2017年9月21日(木)~9月24日(日)まで、千葉県・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ 2017(21日・22日はビジネスデイ)。Wargamingブースでは『World of Tanks』(以下、『WoT』)について、最近実装された30 VS 30の新対戦コンテンツ“Grand Battle”やランク戦に続く、新たな展開が発表された。
既存マップのさらなるHD化、サウンドにまつわる新企画などを通じて、本作はより戦車の再現度の向上と、コミュニティーの充実化を推し進めていくことになる。
これらの新展開を企画した意図はどこにあるのか。また、さらにその先には何を見据えているのか。『WoT』マーケティングディレクターのマックス・チュバロフ氏と、APACのプロダクション統括を担当するアレキサンダー・デジョルジョ氏に、『WoT』の目指すところについて語っていただいた。
つぎの目標は“誰もが遊べる”ということ
最初に尋ねたのは、実装されたばかりのGrand Battleとランク戦について。チュバロフ氏いわく、Grand Battleに対して寄せられるフィードバックはとてもよく、うれしいかぎりであるという。中でも多いのは“もっとマップを増やしてほしい”という意見だそうだ。
当然、要望に応える準備は進行中。マップのほかに新コンテンツも追加したいと考えているとのことだ。
もうひとつの新バトルであるランク戦は、第2シーズンが開始されたところ。現在はβシーズンとして開催しているランク戦には、すでに既存ユーザーの約90%が参加している。このβシーズンは、よりよいゲーム体験を生み出すことを目的に展開しているとのこと。
Wargamingはユーザーに喜んでもらえる新しいフィーチャーをつねに探している。ランク戦のβシーズンもその一環となるようだ。いまの状態でもプレイヤーからはいい反応をもらえているが、さまざまな意見を取り入れたい。よりよいコンテンツを目指す姿勢はどん欲だ。
なお、βシーズンが終わったら意見を募り、つぎもまたβシーズンとなるのか、正式なシーズンとしてリリースするのかを検討する予定だという。
また、新たなレンダリングエンジンで進化したグラフィックについて、チュバロフ氏はとてもよいものと評価している。
それを踏まえつつ、『WoT』にとってのつぎの目標として、氏は3つの項目を挙げた。HD化などの“グラフィックのさらなる改良”、初心者にも優しく、アップデートにプレイヤーが置いていかれないような“ゲームプレイ環境の改善”、そしてHD化で美麗になるのみでは終わらない、“マップ自体の改良”だ。
筆者はとくに2番目が気になった。“プレイヤーが置いていかれない”とはどういうことか。
チュバロフ氏いわく、『WoT』がサービスインしてからかなり時間が経ったことで、プレイヤー間のPCスペック差が広がりつつあるという。いくらグラフィックをきれいにしても、PCスペックのせいで『WoT』を遊べないプレイヤーが増えてしまっては意味がない。
氏は、少し古いハードでプレイしている人でも、グラフィックが改善されつつも従来通りプレイできる“誰もが遊べる”仕様を重視していきたいと熱弁した。
“誰もが遊べる”は、スペックだけに関わる話ではない。初心者にも満足してもらってこその“誰もが遊べる”である。
その施策の一環として、ほかの地域ではすでに実装されている“ブートキャンプ”が、APACにも2017年10月を目途に実装予定だ。これは初心者のためのよりやさしいトレーニングモードであり、デジョルジョ氏はゲームの中で勝利するための項目が学べるモードであると解説してくれた。
『WoT』が目標とする、さらなるチャレンジとは?
挙げられた3つの目標については、すでに着手が始まっているようだ。さらにつぎのステップとして挑戦していきたい展望はあるのかどうか、質問してみた。
チュバロフ氏は「グラフィックエンジンの改善はこれまでになく大きなチャレンジだったと感じている」と語る。アップデート8.0での新エンジン実装時と同じく、ゲームの大部分が変わる内容だと認識しているそうだ。
そこまで大規模な進化を遂げたゲームを、低いハードスペックでも、高いハードスペックでも変わらずプレイできるようにするというのは、技術的にも大きなチャレンジであると考えているという。この目標については現時点のみならず、今後長らく『WoT』が挑戦し続ける、大きなテーマになりそうだ。
グラフィックやサウンドの向上だけでなく、それに置いていかれるユーザーへのフォローも考えるという、『WoT』の今後。もちろんゲームシステムや遊びかたに関する発表は今後も続くのだろうが、こうした側面の改善も細かに考えられているという点についても注目したいところだ。