『Sable』は独特なアートワークが異彩を放つ、オープンワールドの探索ゲーム、自分が何たるかを学んでいく物語【gamescom 2018】

ID@Xboxタイトル『Sable』の紹介をしよう。

 つぎからつぎへと新鮮なタイトルが出てくるインディーゲーム。「よくぞいろいろと思いつくなあ」というのが正直な感想で、ことに記者は担当がら、ID@Xboxのタイトルに接することが多く、イベントなどで新しいタイトルに接すると、「おや!」という新鮮な驚きに打たれることもしばしば。2018年8月21日~25日(現地時間)ドイツ・ケルンメッセにて開催されているヨーロッパ最大規模のゲームイベントgamescom 2018でプレゼンを受けた、『Sable』もそんなタイトルの1本。プレゼンを担当してくれたのは、開発スタジオShedworksのゲームデザイナー、グレゴリオス・キスレオティス氏とプログラマのダニエル・ファインバーグ氏のおふたり。Shedworksはイギリス・ロンドンに拠点を持つインディーデベロッパーだ。

メビウス的タッチの砂漠世界を、ホバーバイクが滑るように駆けていく。仮面の彼女の名は『Sable』(セイブル)【E3 2018】

インディーパブリッシャーRaw Furyが日本向けにも展開予定の3Dアドベンチャー『Sable』を紹介。

ゲームデザイナー、グレゴリオス・キスレオティス氏(右)とプログラマのダニエル・ファインバーグ氏(左)。

 本作は、広大な砂漠を舞台にしたオープンワールド探索ゲーム。主人公は“Sable(セイブル)”という仮面を付けた女の子。この国では、ある年齢に達すると大人として家を出ないといけないというしきたりがあり、セイブルは生家を離れて暮らしている。本作はそんなセイブルの冒険を描く1作だ。

 独特なビジュアルアートが目を引く本作だが、『Sable』には、“世界を救う”といった目的があるわけではない。自分について、あるいは自分が大人として何になりたいのかを学習していくことが目的となる。セイブルは、ほかの町に行ってさまざまな人と出会ったり、砂漠にある古代遺跡を探索したりして、いろいろなことを知っていく。遺跡にはスペースシップもあるとのことなので、過去にいろいろなことがあったであろうことが想像される。

 移動手段として重宝するのがホバーバイクで、カスタマイズ可能。さまざまな特色を持ったパーツがあり、遺跡などから古いパーツを入手してカスタマイズする、といったことも可能なようだ。「バイクはきちんと整備して大事にしないといけない」とのことなので、生活の必需品といったところだろう。

 セイブルのマスクが印象的だが、この世界では誰もがマスクを付けているという。マスクは何をしていて誰なのかを表しており、家族の中のヒエラルキーを表現するものでもある。家族といっしょにいる子どもは子ども用のマスクをつけている。旅に出ると違うマスクを試して、大人になったらどんなマスクを付けたいかを学んで行くのだという。つけているマスクによって、他人の反応が異なるというから、アイデンティティの象徴ということなのだろう。

 大人になるための探索をしていく本作だが、この世界に住む人たちもセイブルと同じ道筋を辿って大人になったので、彼女がしていることを理解しており、さまざまなことを教えてくれるという。ときに彼らは手伝い仕事を依頼してくれるので、それを受けて達成すると、マスクをもらえたり、何かを教えてもらえたり……ということもあるようだ。

 誰と関わって、何をするかはすべてプレイヤーが選ぶ。この世界には順序通りに行動しないといけないところやパズル要素もあるが、それはあくまでオプションであり、別にやらなくてもいいようだ。人々と話をしたり探索をしたり……と、自由に生きかたを選べるのだ。「ゲームをあまりやらない人や、長いあいだ遊んでいないので、何かをプレイしても難しいと思う人も親しみやすく興味を持ってもらえるゲームだと思います。戦闘もないし、死ぬリスクもありません。ストーリーや世界、出会う人々が中心になっています。世界について学ぶことで、自分が誰なのかと理解していくゲームなんです」。

『Sable』はヨーロッパのコミックブックと日本のアニメのコンビネーション

 以下、記者がプレゼンを受けた際のQ&Aのやり取りを紹介しよう。各国の取材陣からは盛んに質問が出され、本作に対して、かなり興味を抱いているのだということがうかがえた。

Q. 持ち物を管理したりできるのですか?
A. 持ち物の管理はしません。そういうタイプのゲームではないんです。世界では、物を交換したり、贈り物をしたりすることはあります。どこかに行って物を集めることもありますが、それは新しいストーリーやキャラクターどうしの関係のためであって、むやみやたらと集めてパワフルになることが目的ではありません。
 ゲームプレイのコアになっているのは、世界を探索することです。つまり好奇心。どこかへ行って何かを集めるにも何か理由があるんです。偶然何かを発見したら、そこからまた新たなナラティブが始まるかもしれません。
 マップはあまり多くありませんが、迷わずに探索できるように全体のマップは見られるようになっています。これも生きていく上で大事な学びのひとつです。セイブルはマップで名前を見たことはあっても、実際にそこに行ったことはないという状態です。

Q. ゲームプレイはテキストベースなのですか?
A. いまはすべてテキストです。私たちが大好きなナラティブゲーム、『80 Days』を書いたメグ・ジャヤンスというすばらしいライターにテキストをお願いしています。このストーリーをどう構築するかに、大きな影響を与えていますね。ある町に入って新しいキャラクターに出会い、そのキャラクターとのストーリーが生まれ、アイテムを交換するといった関わりが発生し、ストーリーが終わってまたつぎの目的地へ行く。これは、私たちひとりひとりのスケッチのようなものです。大きなナラティブの中にショートストーリーがたくさん入っているんです。

Q. ゲーム中で記録のようなものできるのですか?
A. 現在検討中です。プレイヤーには何をしなくてはいけないという押し付けをしたくないですが、迷わないようにしたいと思っています。ログのようなものはありますね。バランスが難しいのですが、ライターの経験が豊富なので、助けられています。

Q. プレイ時間はどれくらいですか?
A. プレイヤーが何をするかによって変わるので、はっきりとは言えません。たとえば、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』ですぐに最終ボスを倒しに行ってもいいが、長い時間をかけて世界を探索してもよいのと同じです。私はオープンワールドのゲームを始めてもクリアーしないことが多いのですが、このゲームでは締めくくってほしいと思っています。

Q. アートワークや色遣いが独特ですが、インスパイアを受けたアーティストはいるのですか?
A. メビウスやセルジオ・トッピ、『AKIRA』などに大きな影響を受けています。こうしたビジュアルスタイルが好きなんです。『スター・ウォーズ』からも、もちろん影響されています。言ってみれば、ヨーロッパのコミックブックと日本のアニメのコンビネーションですね。コミックブックは美しいが動きがないので、ふたつをミックスしました。このふたつはお互いに大きく影響し合い、吸収しあっていると思っています。このふたつがにおもに影響されました。あとは、『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』ですね。

 『Sable』は2019年のリリースを予定。日本のファンには楽しみな1作だ。

gamescomに合わせて時間の移り変わりを表す画面写真が公開されている。繊細な色遣いだ。