「50のゲーム、18のエクスクルシブ、15のワールドプレミア」。

 これが、2018年6月10日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスのMicrosoft Theaterにて行われたXbox E3 2018 ブリーフィングの冒頭で、Xboxヘッドであるフィル・スペンサー氏が口にした、この日紹介するタイトルだ。実際のところ、ブリーフィングで紹介されたタイトルは、何とも凄まじいばかりボリュームで、カンファレンスに費やした1時間40分はあっという間。終わったあとは「よくぞこれだけのタイトルを揃えたなあ……」と、同僚と顔を思わず見交わしたほど。このラインアップは、(北米で)2013年11月にXbox Oneがローンチしてから4年と半年あまり、いよいよプラットフォームが成熟してきた証ということなのであろうが、それにしてもの充実ぶり! マイクロソフトの気合いの入りぶりがうかがえる。

Xbox E3 2018 ブリーフィングまとめ、近年稀にみる怒涛のラインアップに、Xboxというプラットフォームの未来が見えた【E3 2018】_26

 何よりも好感が持てたのが、このインターネット全盛の時代にあって、各社が配信を意識した映像中心のカンファレンスにシフトしつつあるこのご時世において、フィル・スペンサー氏がイベントを仕切り、随所にゲストが登壇し、適宜ゲームプレイを披露するという、まさに往年のカンファレンスの王道をいくかのようなスタイルを貫いた点だ。いわばストロングスタイルといった趣きで、とにかくラインアップを訴求したいという自信のほどが見える。まずは本日紹介されたおもなタイトルを列記していこう(映像ラッシュで紹介されたID@Xboxのタイトルは、割愛させていただいた)。

Halo Infinite』マイクロソフト(エクスクルシブワールドプレミア)
Ori and the Will of the Wisps』マイクロソフト(エクスクルシブ)
SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』フロム・ソフトウェア/アクティビジョン(ワールドプレミア)
Fallout 76』ベセスダ・ソフトワークス(ワールドプレミア)
The Awesome Adventures of Captain Spirit』スクウェア・エニックス(ワールドプレミア)
クラックダウン3』マイクロソフト(エクスクルシブ)
NieR:Automata BECOME AS GODS Edition』スクウェア・エニックス(ワールドプレミア)
Metro Exodus』Deep Silver(ワールドプレミア)
キングダムハーツIII』スクウェア・エニックス(ワールドプレミア)
Sea Of Thieves』マイクロソフト(エクスクルシブ)
バトルフィールドV』エレクトロニック・アーツ(ワールドプレミア)
Forza Horison 4』マイクロソフト(エクスクルシブワールドプレミア)
We Happy Few』Compulsion Games、Gearbox Publishing(エクスクルシブ)
PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』PUBG Corporation(コンソールローンチエクスクルシブ)
テイルズ オブ ヴェスペリア REMASTER』バンダイナムコエンターテインメント(ワールドプレミア)
Tom Clancy’s The Division 2』ユービーアイソフト(ワールドプレミア)
シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』スクウェア・エニックス(ワールドプレミア)
Session』Crea-Ture Studios(コンソールローンチエクスクルシブ)
Black Desert』Pearl Abyss(コンソールローンチエクスクルシブ)
デビル メイ クライ 5』カプコン(ワールドプレミア)
Cuphead: The Delicious Last Course』Studio MDHR(コンソールローンチエクスクルシブ)
Tunic』Finji(コンソールローンチエクスクルシブ)
Jump Force』バンダイナムコエンターテインメント(ワールドプレミア)
Dying Light 2』Techland(ワールドプレミア)
Battletoads』Rare(エクスクルシブ)
Just Cause 4』スクウェア・エニックス(ワールドプレミア)
Gears POP!』マイクロソフト(エクスクルシブワールドプレミア)
Gears Tactics』マイクロソフト(エクスクルシブワールドプレミア)
Gears 5』マイクロソフト(エクスクルシブワールドプレミア)
Cyberpunk 2077』CD Projekt RED(ワールドプレミア)

 うーん、なんとも壮観。本記事は“まとめ”と銘打ってはいるものの、これほどの大ボリュームともなれば、その全貌を伝えることはいささか手に余りそうだが、記者が気になった注目ポイントをいくつかピックアップしてみたい。

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満面の笑みのフィル・スペンサー氏。前のほうにいるのは、熱心なユーザーであるXbox FanFestの皆さんで、ファンを前にしてうれしそう。
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Xbox FanFestの利用者を対象としたブリーフィングのチケットは一部購入制。そこで得た収益は、すべてGamers Outreachに寄付されている。Gamers Outreachというのは、ゲームを通して子どもたちを支援する非営利団体だ。

マイクロソフトの誇る3大フランチャイズが揃い踏み

 マイクロソフトの誇る3大IP(知的財産)と言えば、『Halo』シリーズ、『Gears』シリーズ、『Forza』シリーズであることに異論のある方はいないと思われるが、本ブリーフィングではこの3大シリーズの最新作が揃い踏みを果たした。

 ブリーフィングのオープニングを飾ったのは、『Halo Infinite』で、冒頭で大自然のありさまが描かれた映像が流され、「これは何のゲームだろう……」と思わせた矢先に、マスターチーフのヘルメットが写し出されるや会場は大歓声に! 会場の前に陣取ったXbox Fanfestの来場者は、その後登場したフィル・スペンサー氏をスタンディングオベーションで出迎え、会場は冒頭から興奮の渦に巻き込まれた。「マスターチーフとともに、人類を救うべく旅に出ます」とはフィル・スペンサー氏の言葉だが、実際のところ『Halo Infinite』で判明していることは、発売日も含めてほとんどない。なぜ、ナンバリングタイトルではないのかが気になるところだが、とにもかくにも『Halo』シリーズの新作の報はファンにとっては朗報だろう。同作で使用されているSlipspace Engineも気になるところ。

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『Halo』のアイコンとも言えるマスターチーフのヘルメットが映された瞬間、会場はとんでもない盛り上がりを見せた。

 『Forza』シリーズは、『Forza Horizon 4』を発表。2012年に『Forza Horizon』の1作目をリリースして以降、毎年『Forza Motorsport』と『Forza Horizon』の最新作をきっちりと交互に発売してきた『Forza』シリーズだが、2018年は『Forza Horizon』の年。まあ、規定路線ということでサプライズは少ないが、大ヒットを記録した『Forza Horizon 3』のつぎだけに期待値は相当に高い。開発を手掛けるPlayground Gamesのラルフ・フルトン氏によると、同作の舞台はイギリスで、前作からさらに進化したダイナミックな天候や季節表現が特徴らしい。季節が変わることによって、「見た目もドライブ体験も変わる」(フルトン氏)とのことで、イギリスの気候の変化をふんだんに取り入れた1作となっているのだろう。「60fpsで爽快なドライブが楽しめます」とのフルトン氏のコメントには、期せずして拍手が湧き上がっていた。世界で500台しか作られていない、マクラーレン・セナをフィーチャーしているのも、クルマファンにはうれしいところかも。発売は10月2日を予定している。

 ちなみに、今回のブリーフィングでは、新たにマイクロソフトスタジオの傘下に5つのスタジオが入ることが明らかにされており、そのうちの1社がPlayground Gamesとなる。フィル・スペンサー氏の口からは、「Playground Gamesには、オープンワールドのノウハウを活かした、新規タイトルを開発中」との気になるコメントも聞かれた。

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Playground Gamesのラルフ・フルトン氏
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季節に変化がダイナミックに描かれるということで、秋のゲームプレイでは会場から落ち葉が……(もちろん紙)。実際の効果のほどは何とも言えないが、いいサプライズにはなったかも。
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セナファンたるもの、マクラーレン・セナのフィーチャーはうれしいよね。世界に500台だから一生乗る機会なさそうだし。

 そして、『Gears』シリーズ。まずは、スマートフォン向け『Gears POP!』と、Windows向けターンベースタクティクスゲーム『Gears Tactics』の映像が流されたあとで、おもむろにThe Coalitionのロッド・ファーガソン氏が登場。「(シリーズ1作目がリリースされた)13年前には想像できなかった」と、「『Gears』シリーズにこんな展開もあるんだ」と思わせたあとで、おもむろに『Gears 5』を発表。会場を大いに興奮させた。本作の主人公を務めるのは前作『Gears of War 4』のヒロインであるカイトで、ロッド・ファーガソン氏によると「カイトの内面の旅が描かれる」という。発売は2019年を予定している。なお、前作までは『Gears of War』と表記されていた同シリーズだが、本作では『Gears 5』のみ。仮の名称なのかどうか……ちょっぴり気になるところ。

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The Coalitionのロッド・ファーガソン氏
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トイメーカーのPOPと組んだスマートフォンアプリ向け『Gears POP!』。これはこれでかわいい。2019年配信予定。
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真打ち、『Gears 5』が発表。『Gears 5』が正式名称なのか、『Gears of War 5』が正式なのか、気になるのも人情というもの。
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本作の主人公はカイト。タイトルイメージからも想像できるように、寒い地方が舞台になる?

ファーストパーティー傘下として5つのスタジオが仲間に

 3大IPが突出した感のある今回のブリーフィングだが、そのほかにもファーストパーティータイトルは充実。話題を集めた2Dタッチのアクションの待望の続編となる『Ori and the Will of the Wisps』や(2019年発売予定)、発売日が2019年2月に決まったオープンワールドのクライムアクション『クラックダウン3』、新フィーチャーが加わった『Sea of Thieves Cursed Sails』が7月に、『Sea of Thieves Forsaken Shores』が9月に、それぞれリリース予定であることが発表されるなど、ファンにはうれしいニュースばかり。

 なお、ファーストパーティーということでいうと、前述の通り、マイクロソフトスタジオ傘下に新たに5つのスタジオ、The Initiative、Playground Games、Ninja Theory、Undead Labs、Compulsion Gamesが加わっている。Playground Gamesは『Forza Horizon』の、Ninja Theoryは『Kung Fu Chaos』の、Undead Labsは『State of Decay』シリーズの、Compulsion Gamesは『We Happy Few』のそれぞれ開発元であり、以前何らかの関わりのあった優秀なスタジオとの関係をさらに密にしたとの印象だ。すぐれたタイトルのためには投資を惜しまないということなのだろう。

 ちなみに、Compulsion Gamesが手掛ける『We Happy Few』のコンシューマー版は、アーリーアクセス版でリリースされたPC版からのフィードバックを受けて、さまざまな改良を施し、8月10日にリリースされることがアナウンスされている。

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