アメリカ・サンフランシスコにて、2018年3月19日から23日まで行われる、ゲームクリエイター向けの世界最大規模のカンファレンス、“GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2018”。3月20日には、GDCですっかりおなじみとなった、マイクロソフト主催によるID@Xboxのショウケースが行われた。注目のID@Xboxがめじろ押しだった本イベントの詳細は追ってお伝えするとして、ここでは会場で行ったID@Xbox ディレクター、クリス・チャーラ氏へのインタビューをお届けしよう。ちなみに、ファミ通.comがクリス・チャーラ氏にインタビューをするのは、2016年7月のBitSummit 4th以来、およそ2年弱ぶりとなる。

――2016年7月にお話をうかがったときに、「2013年のID@Xboxのローンチから250タイトルがリリースされた」とのことでしたが、その後のアップデートをお教えください。

クリス いまおよそ800タイトルですね。Previewを導入したことで正確な本数が数えにくくなってはいるんですが。バージョン1より前のゲームを、販売しているとはいえ1本と数えていいのか? という話はありますし。ただし、E3 2018までには800本になるのは間違いないです。

――800本も! 2017年にリリースされたのは何タイトルだったのですか?

クリス 具体的な数字はないのですが、250本前後だと思います。

――1年で250タイトルというのは、ID@Xbox向けタイトルが相当増えたとの印象ですが、なぜそんなに増えたのですか?

クリス これまでの活動が実を結んだということだと思います。250本/年までは伸び続けていたのですが、いまはだいたいこのラインで落ち着いているので、今後も250本前後で推移していくと思っています。

――開発キットを渡したスタジオも増えている? 2016年にお話をうかがったときは、2000くらいとのことでしたが。

クリス 現時点で2800スタジオです。とても多いですよね。

――少し好奇心から聞いてしまうのですが、開発キットを届けたスタジオで、あまり想定していなかった国はありましたか?

クリス ちょっと国が多過ぎて……わからないです。100ヵ国以上には届けていますし、先日はアフリカの国々からの申し込みがありました。文字通り世界中にお届けしている感じです。

ID@Xboxショウケースの会場の模様から。

――ID@Xboxが始まって、5年目となります。5年継続してきての手応えをお教えください。

クリス すごくいいと思ってます。開発者の方も喜んでくれていますし。

――ID@XboxでXbox One X向けソフトを作ることも可能ですが、クリエイターの反応はいかがでしょうか?

クリス 反応は素晴らしいですよ。新ハードウェアがあるのに、性能を生かせなければ意味がないですよね? ですので、プラットフォームチームとハードウェアチームはともに性能を簡単に活かせるようにするという点で尽力しています。一般リリース前に開発者にキットを送ったときの話なのですが、翌日電話がかかってきたんですよ。「動いてるよ! 4Kで! 半日で!」って。あれは最高の瞬間でした。でも反面、ちょっと切なさもあります。昔はコンソールでゲーム出すのは大変で、そこにはロマンがあったじゃないですか。でもXbox One Xだと……なんて言うか、あの大変だった作業が“ふつう”なレベルになりつつある。まあ、ロマンが失われた対価として、開発者が簡単にリリースできるようになったのならいいのかなと思っています。

――2017年より個人事業主のID@Xboxに参入することが可能になりましたが、その意図を教えてください。

クリス Creators Programですね。市販のXbox Oneを買って、ソフトをダウンロードすれば、趣味で作っている人でもゲームを出せる。ストアも専用のコーナーなので、ユーザー側も何を購入しようとしているのか理解した上で買い物ができます。これにより、誰でもXbox Oneでゲームを出せるようにする、というのが私たちの期待することです。エレクトロニック・アーツも、インディーゲーム開発者も、趣味でゲームを作っている人も、みんながゲームを出せるんです。

――ID@Xboxの今後の課題などありましたら、お教えください。

クリス 開発者がリリースするのを効率化する取り組みはずっと続けていて終わりがないです。願わくば、いまよりももっと簡単にしたいです。満足しないで改善を続けていきたいと思ってます。

――“作業の効率化”は、以前のお話でも課題として挙げていましたが、この2年弱のあいだに成果はありましたか?

クリス とてもありましたよ! すごく効率化されたと思います。もちろんまだできることはありますけれど。すごくわかりやすくなってますし、さっきも言ったように“いい意味でふつう”になりつつある。でも、それで開発者はプラットフォームを気にせず、ゲームそのものに注力できるようになってますから。

――2017年でチャーラさんがもっとも気に入ったタイトルを3本教えてください。

クリス うーん……。言いづらいですね(笑)。どれもすばらしいですよ!

――2018年のID@Xboxは、何タイトルくらいのラインアップを予定していますか? とくに注目しているタイトルはあります?

クリス 2018年も200本は超えますね。とくに注目しているタイトルは……全部です!

――いま、プレイステーション4でもNintendo Switchでもインディーゲームに積極的にアプローチしていますが、コンソールでインディーゲームを展開した先輩として、現状をどう思いますか?

クリス とてもいいことだと思っています。多くのインディーゲーム開発者がNintendo Switchで収益を上げているのは喜ばしいことです。開発者自身にとっても、誰にとってもいいことしかない。そして我々のプラットフォームでもプレイヤーのみなさんにインディーゲームタイトルが好評であることが嬉しいですね。ID@Xboxのゲームの通算プレイ時間は400億時間を超えてるんですよ。15万年分ですよ! すごい長さです。そしてもうひとつ、“プレイヤーがそれを購入して遊んでいる”というのも大事です。ID@Xboxプログラムのタイトルは、累計で10億ドル以上売れているんです。とはいえ、もちろんまだ満足はしていません、もっと我々にできることはありますから。でも開発者さんが成功を収めていることの一助になれていること、そしてXbox Oneを起動したプレイヤーのみなさんが楽しんでくれていることは文句なしに嬉しいです。

――ID@Xboxがそこまで成功した要因は何だったのでしょう?

クリス 開発者の皆さんのおかげです。我々が開いた門戸に、開発者の方が来てくれたこと、それが成功の要因でした。我々は“パイプ”ですから。だからこそ、リリースまでの作業を“ふつうに”しているわけです。

――ところで、2016年に“ID@Xboxで注目している国”をうかがったときに、日本と回答されたのですが、いま日本以外の国を挙げるとしたらどこですか?

クリス 世界中を見ていますが、スウェーデン。優れた開発者がたくさんいます。それから韓国も。何本も動いていますね。それからブラジルなど南米の国も見逃せません。今回出展している中にも、『Virgo vs Zodiac』はブラジル産です。中南米はアツいですよ。メキシコ、コロンビア……という意味で言うと、質問のお答えは、まあ世界中ですね。

――最後に、今後のID@Xboxの目標を教えてください。

クリス 開発者にとって使いやすいプラットフォームにしていく努力を続けることですね。いまは大きな変更をするような時期ではないと思ってます。

■取材協力/矢澤竜太