フィル・スペンサー氏に聞く、「たくさんの日本のタイトルをXbox E3 2018 ブリーフィングで披露できたのは光栄だった」【E3 2018】

Xbox E3 2018 ブリーフィング直後に行った、Xbox ヘッド、フィル・スペンサー氏への単独インタビューの模様をお届けしよう。

次世代機は、ゲーマーを中心に置いて(プロジェクトを)スタートする

 Xbox E3 2018 ブリーフィング直後に行った、Xbox ヘッド、フィル・スペンサー氏への単独インタビューの模様をお届けしよう。まさに怒涛という表現がふさわしい、充実のラインアップを披露した同ブリーフィングだが、フィル・スペンサー氏の手応えはいかほどのものだったのか?イベントの最後で口にした、“次世代機を開発中”と思われる発言の真意にも迫る。

Xbox E3 2018 ブリーフィングまとめ、近年稀にみる怒涛のラインアップに、Xboxというプラットフォームの未来が見えた【E3 2018】

2018年6月10日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスのMicrosoft Theaterにて行われたXbox E3 2018 ブリーフィングの模様をお届けする。

日本のスタジオとの絆が構築されるのを実感した

――Xbox E3 2018 ブリーフィングでのタイトルラインアップには驚きました。率直にうかがいますが、どうやってこれだけのタイトルを揃えたのですか?

フィル チームがいい仕事をしてくれたお陰です。Xboxチームは今年、特別なE3にしたいと希望していました。実現できるかどうか疑問を持っている人たちもいたかもしれませんが、自分たちが何をやろうとしているのかはわかっていたので、今日の特別なショウをお見せできるようにがんばりました。

――日本発のタイトルも数多くお披露目されましたが、これは狙いどおりのものだったのですか?

フィル まったくその通りです。ここ数年間、私は何度も日本に行き、バンダイナムコエンターテインメントさんやスクウェア・エニックスさん、カプコンさん、フロム・ソフトウェアさんなど、多くの会社を訪れました。もちろん日本のパブリッシャーがXboxを支持しているかどうか疑問に思う人たちもいることは知っています。しかし今回、『デビル メイ クライ 5』、『キングダムハーツIII』、『テイルズ オブ ヴェスペリア REMASTER』、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』、『Jump Force』など、多くの素晴らしい日本のタイトルをステージで披露することができたことは光栄でした。

――近年、日本メーカーの開発力が高まっているとの話もありますが、今回の日本タイトルの増加は、その傾向を受けてという側面もありますか?

フィル そうですね。日本の多くのチームとは、密接な関係を持ちながら仕事をしています。以前お話ししたことがあると思いますが、前世代コンソール時代の終盤にかけて、日本のデベロッパーやパブリッシャーはモバイルに注目していました。そのため、当時フォーカスしていた、ハイエンドでディープなゲームをいくつか失ってしまいました。しかし、現在パブリッシャーは、トリプルAのワールドクラスゲームに焦点を定めています。『バイオハザード』シリーズも『モンスターハンター:ワールド』も素晴らしいゲームです。『キングダムハーツIII』も『デビル メイ クライ 5』も、とにかくカッコいいですよね。こうした開発チームは、再び日本のゲーム開発シーンのトップに立っています。これは本当に嬉しいことです。

――度々日本に足を運んだとのことですが、フィルさんの情熱が通じたということでしょうか?

フィル それは、いろいろなことが関係していると思います。ブリーフィングでの優れたゲームに対するファンの反応もそうです。昨年『ドラゴンボールファイターズ』が発表されたときの反応は、会場を揺るがすほど大きいものでした。私は、長きに渡って多くの日本のデベロッパーやパブリッシャーとお付き合いがあります。オフィスを訪問し、コントローラーを手渡されてゲームをプレイしながら、彼らが達成しようとしていることについて、いろいろなお話を聞いていると、プラットフォーマーとパブリッシャーという関係を通じて、絆が構築されていくのを実感しました。もちろん、こうした関係を築いているのは私たちだけではありません。Xboxは日本のプラットフォームではありませんので、開発チームと過ごす時間の大切さは認識しています。

――日本のクリエイターさんとは良好な関係を築いているということですね。

フィル 彼らの話を聞き、ローンチの何年も前に実際にゲームをプレイさせていただいたことはとても光栄なことでした。また、クリエイターの方々が何を達成しようとしているのかお聞きすることができました。

『Halo Infinite』はマスターチーフの物語になる

――Xbox E3 2018 ブリーフィングでは、『Halo』シリーズの最新作『Halo Infinite』も発表され、会場を大いに沸かせました。同作に関しては、あまり情報がなかったのですが、お話いただけることはありますか?

フィル まず、『Halo』というゲームがXboxコミュニティーにとってどのような存在であるのかを理解する必要があります。今回のショウは『Halo』で幕を開けましたが、マスターチーフのヘルメットが登場したときのファンのエネルギーは特別なものでした。多くのファンの皆さんが『Halo』を語りますが、つねにその人たちの心に寄り添っているゲームだと思っています。これはとても大切なことです。
 もうひとつ言えるのは、Slipspace Engineへの投資についてです。私たちは、さらにクリエイティブな仕事をするために『Halo』のゲームエンジンを新しくしました。ご覧いただいたデモは実際にエンジンで稼動しているゲームの映像です。これが実を結ぶまでには時間がかかりますが、この投資はフランチャイズの長期的成功には重要だったと考えています。
 3つめはマスターチーフです。マスターチーフはこのゲームで再びストーリーの主軸となります。ステージにマスターチーフと彼のヘルメットが登場しました。マスターチーフのストーリーをプレイしたいという『Halo』ファンの声を聞いたからです。

――なぜ、ナンバリングタイトルではなかったのですか?

フィル 今後のプランについては徐々にお話していくことになりますが、私たちがマスターチーフのストーリーを大切にしていることは知っておいていただきたいです。ストーリーが不足しているという意味ではありません。『Halo』というフランチャイズの辿った道やこれからの道筋を考えるとき、単につぎのナンバーをつけたのでは、つぎのゲームが特別だという感じが薄れてしまいます。『Halo』チームをトップであるボニー・ロスとファーストパーティーを率いるマット・ブーティーと話し合った結果、今回は少し違う名前で出そうということになりました。単に新しいナンバーが付けられたものではなくて、何か違うものだということに注目してほしいがためです。

――ブリーフィングでは、新たに5つのスタジオを傘下に収めることが発表されましたが、その意図は?

フィル ゲーマーはつねに優れたゲームをプレイしたいと思っています。今日は、これまでで最高の全50タイトルを披露しました。日本のサードパーティーからのサポート、そして全世界からのサポートは素晴らしいです。一方で、プラットフォームにとってファーストパーティーのタイトルがなくてはならないものであることは自明のことです。
 今回、マイクロソフトスタジオ傘下になることを発表させていただいたスタジオは、個々によく知っています。Ninja Theoryのニーナとティミームとは、初代Xboxで彼らが『カンフーパニック』をリリースして以来、15年の付き合いになります。『Forza Horizon』シリーズを長年開発しているPlayground Gamesは、第二開発チームを立ち上げましたが、この投資は信頼関係に基づいたものです。成長するために最適の方法を考えた結果、マイクロソフトスタジオの傘下に入ってもらいました。
 そして、今年マット・ブーティーをファーストパーティーの責任者に任命しました。ファーストパーティーチームを率いるリーダーを得たことは、ファーストパーティーへの投資を大きく成長させる上で、私たちに自信をもたらしてくれました。

――ブリーフィングの最後に、「Xboxというコンソールの将来のアーキテクチャーを構築しています」との発言がありましたが、これは、次世代ゲーム機について動き出したという認識でよろしいのですか?

フィル そうです。私たちはゲーマーを中心に置いて(プロジェクトを)スタートします。今日、世界で20億人がビデオゲームをさまざまなデバイスでプレイしています。コンソールのゲーマーについては、私たちがもっともパワフルでベストなハードを持つことが重要です。これは、Xbox One Xで実現できたことだと思いますが、もう一度実現したいです。PCでプレイしたい人も、スマホでプレイしたい人もいるかと思いますが、素晴らしい経験はデバイスを問わず、そしてつぎのコンソールも含めて、皆さんに提供したいと考えています。

――アーキテクチャーの構築とは、具体的にどのようなことを考えているのですか?

フィル これまで、CPU、GPU、バスなどの領域において、提供元と長く付き合ってきた歴史があるので、私たちがつぎに何をしたいかということをいっしょに考えてもらえることは幸運なことです。イノベーションとアーキテクチャーにおいて、今後どのようなことが起こらなくてはいけないのか、早い段階で彼らと会話を始めることができます。これはすでに、Xbox One Xでやってきました。早い段階で、真の4Kでゲームを動かせる4Kコンソールを出荷しなければいけない、そしてそのためには何が必要かを言い続けました。少し余計に時間はかかりましたが、それを実現することができました。これから先を見ると、解像度が重要であることはわかっています。フレームレートも重要です。レイトレーシングなどについてもお話ししたことがありますが、新しいテクノロジーも大切です。ハードウェアの旅路はつねに進んでおり、新たな機会についてつねに考えています。これは業界を活発に動かしていく助けとなるためには、とてもよいことだと思います。

――「今後AI(人工知能)および、スマートフォンを含むすべてのデバイスでコンソールクオリティーのゲームのストリーミング配信を可能にしたい」と発言されましたが、次世代機にも関わってくることなのですか?

フィル プレイヤーとして、デベロッパーとして、AIにおける経験は興味深い点がいくつかあります。現在多くのゲームはソーシャルゲームと言えます。ひとりでも遊べますが、自分を取り囲むワールドは生き生きとしています。周りのプレイヤーが実際の人間であるために生き生きと感じる場合もありますが、そうでなくても没入感や自然発生感、創造性などで、シングルプレイヤーゲームに独特なものを作り出したいと考えています。
 従って、ワールドやキャラクターがより生き生きと感じられるようにするためにAIに投資することは大きな助けになると思うのです。技術的な面では、あるゲームがどのようにプレイされるかをシミュレートすることができます。ゲームを開発し、ローンチする準備ができたら、何百万ものAIプレイヤーにプレイさせていろいろと学ぶことができます。そのゲームがどれだけ多くのプレイヤーをサポートできるか、テストすることもできます。これは非常に興味深いことです。

――ストリーミングについてはどうですか?

フィル ストリーミングについては、20億人がビデオゲームをプレイしていますが、そのうち多くの人はコンソール以外のデバイスでプレイしています。世界のいろいろな場所で20億台のコンソールを販売しようとするのは、いい解決方法とは言えません。スマホ、そしてPCは多くの人にとって身近なデバイスになりました。そしてスマホなどのゲームのほとんどは、コンソールで私がプレイするゲームとは異なります。私は、誰もがコンソールで出ているような、奥の深い、没入感のあるゲームをプレイできるようにしたいと思います。しかしスマホなどのデバイスではローカルにプレイすることはできません。
 私たちは、Xbox Game Passを通じて、より多くのゲームにアクセスできるサブスクリプションサービスを開始しました。そして、ストリーミングによってテクノロジーをオープンにすることができ、ゲームをより多くのデバイスに配信することができるようになります。

――Xbox Game Passは日本ではサービスが開始されていませんが、めどはいかがでしょうか?

フィル Xbox Game Passは2017年秋に市場を広げて、まだ1年も経過していません。どんなサービスも同じですが、どのように受け入れられるかはわからない状態でローンチしましたが、ファンの皆さんの反応は非常によいです。今後も拡大し続けます。また、ほかのデバイスについても検討しています。PCにもモバイルにも拡大したいです。Xbox Game Passの勢いを継続していけたらと思います。日本で展開するのは当然だと思いますし、ぜひやりたいです。

――最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

フィル ここ2年ほどデベロッパーさんと話をするために、以前より頻繁に日本に行きましたが、創造力において日本がビデオゲームの真のリーダーとして再び立ち上がっていることがわかり、とても嬉しく思いました。また、日本のプレイヤーがNintendo Switchやプレイステーション4、Xbox One、PC、モバイルなど、さまざまなデバイスで提供される多様なゲームを愛し、楽しんでいるのを見てきました。日本のリーダーたちがXboxをここまでサポートしてくれているというのは、とても素晴らしいことです。日本のXboxユーザーは、好きなクリエイターによるコンテンツを、これからさらに見られるようになりますので、楽しみにしていてください!

Xbox E3 2018 ブリーフィングの模様から。『Halo Infinite』発表後、スタンディングオベーションで招かれ、うれしそうな表情が印象的。ファンに喜んでもらうのが何よりの喜びのよう。