松多壱岱
音楽:岡部啓一(MONACA)
製作:舞台 ヨルハ Ver1.3a製作委員会

おまけ

 ゲネプロ終了後、座長の宮城さんがキャスト陣を招集。座長として、気づいた点を次々と指摘し(しかもかなりキツめに)、場はかなりピリピリしたムードに……。だが、これはじつはドッキリ。重くなった空気のなか、座長が合図すると、この日、誕生日を迎えたローズ役の紅葉さんに、「ハッピーバースデー!」とお祝い。雰囲気もいい『舞台 ヨルハ Ver1.3a』チームでした。

演出の松多壱岱氏からケーキが運ばれてきて……。
座長の宮城さんから紅葉さんへケーキが贈られた。