ユービーアイソフトより2018年3月1日発売予定の、プレイステーション4、Xbox One向けソフト『ファークライ5』。2017年10月9日に東京・渋谷で開催されたイベント“UBIDAY 2017”でも試遊デモが出展され、ステージでもデモプレイが披露された。このイベントに合わせて来日した、Ubisoft Montreal Studioのマティアス・アーレンズ氏にインタビューを実施。過激かつ強烈なゲーム体験をユーザーに提供してきた『ファークライ』シリーズの最新作にして、最大の衝撃を実現する本作の、新たな挑戦を訊いた。

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『ファークライ5』開発者インタビュー! 本作が見せる多彩な“挑戦”が続々と明らかに_01
マティアス・アーレンズ(Mathias Ahrens)氏。『ファークライ5』のリード・コミュニティデベロッパー。SNSやフォーラムでプレイヤーとUbisoft Montreal Studioの開発チームをつなぐ橋渡し的存在であり、情報をユーザーやメディアに発信する立場の方。“UBIDAY 2017”で初来日。

すべてが『ファークライ5』という大きな“絵”の中の一部!

――たくさんのファンが“UBIDAY 2017”に集まってくれましたが、いかがでしたか?

マティアス 日本のファンの皆さんは、とてもエキサイティングでしたね。私もゲーマーのひとりで、今回のようなパブリッシャーが主催するイベントに参加するのが好きなので、皆さんと同じように楽しめました。

――『ファークライ5』のステージでは、実際にデモをプレイしながら解説されていました。そこで気になったのですが、そもそも本作の、アメリカ・モンタナ州にある架空の町“ホープカウンティ”を舞台に、カルト教団“エデンズ・ゲート”との戦いを描くというアイデアをダン・ヘイ氏(本作のエグゼクティブ・プロデューサー)から聞いたとき、どう思われましたか?

マティアス いままでのシリーズ作品とはまったく違う設定だったので驚きましたが、そのアイデアがどのようにゲームになるのか、同時にワクワクしましたね。

――本作のようなテーマを描くことは大きな挑戦ですが、ほかにもさまざまなチャレンジをされていると思います。その中でも、最大の挑戦と言えるものは何でしょうか?

マティアス いい質問ですね。いろいろな要素……釣りや狩り、宝探し、ミッションすべてが、ゲームの中で成立していて、プレイヤーはそれらがモンタナで実際に起きていることのようにプレイできる。それを実現することです。もちろん、ゲームなので、プレイした人が「ああ、おもしろかった!」と思えるようにしなければなりません。プレイヤーどうしで「自分がプレイしたらこうなったよ」、「ええ!? 自分はそうならなかった。じゃあ、挑戦してみよう」といった会話を楽しんでもらえるようなゲームになればうれしいですね。

――デモをプレイしてみて、ミッションに明確な線引きがなく、すべての要素がシームレスにつながっている印象を受けました。

マティアス そう感じていただけるように、狙って作っています。メインミッションとサブミッションを明確に分けてしまうと、ナラティブ……つまり、プレイヤーの体験が途切れてしまうからです。すべてのミッションが『ファークライ5』という大きな“絵”の中の一部であり、自然な流れで体験できるようにしています。『ファークライ4』では、タワーを解放すると周辺を覆っていた霧が晴れて、新しい地形などが明らかになっていましたよね。本作では、行っていない場所には、マップに霧がかかっていますが、プレイヤーがそこに行くだけで、詳細なマップがわかるようになっています。さらに、画面上にミニマップを表示しないようにもしています。画面内の情報をできるだけ簡略化して、プレイヤーがモニターの中に広がる世界に、実際にいるような感覚をもたらしたかったのです。これも、プレイヤーの体験を途切れさせないための施策のひとつと言えます。

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――没入感は確かに上がっていました。しかし、オープンワールドでこの規模のゲームを開発するのはたいへんでしょうね。

マティアス そうなんですよ!(笑)。でも、それだけの価値があるゲームです。わたしたち開発チームは実際にモンタナへ行ったのですが、とても美しい場所でした。ゲームで再現するために、初めて狩りにも挑戦しましたよ。モンタナに住む人たちは、動物との距離が非常に近いんです。さまざまな動物が周囲にいますし、狩りをサポートするペットもたくさんいて、自然の中に人間の生活が溶け込んでいる。これはゲームでも表現すべきだと思いました。

――どれくらいの数の町が用意されているのでしょうか?

マティアス 具体的な数は言えませんが、とにかくたくさんあります。町以外にも、狩りや釣り、アイテムが隠されたスポットなども存在します。たとえば、フォールズ・エンドの南に、人質が捕えられた建物があるのですが、その建物のある一点を狙撃すると梯子が下りてくるポイントがあります。その梯子を上ると、隠しリワードがもらえるんですね。

――それは気づきませんでした。

マティアス そういった、よく探さないと見つからないポイントが、あちこちにあります。それに、森に隠れたら狼に出くわしたり、安全だと思っていたら敵がクルマに乗って巡回しに来たり……本作の世界は、つねに動いています。牛を怒らせて、敵の拠点まで牛を誘導してパニックに陥らせるなんてことも可能です(笑)。ゲーム内の要素がすべてつながっているのが、『ファークライ5』なのです。

――武器も車両もたくさん登場しそうですが、その中でもマティアスさんがお気に入りのものは?

マティアス サイレンサー付きのスナイパーライフルで、ひっそり敵を倒すのが好きですね。あと、本作から新しく登場する近接戦闘用の野球バットもお気に入りです。殴るだけではなくて、相手に投げてダメージを与えることができます。当たり所がよければ倒せますが、中途半端に当ててしまうと、仲間を呼ばれて囲まれるなんて状況もありますから、注意して使用したい武器ではあります。あとは、飛行機に乗って上空からモンタナを観覧するのも好きですね。戦いに疲れたときはいい気分転換になるので(笑)。

――プレイヤーの行動と住人たちの行動にも関連性があるのでしょうか?

マティアス 今回のデモで紹介した町“Fall's End(フォールズ・エンド)”を例にとると、町からカルト教団の脅威を排除できれば、それまで閉じていたバーが開放されて、そこから新たなミッションが発生します。隠れていた住人たちも姿を見せて、プレイヤーを頼ってくるようになります。そのかわり、住人たちもプレイヤーの頼みを聞いてくれることがあります。そういった信頼関係を築くことで、プレイヤーの世界はどんどん広がっていくのです。

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――プレイヤーといっしょに戦ってくれる仲間もユニークですが、いま公開されているニック、グレース、ブーマー以外に、どのような仲間が登場するのでしょうか?

マティアス ごめんなさい、いまはまだ詳しく言えません。これからの情報を楽しみにしていてください。彼らはそれぞれ独自のスキルを持っているので、プレイヤーは自分に合った仲間を探す楽しみがあることは確かです。

――個人的には犬のブーマーがお気に入りです。

マティアス ブーマー以外にも、仲間になってくれる動物が出てくるかもしれませんよ!

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――仲間はどうやって増やしていくのでしょうか?

マティアス 彼らはそれぞれが、敵と戦う理由を持っています。そんな彼らの助けとなるクエストをクリアーすれば、プレイヤーのことを助けてくれるようになります。“レジスタンスメーター(Resistance Meter)”が上がることで仲間になるキャラクターも存在します。

――その“レジスタンスメーター”ですが、具体的にはどのようなシステムなのでしょうか?

マティアス メインミッションやサイドミッションをクリアーしたり、仲間を増やすといった、敵にマイナスとなる行動を取るとメーターが上がります。メーターが上がるにつれて、ジョセフ・シードと彼の家族の、プレイヤーに対する注目度が上がります。より敵対視されるようになるので、強力な刺客が教団から送り込まれることもあります。“UBIDAY 2017”のステージでお見せしたデモプレイでも、赤い飛行機に乗った敵が出てきましたよね。あれが、刺客のひとりです。刺客を倒せれば、すばらしい報酬を獲得できますし、どんどん敵の中枢に近づくことにもつながります。また、自分に対するレジスタンスの信頼度も上がるので、さまざまなメリットが発生しますよ。

――本作ではふたりでCO-OPプレイが楽しめますが、CO-OP専用のミッションなどがあるのですか?

マティアス とくに専用のミッションは用意していませんが、ゲームを始めてから最後まで、すべてのメインミッションもサブミッションも、協力してプレイできます。とてもエキサイティングで楽しいプレイとなるでしょう。

――CO-OPプレイの場合、ブーマーのような仲間はどうなるのですか? 

マティアス 自分とフレンドに加えて、ゲーム内の仲間とともにプレイできますよ。たとえば、自分がトラックを運転して、助手席に友人を、荷台にグレースを乗せて、みんなでバンバン撃ちながら移動することも可能です。自分も運転しながら撃てるので、まるで戦車のようになって、強烈なドライブが楽しめます(笑)。

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――もうひとつ、マップエディターも本作で復活しますね。

マティアス マップエディターもCO-OPプレイも、やはりユーザーの皆さんから「復活してほしい:という声をたくさんいただいたので、採用することにしました。マップエディターの詳細はまだ明かせないのですが、近いうちに新情報をお届けしたいと思います。

――ユービーアイソフトには、ほかにも『アサシン クリード』や『ゴーストリコン』などのビッグなフランチャイズがたくさんありますが、それらと『ファークライ』シリーズの違いはどこにあるのでしょうか?

マティアス FPSであることはもちろんですが、状況がさらなる状況を生む、予測のできないオープンワールドであることでしょうか。ブーマーが狼と戦っているところに牛が乱入してきて……そのあとにどうなるかなんて、誰も予測できないでしょう(笑)。その状況を自分でどうにかしようと思って参加してもいいですし、傍観していてもいいんです。結果は、プレイヤーによって変わります。この幅広さも『ファークライ』の特徴と言えるかもしれません。

――最後に、『ファークライ5』をプレイするにあたって観ておいたほうがいい映画や、聴いておくとより楽しくなる音楽などはありますか?

マティアス うーん……とくに「これをチェックしておいたほうがいい」というものはありません。前知識がなくとも楽しめるゲームなので。『ファークライ プライマル』では、『The Flintstones(フリントストーン)』(※編註:『原始家族フリントストーン』というタイトルで日本でも放送された、ハンナ・バーベラ・プロダクション制作のアニメ)をモチーフにしたオブジェクトが出てきましたが、そういったポップカルチャーを想起させるエッセンスは、本作でも健在です。そうですね……『ファークライ5』には、スティーブン・セガールを彷彿とさせるケイシー・セガールというキャラクターが出てきます。しかも、とあるバーでコックをやっています(笑)(※編註:ハリウッド俳優のスティーブン・セガールは映画『沈黙の戦艦』などで元特殊部隊のコックを演じている)。そういったユニークなモチーフがたくさん登場するので、ぜひ見つけ出してほしいですね。

――クレイジーだけどユニークなのが『ファークライ』シリーズですからね。

マティアス そうですね。FPSであり、アクション・アドベンチャーであり、RPGでもある。こんなゲームは、ほかにはないと思います。ユニークで強烈なキャラクターたちが、美しい世界を舞台に物語をくり広げる。そんな魅力的なゲームを本作でも皆さんに遊んでもらいたいので、楽しみにしていてください!

 ちなみに、“UBIDAY 2017”でマティアス氏が登壇した『ファークライ5』ステージは、上記のユービーアイソフト公式YouTubeチャンネルで視聴できるので、合わせてチェックしてみると、よりマティアス氏の発言内容がわかりやすくなるはず(『ファークライ5』ステージは動画の3:56:35ころから)。