待望の有料拡張コンテンツが配信

 『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』など多くの名作を生み出してきたクリエイター、亀岡慎一氏が率いるブラウニーズと、『艦隊これくしょん -艦これ-』などを提供しているDMM.com POWERCHORD STUDIOがタッグを組んだスマートフォン向けRPG『エグリア~赤いぼうしの伝説~』。2社によるタッグや1200円の買い切りタイプでのリリースが当時話題になったのが記憶に新しい。

 2017年4月のリリースから約6ヵ月が経過し、いよいよ続編ストーリーにあたる有料拡張コンテンツ『ゴブリンと太陽の雫編』が10月5日より配信開始となる。そこで今回は、キャラクターデザインや総監督などを務める亀岡氏に本作の魅力について伺ってきた。氏は本作で初めて本格的なスマホゲームの制作に携わったということもあり、その手応えなどについても大いに注目してほしい。

『エグリア~赤いぼうしの伝説~』の拡張コンテンツ『ゴブリンと太陽の雫編』がいよいよ配信 その見どころをブラウニーズ亀岡慎一氏に聞く_07

ブラウニーズ
代表取締役社長
システム、シナリオ原案、キャラクターデザイン、総監督
亀岡慎一氏(文中は亀岡)

『エグリア』本編配信の手応えは?

――『エグリア』を配信して、やはりいままで作ってきたパッケージのゲームとは違いを感じましたか?

亀岡 やっぱり違いますね。配信してからのほうが忙しかったかもしれないです。まず日本でリリースして、同時に英語版のほうのチューニングも動いていて。あとは無料アップデートの予定が月イチくらいで入りつつ、有料拡張コンテンツの作業も並行して進めていくという感じでしたので、たいへんでした。まあ、だいたいソーシャルゲームの開発会社さんはそんな感じらしいですけど。

――ある程度の達成感はありつつも、つぎに向かっていくみたいな感じでしょうか?

亀岡 そうですね。ただ、ユーザーさんからの反応を見るのが、つぎのバージョンを作るパワーの源にはなりますね。けっこう反応はいただきましたので。

――印象的な反応はありましたか?

亀岡 やはり「このボリュームで1200円でいいの!?」みたいな反応はすごくいただきました。やり込んでくれる方はかなり遊んでいてくれて、無料アップデートもけっこう行ったので、「無料でいいんですか?」みたいなものも見かけましたね。

――クリアーした後のやり込みというのは、想定通りの遊ばれかたなのですか?

亀岡 そうです。ただ、全部の要素をオープンするまで、どのくらいの時間が掛かるのかは僕の中で未想定だったんですけど、けっこう長く遊んでもらえました。思ったよりもゲームの世界観とか雰囲気とかを受け入れてもらえたのかなぁと。いまの若い人たちって、もっと殺伐というか、クールなイメージの世界観が好きなのかなと思っていたので、意外ではありました。どこまで受け入れられるか不安であり、楽しみなことでもあったんですけど。

――受け入れられたのは、どんな理由があると思いますか?

亀岡 ちょっとわからないですね。僕は絵のほうもやっているので、いまの流行りの絵に近づけたほうがいいのかなとか、日和っちゃうことはあるんですよ。ほかの会社さんと組んだとき、「もっと今風にしてくれ」とか「アニメっぽいタッチにしてくれ」とか言われたことがあるんですが、そういうのに流されてしまうと、心から納得できなかったんですね。だから今回は、世の中にどのくらい通じるのか自分を試す感じで、やりたいように好き勝手にやらせてもらいました。

――独特なビジュアルですよね。

亀岡 昔から個性的とは言われていました。自分の絵に合う人と合わない人がハッキリしているんですよ。好きな人は好きでいてくれるんですけど、苦手って人はもう遊んでもらえないみたいな(笑)。『エグリア』は、想定より幅広い人が遊んでくれたようで、うれしかったですね。

――無料のアップデートはどういう方針で行っているんですか?

亀岡 マイナーチェンジじゃないですけど、遊びやすくする要素を入れていったり、新システムを追加したり。『エグリア』はそんなに急がせて遊ばせたいゲームではないのですが、後半に行くに従って必要な素材の量も増えていきます。そうすると、どうしても探索に時間が掛かるので、すべてのスピードを早めて時間を半分に圧縮できるモードを作りました。遊びにくいとか、こうなったらいいのにっていうユーザーさんの要望は、ゲームのバランスを崩さないリクエストであれば、なるべく応えてあげられたらなと思っています。

『エグリア~赤いぼうしの伝説~』の拡張コンテンツ『ゴブリンと太陽の雫編』がいよいよ配信 その見どころをブラウニーズ亀岡慎一氏に聞く_05

ひとりひとりのキャラクターにもっとフォーカスしたい

――有料拡張コンテンツの構想は最初からあったのですか?

亀岡 僕の頭の中では、もともとお話はもうちょっと先まで考えていました。スマホゲームのボリューム感というものがわからなくて、最初のリリースのときにはどのへんで区切ったらいいのか悩みましたね。けっきょく全体の構想の3分の1くらいのところまで収めています。

――では、有料拡張コンテンツのリリースは必然の流れという感じですね。

亀岡 そうですね。「好評だったら続きを作りましょう」という話は最初からありました。リリース時の初動の流れを見て、配信記念パーティーで有料拡張コンテンツの制作を発表させていただきました。

――今回の有料拡張コンテンツの物語はどんな感じになるのですか?

亀岡 今回配信となる有料拡張コンテンツは、『ゴブリンと太陽の雫』編と名づけられていまして、鬼族の一種であるゴブリン族が出てくるのですが、彼らとレッドキャップの関係やほかの住民たちとの絡みをぜひお楽しみいただきたいと思っています。というのも、本編だとドタバタと新しいキャラクターが街の住民になっていってしまうのですが、本当はもっとひとりひとりにフォーカスして、もう少しゆっくりとエピソードを作りたかったんです。キャラクターのひとりひとりがゲーム的役割を持っているので、早めに街に住んでもらわないとゲームが回らないせいもあり、本編では慌てた感じでいろいろな種族が街に住み着いてしまったんですよ。

『エグリア~赤いぼうしの伝説~』の拡張コンテンツ『ゴブリンと太陽の雫編』がいよいよ配信 その見どころをブラウニーズ亀岡慎一氏に聞く_01
『エグリア~赤いぼうしの伝説~』の拡張コンテンツ『ゴブリンと太陽の雫編』がいよいよ配信 その見どころをブラウニーズ亀岡慎一氏に聞く_02
コトミヲ(左)とハルシロ(右)。

――なるほど。もっと丹念に描いていきたいということですね。

亀岡 これまでのお話では本当に駆け足になってしまいましたから。新しい種族が出てきたときに、ほかの種族からどういう風に見られていたとか、そういう位置付けも説明できたらなあというところですね。もともと世の中に、この世界観が受け入れられるのかというのを試してみたかったというのもありますし。

――世界観はある程度受け入れられることがわかったので、有料拡張コンテンツはそこにフォーカスを当てて描いていくと?

亀岡 そうですね。あとは住民たちが勝手に動いてくれるので、何かが起きればコイツがこう言ってきて、アイツがこうするだろうみたいな。

――じつにクリエイターさんらしい表現ですね。そういう意味では勝手に動くキャラクターって、たとえば誰なんですか?

亀岡 うーん、そう聞かれると難しいですね(笑)。いちばんは、やはりブラウニー族のブラウンですかね。主人公がしゃべらないので、先頭に立って引っ張ってくれたりするキャラはクターは動かしやすいです。台本上では、ツノを折る前の主人公はけっこうしゃべっているんですけどね。

――今回の『ゴブリンと太陽の雫』で注目してほしいキャラクターがいたら教えてください。

亀岡 やっぱりゴブリン族のハルシロとコトミヲです。あのふたりがユーザーにどう受け止められるのかは気になりますね。ふたりは姉弟なのですが、ひとまず絵柄を見てもらってどんなキャラクターなのか想像してもらいたいです。

――やはりそのふたりですか。デザインはどうやって決めたのですか?

亀岡 1本角のゴブリンを出すことは決まっていたので、表情とかをどこまで怖い感じにするとかは悩みましたね。かわいっぽく見えるけど、ちょっと怖いところもあるみたいな。

――システム的なところは、これまでを踏襲する感じですよね?

亀岡 そうです。この世界観のままずっと流れで遊べますので。それに加えて、新たな要素も入ったりはしますけど。たとえば……けっこう新しいフィールドが出てくるので、新しいモンスターが増えています。精霊も30体追加されるので、当然新しいスキルやリンクルーンも増えています。家具はこれまでと同程度入るので、合わせて倍くらいですかね。ボリューム的な話で言ってしまうと、シナリオは半分くらいでしょうか。ちょうどメインストーリー分のボリュームと同じくらいかなと思います。

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――ちなみに、これまでのお話が前提ということは、有料拡張コンテンツから始めることはできないですよね。

亀岡 それはできないです。メインのストーリーをクリアーしないと有料拡張コンテンツが始まらないようになっていますので。

――今回の『ゴブリンと太陽の雫』編は960円ということですが、値段はやはりバランスを見て決めたのですか?

亀岡 今回は単純にボリュームですね。前回があのボリュームで1200円だったので、今回はこのくらいだよねということです。

――気が早いと思うのですが、さらる拡張コンテンツとかはあるのでしょうか……?

亀岡 もちろん、僕的には作りたいのですけど……。

――では、仮に実現したとしたらつぎの拡張コンテンツで『エグリア』の世界が完結する感じですか?

亀岡 架空の話ですけど、僕の中でのひと区切りのボリュームが、だいたいつぎの拡張コンテンツくらいで描き切れるかなという話で、それ以降もまだまだ広げようと思えばいくらでも広げられます。まあ、ほぼ妄想の話ですね(笑)。

――ぜひ実現してほしいところです。では、最後に抱負をお願いできますか。

亀岡 有料拡張コンテンツ『ゴブリンと太陽の雫』編は、お話しを楽しみたい方や新しい『エグリア』の世界に触れたいと言ってくださるユーザーさんのお声で製作することができました。僕的にもいくらでもゲームは広げられるようにしてあります。せっかく作り上げた世界観なので、もっと続けたいし、広げていきたいと思っています。ですので、ぜひ遊んでみてください。もちろん、有料拡張コンテンツを購入されない方も、新たなシステムを今後追加していくので、楽しみにしていてください! あと、スマホを持っている世代より低い年齢層のユーザーにも触れてもらいたいです。Nintendo Switchなどのコンシューマーもやりたいですね(笑)。

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有料拡張コンテンツ『ゴブリンと太陽の雫編』

10月5日配信予定
価格:960円[税込]

 『エグリア』の拡張コンテンツで、新たな住民であるゴブリン族のハルシロとコトミヲを中心としたストーリーが楽しめる。新たな卵8個とそれに付随するストーリー、住民、アイテムが追加されるほか、モンスター、精霊、家具、住民の家の2階、ラブリティの上限解放など、その他の新要素も盛りだくさんの内容となっている。

※有料拡張コンテンツは、日本語版で本編メインストーリーを終了しており、ロビンのラブリティがMAXになることで、ゲームタイトル画面より購入が可能となります。条件を満たしていない場合は購入できません。

[2017年10月2日午後10時40分]一部社名表記に誤りがあったため、修正させていただきました。お詫びして訂正します。