ワーナー ブラザース ジャパンから2017年10月12日発売予定のオープンワールドアクションゲーム『シャドウ・オブ・ウォー』。本記事では、本作の開発者へのインタビューをお届け。
『シャドウ・オブ・ウォー』はJ・R・R・トールキンの「ホビットの冒険」や「ロード・オブ・ザ・リング」などに登場する世界“中つ国”を舞台とした2014年の『シャドウ・オブ・モルドール』の続編で、数奇な運命に巻き込まれた主人公タリオンの戦いが描かれる。
この記事では、発売元であるワーナー・ブラザース インタラクティブ・エンターテイメントのアソシエイト・プロデューサー、ダニエル・マガフィ氏とエバン・ニッケル氏のインタビューをお届け。広大な中つ国の世界や、シリーズの根幹をなすユニークなオークたち、ネメシスシステムやオークの関係性を考慮した攻城戦の攻略法を伺ってきた。
ファミ通.comではすでに何度か攻城戦を実際にプレイし、その模様をお伝えしてきたが、改めて言うと「手ごたえがある(けっこう難しい)」。というわけで、プレゼンで見事なプレイを披露してくれたダニエル氏とエバン氏直伝の攻略法をお伝えするので、本作を購入予定の方は、ぜひチェックしてほしい。
エバン・ニッケル氏
ワーナー・ブラザース インタラクティブ・エンターテイメント
『シャドウ・オブ・ウォー』アソシエイト・プロデューサー
ダニエル・マガフィ氏
ワーナー・ブラザース インタラクティブ・エンターテイメント
『シャドウ・オブ・ウォー』アソシエイト・プロデューサー
――まず、続編を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
エバン 前作よりも進化させ、かつ新しい要素を取り入れた、超大作を作りたいという思いがあり、続編を作ることにしました。今回は、それぞれのプレイヤーが、友情や復讐劇など、さまざまなストーリーを体験できるものにしたかったので、ネメシスシステムを強化し、自由度の高い物語を描けるようにしました。もちろん、これまで描いてきたストーリーもありますが、それはあくまで自分たちが描いたものであって、プレイヤーに合わせたものではありませんでした。
――プレイヤーの数だけ、新たな物語が生まれるってことですね。友情というのは、タリオンとオークのことですか? それともタリオンとケレブリンボールのことでしょうか?
エバン もちろん両方ではありますが、いまお話ししたのは、タリオンとオークのことです。タリオンとオークの間に、友情が生まれる可能性はありますが、それをわたしたちから押し付けることはできません。オークと友情を築くかどうかは、プレイヤー次第になります。
ダニエル オークとの関わりは、プレイヤーによって大きく異なります。何かがきっかけで対立することもありますし、逆にオークに命を助けてもらった場合は、友情が生まれることもあります。また、本作には、さまざまな種類のオークが登場します。面白い者や振る舞いが独特な者、嫌われ者、カッコイイ者など、バラエティに富んでいます。
――オークとの出会いも楽しみです。本作でもタリオンとケレブリンボールの活躍を見られるのでしょうか?
ダニエル もちろんです。本作のストーリーは、前作と比べ、より長くかつ深いストーリーに仕上がっています。さらに、ビックリするような展開も用意していますよ。
エバン タリオンとケレブリンボールは、ふたりでひとつの特別な存在です。敵に襲われているときに、互いに庇い合うことができますし、ステレックメカニズムでプレイしている場合は、それぞれ異なる敵を攻撃して、分断させるなんて立ち回りも可能です。ふたりがいることで、さまざまな戦いが楽しめるのもこのゲームのおもしろさだと思います。
――ふたりの活躍がまた見られるのはファンとしてはうれしいです。ちなみに、オークにクラスがあると伺ったのですが?
エバン オークにはそれぞれクラスと称号が用意されています。クラスは、いわゆるジョブのことでタンクやマークスマンなど、それぞれの大まかな役割があります。称号は、日本でいうところの、 二つ名です。これによって性格や声の特徴、行動に変化が現れます。
――おなじクラスでも称号によって行動が異なるということでしょうか?
エバン まさにその通りです。たとえば、おなじタンクのクラスでも、称号によって立ち回りが変わってくるので、それぞれの行動を見極める必要があります。
ダニエル ちなみに、“叫ぶ者”という称号を持っている敵は、つねに叫びますよ(笑)。
――クラス、称号の両方を視野に入れた立ち回りが必要なのですね。オークのクラスや称号は、プレイヤーの行動によって変化するのでしょうか?
エバン プレイヤーが、オークとどのように関わっているかも影響しますが、じつはまったく関わっていなくても変わることがあります。
ダニエル オークにはそれぞれ与えられたミッションがあり、それをこなすことで称号が変化するケースもあるんです。
――つまり、オークにも自分のやるべきこと(ミッション)が設定されている、ということでしょうか?
エバン そうです。たとえば、オークが“ビーストハント”というミッションを、プレイヤーの関わりなしに達成した場合は、オークの称号が“○○狩り”というような形で変化します。ミッション以外にも、オークを火傷させた場合は“焼かれた者”、毒を与えた場合は、“傷ついた者”といった称号になることもあります。あと、特別な場合ですが、クラス自体が変化するケースもあり得ます。
ダニエル さらにオークどうしで戦い、相手を倒して自分の能力を高める者もいます。中には、戦わずに逃げる者もいたり。逃げた場合は、そのオークのミッションが破棄されます。このように、プレイヤーの知らないところで、オークたちは自分たちの意思で行動し、変化していきます。
――これまでのお話しを聞いていると、オークに並々ならぬ情熱を感じます。なぜ、ここまでオークにこだわりがあるのでしょうか?
エバン 自分たちが気に入っている要素でもあり、オークがゲームを独特かつ、特別なものにしてくれているからです。
――みなさんにとってオークは、ある意味、主人公以上の存在なのですね。オークの前口上のバリエーションも豊富なようですが、どれくらいの組み合わせがあるのでしょうか?
エバン 膨大な数のセリフを録音し、フレーズをある程度カテゴリー化して、そこから枝分かれするように分類しています。どれぐらいの組み合わせがあるかを数字でお答えするのは難しいです。おそらく天文学的数値になってしまうかと……。とにかく、さまざまなバリエーションのセリフを楽しめます。恐らく、おなじセリフを二度と聴くことはありません。わたしは、4年間ずっとプレイしていますが、おなじセリフを聞いたことがないんです!
――スケールが大きくてビックリです! “ネメシスシステム”恐るべし、ですね。
ダニエル 前作『シャドウ・オブ・モルドール』のころから、何年もかけて開発しました。ネメシスシステムが大きく進化を遂げたことで、我々の想像を超える強大なシステムになりました。
――ここからは、本作のメインとなる砦や、その攻略についてお話しを伺いたいです。プレイヤーが攻め込む、砦のバリエーションとエリア数をどれくらいあるのでしょうか?
エバン 砦が4種類で、エリア数は5種類の予定です。
――それぞれの砦の違いを教えてください。
エバン ゲームを進めていくことで、砦がより大きくなっていき、レイアウトや構造が変化します。さらに、ディフェンダーの数が増えていき、攻略が難しくなっていきます。
ダニエル 砦の攻略に失敗すると徐々に強化されていくのも、本作の特徴のひとつです。
――負けると敵がどんどん強くなっていく、ということですよね。では、どうやって攻略するのでしょうか?
エバン よくぞ聞いてくれました! 戦略は、プレイヤーによってさまざまですが、ここでは、敵を統率する軍団長を倒す方法を紹介します。軍団長には、ボディガードとしてふたりの小隊長がついていることがあり、そのまま攻撃を仕掛けると、軍団長だけではなく小隊長とも戦う必要が出てきます。そこで先に小隊長を倒し、軍団長を孤立させます。ふたりの小隊長を倒すほかに、片方の小隊長を倒し、もうひとりの小隊長にミッションを発生させて裏切らせることも可能です。
ダニエル 砦全体を攻撃するのが難しい場合は、このように、軍団長とボディガードの小隊長を攻略していくという方法があります。もし、特定のオークに負けてしまう場合は、まずはそのオークの情報を入手します。マップ内には虫とよばれる情報を持つ雑魚のオークがいるので、そのオークを幽鬼の力で支配して、情報を手に入れてください。
エバン 負ければ負けるほど相手が強くなっていきますが、つねに何らかの方法で攻略できるようにしています。自分のスタイルに合った、攻略を探してみてほしいです。
――真正面から戦いを挑むのは、あまりオススメできないということでしょうか?
ダニエル 戦闘が得意なプレイヤーであれば、真正面から突っ込んでいくのもありです。ただ、そういった戦いが苦手なプレイヤーは、先ほどのように戦略に頼るというやりかたもあるということです。ぜひとも、両方の方法で遊んでほしいですね。
エバン 毒に弱いキャラクターがいた場合は、毒の武器を持っているフォロワーに倒すように指令を出すこともできます。また、モルグルバエが嫌いな敵に対しては、モルグルバエの巣を攻撃して敵にけしかけて、敵がハエと戦っているあいだに攻略するといったこともできます。
――攻略の方法を模索するのも面白そうですね。ちなみに、ゲームクリアー後に40年間の物語を描くエンドコンテンツが待っていると伺いました。どういった遊びが楽しめるのでしょうか?
ダニエル “シャドウ・ウォー”と呼ばれる、エンドコンテンツを用意しています。本編では砦を落とすのが目的ですが、“シャドウ・ウォー”ではその逆で敵から砦を守るのが目的になります。
エバン 防衛要素をどんどんアップグレードして、砦を奪いにくる敵を撃退していきます。
――“シャドウ・ウォー”では、タリオンは40年間生きつづけるということでしょうか?
エバン はい。操作キャラクターは変わらずタリオンです。ただし、それ以外については、実際にストーリーをプレイしてからのお楽しみです。
――話は変わりますが、モノリス・プロダクションの方の印象を教えてください。
ダニエル たいへんな情熱を持っている方たちだと思いました。1日中、昼夜なしで働いていましたし、本シリーズの制作は彼らにとってもはや仕事ではなく、芸術だったのです。“いいものを作り、プレイヤーに届けたい”という思いの強さを改めて、みなさんにお伝えしたいです。
エバン それぞれのプレイヤーにオリジナルの物語が生まれるように、毎日ネメシスシステムと向き合っていましたね。“心の底からプレイヤーを楽しませたい”という気持ちがヒシヒシと伝わってきました。
――モノリス・プロダクションのかたがもっとも情熱を傾けていたのは、オークの生成や造形なのでしょうか?
エバン 難しい質問ですね。それぞれの担当によってこだわりが大きく異なるので、誰に聞くかによって変わってくると思うんです。
ダニエル プレイヤーがひとりひとり、自分のストーリーを作れる。そしてネメシスシステムによって、これまで見たことのないようなものを届ける、という点に関しては、モノリスのみんなが考えていることだと思います。
――なんだかすごくワクワクしてきました。それでは最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
エバン 日本のプレイヤーがどういったアプローチをとるのかが楽しみです。わたしは、ストリーミングとTwitchのファンなので、インターネットを通じて、日本のプレイヤーのみなさんの遊びかたをぜひとも拝見したいですね。
ダニエル これまでのゲームとは異なる体験ができる作品に仕上がっています。またわたしは、いろんな言語でこのゲームをプレイするのですが、日本語版が一番好きです。日本語版のタリオンは、声に情熱がこもっていて、本物らしさが伝わってきます。それぐらい日本が好きなので、ぜひ日本のみなさんも、『シャドウ・オブ・ウォー』を楽しみにしていてください。