“SEGA AGES”プロジェクトの今後配信される6タイトルが発表されたのを受けて、キーパーソンに話をじっくりうかがった。

 セガの名作タイトルたちをオリジナルに忠実な移植+今のユーザーでも遊びやすくなる追加要素を加えて復刻する“SEGA AGES”プロジェクト。2019年3月30、31日に開催された“セガフェス2019”では、今後配信される6タイトルが発表され全19作品のラインアップが出揃った。

 ファミ通.comでは、折り返し地点一歩手前となった『バーチャレーシング』がリリースされたこのタイミングで、プロジェクトのキーパーソンたちへのインタビューを実施。第1作から約月イチの配信ペースで約1年が経過したこれまでの状況や、新たに発表となった6タイトルについて、そしてこれからの展望をガッチリと聞いてきた。

小玉理恵子(こだまりえこ)

セガゲームス “SEGA AGES”リードプロデューサー兼ディレクター

下村一誠(しもむらかかせい)

セガゲームス “SEGA AGES”シニアプロデューサー

堀井直樹(ほりいなおき)

エムツー 代表取締役社長

奥成洋輔(おくなりようすけ)

セガゲームス “SEGA AGES”スーパーバイザー

納期とこだわりならこだわりを優先する

――本日はよろしくお願いします。まず、セガフェス2019で発表された6タイトルは、第1期・後編という位置づけなのでしょうか。

下村 そうなります。ラインアップは2018年4月最初の発表時にすべて決めてあったんです。

奥成 最初に発表したときは15タイトル以上と言っていましたが、最終的には計画通り19タイトルまで無事に発表することができました。

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下村 予算のやり繰りをして当初の16から、目標の19タイトルまで増やせました。これで僕が持っている予算は空っぽなので、もうサイフを振っても何も出ない状況です(笑)。

奥成 ですので、ラインアップとしては当初から何かが減ったというわけではありません。じつは昨年4月のセガフェス2018でのステージのときに「目玉である『バーチャレーシング』を発表したら?」という話はしていたんです。ただ、技術的な面も含めて、まだ移植が実現するのかがわからなかったため、東京ゲームショウ2018のステージ発表まで遅らせた経緯がありました。余計なことを言うと、もともとの折り返し地点は『バーチャレーシング』だったのが、増えた結果まだ半分未満ということになったという(笑)。

堀井 (苦みばしった表情で)これを困らずにどうしようという感じですけどね(苦笑)。

――エムツーさんとしてはタイトルが増えたことに関しては?

堀井 あらゆるセガのゲームを遊べるようにしたいという野望があるので、基本的には増えるのはむしろウェルカムなんです。言い訳をさせてもらうなら、これまではNintendo Switchで移植のための土台を作っていたんですけど、1年経って予想以上にたいへんであることがわかった、と。ネットワークの実装も『ぷよぷよ』でようやく実現できたので。

――逆に言えば、そうした土台作りが済んだことで、今後のリリースはスムーズに?

堀井 そうです! 当時のままを再現するのがコンセプトのバーチャルコンソールとは違って、“SEGA AGES”には各種オプションの充実やオンラインランキングといった部分が追加となるので、最初に環境を作ってしまえば以降のゲームに適用できる。ここから先は、どんな新要素を加えるのかという部分さえクリアーすれば、あとは載せていくだけです。

――発表から約1年間“SEGA AGES”に関われてきた手応え、印象をお聞かせください。

下村 現在“SEGA AGES”は、日本と欧米とで展開をしていますが、ユーザーの皆さんの反応としては、想定していた以上に海外の皆さんの熱意が高かったです。『ソニック』『アウトラン』はもちろん、『アレックスキッドのミラクルワールド』はヨーロッパでは非常に高い人気ですね。日本と欧米を単純に比べて「勝った負けた」というのではなく、僕らはエムツーさん含めて日本の会社なので、日本のユーザーといっしょになって世界に打って出ようという思いは変わらずあります。

小玉 私はクラシックタイトルを復刻するというプロジェクトに参加したのは初めてなので、皆さんと比べると知識が少ないですが、奥成や堀井さんから手ほどきを受けて、この1年間を進められてきました。堀井さんがおっしゃったように準備は整ったので、今後はいかに残りのタイトルの開発に突っ込んでいけるかなというところです。
 手応えとしては、先ほど下村が言ったように、欧米のお客様はダイレクトに喜んでくださっていて、むしろ『アウトラン』や『アレックスキッドのミラクルワールド』が欧州でこれだけ人気があるんだ! と驚かされたくらいです。オリジナル版の発売はインターネットがなかったのでどんな人たちに遊んでいただいているのかわかりませんでしたが、いまは評価やご意見を直接聞けるので、改めていまでも当時の人気IPは支持されているんだな、ということを実感できました。

下村 小玉さんのほうが開発当時を知っているだけあって、誰よりも知識ありますよ(笑)。でもね、当初は月に2、3タイトルは開発が完了するんじゃないかと思っていましたけど、毎回難産で。

堀井 いやいやいやいやいや、それができたら苦労はしない(苦笑)。でもアレですよ、毎月出そうという提案を受けて「じゃあ追加要素はナシにしましょう」と言ったら、「それはダメだ」という。弊社ディレクター松岡(毅氏)とは、納期とこだわりのどっちを優先するのかという相談になるのですが、結論はいつも「我々はエムツーである」と。類似のプロジェクトと同じことをするのならほかのところに頼むだろうし、可能な限り追加要素や新要素でお客さんを楽しませるのが望まれているのではないかという意識を持って作業をしています。松岡は僕と比べてスケジュールを気にする男なので、無理だと判断したらバンバン要素を落としますが、それをくぐり抜けて搭載されたのが、現在の追加要素なんです。

下村 このプロジェクトはセガの作品に対する愛情と、形にするための腕が必要なため、自ずと少人数で回すしかないですが、そのおかげで中途半端なデキのモノはひとつもないと思っています。その点では改めて、このメンバーでプロジェクトを起こしてよかったかなと。

――いちユーザーとしても「セガとエムツーのタッグならいいものができあがるだろう」という信頼感はすでにあります。

奥成 そういった意味では追加要素の構築がうまくできていたかなと。じつは、僕は『ファンタシースター』に関しては何も注文をつけていないんですけど、これまで発売された中で一番追加要素が充実しているので、そこはもうオリジナルのクリエイターである……。

堀井 小玉さんと、弊社松岡の組み合わせならではですね。

奥成 です(笑)。ですので、僕が何も言わずとも、ユーザー視点でうれしいものができてくるという理想的な状況になったと思います。

堀井 松岡はバンバン切るといったばかりですけど、あれだけ追加要素が膨らんだのは松岡の仕業ですからね!

(一同笑)

2018年10月31日に配信された『SEGA AGES ファンタシースター』。3Dマップでプレイしながら、画面内で2Dオートマッピングする機能を搭載している。

最新リリース『バーチャレーシング』へのこだわりは?

――4月25日にはセガファン待望の『バーチャレーシング』が配信となりました。

堀井 ニンテンドー3DSのときに途中まで作ったのと合わせて、2本分くらいやっていますからね! ようやく完成できました(しみじみ)。誰も彼も、そして俺も「バーチャレーシングが遊びたい!」って言うものだからできてよかった。

――今回の移植のポイントは?

堀井 画面を見ていただければわかると思うんですが、2Dの絵素材は解像度がそのままで、ポリゴン描画の部分は解像度を上げているんです。遠景の描画もパカパカしないで表示されます。ごく一部のマニアにしか伝わらない例えですけど、昔メガドライブ版の画面写真が雑誌に掲載されたときに「これ、絶対メガドライブの解像度じゃないでしょ!」という状況になっています(笑)。社内では「あのときのレンダリング画像がそのまま動くようになった!」との感動で大盛り上がりでした。

奥成 操作感については、ハンドル操作ではないものの、オリジナルに近いチューニングをしたのですが、そちらはあえてオプション設定のひとつとして、若干操作しやすいものを初期設定にしています。入力は元々60フレームだったのでオリジナル通りです。

――3D描画やインターフェイスには手を加えているけど、遊び応えはオリジナルに忠実ということですね。

堀井 描画のフレームレートを60分の1に上げていたりと、今回は完全移植は狙っていないんです。時間があれば(オリジナル版が動作した)MODEL1基板そのままの解像度やフレームレートに切り換えられるようにするんですけどね。

――オリジナルを再現するためにデチューンが必要になるという発想が出てくるあたり、このプロジェクトのおもしろいところかと(笑)。

堀井 MODEL1という基板はCGボードとして最初期のものなので、いまのCGに特化したマシン上で再現をすると過剰な描画になってしまうということですね。

――オフラインでの対戦は最大8人プレイということですが、なかなかビックリです。そもそも複数が同時に動作できるという仕様は最初から?

堀井 まったくなかったです(笑)。着手したときは1台が動作するかすらわかりませんでした。最初はテストで『バーチャファイター』を動かしたんです。なぜかというと、移植のためのリソースが揃っていたので。それが半月くらいで、再現度はともかく動作はするようになったんです。そこで予想していたよりも動作が軽かったので、複数人プレイはできるなという手応えを得ました。それが昨年の秋口、東京ゲームショウの間際にプログラマーから8台動かせるかもという報告があったんですけど、「間違ってもステージで言っちゃダメですよ!!!」と死ぬほど釘を刺されました。

(一同笑)

堀井 そこから半年余り、ふたりプレイでは60フレーム、それ以上の人数では30フレーム描画で動作する多人数対戦プレイができるようになりました。Nintendo SwitchのCPUってコアがたくさんあるので、2コアで8台のMODEL1を動かして、ほかの1コアで8台分の描画をするという、説明を聞いてもよく理解できないテクニックで実現しています。最近のテレビは50インチくらいありますから、みんなで囲んで遊んでほしいですね。

小玉 先日、PV用の動画撮影のため男女4人ずつでプレイしたんですけど、ワイワイと楽しめましたね。

2019年4月25日に配信された『SEGA AGES バーチャレーシング』では、8人対戦を実現。

奥成 ちなみに、オフラインでの複数人対戦は『バーチャフォーミュラ』があったことで実現可能となっています。『バーチャレーシング』の移植であると同時に、『バーチャフォーミュラ』の移植でもあるんです。詳しくは調整を担当したエムツー久保田さんの解説をどうぞ。

エムツー久保田和樹氏からのコメント

 『バーチャレーシング』には“DELUXE TYPE”と“TWIN TYPE”があり、以下の点が異なります。
・対戦が可能となるのは“TWIN TYPE”のみ
・アザーカーのカラーバリエーションが“DELUXE TYPE”は7種類あるが、“TWIN TYPE”は上位8台が紫固定になる
・“TWIN TYPE”ではマイカーのカラーバリエーションを変更可能(DELUXEでは固定)
・シングルプレイの周回数が異なる(DELUXE:5周 TWIN:4周)
・20周走れるグランプリモードは“TWIN TYPE”のみで遊べる
・“TWIN TYPE”は“DELUXE TYPE”よりもマイカーのグリップ力が劣る
・“DELUXE TYPE”のみ、上級(ACROPOLIS)で車体破損表現がある
・“TWIN TYPE”では“LIVE MONITOR”と呼ばれるレース実況用モニタが存在する
(LIVE MONITORのカメラワークは今回のリプレイ用に取り入れており、TWIN TYPEのリプレイでは当時のLIVE MONITORを再現して実況のMr.VIRT McPOLIGON氏も登場します)

 『バーチャフォーミュラ』はクルマの挙動やコースなどは『バーチャレーシング』と仕様としては変わりません。今回出土したソースも『バーチャフォーミュラ』をベースとして作られております。ただ、アドバタイズデモが違っておりまして、通信台数に合わせてデモ画面の解像度が変わる(8台だったら8台分で1画面となる見せかたをする箇所がある)という仕様があります。
 今回の移植にあたり「どこかで使いたいね」という話をしていたのですが、「スタッフクレジットに動画で入れよう」と話が決まって自分が作成しました。スタッフクレジットの動画は“『バーチャフォーミュラ』のアドバタイズデモ”がところどころに入っております。

堀井 久保田は「セガのドライブゲームは全部触らせろ」と言ってくるんですよ。“エムツー ショット トリガーズ”のディレクション作業もあるのに! そういえばマニアックな話なんですけど、影の部分はオリジナルと同じメッシュ(網目)なんですけど、解像度が上がるとそうは見えなくなるということがわかりました(笑)。メッシュなのは昔からのセガ人には大事なところなので、誤解のないよう言っておきたいです!

――MODEL1の移植ってエムツーさんは初めてですよね?

奥成 そもそもMODEL1の対応タイトルって、『バーチャレーシング』『バーチャファイター』『スター・ウォーズ』『ウイングウォー』。VRゲームの走りである『セガネットマーク』を含めても5タイトルなんです。MODEL1からMODEL2の登場までは2年も経ってないくらいなので、テクスチャーのないソリッドなポリゴンの画像が味わえるタイトルでもあります。

――いま見るとむしろカッコイイですよね。

堀井 ですよね! いまの人だと逆に目に新しく感じるんじゃないかな。ポリゴンはそのままで、ひたすらライティングだけリアルにしていったらどうなるのか、略称がVRだけにVR対応したらおもしろいんじゃないだろうかといった思考実験は楽しいし、口にはしたけど切った部分です。あっ、そういえば32X版『ウイングウォー』の作りかけのソースコードが今回偶然見つかったんですよね(笑)。

奥成 (苦笑いしながら)『バーチャレーシング』を作るにあたって、「ほかのタイトルのソースコードとも付け合わせて検証したい」という依頼があって手元にあったのを提供したんです。「移植はしないですけど、ソースはください」って。『ウイングウォー』のソースデータは、SOCの内田に頼んでわざわざ用意させたのですが、彼からは「うちのも移植してよ」と言われました(笑)。

堀井 移植していいならしますけどね。せっかく“SEGA AGES”のネットワーク対戦機能ができたんですから!

奥成 まずは発表したものをすべて完成させることが何よりも先決ですよ。

セガフェス 2019で発表になった6タイトル

――ここからは、セガフェス2019で新たに発表された6タイトルについてお伺いします。最初にお話しいただいたように、すでに全ラインアップが決まっていたということですが。

小玉 そうですね。エムツーさんとの契約を結ぶ段階では“ソースコードがある、または見つかりそうなタイトル”という前提での選定でした。

奥成 ですので、発表後に急遽追加した、というようなタイトルはないですね。もちろん移植するすべてのタイトルのソースコードがあるわけではないのですが、ソースがあったほうが追加要素の実装が楽になるんです。見つからなかった場合は、発売を後ろに倒したり、それでもダメなら要素そのものを切ったりということはありました。いまだからお話できますけど、初期のラインアップの多くが“セガ3D復刻プロジェクト”とかぶっているのは、すでに移植したことがある、スケジュールが見えやすいタイトルだからなんです。これは“セガ3D復刻プロジェクト”の第1期のころと同じ状況ですね。あのときは1期を成功させられたので、2期で新規の移植タイトルを入れることができたんです。これも裏話ですけど、1年前のタイトル発表のときも、家庭用ハードのタイトルばかりだったので、まだまともに動いていなかった『ゲイングランド』も入れましょうということにして。

堀井 発表時はNintendo Switchに移植するためのノウハウが十分に整っていなくて、ラインアップを決めるときも「移植の経験があるからラクなやつ」「攻めるやつ」「機能の実装待ち」といった優先順位付けをしていたんです。

――たしかステージでも「アーケード作品はけっこうあります」と言っていました。

奥成 ええ。すべてのラインアップを見ていただけると、その言葉が本当だったことがわかっていただけると思います。それに、すでにメガドライブミニの発表をしていたので、SEGA AGESにはメガドライブよりもアーケード移植やマスターシステムの名作タイトルにニーズが寄るのではないかという読みもありました。

――奥成さんがメガドライブミニにも関わっていることで、“かぶり”の発生が防げたわけですね。

奥成 3D復刻のときもアーケード移植に対する反響が大きかったですから、むしろアーケードタイトルをできるだけ増やしてほしいとお願いしました。

――わかりました。では、発表になった6タイトルそれぞれについてお聞きします。まず『ヘルツォーク ツヴァイ』。

堀井 そうです。テクノソフト枠でみんなが『サンダーフォース』っていうけれど、ちょっと待ってくれよと。“RTSの元祖”である『ヘルツォーク』がある。とくにその2作目である『ヘルツォーク ツヴァイ』はここで移植しておこうと。

奥成 SEGA AGESは、3DSではできなかったオンライン対戦をやろうという前提だったので、『ぷよぷよ』以外で対戦が楽しくて、かつメガドライブでしか遊べないタイトル……といったチョイスでもあります。

『SEGA AGES ヘルツォーク ツヴァイ』。のちのRTSの元祖とも言えるゲーム性が人気を集めた。オリジナル版の発売元はテクノソフト。

――わかりました。続いては『ファンタジーゾーン』。

奥成 ベースはニンテンドー3DS版ですね。オリジナルの『ファンタジーゾーン』『スペースハリアー』『アウトラン』というのは、ゲーム内収録された『龍が如く』シリーズを含めていつでも遊べるものではありますが、ニンテンドー3DS版は追加要素が充実していますし、それをテレビで遊びたいというお客さんの声は受け止めよう、ということで選ばれました。これでようやく(ランクが上がると出現する赤くて見づらい)弾が避けられるぞ、と(笑)。

堀井 ぶっちゃけて言うと、ニンテンドー3DSのときは下画面のタッチ操作をけっこう使うようにしたので、そこをどうまとめるかでディレクターは頭を悩ませていますが、まとめてなんとかしようと思っています。

『SEGA AGES ファンタジーゾーン』。1986年にアーケード版が稼動したセガを代表する横スクロールシューティング。セガ・マークIII版などにしか登場しなかったオリジナルボスの乱入なども盛り込まれている。

――続いて『G-LOC AIR BATTLE』。こちらもアーケード版は初移植です。

奥成 エムツーさんとは鈴木裕さんが手掛けたタイトル軌跡をデビュー作の『チャンピオンボクシング』からひとつひとつ辿ってきたわけですけど、ニンテンドー3DSで『パワードリフト』をやった後に、今回 Nintendo Switchで『バーチャレーシング』をやるとなって、そのあいだの1本が抜けたままなのはいかんだろうと。

堀井 MODEL1に先駆けて作られたポリゴンタイトル……ウソです!

奥成 ポリゴンを使っているように見えますけど、プリレンダなんですよね(笑)。使っている基板は『パワードリフト』と同じYボードなんですけど、ニンテンドー3DSのときも移植でヒーヒー言わされたので、今回もたいへんだろうと思って、後期の開発のヤマになるタイトルですね。

堀井 現状動いてはいるんですが、ゲームタイトルそのものを熟知できていないこともあって、そこからどうすごくするかを悩んでいるところです。『ギャラクシーフォース』と『パワードリフト』で触っている基板ではあるのが、まだ救いというか。

奥成 SYSTEM24基板の『ゲイングランド』、MODEL1の『バーチャレーシング』、Yボードの『G-LOC』はハード再現の部分では難産になるだろうと予想していました。『ギャラクシーフォース』のときは、ほぼソースコードを開いてプレイステーション2のネイティブに近い形に作り直しています。その後、「一度移植しているんだから大丈夫でしょう」と強引にニンテンドー3DS版を作って。

堀井 まあ、立体視で遊びたかったすからねぇ。

奥成 だったら同じ基板の『パワードリフト』もいけるんじゃないというミラクルで『3D復刻アーカイブス2』への収録があって。ですので、今回もそのふたつができたから大丈夫だろうという見切り発車なんですが、果たして毎回うまくいくのかと(笑)。

堀井 ベタで移植するだけならある程度のところまではいけるんですけどねー。

奥成 『セガ3D復刻アーカイブス2』に収録の『パワードリフト』はベタ移植でしたけど、ソースを開いてみたらオマケ要素がつけられることがわかっていて。そのエムツーさんの心残りが「配信版で追加要素をやらせてほしい」という形となりました。『G-LOC』ではそういうことがなく、最初から追加要素を入れることになるので油断はできません。

『SEGA AGES G-LOC AIR BATTLE』。プレイヤーはジェット戦闘機のパイロットとなって、3種類の難易度からなるミッションに挑戦していく。オリジナル版を忠実に再現した移植は今回が初めて。
セガが誇る体感ゲームシリーズ第11弾。こちらは『G-LOC AIR BATTLE』の筐体。

――『イチダントアール』。こちらもアーケード版の忠実移植は初めてです。

奥成 Nintendo Switchに向いているパーティーゲーム枠ですね。これも松岡さんからの提案なんですよね?

堀井 『タントアール』系はすごくおもしろいんですけど、『イチダントアール』は海外版のROMがあることが決定打になりました。

奥成 ワールドワイドで販売するので、海外版が存在しないモノは場合によってはローカライズしないといけないですからね。

堀井 それは無理(笑)。

――英語版はダジャレっぽいミニゲームの名前がどう訳されているのかが気になりますね。

奥成 僕らもまだ見たことがないんです。続報を楽しみにしていてください。

『SEGA AGES イチダントアール』。みんなでワイワイ楽しめるパーティーゲーム『タントアール』シリーズの第2弾。独特なセンスのミニゲーム16種類以上が楽しめる。

――『ワンダーボーイ モンスターランド』は“SEGA AGES ONLINE”のときに一度移植がなされました。

堀井 そこで追加した要素はすべて入っています。これは弊社広報の駒林がどうしてもと言ってリストアップされた作品です。なんでもウエストン開発のゲームのスタッフクレジットに、どうしても自分を入れたかったからという理由で。

奥成 『モンスターランド』は正確にはセガとウエストンさんの共同著作なので、うちだけの一存で移植は決められないのですが、すでに他機種での移植の発表もされているので、おそるおそるウエストンさんの権利を引き継いだライセンス元のLATさんにご相談をしてみたところ、「ぜんぜん構いませんよ」とご快諾いただけました。ちょうどNintendo Switchでも『モンスターワールド2』のリメイクがリリースされているのですが、それが『モンスターランド』のラスボス戦から始まるので、その前の冒険が遊べたほうがいいよねということで、現行機種で遊べる意義はあると思います。

――英語版の収録は初めてでしょうか?

奥成 英語版ROMの存在をウエストンさんも忘れていて、プレイステーション2版の“SEGA AGES 2500”のときには収録されていなかったんです。その後に倉庫の奥から発掘したバージョンは、“SEGA AGES ONLINE”から収録してあります。何度も移植をしているタイトルなのですが、どんな追加要素が用意されるかご期待ください。

『SEGA AGES ワンダーボーイ モンスターランド』。主人公を強化していくRPG要素を導入したスクロール型のアクションゲーム。

――そして『SHINOBI 忍』ですね。

奥成 これも松岡さんのチョイスですね。

堀井 そうです。海外でセガの有名なタイトルと言うと、だいたい名前が上がるので、さっくり入れていましたね。

小玉 プロジェクトの最初に松岡さんとご相談したときも、日本はもちろん、「海外でも人気のあるタイトを選んでいきましょう」という話をしていて、その中でアーケードタイトルとして、またニンジャゲームとして知名度のある『SHINOBI』をラインアップに加えようということです。

――そういった海外でのリサーチはどうされているのでしょう?

堀井 何か具体的な数字のある指標があるわけではなく、外国の友人からの聞き取りや、当時の雑誌で大きく取り上げられていたといった肌感覚ですね。

下村 とはいえ、発表後には海外のユーザーからは「待ってました!」と大きな反響をもらったと聞いているので、エムツーさんの見立ては正しいのだと思います。

奥成 アーケード版『SHINOBI』は、マスターシステム、それと海外版のファミコン、PCエンジンにも家庭用移植はされているのですが、メガドライブでは『ザ・スーパー忍』シリーズが展開されていたんです。エムツーさん移植としては、Wiiのバーチャルコンソールアーケードでも一度移植はしていました。ちなみに『SHINOBI』が稼動していた当時のセガの通常筐体向けゲームのコンパネって、トラックボールとか、小さなマスコット人形が付いてたり、ピンボール台の手前部分だけとかかなり攻めていて、逆にレバーとボタンだけで操作するほうが少ないんですよ(笑)。

――たしかに一風変わったコンパネのタイトルに目を引かれました。

奥成 そんな時代おける数少ないオーソドックスな操作系のゲームとして知名度を得て、シリーズ化されることになりました。そんなことを思い出しながら楽しんでいただければ。

『SEGA AGES SHINOBI 忍』。現代に生き残る忍者ジョー・ムサシが犯罪シンジゲートZEEDに立ち向かう横スクロールアクション。

果たして “SEGA AGES”2期はあるのか?

――最後に、今後のことをお聞かせください。やっと折り返し地点手前までたどり着きましたが……。

堀井 (遮って)残りをがんばる!

下村 正直なところ、私の力不足で日本でのセールスはもっとがんばらなければならない状況です。もともとニッチなマーケットでもあるのですが、プラットフォームが違いますのでセールスの単純比較にあまり意味はないかもしれませんが、3D復刻の半分以下というきびしい現状です。補足すると、このプロジェクトはパッケージ商品以上に長く売れるモノなので、長いお付き合いを皆さんとしていきたい。そういう意味でも、諦めたり、悲観しすぎたりはしていません。第2期の実現にはちょっとお時間がかかるかもしれませんが。

奥成 より日本のお客さんに満足していただけるものにしないとですね。過去を振り返ってみると、“セガ3D復刻プロジェクト”も本編は2年くらいでした。その後が続けられたのは、下村がパッケージとして『3D復刻アーカイブス2』を手掛けてくれたからなんですが、海外ではパッケージが出たのは3作中1作だけなんですよね。今回は、むしろニンテンドー3DSでパッケージが出ていなかった海外のほうが、新鮮に見えるのかもしれませんね。

堀井 大丈夫! 2期がなくとも勝手に移植をしときますよ!

小玉 私はプロデューサーとディレクターを兼任していますので、まだお届けできていない11タイトルの制作に注力して参ります。現在3、4タイトルの開発が平行して進んでいる状況なので、堀井さんとしては折返しを過ぎている感覚かもしれません(笑)。ひとつひとつ丁寧に、かつなる早でお届けできるようがんばりますので、今後ともよろしくお願いします。

堀井 小玉さんの話を受けてなんですけど、社内ではすでに相当数のタイトルが「できているじゃん!」というレベルで動いています。動いているんですが、そこから商品として世に出すまでの手間がなぁ! といった状況です。追加要素がどんどん盛り込まれて、開発は佳境といっていいタイトルが片手じゃ足りないくらいありますので、それほどお待たせせずに出せるんじゃないかと……。

(誰ともなしに笑いが起きる)

奥成 毎回そういうコメントをしていますよ(笑)。

堀井 それほど、それほどです。人の一生は短いですから(取り乱し)。僕からしても、「なぜここまでできていて2ヵ月が経過してリリースできていないのか」という状況もあったりするのですが。……言おうとしたことが全部飛んじゃいましたよ!

(一同笑い)

堀井 亀の歩みですが、歩んでいますので。いつかはゴールに着くんです!

――この先リリースタイミングは早まったりするのでしょうか。現状ですと、だいたい1ヵ月に1本ペースです。

小玉 そのペースは維持していきたいです。追加要素を軽くするなどして早くお届けすることも考えてはみたのですが、なるべく充実した内容で皆さまにお届けしたいと考えております。

奥成 今回、新タイトルの発表もありつつ、『G-LOC』や『バーチャレーシング』、『ゲイングランド』『コラムスII』と初移植のタイトルにチャレンジができているのは、こういうタイトルを欲しいといってくださるお客さんがいてくれるからですし、セガとしても定期的に続けていきたいという部分です。引き続きその声を絶やさないようにするため、どんどんやっていきたいと思います。今回の発表はもはや小出しにはせず、「これだけやっています! これで全部です!」ということなので、まずはそれらを遅くならないうちに出して、皆さんの気持ちを高めあえるようにがんばりたいと思います。

――わかりました。今後のリリースタイトルを含めて楽しみにしています!