『リディー&スールのアトリエ』サウンドを手掛ける作曲家の阿知波大輔氏と柳川和樹氏、アバンオープニングテーマ「マスターピース!」を山本美禰子さんとともに歌っている、歌手の霜月はるかさんのインタビューをお届け。

 コーエーテクモゲームスの『アトリエ』シリーズ最新作となる『リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~』(2017年12月21日発売予定)。個性豊かなキャラクターや、日常の温かさと非日常の高揚感を描くストーリーなど、さまざまな見どころを持つ同作だが、ゲームプレイを彩るサウンドも、見逃せない要素のひとつとなっている。

 今回、ファミ通.comでは、サウンドを手掛ける作曲家の阿知波大輔氏と柳川和樹氏、アバンオープニングテーマ「マスターピース!」を山本美禰子さんとともに歌っている、歌手の霜月はるかさんにインタビューを実施。『リディー&スールのアトリエ』の楽曲の魅力や、制作秘話をうかがった。

柳川和樹氏(左)
阿知波大輔氏(中央)
霜月はるかさん(右)

現実と絵画の中、ふたつの世界で流れる音楽

――『リディー&スールのアトリエ』がついに完成したとのことで、あとは発売を待つばかりとなりましたが、曲作りを終えての感想を教えてください。

柳川作り終えたことについては、素直にひと安心しています。ゲームもマスターアップしたということですし。

阿知波発売を待つばかりという時期にいつも思うことなのですが、“作り終えたけれど、お客さんのお手元にまだ届いていないとき”というのは、僕らは“大後悔時代”と呼んでいまして……「ああすればよかった」、「こうすればよかった」と、いろいろなことを考えてしまうんですよ。でも、とにかく、いまは早くゲームが発売されて、皆さんに楽しんでいただければいいなと思っています。

霜月歌わせていただいた楽曲の完成形は、先にお送りいただけるんですが、映像といっしょに流れるものは、ゲームが発売されてから見ることが多いんです。今回はアバンオープニングテーマということで、どんな演出で流れるのかなと、純粋にいちユーザーとして楽しみです。

柳川事前に映像と合わせたものをお渡しできればいいんですけどね、なかなかそうもいかず……。

霜月でも、たとえば事前にそのシーンだけ見ても、その真骨頂はわからないので。ちゃんとプレイして、寄り道をして、レベルを上げて、調合もしてから、そのシーンにたどり着いたからこそ得られる感慨があると思うんです。そこで流れる歌がユーザーにどんな風に受け取ってもらえるかが楽しみです。

――では、続いて、『リディー&スールのアトリエ』の楽曲を、どのように作っていったかをうかがいたいと思います。今回は「不思議」シリーズの3作目ということで、皆さんの中で、ある程度イメージがすでに固まっていたのでしょうか。

柳川「不思議」シリーズのカラーが固まってきているので、それを前提にしながら、今作のカラーをどうやってつけていくか……というところから始めましたね。

――『アトリエ』シリーズでは、作曲を担当する方が複数いらっしゃいますが、曲の割り振りはどのように行うのですか?

柳川タイトルにもよりますが、最近は、みんなで楽曲リストとにらめっこして、相談しながら決めていく形が多いですよね。

阿知波基本的に、すべての楽曲について、誰が担当しても問題ないという前提で考えるので。担当する曲のジャンルが混ざっていたほうがいいのか、ある程度まとめたほうがいいのか、くらいですね、話し合うのは。

柳川たとえば、イベントの曲、戦闘の曲、フィールドの曲があったとして、種類ごとに担当を分けるのか、戦闘もフィールドも全員で取り組むのかは、話し合いをして決めています。

阿知波その分けかたも、「不思議」シリーズの中でもぜんぜん違ったりして。

――『ソフィーのアトリエ』、『フィリスのアトリエ』でも、分けかたが違うんですか。

阿知波ぜんぜん違いますね。誰がやってもおもしろくなると思うので。『ソフィー』のときは、わりとごった煮の割り振りで、『フィリス』では、キャラクターテーマが僕の担当だったかな。

柳川今回も、キャラクターテーマは阿知波さんが多いですね。もちろん、他のかたが書いた曲もありますが。イベントで流れるBGMのうち、キャラクターテーマを除いた曲は私が多くて、フィールドと戦闘の曲は、みんなで分担しましたね。阿知波さんはフィールドの“不思議じゃない”枠とくくることもできますが。

――不思議じゃない……つまり、絵の世界ではないところ?

阿知波はい。そこは意図的に、分けたほうがいいと思いまして。僕はわりと、作風がオーソドックスですので、いわゆる現実世界を担当したほうがいいと思いました。それと、過去作のキャラクターテーマのアレンジも僕ですね。『フィリス』でキャラクターテーマを担当していましたし、『ソフィー』でもいくつか書きましたから。でも、“もとの曲を作った人がアレンジする”というルールがあるわけではないです。自分が書いた曲以外もアレンジしましたし。ただ、作曲家のメンバーの中では僕がいちばん年齢が上なのですが、「若い方の曲を僕がアレンジして、納得していただけるのかな?」とビクビクしてはいるんですけど。

柳川その逆もあって、阿知波さんの曲を僕らの世代がアレンジしたときは、「これで満足していただけるのか」と思っていますよ。阿知波さんに対しても、お客さんに対しても。

阿知波僕は(アレンジについて)何も言ったことないよ?

柳川ないですけど、ドキドキするんですよ!(笑)。

――(笑)。曲の割り振りを決めた後は、どのように進めるのですか? 曲のテイストについて話し合ったり……?

柳川「不思議」シリーズとしては、『ソフィーのアトリエ』のときに、使う楽器やテイストについて話し合っていて、すでにベースはできていました。ただ今回は、“絵画の世界”という異質な場所があるので、いままで使っていない音色も使ったりしましたね。

――現実世界の曲については、『ソフィー』、『フィリス』を踏襲したということですね。

柳川いわゆる“いつもの”です。

阿知波笛と、アコーディオンとヴァイオリン。それと、ギターですね。僕は昔の人間なので、シンセサイザーという電子機器を扱うことができないものですから……。

柳川いままでにたくさん扱っているじゃないですか(笑)。

阿知波(笑)。僕の曲には電子音は入っていませんので、現実世界から絵の世界に飛び込んだときに音がどう変わるのかを楽しんでいただければと。

柳川いままでの『アトリエ』とぜんぜん違う音になっているというわけではなくて、あくまでベースがあって、プラスアルファの部分が変わっているという感じです。そこはご安心ください。

物語を彩るボーカル曲の聴きどころ

――歌曲については、どの歌手の方に何を歌ってもらうかは、どのように決めるのですか?

柳川今回はコーエーテクモゲームスのスタッフの方が決めています。声質ですとか、これまでの『アトリエ』でどんな曲を歌っていただいたかなどを踏まえて、この方にはオープニングを、この方にはバトル曲を……と決めたとうかがっています。

――今回は、オープニングをriyaさん(eufonius)とCeuiさんが歌い、アバンタイトルをシリーズおなじみの霜月さんと山本さんが歌うという形を採られていますね。

霜月今回は、オファーをいただいた段階で「デュエットになるかもしれませんが、よいでしょうか。お相手は山本美禰子さんを考えているんですけど」と言われて、「双子というテーマだったら、それはすごくおもしろそうですね」とお答えしました。美禰子ちゃんとデュエットの経験はなかったんですけど、『アトリエ』のライブで共演することは何度もあって。美禰子ちゃんは「アーランド」シリーズ全作の主題歌を担当していて、『アトリエ』シリーズの看板を背負っているひとりでもあるので、それをきっかけに仲よくなったこともあり、「素敵な企画!」と思ったんです(笑)。双子という設定、しかも20周年の記念感のあるデュエットは、ユーザーの皆さんにもきっと喜んでもらえるんじゃないかと思いました。

――では、おふたりで歌ったアバンオープニングテーマ「マスターピース!」は、どのような曲なのかを教えていただけますか?

霜月物語の始まりを予感させるような、期待感に溢れる楽曲だなと最初に思いました。爽やかで疾走感があって、駆け出すような勢いのある楽曲だったので、ふたりのヒロインのイラストなどを見つつ、『アトリエ』らしさを意識して歌いましたね。歌詞には、双子らしい掛け合いがあったり、絵を描くことになぞらえた表現があったりして、すごくイメージしやすかったです。ちなみに収録は私が先だったのですが、先に歌う場合、相手がどう出てくるかがわからないんです。別の言いかたをすると、すごく自由に歌えたということで(笑)。

――もしかしたら、山本さんが苦労されたかも?(笑)。

霜月そうなんです。収録のときは、「美禰子ちゃんごめんね」って思いながら歌ってました。でも今回は、すごく意識して合わせなくてもいいと思っていて。私は自分らしく歌って、美禰子ちゃんにも美禰子ちゃんらしく歌ってもらえば、双子らしさは自然と出るんじゃないかなと思っていました。……そうは言うものの、実際に完成形を聴くまでは「どういう風にまとまるのかな」とドキドキしていたんですけど、実際に聴いてみたら、予想していたよりもマッチしていました。もちろん歌いかたは違っているのですぐに聴き分けはできるんですが、いっしょに歌ったところのマッチングとか、混ざり具合が心地いい感じで、「私たち、いっしょに歌うと合うんだな」と発見がありました。お互いの個性がより際立つけど、合わさったところの心地よさもあるというところが、デュエットのいちばんおもしろいところだなと思います。

――「マスターピース!」は、ゲームの公式サイトで聴くこともできますが、フルバージョンをボーカルアルバムで聴くのも楽しみです。ところで阿知波さん、柳川さんは、今回はどの歌曲を担当されたのですか?

阿知波僕 は、柳麻美さんが歌う挿入歌「Prism」を担当しています。柳さんも、これまで何回も『アトリエ』シリーズで歌っていただいている方です。「Prism」は、物語の節目で流れるということで、“いったん節目を迎えるけど、そこからまた道が広がる”というイメージで作らせていただきました。『リディー&スールのアトリエ』は絵画の世界が舞台ということで、プリズムの色もイメージして、曲を膨らませて書きましたので、ぜひ聴いていただきたいです。

――柳さんと阿知波さんのタッグは久しぶりなのでは?

阿知波じつはこれまで、メインボーカルで歌っていただいた曲のほかに、コーラスなどもたくさんお願いしているんですよ。とにかく歌がうまい方で、演技力もあって、こっちが昭和歌謡のスキャットコーラスみたいなものをお願いすると、無茶ぶりなのに「いいですよ!」と即座に上げてくれるんです。本当にこれまで甘えっぱなしだったのですが、メインボーカルでまた歌っていただきたいという思いがありましたので、今回は本当にうれしかったですね。

――がんばって、物語の節目までたどり着きたいと思います。では、柳川さんが担当された曲は?

柳川私は茶太さんに歌っていただいた「Colors」という曲の作詞、作曲、編曲を担当しています。どこで流れるかは詳しく言えないのですが、たぶん、聴くにはなかなか苦労するんじゃないかなと……。そこまでゲームをプレイしてもらって、この曲を聴いたときに、感慨深いと思ってもらえたらといいなと思いながら作りました。茶太さんと組ませていただくのは初めてでしたが、いい形になったと思いますので、ぜひ聴いてください。

双子らしい曲は、合体ロボをイメージして作った?

――「マスターピース!」は、双子をイメージして作られたデュエット曲だと思いますが、ほかの曲でも、双子というテーマは意識しているのでしょうか?

阿知波いわゆるツインリードという形を採った曲はあります。「マスターピース!」のほか、オープニングテーマの「クローマ」などもそうですが、主旋律と副旋律ではなくて、主旋律が混在している曲ですね。BGMのそこかしこに、そういった双子のイメージを入れているので、探してみていただければと思います。

柳川「クローマ」は、リディーのテーマである「キャンバス」と、スールのテーマである「ペインティング」という曲から成り立っているのですが、リディーやスールが活躍するシーンのBGMには、それぞれのフレーズがちょっとだけ混ざっていたりします。

霜月さらに言いますと、「マスターピース!」の中にも、作品に関わる重要なフレーズが入っているんです。フルバージョンで聴いていただければ、「あれ、このフレーズ、どこかで……?」と感じ取っていただけると思います。

――曲を聴き込むのが楽しくなりますね。

阿知波僕がイメージしているのは、合体ロボみたいな……。

柳川合体ロボ、好きですね(笑)。

阿知波好きだよ(笑)。要は、重なるというよりは、組み合わさるというイメージです。昔、とあるアーティストの方が、CDラジカセを2台用意して、ふたつの曲を「せーの」で再生すると、合わさってひとつの曲になるという試みをやっていて。そういう仕掛けが印象に残っているんです。

柳川技術が進歩して、いまはわりとお手軽に、そういう仕掛けが楽しめるようになりましたね。

阿知波『リディー&スールのアトリエ』では、ただふたつのメロディーを同時に流しているわけではなくて、うまいことお互いを補い合うようなメロディーラインを作りましたので、お楽しみいただければ。

ガストサウンドがこれまで続いてきた理由

――『アトリエ』シリーズには20年の歴史があり、作曲を担当する方もタイトルによって異なりますが、それでも“ガストサウンド”のブランドは揺らいでいないと感じます。これは代々、作曲家の方に受け継がれているものがあるからなのでしょうか?

阿知波ゲームの作曲について言えば、ビジュアルやシステムなど、ある程度イメージが固まってからそれに合う曲を作るので、よくよく考えると、ある程度共通したテイストの曲ができるのは自明と言いますか、そうなるべきだと思いますね。

――なるほど。

阿知波ただ、そこから先は、完全に同じものには絶対にならないですね。経験が違いますし、感性もそれぞれ持ったものがありますので。個人のフィルターを通して出てきたものが少しずつ違うというのが、お客様に飽きずにきいていただける秘訣なのかなと思います。

――変化があるからこそ、ずっとブランドが続くというわけですね。

柳川私は途中から『アトリエ』に参加しましたが、過去の先輩方が作った楽曲をたくさん聴いて、自分なりに噛み砕く時間を取ってきました。最近、ようやく自分の中で消化できてきたかなと思いますね。自然に共通のイメージに寄っていく部分もありますし、自分から寄せに行く部分ももちろんあります。最初に携わったときは、ユーザーさんから「ちょっと(ガストサウンドのテイストと)違うんじゃないか」というお声をいただくこともありましたし、逆に「新しくて、いいと思う」と言っていただけることもありました。そういったご感想をもとに、少しずつ調整していくことで、『アトリエ』サウンドに寄ってこれたんじゃないかと思います。

霜月そのお話を聞いて思い返していたんですが、私が最初に『イリスのアトリエ エターナルマナ』で「白夜幻想譚」を歌わせていただいたとき、当時の『アトリエ』シリーズの中では異色なことをやっていて、私自身にとっても冒険だったんです。いままでやったことのない歌いかたでしたし、家庭用ゲームで歌わせていただくこともほとんどなかった時期で、「本当に『アトリエ』 ファンの皆さんに受け入れてもらえるかな」と不安を抱えながら発売を待っていました。

――発売後、どのような反響がありましたか?

霜月当時、SNSはなかったのですが、ガストの公式サイトにアンケートがあって。そこに寄せられたご意見が、すごく励みになったんですよね。「いままでにない方向性で好き」、「こういう楽曲と『アトリエ』のマッチングが好き」と言ってくださる方が多くて、これをきっかけにファンになってくださった方もすごく多くて。「『アトリエ』ファンの方に受け入れてもらえた!」と思って、つぎに『エターナルマナ2』のお話をいただいたら、これが「白夜幻想譚」とはぜんぜん違う曲で(笑)。

阿知波『エターナルマナ2』の主題歌「Eternal Story」は僕が作ったのですが、当時、めちゃくちゃ悩んだんです。「白夜幻想譚」の評判がいいから、この路線で行くべきか、違うものにすべきかを悩んで。結果できあがった「Eternal Story」は、「白夜幻想譚」に比べたらオーソドックスなダンスポップのような曲で、はっきり言って、好評も酷評も頂きました。でもいまとなっては 、路線を変えてよかったなと思いますね。あそこで僕が土屋さん(土屋暁氏。「白夜幻想譚」の作詞・作曲を担当)の真似みたいなことをしてしまったら、流れが固定されてしまったと思うので。

霜月阿知波さんがそこで変えてくれなかったら、その先の『アトリエ』作品と私の関わりかたも変わっていたと思うんですよね。

阿知波「Eternal Story」は、『アトリエ』20周年スペシャルライブでも歌っていただいて、霜月さん個人の大切なライブでも大事なところで歌っていただいて、その度に僕は客席で泣いているんですけど(笑)。本当に、「Eternal Story」をああいう曲にしてよかったし、聴くたび に自分の中でもよくなっていきますし。『イリスのアトリエ エターナルマナ2』をプレイしていない方が、霜月さんのベストアルバムに入っている「Eternal Story」を聴いて、「この曲が好き」って言ってくれたりもして。これまで作った曲は、ウケがよかったものもよくなかったものもありますけど、必ず温かく受け入れてくださる方がいて、誰かひとりにでも届いたらうれしいことだなと思えるようになりました。……話を脱線させてすみません(笑)。

霜月いえ、脱線するきっかけを作ったのは私ですから(笑)。

――(笑)。ところで、先ほどアンケートの話がありましたが、楽曲に関する設問もあったのですね。

阿知波当時はありました。しかも、最初のうちは「好きな曲名を書いてください」という設問だったのですが、いつのまにか、全部の曲名のチェックボックスが用意されるようになって。どの楽曲が人気か、棒グラフになって出てくるんですよ。はっきり言えば、「僕の曲よりアイツのあの曲のほうが人気ある!」とかがわかる。

一同 (笑)。

阿知波一目瞭然なんです!

柳川それを見ながら、自分の指標を修正したりしました。「この曲が人気だから、こういう路線を自分なりに取り入れてみよう」とか……。

阿知波近年はSNSでご意見をいただくようになりましたけど、いまの時代は皆さん、やさしい。やさしすぎる。もっと、「自分はこの曲は気に入らない」というご意見があれば、どしどしお寄せください。

霜月それは辛い(笑)。

阿知波辛いけど、必要なんです。それと、「おもしろかったです」でも、「つまらなかったです」でも、その後にひとつ理由を付けていただくと、つぎにつなげていくことができるので、ぜひ理由も書いていただきたいですね。

――ユーザーの意見も合わさって、ガストサウンドは少しずつ変化しながら積み重なっていくんですね。

霜月私もこれまでいろいろな曲を歌わせていただいて、曲のジャンルはさまざまだし、イメージも違うと思うんですけど、ファンの方によく「霜月はるかの歌って、『アトリエ』っぽいよね」と言っていただけるのは、これまでの積み重ねがあるからだと思うんです。もちろん、自分の声質や歌いかたが、『アトリエ』の根幹にある世界観と相性がよかったのかな、とは思いますが……。「『アトリエ』のために書いたBGMが積み重なったら、共通点ができていた」というのと同じことなのかなと感じます。

阿知波絶対の正解に向かって道が細くなるよりも、いろいろなテイストの曲がある状態のほうが楽しいし、『アトリエ』というゲームに合っていると思います。『アトリエ』に関しては、「こうでなければならない」というルールは、少なければ少ないほうがいいと思うので。

――『アトリエ』シリーズは、包容力があるタイトルなのかもしれませんね。

阿知波作曲家だけではなくて、イラストレーターさんも、20年のあいだに何人も関わっていらっしゃるんです。共通しているのは、ひと目見れば「これは、あの人の仕事」という個性を持っていることですね。そういった方々に、いろいろな色を加えていただいた結果、いまの『アトリエ』と「不思議」シリーズがあると。この「不思議」シリーズも、今後のタイトルの礎になると思いますので、いろいろな楽しい要素を混ぜたまま、前に進んでいけばいいなと思っています。

――これまでの積み重ねを意識しながら『リディー&スールのアトリエ』をプレイすると、また楽しめそうです。

柳川今回の『リディー&スールのアトリエ』は、「不思議」シリーズの3作目として、過去作から続く要素を持っていますが、サウンド面で新しくなったところもたくさんあります。曲はもちろんですが、効果音などのすべてのサウンドも含め、ゲームを楽しんでいただければと思います。

霜月「マスターピース!」に関しても、ほかの楽曲に関しても、今回の作品テーマだからこその楽曲たちがいっぱい詰まっていると思います。まずゲームの中で楽しんで、その神髄を感じていただきたいですし、楽曲単体としても気にいっていただけたらうれしいなと思っています。