2018年2月10日~11日、千葉・幕張メッセにて開催された、ゲームファンとゲーム大会の祭典“闘会議2018”。日本において、プロライセンスが発行される初のゲーム大会となった同イベントには、海外のeスポーツ団体も来場していた。KeSPA(KOREA e-SPORTS ASSOCIATION)も、そのひとつだ。

 KeSPAは、2000年に設立された韓国のeスポーツ協会で、韓国オリンピック委員会と国際eスポーツ連盟(IeSF)に加盟。広く一般にeスポーツの推進を図っている。

 ここでは、闘会議2018会場にて行った、KeSPA戦略事業担当のジャスティン・リー氏のインタビューをお届け。韓国においてeスポーツが発展した背景や、今後のKeSPAの目標などをうかがった。

韓国のeスポーツ団体“KeSPA”のキーマンにインタビュー。eスポーツ隆盛の背景にあるのは、行政との連携【闘会議2018】_01
KeSPA(KOREA e-SPORTS ASSOCIATION)
ジャスティン・リー氏
(文中はリー)

――初めに、KeSPAがどのような活動を行っているのかを教えてください。

リー活動は多岐にわたります。選手たちの労働条件の管理を行ったり、LCKという大会(『League of Legends』の大会)を開催したり。行政機関と協力して、プロ、そしてアマチュアの人材の育成も行っています。公正に試合が行われるための管理、スポーツマナーの啓発なども、活動のひとつです。

――韓国はeスポーツが盛んな国として知られていますが、eスポーツの隆盛の背景には、何があるとお考えですか?

リーまず、政府がeスポーツ促進のサポートをしてくれることです。政府は、eスポーツを文化として奨励し、ゲームに対するイメージをよくするためのサポートをしてくれます。eスポーツに関する法律を定めたほか、ファミリー向けのeスポーツイベントを開催したりもしていて、そのイベントには、親子で楽しめるさまざまなゲームが出展されています。「ゲームをすることは楽しいことで、害にはならない」ことを伝えているんです。

――選手のマネジメントを行ううえで、心がけていることは?

リーKeSPAは、選手を直接マネジメントしているわけではなく、各チームを通して管理しています。管理するうえでは、選手の権利が守られているか、最低賃金が払われているかをチェックしているほか、事故を防ぐために、選手の教育も行います。インターネットやSNSを通じて正しい行動ができているか、大会中も正しい振る舞いができているかなど、マナーやモラルも教えています。

――韓国以外で、「eスポーツが盛り上がっている」と感じる国はどこですか?

リーアメリカ、中国、ヨーロッパの国々です。アメリカはゲーム産業が大きく、eスポーツで使われるIPもたくさんあります。中国も、さまざまなイベントを開催していて盛んです。韓国は、eスポーツの業界では先進国ではありますが、資金の規模や、持っているIPなどを考えると、まだまだです。今後ももっと国を挙げてeスポーツを盛り上げていかなければと思います。

――日本のeスポーツシーンについて、どのようにお考えですか?

リー闘会議2018で、開場前から大勢の人が並んでいるのを見て、とても驚きました。選手も、試合を応援している皆さんも、とても熱が入っていましたし。プロライセンスの導入などは、eスポーツ発展のためのいいステップだと思います。今後は速いスピードで、他国のようにeスポーツが盛り上がっていくのではないでしょうか。日本はもともと、ゲーム業界における先駆者ですし。

――最後に、KeSPAが目指す未来像を教えてください。

リーオリンピックですね。eスポーツが、人々にちゃんとスポーツとして認識され、そのスポーツに韓国の代表選手が参加できる未来に向けてがんばりたいです。ゲーム産業においては、いま『PUBG』が成功していますが、今後もeスポーツで盛り上がる韓国のゲームが出てきてほしいと思います。ですので、投資家の方に、もっとゲーム産業に目を向けてほしい。それによって、プレイヤーもチームも産業も、Win-Winの関係になれると思いますので、その環境作りにも尽力したいと思います。

闘会議2018で行った、海外eスポーツ団体へのインタビュー記事へのリンクはこちら