『レインボーシックス シージ』PC版プロリーグ シーズン3ファイナルをリポート!日本のプレイヤー驚愕必至の、世界の戦法とは?

2017年11月18日(土)、サンパウロで開催された“レインボーシックスシージ プロリーグ シーズン3ファイナル”。世界大会のファイナルステージで、日本から進出した“eiNs”は初戦で登場した。その奮闘の模様と、衝撃的な世界レベルの戦法を分析していく。

eiNsの優れた戦術眼は、世界でも通じるのか?

 ユービーアイソフトより、プレイステーション 4、Xbox One、PCの各プラットフォームにて発売中のタクティカルシューター『レインボーシックス シージ』(以下『R6S』)。『R6S』PC版での2017年シーズン3の世界最強チームを決める大会、“レインボーシックスシージ プロリーグ シーズン3ファイナル”が、ブラジル・サンパウロにて2017年11月18日(土)と19日(日)に開催されている。

 本大会には、アジア太平洋地域(APAC)、ヨーロッパ、南米、北米の4地域でファイナルまで勝ち進んだ、計8チームが出場した。APACからは、日本のチーム“eiNs”と韓国のチーム“mantis FPS”が進出を果たした。eiNsはAPACファイナルにおいて、粘り強さと相手の初動を読み切ってのラッシュという、静と動の両方で強さを見せつけ、1位進出を果たしている。

『レインボーシックス シージ』シーズン3アジア太平洋地域プロリーグファイナル DAY2リポート eiNsは韓国チームに圧勝【インタビュー追加】

2017年10月22日(日)、オーストラリアにて“レインボーシックスシージ プロリーグ APAC Finals”の最終日・DAY2が開催された。DAY1を勝ち抜いた日本のチーム“eiNs”の奮闘を中心に、その激戦の模様をお伝えしていく。

 トーナメント表を見ての通り、ファイナルの第一試合は“eiNs”と、地元ブラジルのチーム“Team Fontt”の対戦に。ブラジルでの開催ということで、大会会場には熱気あふれるブラジルのファンが集まっていた。激しいブーイングなどもあって、eiNsに対しては圧倒的なアウェー感がただよう。APACファイナルから続けて強さを発揮できるのか、日本のプレイヤーからの注目と応援が配信へと集まった。

 なお、本大会のルールレギュレーションは、ESL公式ルールに準拠している。試合形式はTDMの爆弾ルールを使用、BO3(2マップ先取で勝利)、各マップは最大8ラウンドで5本先取勝利など、これまでの各地域の大会とすべて共通だ。

アジア1位の看板を背負って入場したeiNsに対し、観客席からは激しいブーイングが殺到した。情熱の国の洗礼を浴びても、5人とも案外平気そう?

Team Fonttの入場に対しては、いきなりスタンディングオベーション。ホームだからというだけではなく、ここまで実力で魅せてきたチームだからこその人気か。

日本への配信では、実況をふり~だ氏(写真左)、解説をeiNsのCabbagest氏(写真右)が担当。Cabbagest氏からは、eiNsの本大会に向けての練習の模様や、選手たちの秘密の情報も披露した。

・第1マップ 銀行

 最初のマップは、eiNs側がピックした銀行。Team Fonttは安定した試合運びに加え、スタート直後の遊撃によって一気にプッシュする戦法が特徴のチームとなっている。それをeiNs側も十分承知しているようで、ポイントまでの侵入パターンを知り尽くしているうえ、Team Fonttがあまり得意としていないマップを選んだようだ。

 開始直後のファーストキルを取られた意趣返しとばかりに、Team Fontt側がeiNsのラペリング(ロープを使った窓からの侵入)をワンショットで射抜き、ファーストキルを決める。ヒートチャージを即座に破壊する、いわゆる“餅つき”を成功させるなど、Team Fonttが最後まで要所でのカットを決めていき、大事な最初のラウンドを奪取した。

Team Fontt側からはカメラで見えない位置からのラペリングだったのだが、カメラで見るまでもなく、完全に読みきっていた。

 第2ラウンド、防御側のeiNsは地下守りで、イェーガーを使わずリージョンを投入。eiNs側は広く守って遊撃を警戒する配置をとり、2階から侵入したTeam Fontt側に時間を使わせることに成功する。だが、Team Fontt側は残り30秒から、HSnamuringa選手のヒバナが3連続キルで一気に戦況をひっくり返し、せん滅勝利をもぎ取った。
 第3ラウンドでは、防御側となったTeam Fonttもリージョンを投入。3人を遊撃に当てる縦横無尽の動きで、2キルを先に奪っていく。eiNs側は不利な中でもねばり、2on2まで盛り返し、そのままShiN選手とAroer1na選手の大胆な連携で1本を取り返した。

ShiN選手が裏取りを決めて金庫へとプッシュしたと同時に、Aroer1na選手がこれ以上ないタイミングで飛び込み、クロスを決めた。普通なら足音で気付かれそうな大胆な行動だが、オフライン大会会場ではこの程度の足音は聞き取れないことが多いとのこと。

 続く第4ラウンド、防御側のeiNsは広く守るのではなく、5人で地下を守る配置をとる。先のラウンドの遊撃を意識したのか、2階から侵入したTeam Fontt側は遊撃を警戒し、かなりの時間を索敵に割くことになった。
 この状況を突いて、裏取りを決める絶好のタイミングで、eiNs側がメイン階段を攻め上がる。しかしTeam Fonttのmav選手がそこへ逆に奇襲を決め、形勢を一気に覆してラウンドを制した。この状況でメイン階段を見張っている選手がいるなどとは、普通は考えられない。会場と視聴者のあいだに衝撃が走った瞬間だった。

2階から慎重に侵入したTeam Fontt側が、なぜかメイン階段横で待ちかまえているという、まったく予想がつかない動き。この遊撃の展開力のすさまじさは、相手の動きを読むことに長けたeiNs側でも読み切れなかった。

 第5ラウンドは、防御側のTeam Fonttが先のラウンドで勢いに乗ったのか、開幕にダブルカットを決め、3on5の状況を生み出していく。eiNs側はこの数的不利に即座に対応し、ディフューザーのロックよりも遊撃のカットを優先していったが、Team Fontt側の遊撃係はそれよりもさらに迅速に対応し味方のところへ無傷で帰還した。
 OdeNMiso選手がガレージ内からワンショットワンキルで連続キルを決めるなど、eiNs側もこの数的不利をしっかりと打開したのだが、最後にはTeam FonttのAstro選手がエラで1on1を勝ち残り、ラウンドを制する。これで1-4と、Team Fontt側がマッチポイントとなった。

一方的なダブルキルを決めるなど、eiNs側に撃ち合いの技量で負けている様子はなかった。しかしTeam Fonttはその展開力で、撃ち合いにおいて優位に立てる位置をつねに確保していき、その差をキル数の差につなげていった。

 第6ラウンド、マッチポイントのTeam Fonttは攻撃側。分が悪い遊撃勝負を捨て、引き気味に守っていたeiNs側に対し、Team FonttのGohan選手が、サーバールームへプッシュしてeiNsの2名を即座にカット。そこから押し上がるかと思いきや時間差をつけ、eiNsの反撃を空振りさせる。
 さらにTeam Fonttは空振りで配置が乱れたeiNsに対し、即座にポイント攻めへと切り替え、猛プッシュを展開。巧みな時間の使い分けで一気にeiNs側を押し切り、第1マップ勝利を収めた。

eiNsは相手の狙いや動きを読み、即座に対策を用意した。大胆な遊撃と時間差を巧みに使うTeam Fonttは、さらにその裏をかく配置を展開していた。

・第2マップ オレゴン

 続く第2マップは、Team Fontt側がピックしたオレゴン。Team Fonttが得意とする遊撃が非常に有効なマップだ。対してeiNsも、APACファイナルではこのオレゴンで地形を完全に把握し、相手の動きを完封する戦いを見せている。

 重要な第1ラウンドは、Team Fonttが攻撃側でスタート。圧倒的なスピードでオフィスとキッチンの2方向からプッシュをしかけられ、eiNs側はAroer1na選手をファーストキルで失う。続くキッチンでの正面からの撃ち合いを制し、さらに奇襲を返り討ちにするなどTeam Fonttの優勢が続き、第1ラウンドはTeam Fonttが制した。

第1マップからの勢いが残っているのか、Team Fontt側の猛プッシュが続く。シャワールームにハイドしていたShiN選手を撃ち抜くなど、遊撃と奇襲をことごとく見抜き、潰していった。

 第2ラウンド、防御側のTeam Fonttは、eiNs側のドローンを開幕から壊していき、ドローンとの連携突入を封じていった。ファーストキルはeiNs側がもぎ取ったが、Team FonttのAstro選手がここで撃ち合いの強さを発揮し、連続キルで人数差を逆転。Team Fonttはさらにブラックミラーを盾にした固い守りを敷き、eiNsの攻めをしのぎきって勝利した。
 第3ラウンド、防御側のeiNsは遊撃を避ける引き気味の守りを展開していく。これに対し、Team Fonttはタワー側からドローンと同時に5人でラッシュを仕掛け、一気に制圧してみせた。特に一瞬で2キルをもぎ取ったGohan選手をはじめ、Team Fontt側のラッシュはeiNsの選手のリロードタイミングを読みきって行なわれていた。さらにはeiNsのリロード中の選手に対する、ほか選手からのフォローさえもけん制し、封じていた。

味方のだれかが倒されても、その倒した相手がリロードのために物陰へ戻ることさえ許さない、密なフォローが光る。特に弾数が少なめのサブマシンガンのリロートタイミングは、完璧に把握していたと思われる。リロードすら読みきり阻害するという、日本ではまだ見られない戦い方だ。

 第4ラウンドも防御側となったTeam Fontt側が、ポイントに攻め入るeiNs側に対し、リロードタイミングを重視した戦い方で、リロード中のeiNsの選手を大胆に倒していく。Team Fontt側はeiNsの猛プッシュに対し、配置を変える隙を見せたものの、慎重に動かざるを得なくなっていたeiNs側はそこを突けず。さらに遊撃も噛み合って、ほぼ完封という結果でTeam Fonttがこのラウンドを制した。

 0-4と、ストレートでTeam Fontt側のマッチポイントとなって迎えた第5ラウンド。Team Fontt側はキッチンのブラックミラーに対して即座に付き合わない決断をし、タワー側へと5人で殺到。対してeiNsは会議ホールで、ドローンでは確認しにくい位置を重視して守りを固めるという、今までの反省を即座に生かした形で対応していく。
 Team Fontt側はC4でAstro選手がカットされたものの、最初からの勢いを失わず、ポイントへの猛烈な平面プッシュをしかけていく。eiNs側はこれにSuzuC選手がなんとか耐え、Aroer1na選手が裏取りでフォローすることで、辛くも守り切って1本を取り返した。

一歩外に出れば即ヘッドショットを受ける状況など、きわどい場面が多かったものの、お互いに相手の動きを読んでそうした事故を回避していく展開となった。純粋な読み合いでは両チームがほぼ拮抗していることが、この展開からもうかがえる。

 1-4で迎えた、第6ラウンド。攻撃側となり、先のラウンドからの流れを手にしたいeiNs側だが、主力となるShiN選手が開幕直後、Astro選手によって落とされる。ShiN選手が室内を確認するために窓を破ったところ、その穴から逆に撃ち抜かれるという、初動の読み合いをTeam Fontt側が制した結果だった。
 続くeiNs側のキッチンへの突入も、Astro選手のエラが連続でクリアリングしていく。eiNs側はお互いのフォローに向かうルートをTeam Fontt側に押さえられており、この連続キルを止めに行くことができなかった。こうして第2マップは第1マップと異なり、Team Fonttが始終圧倒する形で勝利。2マップ先取が成立し、Team Fonttがこの第1試合の勝者となった。

Aroer1na選手が回り込もうとしたルートをmav選手が先んじてマークしていたり、Gohan選手がキッチン階段からいつでも裏回りできる配置を確保していたりと、Astro選手への他選手によるフォローも光った。

日本よりも、世界の猛者たちが先んじている要素とは

 シーズン3ファイナルにて、結果としてeiNsは初戦敗退となった。ここで「惜しくも敗れた」という表現を使えるかどうかが、非常に悩ましいところだ。
 相手側の動き、特に進撃ルートについての読み合いではお互いに互角の展開が続いた。eiNsの戦術眼は、世界レベルにまで届いていたと言えるだろう。だが、読めていても制することができなくなるという、日本と世界の決定的な違いが、今回の対戦で露見した。

 日本ではFPSの個人技といえば、撃ち合いの際のエイムに目が行きがちだ。しかし海外の選手の個人技は、ときには撃ち合いに入ることさえ許さない、随所での優位を生み出すものだった。特にリロードのタイミングを重視した立ち回りとカバーリングについては、日本ではそこまで重視しているプレイヤーは滅多にいなかっただろう。
 さらにそれを支えるのが、近すぎず遠すぎず、絶妙な距離を保ったお互いのカバーだ。ひとりをキルしたらそこから一気に切り崩し、連続キルに持ち込んでいく密な連携力は、見事の一言。たとえ侵攻ルートが読めていたとしても、止められるものではなかった。

 また、壁の破壊位置や補強壁の設置位置が定番化してきたことにより、日本の『R6S』プレイヤーの中では、侵攻ルートの予想が固定化しがちだ。それに対してTeam Fonttは、『R6S』の自由度を生かし、定番とされる“導線”にこだわらない遊撃や配置を見せてくれた。

結果的にはeiNs側が「手玉に取られていた」と思われるかも知れないが、第1マップの試合を見ても分かる通り、eiNsも始終読み負けてはいなかったし、撃ち合いでもそこまでの差はなかった。そこに追加の差を生み出したものについて、研究が必要になるだろう。

 実況・解説のふり~だ氏とCabbagest氏も述べていたが、今回のeiNsの敗北は、eiNsの面々だけでなく、我々視聴者や日本の『R6S』プレイヤーに、大きなカルチャーショックをもたらすものとなった。読み合いやエイム勝負にばかり気をとられない、まったく異なる練習法が、世界に対抗するためには必要となりそうだ。

日本と世界の間にある大きな壁がどのようなものか、はっきりと確認できた。敗れてしまったものの、eiNsにとってはとても大きなものを学ぶ、貴重な機会になったことだろう。

 読めたとしても止められない、定石にもこだわらない、そんな変幻自在な遊撃からeiNsが、一体何を学んだのか。昨今、成長がめざましいeiNsなだけに、『R6S』で日本のチームが世界の猛者に対抗するための突破口を見つけてくれることに、期待せざるを得ない。

 2018年2月には、彼らは引き続き世界の舞台である“シックス インビテーショナル”に招待され、世界の猛者たちと対戦することとなる。
 期間は3ヶ月弱とほんのわずかだが、eiNsがどのような対策を考え、どのような練習を積んでいくのか。日本の『R6S』にとって大きな分岐点となり得るこの流れ、ぜひプレイヤーの皆さんはその目で確かめていってほしい。

※画像は配信をキャプチャーしたものです。