スクウェア・エニックスより発売中のプレイステーション4、PC用ソフト『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』と同一の世界観で、男性キャストのみで演じられる『舞台 少年ヨルハVer1.0』と、女性キャストのみで演じられる『音楽劇 ヨルハVer1.2』。
このふたつの舞台のうち、『舞台 少年ヨルハVer1.0』が2018年1月31日に上演開始された(2月4日まで。チケットは完売)。本稿では、同日の昼に行われたゲネプロ(公演初日などに本番同様に行う最終リハーサル)から『舞台 少年ヨルハVer1.0』の魅力をお伝えします。
なお、重大なネタバレには配慮していますが、一部ネタバレがあります。また、実際に観劇するまですべての情報をシャットアウトしたい方は、ご注意ください。
<ストーリー概要>
自動歩兵人形ヨルハ。
その男性型モデルのテストケースとして創設されたM部隊。
そこは少年達が訓練する学校のような場所だった。
物語は主人公九号を含む二期生達の入隊から始まる。
先輩モデルとの交流を通しながら学園生活に慣れてゆく新人達。
しかし、そこには、ヨルハ部隊に対して
疑念を抱く者が現れるようになっていった……。
【出演者】
九号:斎藤直紀
二十一号:村田恒
二十二号:寺坂尚呂己
二号:植田慎一郎
六号:土井裕斗
三号:荘司真人
四号:小栗諒
カクタス:インコさん
ロータス:増田朋弥
フロックス:田邊俊喜
教官:菊田大輔
【スタッフ】
原作: ヨコオタロウ
演出: 谷碧仁
音楽: 岡部啓一(MONACA)
『舞台 少年ヨルハVer1.0』は、『NieR:Automata』から遡ること3年。男性型ヨルハ機体のテストケースとして編成されたヨルハ実験M部隊の始まりと終わりが描かれる新規ストーリー。M部隊は教官(菊田大輔さん)、一期生の三号(荘司真人さん)、四号(小栗諒さん)、二期生の六号(土井裕斗さん)、九号(斎藤直紀さん)、二十一号(村田恒さん)、二十二号(寺坂尚呂己さん)などの7機で編成されています。
この7機のうち、九号は『NieR:Automata』の9Sのプロトタイプ的存在で、演じる斎藤直紀さんの姿・声質は9Sっぽくありつつも、プロトタイプなので若干違う味わいもあって絶妙でした。そのほかの機体は、オラオラ脳筋系の三号、冷静沈着で天才肌な四号、サイコパス系な六号など個性も感情も豊か。『NieR:Automata』では感情を持つことは禁止されていたヨルハ部隊ですが、M部隊では禁止されていなかった!?(というか、このテストケースを経て禁止されたのかもしれない)。コミカルなシーンもあったり、感情を抑え気味だった『NieR:Automata』のヨルハ部隊とのキャラクター性の違いが楽しめるのも本舞台の魅力のひとつだと思います。
おもしろかったのは、九号以外の機体にも9Sっぽさが感じられたところ(たとえば、「はいはーい」と二度返事するヤツがいたり)。もちろん、絶叫もあります。M部隊の機体たちから、さまざまな側面を受け継いだのが9Sということなんでしょう。
そして、『NieR:Automata』をプレイした人なら、その機体番号に何らかの意味を感じてしまう二号(植田慎一郎さん)の存在……。
M部隊は、機械生命体と戦う中で、地上で活動を続けるレジスタンス(カクタス:インコさん、ロータス:増田朋弥さん、フロックス:田邊俊喜さん)と合流。過酷な戦場でしだいに消耗していくにつれて、それぞれが抱える思惑が露わになったり、狂気を帯びていったり……。そんな、ドロドロした中にもキレイな感情もあったりと、『NieR』らしい物語になっています。展開もスピーディーで緊迫感溢れる内容になっていて、2時間弱の舞台はあっという間でした。観劇後は、9Sを含むヨルハ男性モデルを見る目がまた変わると思います。