『Earthlock: Festival of Magic』は、ノルウェーの開発チームSnowcastle GamesによるRPG。『ファイナルファンタジー』、『ルーンファクトリー』などの影響を多分に受けたと公言しており、みずから“JRPG”を名乗る日本贔屓ぶりだ。このたび、通常版にバランス調整や追加要素を加えた“完全版”が、世界に先駆け日本で先行発売される運びとなった。
そのような折、Snowcastle GamesからErik Hoftun氏、Bendik Stang氏にインタビューできる機会を得た。さまざまな意図を込めて用いられることの多い“JRPG”という用語だが、彼らは“日本らしさ”をどのようにとらえているのだろう? TGS2017インディーゲームブースにてお話をうかがった。
――『Earthlock: Festival of Magic』を制作するうえで、日本のゲームからどのようなインスパイアがあったのでしょうか。
Snowcastle いちばんはボスとのバトルですね。ターン制という昔ながらのシステムでも、音楽や演出の妙で手に汗握るアツい戦いを生みだしてきたのが日本のゲームのすばらしいところです。『Earthlock』でも、ボスとの一戦一戦が記憶に残るイベントになるよう注力しています。加えて、昔のRPGや『Dark Souls』シリーズのような骨太の難易度も再現していますので、ぜひとも楽しんでいただきたいですね。
――おお、ほかにもなにかありますか。
Snowcastle 物語で活躍する魅力的なキャラクターも大好きです。『ペルソナ』シリーズの“コミュ”のように、システム面で登場人物の性格や特性を補足する手法は、日本のゲームの得意とする分野ではないでしょうか。『Earthlock』も、キャラクターどうしの絆を深めることで、より強力な合体技を繰り出せるようなシステムを取り入れています。仲間それぞれのスキルツリーも個性が汲み取れるような仕様になっていますので、冒険を進めながら、自然と彼らを好きになってもらえたらうれしいです。
――一方で、本作に“ノルウェーらしさ”を感じる部分があればお聞かせ願えますか。
Snowcastle 『Earthlock』の舞台となる世界には、日の光が当たらず、夜に閉ざされた地域が存在します。これは、ノルウェーに毎年訪れる“極夜(※)”からできた設定です。暖かな太陽を浴びることはできませんが、ほのかな星の輝きに照らされる街並は美しいものです。本作も、そうした光の表現は丁寧に描写しました。
※地球の最北に近いノルウェーには、太陽が昇らない期間が4か月ほど訪れる。
Snowcastle あとは……パワフルなヒロインでしょうか(笑)。ノルウェーでは、芯が強く、ひとりで生きていけるような女性像がよいとされますので。
――また、ノルウェーといえば、高等学校でeスポーツ教育をカリキュラムに組み込むなど、国を通してゲーム文化の推進に力を入れている印象です。本作を作るうえで、ノルウェーという国のゲーム観が影響した部分はありますか。
Snowcastle 大いにありますね。今回のTGS2017もそうですが、海外でプロモーションをする際は、国に助成金を申請することができます。政府の厚い支援のもとで、ディベロッパーも相互に助け合う家族のような関係です。
――そうした取り組みの背景には、どのような狙いがあるのでしょうか。
Snowcastle ノルウェーは水産業と石油資源の国ですが、輸出高が年々目減りしてしまっています。そこで、一次産業のみならず、文化資源も世界に送り出していこうと動き出したようです。私たちクリエイターも、これを機に世界へ羽ばたこうと頑張っています。
――ありがとうございます。最後に、日本のゲームファンにメッセージをお願いします。
Snowcastle 日本で発売するために、オリジナル版から8ヵ月間におよぶ改良を加えました。日本のユーザーに喜んでいただけるようなクオリティーを目指しましたので、ぜひ楽しんでいただきたいです。
「目の肥えた日本人に受け入れてもらえるか不安」と語るおふたりだったが、試遊客の反応は好評。ほっと胸をなでおろしていた。日本語ローカライズ完全版の発売日は未定だが、完成を楽しみに待ちたい。