夫婦で仲のいいことが、いいゲームを作る秘訣……なのかも
2018年9月20日(木)から9月23日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2018(20日・21日はビジネスデイ)……例年にも増して盛況ぶりを誇るインディーゲームコーナーをふらっとまわっていると(なんと約150社!)、「おおっ!」とうれしくなるタイトルが出展されていた。コトリヤマの『ねぇAI、本当の事がしりたい』だ。
記者が『ねぇAI、本当の事がしりたい』のことを知ったのは今年4月に行われたGoogle主催のイベント“Indie Games Festival 2018 ファイナルイベント”でのこと。同イベントは、事前に選ばれたインディータイトルのクリエイターがプレゼンを行い、トップ3を決めるという趣旨で行われたのだが、記者にとってコトリヤマのおふたり(奥様のサーヤさんと旦那さんのもとさんのご夫婦)は極めて印象的だったのだ。そもそも当時落ち込んでいた旦那さんをなぐさめるために作ったという『ねぇAI、本当の事がしりたい』の開発経緯にもほろっとさせられるが、プレゼン時の奥さんのサーヤさんがひとりでしゃべって、旦那さんのもとさんが隣でニコニコして見守っている……というスタイルも、ふたりの関係性がうかがえて微笑ましかったのだ。
その後記者はじつはおふたりを取材させていただいており、そのときさらにおふたりの人柄のよさに触れ、「『ねぇAI、本当の事がしりたい』のほんわかとしたいい雰囲気の理由は、夫婦仲のよさにあるのだなあ」と納得したものだ(ちなみに、おふたりのインタビュー記事は、後日ファミ通ドットコムにてご紹介予定です!!)。
東京ゲームショウの会場で、輝かんばかりの笑顔のおふたりをお見かけして、ついつい吸い寄せられるように近づいていってしまったのも、人情と言ってもいいではありませんか。
ちなみに肝心の『ねぇAI、本当の事がしりたい』のことをさらっとご紹介しておくと、プレイヤーがスマートフォンのAIとなって、出題された単語の空白部分を埋めていくというクイズゲーム。出題される言葉はすべて“しり”で統一されており、奥さんが描くほんわかしたイラストのヒントをもとに、空白部分を補っていく。なぜ“しり”かというと、旦那さんが落ち込んでいたときに“しくじり”や“じりひん”などの単語を、お尻をモチーフにしたダジャレイラストを見せて励ましたところ、ほかのどんなことをしてもあまり反応しなかった旦那さんが、このダジャレにだけは反応したことが、きっかけになっているという。まあ、フリーソフトなので、一度気軽に楽しんでみてくださいまし。
※『ねぇAI、本当の事がしりたい』Google Playサイト
配布しているチラシに秘密が……
――こんにちは。お久しぶりです! なぜ東京ゲームショウに出展することにしたのですか?
もと “Indie Games Festival 2018 ファイナルイベント”で知り合ったコールドフュージョンさんから誘われたんですよ。
――あら、そうでしたか。東京ゲームショウに出展してみていかがですか? といってもまだビジネスディなので、反響も何もないかもしれませんが……。
サーヤ 「独自性のあるイラストがいいですね」ということでプレイしてくださる方もいらっしゃいましたね。
――『ねぇAI、本当の事がしりたい』が3月にリリースされてから半年くらい経ちますが、手応えはいかがです?
サーヤ Google Playでフィーチャーしていただいたときに、多くの方から好評なレビューをいただいて、「続編をプレイしたい」という声もありました。それで、「続編を作りたいな」という気持ちも湧き上がってきている感じです。
――おお! では続編が始動ということで……?
サーヤ といきたいところなのですが、いまは新作に取り掛かってしまして。
――あら! なんですかそれは?
サーヤ 詳細はお伝えできないのですが……。
もと (おもむろに東京ゲームショウで配布しているチラシを取り出し)タイトルとイメージだけはできています。
――なんです? これは? 『ドラゴンのたまご』……。10月にリリースされるのですか?
サーヤ はい!
――もうすぐじゃないですか!
もと 計画は10月になっています。
――どんなゲームなのですか? 触りだけでも……。
もと ストーリーゲームになる予定ですね。
サーヤ 会話型のゲームですね。
――どんな経緯で?
もと いままでJavaScript(ジャバスクリプト)で作っていたのですが、今回Unityで作ろうということになりまして。
――なぜです?
もと JavaScriptで作れば、15年間メインテナンスフリーで出しっぱなしにできるかなと思ったのですが、実際にやってみるとAndroid Studioもバージョンアップするし、AndroidのOSもバージョンアップするので、どうしてもJavaScriptのほうもバージョンアップが必要になるんです。そうするとやっぱりメインテナンスフリーというのはちょっと難しいので、そういったサポートがたくさんあるUnityに移行しようかなと思って。
――Unityには初めて触ったのですか?
もと はい。
サーヤ 先月(8月)初めて。
――あら。さすが優秀なプログラマーさん。
もと これがですね、Unity 1週間ゲームジャムというのがありまして、そこで作ってみたんですよ。そうしたらアートワークがけっこう好評だったので、放置ゲームではなくて、得意のストーリー系のゲームにして出そうかなと。
――瞬発力のあるタイトルなんですね。
サーヤ そうです。どちらかと言うと、グラフィックを最小限に抑えて、コミュニケーションでおもしろいものを作れないかなという発想ですね。挑戦ですね。
――おお、リリースを期待しています! ところで相変わらず仲がよろしい感じですね? 秘訣を教えてください!
もと そうですね……。(マーヤさんに向かって)なんですか?
サーヤ 愛し合っていることじゃないですかね(笑)。
――あはは。よくしれっとしてそんなことを……(笑)。こんなことを聞くのもどうかと思いますが、毎日のように「愛しているよ」とか言い合っているのですか?
サーヤ そうですね。
――まじですか!? なんともアメリカナイズとな感じな……。もとさんは純和風に見えますけどね。
サーヤ ハートがアメリカ人なんです。アメリカンスピリットというか。
もと 単純にサーヤさんが僕を気に入ってくれているだけじゃないですかねえ。
――のろけているなあ。
サーヤ まあ、さらっといいますね。「おはよう」みたいな感じで。作業しながら、「愛しているよ」って。
――うーん……何とも熱い。これがコトリヤマが作るゲームの根幹にあるパッションなんだろうなあ……。申し訳ないけど、そのまま記事にしてしまいますからね!
途中で記者も何を聞いているかわからなくなってきたが、コトリヤマさんのタイトルに即していうと、『ねぇAI、本当の事がしりたい』ならぬ、“ねぇAI、夫婦仲良しの秘訣がしりたい”といったところだろうか……(ちょっと強引かしら?)。
ところで、『ドラゴンのたまご』の情報が記載された、東京ゲームショウで配布されるチラシには少し秘密がある。折り紙タイプのお守り“しり守”が載っているのだ。記載の通りに作った“しり守”にのぞみをとなえると、しりのパワーで願いがかなうという。というわけで、東京ゲームショウにお出かけの際は、霊験あらたかなこの“しり守”をゲットすべし!
なお、『ドラゴンのたまご』はサイトにて公開中。気になる方はどうぞ。