1990年代中盤のFPSの独特な味のあるビジュアルスタイルを魔改造進化させた新作FPS『Prodeus』を紹介。

 海外インディーゲームシーンで密かに盛り上がる“オールドスクールFPS”リバイバル。1990年代中盤ごろの往年のFPSにオマージュを捧げる作品やリブート作などが続々と登場している。

 現在KickStarterでクラウドファンディングを実施中の『Prodeus』は、そんなオールドスクールFPSリバイバルシーンの開発者たちも注目している作品だ。

 クラウドファンディングが成功すれば2019年にPC向けにアーリーアクセスを開始する予定で、2020年の正式リリース時には海外でプレイステーション4/Xbox One/Nintendo Switchでの配信も計画されている。

最新エフェクトで超絶エグくなったスプライトFPS

 何をもってオールドスクールFPSと言うかはタイトルによって異なるので、ここでは『Prodeus』の場合に限ってその特徴を説明していこう。

 まずゲーム的には、さまざまな通路で接続された広いマップをぐるぐると探索しつつ高速に敵を倒していくスタイルを採用。これは時に一本道とも揶揄される現代のFPSのキャンペーンのレベルデザイン(ステージ設計)のアンチテーゼ的に、オールドスクールリバイバル系のFPSでは好まれる設計だ。

 そして本作の最大の特徴はそのアートスタイルにある。ここで重要なのが、“スプライトFPS”というキーワードだ。『Doom』や『Duke Nukem 3D』などのタイトルでは敵が3Dモデルではなく、プレイヤーのカメラに向けて平面のスプライトアニメーションを切り替えて表示することで描かれていた。

 これは『Quake』などのフル3DのFPSとは異なるスプライトFPS特有の味にもなっていた。敵のモデルに奥行きがなく、プレイヤーの動きに合わせてカクカクと数十度ごとに向きが変わったり、そこだけコマ落ちしたようにアニメーションすることで、なんとも不気味な雰囲気を生み出していたのだ。

 『Prodeus』では、そんなスプライトFPSスタイルの絵作りを採用。禍々しく動く敵の集団との銃撃戦で大量の血潮が飛びまくる、初代『Doom』のおどろおどろしい雰囲気が2016年版『Doom』のギラギラとしたライティングやエフェクトと融合したかのような実にエグい画作りになっている。

 とはいえスプライトFPSの全盛期なんて25年近く昔の話なため、「いや、さすがに昔のスプライトFPSはやってないし」とか「『Quake』とかの方が思い入れあるんだけど」という人もいるかとは思う。実は本作、スプライトモードからフル3Dモードへの切り替えができるので、好きな方で遊べばよろしい。

 サウンドを手掛けるのは、界隈では有名なコンポーザーのAndrew Hulshult氏。『Dusk』などのオールドスクールリバイバル系FPSや『Quake Champions』などに楽曲を提供してきた同氏なら、禍々しくメタルでゴリゴリな楽曲で気分を盛り上げてくれるだろう。

 そしてゲームにはレベルエディター機能も付属。実際に開発チームが使っているツールを使って自分のマップを作成し、シェアすることができる。壁などの形状に応じて自動的に適切なテクスチャーが選択される機能があり、サクサクと作業を進めてレベルデザインの試行錯誤に集中できそうだ。

 なおKickStarterでのクラウドファンディングの締め切りは日本時間の2019年4月25日午前1時まで。執筆段階ではそこそこ順調ではあるもののまだ目標額をクリアーできていないので、我こそはという人は出資検討してみてはいかがだろうか。

 『Prodeus』ゲーム本編は20米ドル以上の出資から入手可能。PC版のダウンロードキーに加えて、家庭用版のキーも3機種からひとつ貰える(家庭用版の日本展開は現状未定)。

開発インタビュー「オールドスクールの楽しさを新しい世代に提供したい」

 本誌では『Prodeus』開発チームのコアメンバーふたりへのメールインタビューも行った。まさかのローカライズの可能性も?

Mike Voeller

『Prodeus』開発チームの主にグラフィックとツール開発担当

Jason Mojica

『Prodeus』開発チームの主にレベルデザイン担当

――開発はどうやって始まったんですか?

マイク 数年前、『Brutal Doom』(※)が一気に盛り上がったのを見て取り掛かり始めたんだ。アレがより大きな一般の人にこの手のものを提供する道を切り拓いたと思う。
(※編注:Sergeant Mark IV氏開発による、『Doom』初期作品をウルトラバイオレンスにする拡張。その影響は本家の2016年版『Doom』にも見て取れる)

――2DスプライトのFPSは自分もすごい好きなんです。『Blood』や『Duke Nukem 3D』やもちろん初期『Doom』とかもそうですよね。独特のかっこよさがあると思います。個人的に言えばストップモーションアニメに見た時のちょっと超現実的で不安な感じというか。

マイク スプライトFPSには何か魔法のようなものが確かにある。小さなピクセルの集合体にスタイルやかっこよさが詰まってるんだ。

ジェイソン 自分にとっては、そこが本当に『Prodeus』がビジュアル的に優れている部分だと感じてる。このゲームのスプライトとダメージシステムで遊ぶのは本当に楽しくて、手を撃つとそこが吹き飛んで血が飛び散ったりするんだ!

――このゲームは敵の表示をスプライトとフル3Dで切り替えることができます。一体どうやってるんですか?

マイク やっていることは『Duke Nukem 3D』で事前に描いたスプライトをプレイヤーの位置に合わせて切り替えて表示しているのと基本的に変わらないんだ。

 違うのは昔のスプライトFPSではアーティストが前もって描いたスプライトを出してるだけだけど、『Prodeus』ではリアルタイムにやっていること(※)。これによって負傷の反映やアニメーションやフル3Dへの切り替えを可能にしている。(※編注:恐らく3Dモデルから平面のスプライトへコマ落ちさせて表示)

ジェイソン スプライトモードとフル3Dの切り替えはすごく楽しいよ! どっちもいいとこ取りができるしね。プレイヤーに好きな方で遊べるようオプションを提供できるのはうれしい。

――ここ数年、『Dusk』や『Ion Maiden』などオールドスクールな(昔の)FPSのスタイルを標榜する新作が増えてきました。何がオールドスクールFPSの魅力だと思いますか? あるいは何が失われてしまったのでしょう?

マイク 現代の主流のゲームは超大作の傾向があるので、昔のような遊んだレベルデザイン(マップ構築)がやりにくいという所かな。でも一方で古いゲームの多くはもうほとんどサポートされていない。『Prodeus』では、オールドスクールな遊びやすさと楽しさ、そしてプレイヤーコミュニティーによるコンテンツを新しい世代のゲーマーに提供したい。

――なにか変わったギミックは予定していますか? オールドスクールFPSだと例えばAlt-Fire(武器の性能を変える別モード)とかダメージ倍増アイテムとかもよくありましたよね。

ジェイソン まだお見せしていないものをいろいろ準備しているよ。Twitterで公開していこうと思うので、見逃さないように“@ProdeusGame”をフォローしてください!
(※編注:このインタビューの翻訳中にオートマップ機能が公開された)

――自分でマップを作れるレベルエディターとシェアできるシステムがついてくるのはいいですね。どう動くのでしょうか。作ったマップはシェア用のシステム外でも行えますか?

マイク エディターとシェアシステムのゴールは、マップ製作者を後押しして、その製作物をできるだけ多くの人に共有してもらうことにある。共有されているマップを閲覧するためのブラウザーやレーティングシステムがあって、ベストなコンテンツは上の方に出てくる。一方で昔のようにサービス外でファイルを直接やり取りしてもらうこともできる。

ジェイソン このレベルエディターは実際に自分たちがゲーム本編を作るために使っているものなんだ。だから僕ら自身のためにもちゃんとツール自体をよくしていくだろうということをわかってもらえるかと思う。数カ月後にテストしてもらうのが楽しみだね。

――ローカライズの予定などはありますか? まぁオールドスクールFPSはそもそも文字情報にそんな依存しませんが。

マイク 正式リリース時にできるだけ多くの言語にローカライズしたいと考えている。そのために今からテキスト量を抑えるようにしているぐらいなのさ。ダラダラ語るより状況でわかってもらえるストーリーテリングにしたいしね。

――では最後にあなたにインスピレーションを与えたオールドスクールFPSの名前を!

マイク 『Doom』、『ハーフライフ』、それと『Quake』、『Quake II』、『Quake III Arena』。

ジェイソン  マイクが挙げたやつに加えて、『スター・ウォーズ ダークフォース』、『アンリアルトーナメント』、『Return to Castle Wolfenstein』、『レッドファクション』、『ゴールデンアイ』、『パーフェクトダーク』だね。