2018年9月14日にプレイステーション4/Xbox One/PCで発売予定のアクションアドベンチャー『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』。ロサンゼルスで行われたイベントを取材し、デモをプレイしてきたので、その内容をご紹介しよう。
本作は、2013年の新生『トゥームレイダー』(TR)、2016年の『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』(RotTR)に続く、シリーズの主人公ララ・クロフトが若き考古学者から一人前のトゥームレイダーとして成長するまでを描くリブート版3部作の最終章。
『TR』で遭難事故のサバイバーとして邪馬台国の謎に挑み、『RotTR』では父が残した“預言者”にまつわる謎をシベリアの遺跡で解き明かしたララは、本作で世界滅亡を招きかねないマヤ文明の謎に挑むことになる。
デモの舞台はメキシコ、コスメル島
今回のデモの舞台は、メキシコにあるコスメル島。マヤ人も住んでいたとされる実在の島だ。ラテンアメリカの代表的な祝祭“死者の日”が行われる中、ララと相棒ジョナは、『RotTR』で敵対した秘密組織“トリニティ”がこの島で活動していることを察知し、この島にやってきたのだ。
現地でトリニティの発掘を指揮しているらしいドクター・ドミンゲスなる人物を監視している最中、ララは資料を眺めている内に次の大きな目標となる遺跡がペルーにあるらしいことを発見。同時にドミンゲスに動きがあったため、まずはこの島で何が行われているのか尾行することになる。
ラペリングなどの新アクションも
さて、ジョナと別れてドミンゲスたちの会話を小耳に入れながら街の裏道を抜け、鬱蒼と生い茂る熱帯性の森に入ると、それまで変装のために着用していた死者の日のマスクとフードを脱ぎ捨ててアクション開始。
海岸線の洞穴にコスメル島を聖地とするマヤ神話の月の女神イシュ・チェルの遺跡らしきものを発見したララは、絶壁に愛用のピッケルで飛び付き、ロープを降ろして降りていく。
この、ピッケルでぶら下がった状態からのラペリング(ロープ降下)は新アクションのひとつで、ロープを振って振り子の要領で移動することもできる。
潜水アクションが強化。パズルを解きつつ遺跡を進む
洞穴に降り立ったララは、より進化したポイントとなる潜水も使いつつ、奥を目指していく。潜水は以前もあったが、わざわざあらためて改良したと言うだけあって、操作は快適。かなり思ったように泳げるし、ちょうどいい場所に空気溜まりが設置されていて、ワンボタンで一時浮上して酸素を補給できる。
そうしてたどり着いたのは、イシュ・チェルに関する何かが祀られていると思われる地下遺跡。ブービートラップや滑車を使ったパズルなども仕掛けられており、より本格的にトゥームレイダーらしいゲームプレイになってくる。
ロープアロー(縄をくくりつけた矢)を使って塀を壊したり、対岸にロープを張って渡ったりといったアクションも使いつつパズルを解いて進んでいき、ラストはからくり仕掛けの祭壇に秘蔵されていたダガーをゲット。
トリニティの軍勢との交戦
しかし、これは大いなる過ちだった。ダガーを手に取るとすぐに、大きな揺れとともに遺跡が崩れ始める。地上に出ると、今度はトリニティの兵士たちを相手にしたステルスステージだ。
茂みに隠れたり、背後からステルスキルを発動できるのは旧作通り。存在がバレた時は、もちろんTPSスタイルで普通にドンパチすることもできる。今回はジャングルがテーマということもあってか、ツタの壁に隠れるといったアクションもあって、そこから直接弓矢で狙うのも可能。
大洪水は女神イシュ・チェルの怒りか
しかし、あと一歩で街に戻る前に、ララはドクター・ドミンゲスに捕まってしまう。ドミンゲスいわく、このダガーと対になる“シルバーボックス”を組み合わせることで世界を作り直せる能力を手に入れることができ、それこそがトリニティの目的なのだという。
「で、シルバーボックスはどこだ?」ララがそれを持っていないと知るや、ドミンゲスは怒り出す。単にダガーだけを奪ったことはイシュ・チェルを怒らせ、津波や地震、そして“太陽の死”を招くと(キーアートなどに日食や月食が描かれているのと関係していそうだ)。
そしてドミンゲスたちがヘリで急速に離脱する中、島を大洪水が襲う。イシュ・チェルは実際に洪水をつかさどる神とされている。これは彼女の怒りなのだろうか? ララは猛烈な濁流に押し流されていく。流される場面は左右の移動が可能で、障害物に激突すると即死。緊迫したシーンが続く。
洪水シーンの終盤では、かろうじて地上に上がったララが、足場が次々と崩れる中進んでいくアクションパートも。流されてきたバスの上に飛び乗って先に進んだり、テンポがやたらいいのにド迫力で、思わずテンションが上がる。
しかし、目の前で子供が落下して濁流に飲まれるなど、被害は甚大。すぐにペルーに向かってトリニティがすべての力を手に入れるのを防ごうと主張するララに向かって、ジョナは「まずこの人達を救ってからだ!」と思わず叱りつける。
世界を救おうと急いだ主人公の大いなる失敗。意外な終わり方をしたデモの先で、彼女は本当に真のトゥームレイダーになれるのか?
スタッフへのQ&Aからさらなる詳細が判明
イベント会場では、本作のリードゲームプレイデザイナーを務めるヒース・スミス氏と、ナラティブディレクター(物語体験の構築を主とする職)のジェイソン・ドゾワ氏に合同インタビューで話を聞くことができた。
まず気になったのは地理系のハナシ。マヤ文明は現在のグアテマラなどを中心に栄えたが、今回のデモはメキシコのコスメル島が舞台。同島には実際にマヤ人がいたとされているからコレ自体は問題ないのだが、セリフではメキシコからグアテマラではなくペルーに向かうことが示唆されていた。歴史的にはペルーはむしろインカ帝国で有名だ(ただし栄えた時代は異なる)。
この点についてヒース・スミス氏は、フィクションとしてマヤの影響範囲を広めに想定していると説明。ゲーム本編の多くはペルーで展開されるとのこと。というわけで本作のメキシコ編はRotTRのシリア編のような位置づけのようだ(RotTRの大半はシベリアで展開される)。
また『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』というタイトルの“シャドウ”に含まれた意味について語ってくれたのだが、旧作から引きずる父の死やその背後にあったトリニティの暗躍にくわえ、前述のようなメキシコでの大失敗や、ジョナと喧嘩する原因になった探索への執着心などが象徴されているのだという。
会場で流れたトレイラーでは、まるでスタローンかシュワルツネッガーのようにジャングルの闇から飛び出ては兵士を刺殺し、何やら少年を生贄を捧げようとしていた司祭まで血祭りにあげるというハードコアな内容となっており、旧作で“切れた”時以上の怖いララ・クロフトが見られることになりそうだ。
彼女はそのような“影”を振り払って、偉大なトゥームレイダーになれるのだろうか? メキシコでの失敗はそこら辺を読み解くひとつのカギとなりそうだ。
ジェイソン・ドゾワ氏いわく、ダガーにはシルバーボックスが必要なことが明かされる一連のシーンで、ドクター・ドミンゲスを意図的にララよりも上手の強敵として描いているという(ララは嘘をついてごまかす)。
ちなみに、オープニングではララたちが余裕気味にドミンゲスを上から眺めて監視していたのに対し、ヘリでダガーとともに離脱する場面では逆にドミンゲスが見下ろすという対照的な構図になっているのも面白いところだ。このような強敵を相手に世界を救えるのか、遺跡もより危険で厳しいものが登場する中で、ストーリーは彼女のあらゆるキャパシティを問うものになっているそう。
右:ヒース・スミス氏(リードゲームプレイデザイナー)
一方、こちらもパワーアップされたという素材集め&クラフティング要素や、コスチュームなどのシステムについては現段階では詳しくは教えてくれず。追加モードなども今後の発表になるようだ。
しかし前者に関連しては、旧作にもあった“ハブ”エリアや、リソースを集めるための“ハンティンググラウンド”(狩場)といったスペースが存在することはわかった。メインストーリー以外の素材集めや探索を楽しめる模様。
また後者については、デモのクリアー後に流れた動画に民族衣装らしきものを着てアクションしているララが映っていたり、会場に飾られていた限定版パッケージの告知に特典コスチュームについての記載があったりと、旧作同様にいろいろ出てきそう。