2017年9月21日(木)から9月24日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2017(21日・22日はビジネスデイ)。DMM GAMESは、同社ブース内のステージにてパネルディスカッション“DMM GAMESの新たなる挑戦とは!?”を実施した。
このパネルディスカッションでは、“新たなる挑戦”と題して、Nintendo Switch向けリズムゲーム『がるメタる!』と、このステージで発表されたPS4向けアドベンチャーゲーム『デメリトクラシーあるいはアリアス・ルースの2つの顔』の2タイトルを取り挙げ、同社の家庭用ゲーム機への参入に対する取り組みや“挑戦”について語られた。
登壇したのは、『がるメタる!』プロデューサーの藤井隆之氏、『デメリトクラシーあるいはアリアス・ルースの2つの顔』プロデューサー・企画原案の神山敬介氏、同作品のディレクター・シナリオを担当する河野一二三氏。司会は、週刊ファミ通の林克彦編集長が務めた。
Nintendo Switch用リズムゲーム『がるメタる!』
まずは、藤井氏よりゲーム内容について語られた。本作は、DMM GAMES初のNintendo Switch参入タイトルとなる本格リズムゲームで2018年発売予定。『東京魔人學園伝奇』シリーズや『九龍妖魔學園紀』の今井秋芳氏が監督・脚本を手掛け、アドベンチャーパートは『ウゴウゴルーガ』や『なんでもQ』シリーズの青木俊直氏によるコミックで展開する。
ゲームのコンセプトは、自由なドラム演奏。プレイヤーはNintendo SwitchのJoy-conを音楽に合わせて振ることで、誰でもドラムを演奏することができる。従来の音ゲーでは、流れてくるノートなど、特定のインジケーターに合わせてボタン入力を行うが、『がるメタる!』ではそこをガラリと変えたという。本作では、自分の好きなタイミングで好きなリズムを自由に組み合わせて演奏し、その組み合わせによって得点が加算される仕組みになっている。
本作の概要については、こちらの記事も参照してほしい。
前日のステージに登場したゆるキャラ“にゃんごすたー”が、実際に本作をプレイしている映像を自身のTwitterに投稿しているので、そちらも紹介しておこう。
ゴーゴーダンス!やってみた
— にゃんごすたー nyangostar (@NYANG_GO_STAR)
2017-09-22 18:47:27
藤井氏は「メーカー各社さんに熱いメタル魂を伝え、協力を得た」と語り、ゲーム内で使用されている楽器はすべて実際の楽器からモデルを起こしている点についても強調した。シンセサイザーの音色など、楽曲の中でも協力メーカーの楽器を使用しているとのことだ。
音ゲーへの挑戦
藤井氏はもともとサウンドデザイナーとしてゲーム業界へ入ったとのことで、音ゲーというジャンルが20年前ほどに出てきたときは非常に画期的に感じたと語る。その理由として、演奏するために必要な楽譜を、画面に流れるノーツに置き換えることて、専門知識なしでも演奏できる点を挙げた。
そして『がるメタる!』では、その次のステップへの挑戦が見られる。藤井氏いわく、演奏するときにリズムや音色を正確に追うことは不可欠なもので、それをクリアーしたうえで差が出てくるのは“表現方法”だという。そして、その“表現”を音ゲーのなかで追い求めて生まれたのが『がるメタる!』だと語った。
本作では、高得点を目指すにはリズムの正確さだけではなく、リズムの組み合わせによってコンボを発生させることが必要となる。藤井氏は格闘ゲームにたとえて、「小パンチだけでも相手には勝てる。でも、より強さを求めるにはコンボが必要になり、またそれを出すタイミングも重要」と述べた。それを達成したときに「俺スゲー」感が味わえ、これは『がるメタる!』での“表現”にも同じことが言える、というのだ。
PS4用アドベンチャー『デメリトクラシーあるいはアリアス・ルースの2つの顔』
こちらは本ステージにて発表された新作タイトル。初公開ということで、まずは神山氏がゲームの概要を細かに説明した。本作は、DMM GAMES初のPS4専用の新規IPタイトルとなる。ジャンルはアドベンチャーゲームで、テキストベースでシナリオが展開する。
そのシナリオを手がけるのは、『クロックタワー』シリーズや『Night Cry』などで知られる河野一二三氏だ。河野氏は「初めてほかの方の企画に参加させていただく」とのことで、最初に原案を聞いたときに神山氏の熱い情熱を感じて、シナリオを担当することを決めたそうだ。神山氏と河野氏、家庭用ゲーム機で人気アドベンチャーゲームを手掛けてきたふたりが作るゲームということで「非常に楽しみ」と、林編集長も期待を寄せる。
また、メインキャラクターデザインを担当するのは『Fate』シリーズなどで知られるワダアルコ氏で、ステージではメインのふたりのキャラクターが紹介された。王子様然とした主人公、アリアス・ルースは“ふたつの顔”を持っているという。もうひとりのキャラクターは主人公のライバルとなる存在だ。神山氏は「ワダアルコさんは、どちらかというとかわいい女性キャラクターに定評があるが、今回はあえてかっこいい男性キャラであり、印象的です」と感想を述べた。
タイトルの“デメリトクラシー”というのは造語で、もともと“メリトクラシー”とは社会学で用いられる用語で、能力主義による政治的統治・支配といった意味合いがあるが、それに否定の意味の“de”をつけてもじったものとのこと。
物語の舞台は中世・近世ヨーロッパをイメージしており、暗い雰囲気が漂っている。このあたりは、後に公開される情報で明らかになってくる。
そして、本作のキーワードとなっているのは、下記の画像の通り。
“復讐×女装×2つの顔”は、主人公アリアス・ルースを表す。主人公は、出生に秘密があり復讐のために動いていて、2つの顔や立場を駆使する。女装というと一見、イロモノ的に思えるが、しっかりとシステムに結びついている。
“権謀術数×相関図×計画書”は、ゲームシステムを語るうえでのキーワードであり、主人公が復讐を行う際には、肉体的な直接的バトルは行わず、策略をめぐらせて、人や組織を翻弄していくのだという。河野氏は「シナリオを書くのにヒイヒイ言っています」と述べ、非常に複雑になるであろう物語の展開をほのめかした。
最後の“特殊能力×トラウマ×キス”については、魔法などが存在しないこの世界で、唯一の超常的な要素としての主人公の特殊能力を表している。この特殊能力を使って、主人公は復讐を果たしていくのだという。
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アドベンチャーゲームへの挑戦
本テーマについて、まずは河野氏が「このご時世に売り切りのアドベンチャーゲームを新作で作ろうというスピリッツがおもしろい」と、笑いを誘いつつコメント。「それならいっそ、テキストならではのよさを徹底的に追求しよう」と述べ、“テキストの無限性”という言葉を用いて意気込みを語った。神山氏もその考えに賛同し、アクションや3D映像を用いてシナリオを表現するには、いくつもの工程が必要になり限度があるが、テキストではそれに縛られることはないとつけ加えた。
河野氏は、本作のオファーを受けたときに「神山さんのイマジネーションが大きすぎる」と感じたそうだが、「自分と神山さんのふたりで想像の翼を広げれば、それが実現できると思った」と、そのときを振り返った。
また、神山氏はテキストアドベンチャーについて、推理モノが多いせいか一般的なゲームでは近代や現代を舞台にしていると分析し、それに対して『デメリトクラシーあるいはアリアス・ルースの2つの顔』では中世を舞台にしていることが、ひとつの挑戦だと語った。さらに、アクションや肉体を使わずに、頭を使って爽快感を得るためのアドベンチャーゲームを目指す、と意気込みを述べた。
PCゲーム・スマートフォンアプリを中心にサービスを行うDMM GAMESが、『がるメタる!』、『デメリトクラシーあるいはアリアス・ルースの2つの顔』の2タイトルを皮切りにして、家庭用ゲーム機への参入を果たす。これがひとつの“新たな挑戦”であり、それぞれのタイトルの独自性による、“ジャンルへ対する挑戦”もじつに興味深い。この2タイトルを機にした、DMM GAMESのさらなる挑戦に期待したい。